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林野庁

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第1部 特集2 第2節 林業・木材産業における対応(3)

(3)今後の対応に向けて

新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会に大きな影響が及んだ。林業・木材産業においても住宅等の木材需要の減少により、製材・合板工場等の生産縮小、原木の入荷制限が行われ、これらにより木材価格の低下や生産調整が行われるなど、大きな影響が及んだ。

林業経営体への影響を調べるため、全国森林組合連合会は、令和2(2020)年11月に「緑の雇用」事業に取り組む林業経営体に対して調査を行った(有効回答数787社)(*14)。これによると、令和2(2020)年1月以降の売上(事業収入)が前年よりも「減少」したとする経営体は全体の約7割に及び、中でも「50%以上減少」したとする経営体は約3割と、多くの経営体で売上が減少している。

しかし、新型コロナウイルス感染症の雇用への影響に関して、98%の経営体(773社)が「労働者の解雇や雇い止めを行っていない」と回答しており、工夫しながら雇用を維持している状況がうかがえる。25%の経営体が持続化給付金を、6%の経営体が雇用調整助成金を活用するなど、国の給付金・助成金が事業・雇用の維持に役立てられた。また、国や都道府県等の支援により、原木生産を伴わない保育間伐、造林、下刈り等へのシフトを行ったことも影響を小さくしたと考えられる。

この素材生産量の減少は木材価格の維持には効果を発揮した一方で、令和2(2020)年後半には、一部地域で需給が逼迫する状況もみられた。

一方、木材産業関連事業者においても、木材需要の動向が不透明なことから、減産を実施するなど生産活動の縮小がみられたが、各種支援策の活用や勤務シフトの変更等により、雇用を維持しながら事業活動を継続しており、雇止めや倒産は一部にとどまっている。

新型コロナウイルス感染症は収束しておらず、この影響による新設住宅着工戸数の落ち込みは2年程度続くとの予測もある(*15)。米国の住宅需要の増加やコンテナ不足の影響等もある中で、世界の木材需給や流通の先行きは不透明である。民間事業者は、今後もそれらの動向を見ながら生産を行うなどの対応が必要である。また、国は、今後も各地域の状況を注視し、都道府県とも連携しながら地域の状況に応じた必要な対応を行っていくこととしている。


(*14)968社を対象とし、令和2(2020)年11月9日~11月24日にメールで実施し、有効回答数は787社(81%)。

(*15)野村総合研究所(2020)2040年の住宅市場と課題~長期的展望と新型コロナウイルスによる短期的影響の分析~:12.


挿絵2

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