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第1部 第 I 章 第1節 我が国の森林管理をめぐる課題(3)

(3)我が国林業の構造的な課題

(新たな仕組みの必要性)

我が国では、小規模零細な森林所有構造に加え、材価は以前より低い水準で推移しており、森林所有者に還元される収益が減少していること等から、森林所有者の経営規模を拡大する意欲等は減退している。例えば、森林所有者のうち、保有山林面積が10ha未満の者が全体の87%を占めている(*8)が、仮に10haの森林について50年回帰で主伐・再造林を行ったとしても、1年当たりの伐採面積は0.2haにとどまる。0.2ha当たりの山元立木価格(*9)は約18万円である一方、造林及び保育にかかる費用は23万円以上(*10)と見込まれる。こうした中、平成27(2015)年に農林水産省が実施した「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」によると、経営規模を拡大したいとする森林所有者は約15%にとどまる。また、伐期に達した山林はあるが主伐を予定していない者が60%となっている(資料 I -4)。さらに、山村地域の人口減少も進み、所有者不明森林や境界不明森林の問題が顕在化している。


一方で、同調査によると、丸太(素材)生産を担う林業経営者のうち、今後の経営規模に関する意向として、規模拡大したいと回答した者が70%に上っている。しかし、そのうち約4割の者が事業を行う上での課題として、事業地の確保が困難であることを挙げている(資料 I -5)。


このように、林業経営者の多くは経営規模を拡大したいとの意向を有しているものの、現状を維持したいとの意向を有している多くの森林所有者や、所有森林において主伐、再造林、保育といった循環的な経営を行う意欲の低い森林所有者との間でミスマッチが生じている。こうしたことから、まとまった規模の林業経営を持続していくことのできる、意欲と能力のある林業経営者が十分に育たない状況(*11)である。

このため、適切な経営がなされていない森林を意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化するための新たな仕組みの構築が求められている。


(*8)農林水産省「2015年農林業センサス」

(*9)林地に立っている樹木の価格であり、最寄木材市場引渡し価格から、伐採や運賃等にかかる経費(丸太の生産費等)を控除することにより算出され、森林所有者の収入に相当する。詳しくは、第 III 章(86-87ページ)を参照。

(*10)農林水産省「平成25年度林業経営統計調査報告」(平成27(2015)年7月)による。詳しくは、第 III 章(90ページ)を参照。

(*11)現状は、「森林・林業基本計画」(平成28(2016)年5月)に掲げられた望ましい林業構造の具体例の半分の水準にとどまる。



(オーストリアの森林・林業)

オーストリアは、我が国と比較的類似した地形や森林所有規模等の条件を有しながら、欧州の林業国として自国内から盛んに丸太の生産を行い、製材品の輸出等につなげている。こうした状況と、我が国の林業をめぐる状況を比較し、新たな森林管理システムの導入により、我が国の林業が抱える課題を解決していく方策について明らかにする。

オーストリアの森林面積は387万haで森林率は46.9%、森林蓄積は12億m3であり、ha当たりの森林蓄積量は約300m3/haと充実している。これは、厳しい自然条件等によりha当たりの蓄積量に乏しい北欧に比べて多くなっており、植物の成長において恵まれた気候下にある日本に近い条件となっている。また、森林率では、北欧のスウェーデン(68.4%)、フィンランド(73.1%)等に及ばないものの、同じく中欧に位置するドイツ(32.8%)よりも高くなっており、こうした点でも高い森林率を有する日本と状況が似ている。さらに、地形的な特徴においても、ドイツの山岳地域は丘陵地帯が主体であるのに対して、オーストリアの山岳地域には急峻な地形が多く、こうした点でも日本との類似性が指摘されている(*12)。オーストリアでは、森林の総蓄積は日本の4分の1であり、2haを超える皆伐が禁止されているにもかかわらず、日本の木材供給量の約6割に相当する年間約1,800万m3の丸太を生産しており、蓄積増加量に対する木材生産量の割合が日本と比べて非常に高くなっている。また、オーストリアでは、2010年までの40年間で森林面積が約30万ha増加している(*13)。この増加については、農地への植林が要因とされており(*14)、林業の利回りの高さから、森林所有者による林業への意欲が高くなっていると考えられる。これらのことから、豊富な森林資源を有しつつも十分な活用がなされていない日本と異なり、森林資源の充実を図りつつ、その資源を十分に活用していることがうかがえる(資料 I -6)。


(*12)久保山裕史(2013)オーストリアの林業・林産業における近年の変化-日本との比較を通じて-, 森林科学, 68: 9-12.

