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林野庁

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第1部 第5章 第1節 復興に向けた森林・林業・木材産業の取組(4)

(4)復興への木材の活用と森林・林業・木材産業の貢献

(ア)まちの復旧・復興に向けた木材の活用

(応急仮設住宅における木材の活用)

東日本大震災以前、応急仮設住宅のほとんどは、軽量鉄骨のプレハブ造により供給されていたが、東日本大震災においては木造化の取組が進んだ。被災地の各県では、約5.4万戸の応急仮設住宅が建設されたが、被災3県では、この4分の1以上に当たる約1.5万戸が木造で建設された(*11)。

東日本大震災における木造の応急仮設住宅の供給実績と評価を踏まえて、平成23(2011)年9月に、一般社団法人全国木造建設事業協会が設立された。同協会では、大規模災害後、木造の応急仮設住宅を速やかに供給する体制を構築するため、各都道府県等との災害協定の締結を進め、令和3(2021)年4月までに、38都道府県と10都市の地方公共団体と災害協定を締結している。


(*11)国土交通省調べ(平成25(2013)年5月16日時点)。



(災害公営住宅における木材の貢献)

「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成23(2011)年7月閣議決定、同年8月改定)では、津波の危険性がない地域では、災害公営住宅(*12)等の木造での整備を促進するとされており、令和2(2020)年12月末時点で、住まいの復興行程表で計画されていた災害公営住宅のうち原発避難者向けの調整中のもの及び帰還者向けを除く約2万9,700戸の工事が完了し、約25%が木造で建設された(*13)。


(*12)災害により住宅を滅失した者に対し、地方公共団体が整備する公営住宅。

(*13)国土交通省調べ。



(公共施設等での木材の活用)

被災地では、新しいまちづくりに当たり、公共建築物等にも木材が活用されてきた。また、地域材を積極的に活用する取組も行われ、被災地域の復興のシンボル的な役割を担ってきた。

例えば、福島県富岡町(とみおかまち)では、令和3(2021)年に、屋内で子供達が運動でき、子育て世代や地域の人々が交流できる場として富岡町地域交流館「富岡わんぱくパーク」を建設した。大断面集成材を使用し、すべり台等の様々な遊び体験ができる幅約9m、長さ約27mの大空間を実現しており、手の届くところには無垢材を使用し、木のぬくもりを感じることができる施設となっている(資料5-3)。


(イ)エネルギー安定供給に向けた木質バイオマスの活用

平成24(2012)年7月に閣議決定された「福島復興再生基本方針」では、目標の一つとして、再生可能エネルギー産業等の創出による地域経済の再生が位置付けられたこと等を受け、各県で木質バイオマス関連施設が稼動している(*14)。岩手県、宮城県、福島県においては、令和3(2021)年9月時点で、主に間伐材等由来の木質バイオマスを使用する発電所21件がFIT(*15)認定され、そのうち13件が稼働している。また、木質バイオマスの熱利用については、宮城県気仙沼(けせんぬま)市や岩手県久慈(くじ)市で熱供給事業が行われている。


(*14)木質バイオマスのエネルギー利用については、第3章第2節(2)141-146ページを参照。

(*15)FITについては第3章第2節(2)143-144ページを参照。


挿絵8

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