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林野庁

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第1部 第 IV 章 第2節 木材産業の動向(3)

(3)集成材製造業

(集成材における国産材の利用量は徐々に増加)

集成材は、一定の寸法に加工されたひき板(ラミナ)を複数、繊維方向が平行になるよう集成接着した木材製品である。集成材は、狂い、反り、割れ等が起こりにくく強度も安定していることから、プレカット材の普及を背景に住宅の柱、梁(はり)及び土台にも利用が広がっている。また、集成接着することで製材品では製造が困難な大断面・長尺材や湾曲した形状の用材も生産できる。近年は耐火集成材等の木質耐火部材も開発されている(*94)。

国内での集成材の生産量は、平成18(2006)年に168万m3でピークに達した後、減少傾向で推移したが、平成22(2010)年以降は住宅着工戸数の回復等を受けて増加傾向に転じ、平成25年のピークなど住宅着工戸数とおおむね同様の増減を経ており、平成28(2016)年は前年比4%増の155万m3であった(資料 IV -25)。同年に国内で生産された集成材の原料をみると、国産材が24%、欧州材が66%、米材(べいざい)が9%等となっている(*95)。一方で、集成材の製品輸入は、平成28(2016)年には89万m3となっている。集成材供給量243万m3のうち国産材を原料としたものの割合は、長期的には増加傾向にあるものの平成21(2009)年以降はほぼ横ばいで推移し、平成28(2016)年には供給量全体の15%(37万m3)にとどまっているが(資料 IV -25)、国産材を積極的に使用する取組もみられる(事例 IV -3)。

平成28(2016)年の国内での集成材の生産量を品目別にみると、造作(ぞうさく)用(*96)が13万m3、構造用(*97)が142万m3となっており、構造用が大部分を占めている。構造用集成材の輸入量は77万m3となっており、構造用集成材の消費量に占める輸入製品の割合は35%となっている。構造用集成材の主な輸入先国(及び輸入量)は、フィンランド(28万m3)、ルーマニア(19万m3)、オーストリア(11万m3)等となっている(*98)。

事例 IV -3 低コスト化により競争力のある国産スギ集成材を生産

製材・集成材メーカーの協和木材(きょうわもくざい)株式会社は、山形県新庄(しんじょう)市にスギ集成材を生産する新たな工場を建設し、平成29(2017)年から本格稼動させた。原木からのラミナ製材、乾燥、集成化の全加工工程を通じた低コスト化により、競争力のあるスギ集成材の生産に取り組んでいる。

同工場では、10.5cm角のスギ集成管柱のみに品目を絞った量産体制をとっており、製材等の加工ラインを単純化しているほか、ラミナの乾燥工程においては、大型の木くず焚きボイラーで原木から剥いだ樹皮とプレーナーくずを燃焼させて乾燥機に蒸気と熱を供給している。さらに、集成化の工程においては、多雪等による根曲がりがある地域材を活用するために、欠点除去装置でラミナの反り等を検出し、適切な反り方向等の組み合わせにより接着プレスを行っている。このほか、製材段階でラミナにならないものは梱包材に加工することで、全体の歩留まりを40%程度まで向上させている。これらの効率的な欠点除去等の取組により、低コスト化のみならず品質・性能の確保も図られている。

また、同工場では、道路に隣接した管理棟の外装として1時間準耐火の国土交通大臣認定を取得している外壁用木製集成材(WOOD.ALC)を使用し、集成材の新たな用途を視覚的にアピールしている。


資料:林政ニュース第556号(平成29(2017)年5月10日)、一般社団法人日本WOOD.ALC協会ホームページ「施工事例」


生産ラインの様子
生産ラインの様子


外装に1時間準耐火の外壁用木製集成材(WOOD.ALC)を使用した管理棟
外装に1時間準耐火の
外壁用木製集成材(WOOD.ALC)を
使用した管理棟

(*94)木質耐火部材の開発について詳しくは160-161ページを参照。

(*95)日本集成材工業協同組合調べ。

(*96)建築物の内装用途。

(*97)建築物の耐力部材用途。

(*98)財務省「貿易統計」



(集成材製造企業数は減少、工場は大規模化の傾向)

我が国における集成材製造企業の数は、平成28(2016)年時点で、前年より7企業減の150企業となっている(*99)。集成材製造企業数は、平成15(2003)年まで増加してきたが、近年は減少傾向にある。

一方、平成28(2016)年の販売金額規模別の集成材工場数をみると、5年前の平成23(2011)年と比べて、10億円未満の工場が約3割減の176工場であるのに対して、10億円以上の工場はほぼ倍増して79工場となっており、大規模化の傾向がみられる(*100)。


(*99)日本集成材工業協同組合調べ。

(*100)農林水産省「木材流通構造調査」




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