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林野庁

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第1部 第3章 第3節 木材産業の動向(5)

(5)合板製造業

(国内合板生産のほとんどは針葉樹構造用合板)

合板は、木材を薄く剥いた単板を3枚以上、繊維方向が直角になるよう交互に積層接着した板である。狂い、反り、割れ等が起こりにくく強度も安定しており、また、製材品では製造が困難な大きな面材が生産できることから、住宅の壁・床・屋根の下地材やフロア台板、コンクリート型枠かたわく等、多様な用途に利用される。

普通合板(*160)の生産量は、平成30(2018)年には前年比0.3%増の330万m3であった。このうち、針葉樹合板は全体の96%を占める315万m3となっている。また、厚さ12mm以上の合板の生産量は全体の84%を占める277万m3となっている(*161)。また、平成30(2018)年におけるLVLの生産量は18万m3となっている(*162)。

用途別にみると、普通合板のうち、構造用合板(*163)が288万m3、コンクリート型枠かたわく用合板が5万m3等となっており、構造用合板が大部分を占めている(*164)。フロア台板用合板については、技術開発の進展や主要な供給元である南洋材合板の供給不安や価格の高騰により、国産材針葉樹合板の需要が増えている。コンクリート型枠かたわく用合板では、輸入製品が大きなシェアを占めており(*165)、この分野における国産材利用の拡大が課題となっている。


(*160)表面加工を施さない合板。用途は、コンクリート型枠用、建築(構造)用、足場板用・パレット用、難燃・防炎用等。

(*161)農林水産省「平成30年木材需給報告書」

(*162)農林水産省「平成30年木材需給報告書」

(*163)合板のうち、建築物等の構造として利用されるもの。

(*164)農林水産省「平成30年木材需給報告書」

(*165)日本複合・防音床材工業会、日本合板検査会調べ。



(国産材を利用した合板生産が増加)

かつて、国内で生産される合板の原料のほとんどは南洋材であったが、輸出国における丸太輸出規制等の影響により北洋材へと転換した。その後ロシアによる丸太に対する輸出税率の引上げ等の影響もあり、スギ、ヒノキ、カラマツを中心とする国産材針葉樹に転換する動きが急速に進んだ。

平成30(2018)年における合板製造業への素材供給量は前年比6%増の529万m3(*166)であったが、このうち国内生産における国産材の割合は前年比9%増の449万m3(85%)、輸入材は前年比10%減の80万m3(15%)となっている(資料3-43)。国産材のうち、スギは64%、カラマツは18%、ヒノキは8%、アカマツ・クロマツは4%、エゾマツ・トドマツは5%で、輸入材のうち、米材べいざいは66%、南洋材は17%、北洋材は15%となっている(*167)。


一方、輸入製品を含む合板用材の需要量全体をみると、平成30(2018)年の需要量1,100万m3のうち、国産材丸太は449万m3(合板用材全体に占める割合は41%)、輸入丸太は80万m3(同7%)、輸入製品は572万m3(同52%)となっている。輸入製品の主な輸入先国(及び輸入量(丸太換算値))は、マレーシア(176万m3)、インドネシア(168万m3)、中国(148万m3)等となっている(資料3-44)。


(*166)LVL分を含む。

(*167)農林水産省「平成30年木材需給報告書」。LVL分を含む。



(合単板工場は減少、大規模化の傾向)

我が国の合単板工場数は、平成30(2018)年末時点で、前年より1工場減の180工場となっている。このうち、単板のみを生産する工場が10工場、普通合板のみが33工場、特殊合板(*168)のみが136工場、普通合板と特殊合板の両方を生産する工場が1工場となっている。

平成28(2016)年の販売金額規模別の合単板工場数をみると、5年前の平成23(2011)年と比べて、20億円未満の工場が約2割減の130工場であるのに対して、20億円以上の工場は約2割増の53工場となっており、大規模化の傾向がみられる(*169)。

また、平成30(2018)年末におけるLVL工場は11工場となっている(*170)。

かつて合単板工場の多くは原料丸太の輸入材依存により沿岸部に設置されてきたが、国産材への原料転換に伴い国内森林資源に近接する内陸部に設置される動きがみられる。


(*168)普通合板の表面に美観、強化を目的とする薄板の張り付け、オーバーレイ、プリント、塗装等の加工を施した合板。

(*169)農林水産省「平成28年木材流通構造調査報告書」

(*170)農林水産省「平成30年木材需給報告書」



(合板以外のボード類の動向)

木質ボードにはパーティクルボード(削片板)、ファイバーボード(繊維板)等がある。

パーティクルボードは、細かく切削した木材に接着剤を添加して熱圧した板製品である。遮音性、断熱性及び加工性に優れることから、家具や建築用に利用されている。平成30(2018)年におけるパーティクルボードの生産量は前年比2%減の107万m3(*171)、輸入量は同程度の26万m3(*172)となっている。

ファイバーボードは密度によって種類があり、密度の高い高密度繊維板(ハードボード)は建築、梱包、自動車内装等に、中密度繊維板(MDF(*173))は建築、家具・木工、住設機器等に、密度の低い低密度繊維板(インシュレーションボード)は畳床等に利用される。平成30(2018)年におけるファイバーボードの生産量は、前年比2%減の77万m3となっている(*174)。


(*171)経済産業省「平成30年経済産業省生産動態統計年報 資源・窯業・建材統計編」

(*172)財務省「貿易統計」

(*173)「Medium Density Fiberboard」の略。

(*174)経済産業省「平成30年経済産業省生産動態統計年報 資源・窯業・建材統計編」



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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