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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(3)

(3)木材価格の動向

(国産材素材価格はスギ、ヒノキでやや下落)

国産材の素材(丸太)価格(*32)の推移を、国内企業物価指数(*33)(総平均、平成27(2015)年基準)と比較してみると、素材価格は昭和55(1980)年までは物価全体と同様に上昇した。その後、国内企業物価指数は緩やかに低下した後、この20年ほどは物価全体が横ばいで推移する中、素材価格は下落傾向が続き、近年はほぼ横ばい又はやや高まりをみせて推移してきた(資料3-12)。

令和2(2020)年は、年明け以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う木材需要の減退により、丸太輸出の停滞や原木の滞留が生じ、スギ、ヒノキの素材価格が低下したが、その後の令和2年7月豪雨による影響や、素材生産者の原木生産を伴わない森林作業への移行等を受け、出材量が減少したため回復傾向となった(*34)。令和2(2020)年の素材価格の平均は、スギは12,700円/m3(前年比800円/m3安)、ヒノキは17,200円/m3(前年比900円/m3安)、カラマツは12,500円/m3(前年比100円/m3高)となった(資料3-12)。


輸入丸太の価格は、為替レートや生産国の動向等により、大きく変動する。米材べいざい(*35)丸太の価格は、原油価格の上昇や円安の影響により、平成17(2005)年頃から上昇していたが、その後、リーマンショック及び為替変動等の影響を受けて下落と上昇を繰り返した。べいマツ(*36)丸太の価格は、平成30(2018)年に高騰した後、下落基調で推移し、令和2(2020)年には年内に増減があったものの、年平均としては21,000円/m3(前年比4,600円/m3安)と下落した(*37)。


(*32)製材工場着の価格。

(*33)企業物価指数は、日本銀行が作成している物価指数で、企業間で取引される財を対象として、商品(財)の価格を継続的に調査し、現時点の価格を、基準時点の価格を100として、指数化したもの。国内企業物価指数は国内で生産した国内需要家向けの財を対象とした物価指数で、国内市場における財の価格や需要の動向を把握できるほか、名目金額から価格要因を除去して実質値を算出する際のデフレーターとしての機能も有している。

(*34)令和2(2020)年の木材価格の動向については、特集2第1節(2)56-57ページを参照。

(*35)米国及びカナダから輸入される木材で、主要樹種は米マツである。

(*36)ダグラス・ファー(マツ科トガサワラ属)の通称。

(*37)令和元(2019)年の米マツ丸太の価格については、4月から一部の調査対象が変更となった。



(国産材の製材品価格はほぼ横ばい)

令和2(2020)年の国産材の製材品価格(*38)は、スギ正角しょうかく(*39)(乾燥材)は66,700円/m3(前年同)、ヒノキ正角しょうかく(乾燥材)で85,500円/m3(前年比400円/m3安)となった。

針葉樹合板の価格は、為替変動等により平成20(2008)年から平成21(2009)年にかけて下落したが、その後は上昇傾向に転じた。平成29(2017)年以降はほぼ横ばいで推移し、令和2(2020)年の針葉樹合板の価格は1,250円/枚(前年比40円/枚安)であった(資料3-13)。


(*38)木材市売市場における競り又は入札による取引価格、木材センター及び木材販売業者における店頭渡し販売価格。

(*39)横断面が正方形である製材。



(国産木材チップ価格はやや上昇)

国産の木材チップ(紙・パルプ用)の価格は、平成19(2007)年から平成21(2009)年にかけて、製材工場からのチップ原料の供給減少等により顕著な上昇傾向にあったが、平成22(2010)年以降は、チップ生産量の増加等により下落した。その後、平成26(2014)年以降は上昇傾向にあり、令和2(2020)年の国産針葉樹チップの価格は14,800円/トン(前年比300円/トン高)、国産広葉樹チップの価格は19,400円/トン(前年比300円/トン高)であった。国産の木材チップ(紙・パルプ用)の価格が上昇傾向にある要因として、木質バイオマス発電施設等が各地で稼動し、木材チップ全体の需要が増加していることが考えられる。

また、輸入された木材チップの価格は、リーマンショック及び為替変動等の影響を受けて下落と上昇を繰り返しながら、長期的には上昇傾向にあったが、令和2(2020)年は下落し、輸入針葉樹チップの価格は20,800円/トン(前年比1,900円/トン安)、輸入広葉樹チップの価格は19,600円/トン(前年比1,600円/トン安)であった(資料3-14)。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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