(*13)Austrian Federal Ministry of Agriculture, Forestry, Environment and Water Management(オーストリア連邦農林環境水管理省)「Sustainable Forest Management in Austria, Austrian Forest Report 2015」

(*14)European Forest Institute Central-East and South-East European Regional Office(欧州森林機構中東欧・南東欧地域事務所)「Forest Land Ownership Change in Europe」(欧州における林地所有の変化)(2015年)



(森林の所有規模)

オーストリアは欧州の中では森林所有規模が比較的小さい。オーストリアでは保有面積が200ha未満の森林所有者が所有している森林面積の割合が48%、50ha未満の割合が33%であるのに対し、例えば、近隣の林業国であるドイツではそれぞれ200ha未満が24%、50ha未満が13%となっている。

一方で、日本では、50ha未満の森林所有者が所有している森林面積の割合が71%と、オーストリア以上に小さな森林所有規模となっている。なお、オーストリアでは森林面積の81%が私有林(*15)、3%が公有林(*16)、16%が国有林となっており(*17)、私有林における施業の集約化を進めることが効率的な林業を進めるためには重要となっている。このため、オーストリアにおいて行われている施業の集約化の取組が我が国の参考になるものと考えられる(資料 I -7)。


(*15)共有林を含む。

(*16)州有林と市町村有林から成る。

(*17)European Forest Institute Central-East and South-East European Regional Office(欧州森林機構中東欧・南東欧地域事務所)「Forest Land Ownership Change in Europe」(欧州における林地所有の変化)(2015年)



(林業経営の集積・集約化)

オーストリアでは、農業を営む者と森林所有者を主な構成員とした農業会議所(*18)が組織されている。農業会議所は、オーストリア連邦の州ごとの法律によって組織されており、一定面積以上の森林所有者は加盟が義務付けられている。同国においては、大規模な森林所有者と比較すると、中小規模の森林所有者は、所有している森林の大きさの割に、生産する丸太の量が少なかった。一方で、同国では歴史的に、中小規模の森林所有者で自伐を行うものが一定程度存在している(*19)。こうしたことから、(ア)自伐を行わない森林所有者についてはまとまった事業量を確保して素材生産業者に請負に出すこと、(イ)そこで生産される材や自伐を行う森林所有者から生産される丸太の運搬をまとめて運材業者に依頼すること、(ウ)生産される丸太をまとまった量で製材工場等に納入することといった取りまとめを行うことが必要であった。森林所有者の依頼を受けて素材生産業者への請負や運材業者のコーディネートを行う者として、1970年代から地区の農業会議所が主導してWWG(*20)(林業組合)を組織する動きが起こるとともに、丸太の共同納入のコーディネートを行うWV(*21)(林業組合連合会)の立ち上げが進められた(*22)。このように、事業量を確保したり丸太の共同販売を行ったりする取組が、公的に位置付けられた農業会議所の下で推進されてきたこととなる。日本においても、これまで森林組合系統を中心に林業経営の集積・集約化の取組が進められてきたところであるが、オーストリアよりも森林所有規模が小さく、山元への収益の還元が十分にはなされておらず、森林所有者の経営規模を拡大する意欲等が低いといった、より厳しい条件を有する日本における仕組みづくりが求められている。


(*18)Landwirtschaftskammerの訳。

(*19)久保山裕史、堀靖人、石崎涼子(2012)オーストリアにおける丸太の生産・流通構造の変化について―シュタイヤーマルク州の小中規模林家を中心として―, 林業経済研究, Vol.58(1): 37-47.

