このページの本文へ移動

林野庁

メニュー


第1部 第 IV 章 第2節 木材産業の動向(4)

(4)合板製造業

(合板生産のほとんどは針葉樹構造用合板)

合板は、木材を薄く剥いた単板を3枚以上、繊維方向が直角になるよう交互に積層接着した板である。狂い、反り、割れ等が起こりにくく強度も安定しており、また、製材品では製造が困難な大きな面材が生産できることから、住宅の壁・床・屋根の下地材やフロア台板、コンクリート型枠(かたわく)等、多様な用途に利用される。

普通合板(*101)の生産量は、平成28(2016)年には前年比11%増の306万m3であった。このうち、針葉樹合板は全体の94%を占める289万m3となっている。また、厚さ12mm以上の合板の生産量は全体の85%を占める260万m3となっている(*102)。また、平成28(2016)年におけるLVL(*103)の製品出荷量は15万m3となっている(*104)。

用途別にみると、普通合板のうち、構造用合板(*105)が280万m3、コンクリート型枠(かたわく)用合板が3万m3等となっており、構造用合板が大部分を占めている(*106)。フロア台板用合板やコンクリート型枠(かたわく)用合板等では、輸入製品が大きなシェアを占めている(*107)が、これらの分野等における国産材利用の拡大に向けた取組もみられる(事例 IV -4)。

事例 IV -4 国産材への原料転換の取組

建材メーカーの株式会社ノダは、富士川(ふじかわ)工場(静岡県富士(ふじ)市)において、国産材合板を生産している。同工場では、構造用合板に加え、従来、南洋材合板が多くを占めていたフロア台板を国産材から生産しているほか、地域材を活用した型枠(かたわく)用塗装合板等の受注生産も行っている。同社では、工場稼動に先立つ平成25(2013)年に静岡県森林組合連合会及び静岡県民間素材生産事業者協議会との間に「原木の安定取引のための協定」を締結するなど、素材の安定供給・安定消費に取り組むとともに、高付加価値製品の開発と販売等を通じて、収益を森林所有者や林業者に還元できる仕組みの構築に取り組んでいる。

梱包用製材メーカーの株式会社オービス(広島県福山(ふくやま)市)は、主要な原料としていた輸入丸太(ニュージーランド産ラジアータパイン)の調達価格が、中国の需要圧の増加等により上昇したことから、スギ丸太への原料転換に取り組んでいる。平成30(2018)年初夏に竣(しゅん)工予定の新工場においては、需給バランスに応じてスギ丸太の消費量を増やしていくことを見込んでいる。

このような取組により、国産材の需要や国産材利用への評価が定着し、今後も多様な木材製品において国産材の利用が進んでいくことが期待される。


資料:木材建材ウイクリーNo.2122(平成29(2017)年8月7日)、木材建材ウイクリーNo.2135(平成29(2017)年11月13日)、木材情報2017年3月号

国産材原木を加工する株式会社ノダ富士川工場
国産材原木を加工する
株式会社ノダ富士川工場
株式会社オービスの製材したスギ梱包材
株式会社オービスの
製材したスギ梱包材

(*101)表面加工を施さない合板。用途は、コンクリート型枠用、建築(構造)用、足場板用・パレット用、難燃・防炎用等。

(*102)農林水産省「木材統計」

(*103)「Laminated veneer lumber」の略で、木材を薄く剥いた単板を3枚以上、繊維方向が平行になるよう積層接着した製品のこと。

(*104)農林水産省「平成28年木材流通構造調査」

(*105)合板のうち、建築物等の構造として利用されるもの。

(*106)農林水産省「木材統計」

(*107)日本複合・防音床材工業会、日本合板検査会調べ。



(国産材を利用した合板生産が増加)

