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林野庁

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第1部 第1章 第2節 林業経営体の動向(2)


(2)民間事業体の現状

(民間事業体の経営)

民間事業体は素材生産や森林整備等の施業を請け負うほか、森林所有者等に働き掛け、施業の集約化や経営の受託等に取り組む者も存在するなど、地域の森林管理に大きな役割を果たしている。

「農林業センサス」によると、民間事業体は、平成22(2010)年には2,534経営体であったのが、平成27(2015)年には2,456経営体となっている。他方、民間事業体による素材生産量は、平成22(2010)年の640万m3から平成27(2015)年には826万m3に増加している。素材生産を行った民間事業体の事業規模は、約6,300m3/年であるが、1万m3以上の素材生産を行う経営体数が、平成22(2010)年から平成27(2015)年にかけて178経営体から251経営体に増加するなど経営規模が拡大している状況がみられる。資金面においても、独立行政法人農林漁業信用基金による信用保証の実績が、平成24(2012)年度からの5年間で約1割増加するなど、生産規模の拡大の動きが活発となっている。

林野庁の調査によると、素材生産を行う民間事業体では、経営規模の拡大の希望が多く、今後の経営規模に関する意向として、規模拡大したいと回答した者が約7割(*11)となっている。

一方で、民間事業体が将来にわたって安定的に事業を継続させていくためには、経営を引き継いでいく後継者の確保も重要な課題(*12)となる。


(*11)素材生産を行う民間事業体の今後の経営規模に関する意向については、「平成29年度森林及び林業の動向」17ページを参照。

(*12)経済産業省「2014中小企業白書」(246-294ページ)によると、中小企業にとって、後継者対策は大きな課題として紹介されている。



(民間事業体の生産性)

民間事業体にはいまだ中小規模な者が多く、経営者が林業経営に従事している日数が年間30日未満である者の割合も約2割となっている。一方で、独自に安全や再造林に関するガイドラインを作成し、循環可能な林業の実現に取り組む者もいるなど、民間事業体によって取組には幅がある。

こうした中、受託又は立木買いにより素材生産を行った林業経営体の労働生産性は5年前と比べて18%上昇している(*13)。このうち、民間事業体について素材生産規模別にみると、年間の素材生産量が1,000m3未満の者と比べて、10,000m3以上の者では10倍以上生産性が高くなっている(資料1-4)。この要因としては、規模が大きい民間事業体では機械化が進んでいることなどが考えられる。更なる生産性の向上のためには、森林経営の集積・集約化や路網整備を進めるほか、比較的大規模な民間事業体が導入している高性能林業機械等を活用した効率的な作業システムの普及等に取り組んでいくことが必要となってくる。

また、生産された原木をまとめて、直送等により木材加工工場へと安定的・効率的な供給をより一層推進していくことも課題となっている。


(*13)詳しくは第3章(114ページ)を参照。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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