(*20)Waldwirtschaftsgemeinschaftの略。

(*21)Waldverbandの略。

(*22)岡裕泰、石崎涼子編著(2015)森林経営をめぐる組織イノベーション-諸外国の動きと日本-, 広報ブレイス: 99-125.



(森林・林業へのフォレスターの関わり)

オーストリアのフォレスター制度は連邦の制度であり、フォレスターは、大学等の卒業及び国家試験合格といった条件を満たした上で、林業に関する行政機関でインターンを終えた者に与えられる国家資格である(*23)。同国では、一定以上の森林を経営する場合には、フォレスターの有資格者を配置することが必要とされている(*24)。このため、これらのフォレスターは、連邦政府や州政府のほか、農業会議所やWWG(林業組合)、WV(林業組合連合会)、一定以上の大規模な森林を所有する経営体や大規模製材工場等に就職し、専門的な知見を持って森林の経営管理や林業経営の集積・集約化、大量の木材調達等の実務に関わっている。

日本においても、「森林総合監理士(フォレスター)」や「森林施業プランナー」の育成を進めているところであり(*25)、これらの者がこうした役割を果たすことが求められている。


(*23)林野庁「平成24年度日本型フォレスター育成調査・研修改良事業のうちフォレスター育成調査事業報告書」(平成25(2013)年3月)

(*24)相川高信、柿澤宏昭(2015)先進諸国におけるフォレスターの育成及び資格制度の現状と近年の変化の方向,林業経済研究,Vol.61 No.1: 96-107.

(*25)「森林総合監理士(フォレスター)」ついて詳しくは、第 II 章(53-55ページ)を、「森林施業プランナー」ついて詳しくは、第 III 章(94-95ページ)を参照。



(丸太需要の高まりへの対応)

オーストリアでは、製材技術の革新により世界に先駆けて製材工場の大規模化が進み、現在では、丸太(原木)消費量が年間50万m3を超える規模の大型製材工場が各地に出現している(*26)(日本最大の製材工場でも丸太消費量は40万m3程度)。また、こうした工場で生産された製材は、人口が少なく内需に乏しい同国以外の市場に向けて盛んに輸出されるようになり、製材の輸出量は2016年には世界第7位の544万m3となっている(*27)。こうした状況を背景に、丸太需要が大幅に増加し、針葉樹丸太生産量は、1970年代までの1,000万m3程度から、2010年代には2,000万m3弱へとほぼ倍増している(*28)。丸太需要の大幅な増加に、中小規模の森林所有者からの丸太の供給量を増加させることで対応してきたのである。

日本においても、丸太の消費量が20万m3を超える大型製材工場が各地で現れ(*29)、国産材の需要は増加を続けており、今後一層、丸太の供給体制を整えていく必要がある。


(*26)例えば、Stora Enso社やMayr-Melnhof Holz社が同国内に大規模な製材工場を設置していることが知られている。

(*27)FAO「FAOSTAT」(平成29(2017)年12月1日現在有効なもの)。詳細な数値等については、第 IV 章(125ページ)を参照。

(*28)FAO「FAOSTAT」

(*29)国内の大型製材工場の設置状況については、第 IV 章(146ページ)を参照。



(効率的な林業のための条件整備)

日本は、路網の整備や高性能林業機械の導入等についても欧州の主な林業国と比べて遅れており、こうした状況も森林資源が十分に活用されない原因の一つとなっている。

オーストリアではこれまで林道整備が積極的に進められてきており、林道密度(森林1ha当たりの林道延長)は45m/ha(*30)と、日本の15m/ha(*31)の約3倍を実現している。その要因の一つとして、オーストリアと日本は共に急峻な地形を有しているが、日本では多種多様な地質が分布し、小尾根や沢が多い複雑な地形であるのに対し、オーストリアでは地質が安定しており、小尾根や沢は比較的少ないといった差異がある(*32)。