かつて、国内で生産される合板の原料のほとんどは、東南アジアから輸入された広葉樹材(南洋材(*108))であった。昭和60年代からは、インドネシアによる丸太輸出禁止等の影響により、製品形態での輸入が増加するとともに、国内の合板メーカーは原料となる丸太についてロシア材を中心とする針葉樹材(北洋材(*109))へと転換を進めた。平成12(2000)年以降は、間伐材等の国産材に対応した合板製造技術の開発が進められたことに加え、厚物合板の用途の確立や、「新流通・加工システム」等による合板用材の供給・加工体制の整備が進んだことにより、ロシアによる丸太輸出税の引上げを契機として、合板原料をスギやカラマツを中心とする国産材針葉樹に転換する動きが急速に進んだことから、国内生産における国産材の割合は平成28(2016)年には80%まで上昇した。

平成28(2016)年における合板製造業への素材供給量は前年比9%増の487万m3(*110)であったが、このうち国産材は前年比10%増の388万m3(80%)、輸入材は前年比8%増の100万m3(20%)となっている(資料 IV -26)。国産材のうち、スギは62%、カラマツは22%、ヒノキは7%、アカマツ・クロマツは5%、エゾマツ・トドマツは4%で、輸入材のうち、米材は61%、南洋材は19%、北洋材は16%となっている(*111)。

一方、輸入製品を含む合板用材の需要量全体をみると、平成28(2016)年の需要量1,025万m3のうち、国産材は388万m3(合板用材全体に占める割合は38%)、輸入丸太は100万m3(同10%)、輸入製品は538万m3(同52%)となっている(資料 IV -26)。輸入製品の主な輸入先国(及び輸入量(丸太換算値))は、マレーシア(178万m3)、インドネシア(156万m3)、中国(143万m3)等となっている(資料 IV -27)。


(*108)ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア等の南方地域から輸入される木材。

(*109)ロシアから輸入される木材。

(*110)LVL分を含む。

(*111)農林水産省「木材統計」。LVL分を含まない。



(合単板工場は減少、大規模化の傾向)

我が国の合単板工場数は、平成28(2016)年末時点で、前年より2工場減の183工場となっている。このうち、単板のみを生産する工場が14工場、普通合板のみが30工場、特殊合板のみが137工場、普通合板と特殊合板の両方を生産する工場が2工場となっている。平成28(2016)年末における合単板工場の従業員総数は、前年比1.3%増の7,046人となっている(*112)。

平成28(2016)年の販売金額規模別の合単板工場数をみると、5年前の平成23(2011)年と比べて、20億円未満の工場が約2割減の130工場であるのに対して、20億円以上の工場は約2割増の53工場となっており、大規模化の傾向がみられる(*113)。

また、平成28(2016)年末におけるLVL工場は13工場となっている(*114)。

かつて合単板工場の多くは原料丸太の輸入材依存により沿岸部に設置されてきたが、国産材への原料転換に伴い国内森林資源に近接する内陸部に設置される動きがみられる。


(*112)農林水産省「木材統計」

(*113)農林水産省「木材流通構造調査」

(*114)農林水産省「平成28年木材流通構造調査」



(合板以外のボード類の動向)

合板と同様の用途に用いられる木質ボードとして、パーティクルボード(削片板)、ファイバーボード(繊維板)等がある。

パーティクルボードは、細かく切削した木材に接着剤を添加して熱圧した板製品である。遮音性、断熱性、加工性に優れることから、家具や建築用に利用されている。平成28(2016)年におけるパーティクルボードの生産量は前年比2%増の109万m3(*115)、輸入量は前年比3%増の25万m3となっている(*116)。

ファイバーボードは密度によって種類があり、密度の高い高密度繊維板(ハードボード)は建築、梱包、自動車内装等に、中密度繊維板(MDF(*117))は建築、家具・木工、住設機器等に、密度の低い低密度繊維板(インシュレーションボード)は畳床等に利用される。平成28(2016)年におけるファイバーボードの生産量は前年比2%増の80万m3となっている(*118)。


(*115)経済産業省「平成28年経済産業省生産動態統計年報 資源・窯業・建材統計編」

(*116)財務省「貿易統計」

(*117)「Medium density fiberboard」の略。

(*118)経済産業省「平成28年経済産業省生産動態統計年報 資源・窯業・建材統計編」




お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219