林道の整備状況の違いは、林業生産性の違いにも現れている。オーストリアでは、日本よりも大きな林業機械を導入することが可能であり、労働者1人が1日で生産する丸太の量は、ハーベスタ(*33)とフォワーダ(*34)を使用すると30~60m3/人日、チェーンソーとタワーヤーダ(*35)、スキッダ(*36)等を使用した場合でも7~43m3/人日といった高い生産性を有している(*37)。日本では、これまで徐々に生産性を向上させているものの、平成27(2015)年においても、主伐で約7m3/人日、間伐で約4m3/人日といった生産性である(*38)。

また、オーストリアのヨーロッパトウヒ(*39)を主体とした森林では天然更新が主である(*40)のに対し、日本の人工林の主要樹種はスギ、ヒノキ等であり、植栽を前提としている。

こうしたことから、日本の地形・地質に応じた林道の整備や、林業機械とそれに応じた効率的な作業システムの導入、低コスト造林に資する「伐採と造林の一貫作業システム(*41)」の導入といった、効率的な林業のための条件整備や作業方法の導入を進める必要がある(*42)。


(*30)Austrian Federal Ministry of Agriculture, Forestry, Environment and Water Management(オーストリア連邦農林環境水管理省)「Österreichische Waldinventur 1992/96」(オーストリア森林インベントリー1992/96) による生産林の数値。なお、これ以降に同国で実施された森林インベントリーでは、同国の路網密度は掲載されていない。

(*31)林野庁業務資料。「公道等」、「林道」及び「主として木材輸送トラックが走行する作業道」の現況延長の合計を全国の森林面積で除した数値。

(*32)オーストリアの森林の多くが所在するアルプス山脈は、氷河期に発達した氷河によって土壌が削られたため、このような地形や地質になったと考えられている。

(*33)立木を伐倒し、枝を除去し、長さを測定して切断し、切断した木材を集積する作業を連続して行う機能を備えた車両。

(*34)木材をつかんで持ち上げ、荷台に搭載して運搬する機能を備えた車両。

(*35)台車にワイヤーロープを巻き取るドラムと架線の支柱となるタワーを装備し、伐倒した木材を架線により吊り上げ、移動させる機能を備えた機械。トラック等の荷台に搭載して自走するものや牽引されて移動するものがある。

(*36)木材の一端を吊り上げて牽引し集積する機能を備えた機械。

(*37)林野庁「諸外国における森林の小規模分散構造に対応した林業経営システムに関する調査」(平成20(2008)年3月)

(*38)林野庁業務資料。主伐、間伐いずれも全樹種の平均である。

(*39)ヨーロッパトウヒ(Picea abies)の製材は、ホワイトウッドの名称で知られ、我が国を始め世界各国に欧州から輸出されている。

(*40)FAOの「Global Forest Resources Assessment 2015」(世界森林資源評価2015)のオーストリア国別報告書のTable 1bによると、同国の2015年の再造林面積は75.7千ha/年であった一方、このうち人工造林によるものは3.6千ha/年にとどまっている。また、同報告書では、再造林に占める天然更新の割合が増加してきていることが記載されている。

(*41)伐採と造林の一貫作業システムについては、第 III 章(100ページ)を参照。

(*42)林業の生産性の向上に向けた取組については、第 III 章(93-101ページ)を参照。



(丸太価格に占めるコスト)

オーストリアと日本における、林業経営の集積・集約化や効率的な林業のための条件整備の状況の違いは、丸太価格に占めるコストの差としても現れている(資料 I -8)。両国の丸太価格に占めるコストを比較すると、オーストリアでは伐出コスト及び運材コストが低くなっており、日本では森林所有者に支払われる立木価格が低く抑えられることによって、伐出及び運材のコスト差を埋めているようにもみえる。林業経営を効率化させ、伐出コスト、運材コストを下げることができれば、立木価格を上昇させることにもなり、森林所有者に収益を還元することで再造林を促し、循環的な林業や山村地域の活性化につなげることができる。

また、流通コストについても、日本ではオーストリアに比べて非常に大きくなっている。素材生産業者と製材業者の間の直接的な取引等の促進により丸太流通の効率化を図り、流通コストを削減することも課題となってくる。

資料I-8 丸太価格におけるコスト比較

(オーストリアの林業から学ぶべき点)

オーストリアと日本は共に森林率が大きい森林国であり、オーストリアでは森林資源の成熟とその活用が、日本より一足早く進んできたことがうかがえる。オーストリアでは、製材業の技術革新等により、丸太の需要量が大幅に増え、それに対して丸太の供給量を伸ばしてきたが、中小規模の森林所有者からの丸太生産を促すべく、農業会議所といった公的な組織の関与の下に、WWG(林業組合)、WV(林業組合連合会)といった組織がつくられ、丸太生産の集約化や運材・丸太販売の共同化が進められるのと同時に、生産性の向上も図られてきた。これらの取組を通じ、より森林所有規模が大きく、より平坦な地形で大型の高性能林業機械の導入が進められているスウェーデンやフィンランドといった北欧諸国と同等の国際競争力を、製材輸出市場において有していると考えられる。

我が国の主要な人工林の構成樹種はスギ(448万ha(44%)、約17億5千万m3(58%))、ヒノキ(260万ha(25%)、約6億7千万m3(22%))(*43)となっており、オーストリアはヨーロッパトウヒ(173万ha(52%)、約6億7千万m3(59%))、ヨーロッパブナ(34万ha(10%)、約1億1千万m3(9%))(*44)となっている。スギとヨーロッパトウヒのha当たり蓄積は共に約390m3/haであり、ほとんど差はない状況である。このことは、我が国の人工林資源の充実がオーストリアとほぼ同様の水準に達してきていることを示しており、こうした資源を有効活用し、オーストリア等の欧州の林業国とも競い合うスタートラインに立っているといえる状況にある。

しかし、日本では、森林所有者の多くは主伐の予定がない状況にあり、伐採が行われる場合でも主に個々の森林所有者や素材生産業者側の都合が優先され、かつ、小規模・分散であるため需要者に対して安定的に供給できるような状況になく、これが国産材の最大の課題と言われてきた。また、このようにスポット的な供給しかなされなければ、丸太の供給側が価格決定力を有することもできないこと等から、国産材は価格面でも伸び悩んでいる状況にある。

こうした課題を解決するためには、森林所有者の経営意思のみに任せるのではなく、林業の現場に近い存在である公的な主体が関わって、森林の経営管理の集積・集約化を実現する新たな仕組みを構築する必要がある。具体的には、森林所有者や林業経営者に一番近い市町村の積極的な関与が必要であることが示唆される。

また、森林の経営管理の集積・集約化が進めば、その先の製材業者への丸太の流通を効率化していく取組も進めやすくなる。


(*43)林野庁「森林資源の現況」(平成24(2012)年3月31日現在)

(*44)Austrian Federal Ministry of Agriculture, Forestry, Environment and Water Management(オーストリア連邦農林環境水管理省)「Österreichische Waldinventur 2007月09日」(オーストリア森林インベントリー2007月09日)(2014年)



コラム オーストリアの自然災害と木材価格の関係

オーストリアではしばしば風水害等の自然災害が生じており、2008年には約1,000万m3を超える被害木が発生している。こうした自然災害が発生した翌年には、キクイムシの一種であるBark beetleによる被害量が伸びる傾向にあり、2008年から2009年にかけて約1.5倍の約300万m3に増加している。

こうした自然災害や虫害による被害木を処理することで、大量の丸太が供給されることとなり、連動して丸太価格は2009年には70€/m3に下落していたが、その後、自然災害が少ない2011年以降には100€/m3まで上昇している。

このように、自然災害の発生は同国の丸太価格に影響を与えており、我が国のスギ正角等と競合関係にある注同国からの輸出品の価格にも影響を与える可能性がある。

オーストリアの自然災害と木材価格の関係


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