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第1部 第 I 章 第1節 我が国の森林管理をめぐる課題(2)

(2)森林資源の充実とその利活用の状況

(我が国の森林の特徴)

我が国は、国土面積3,780万haのうち森林面積が2,508万haと約3分の2を森林が占める世界有数の森林国(*1)である。森林のうち約6割に相当する1,479万haが天然林等、約4割に相当する1,029万haが人工林となっている(資料 I -1)。

森林の蓄積は平成24(2012)年3月末現在で約49億m3となり、このうち人工林が約30億m3と約6割を占めている。森林全体の蓄積量はこの半世紀で約2.6倍になっており、特に人工林では約5.4倍にも達している(*2)。さらに、人工林の半数以上が、一般的な主伐期である10齢級以上と本格的な利用期を迎えており、2020年時点には、10齢級以上の主伐期を迎える人工林は約7割と見込まれる(*3)など、森林資源はかつてないほどに充実している。

一方で、手入れが行き届かず、国土の保全や水源の涵(かん)養、地球温暖化防止等の森林の公益的機能が十分に発揮されていない森林も見受けられる。林野庁が市町村を対象に行ったアンケート調査では、約8割の市町村が、管内の人工林(民有林)は手入れが不足していると回答している。


(*1)FAO(国際連合食糧農業機関)のGlobal Forest Resources Assessment 2015(世界森林資源評価2015)によると、2015年の世界の森林率は30.6%であり、我が国の森林率はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中では、フィンランド(73.1%)に次いで高い。世界の森林面積については、第 II 章(70-71ページ)を参照。

(*2)林野庁「森林資源の現況」(平成24(2012)年3月31日現在)、林野庁「日本の森林資源」(昭和43(1968)年4月)

(*3)「森林・林業基本計画」(平成28(2016)年5月)



(人工林資源の活用の状況)

主伐期にある人工林の直近5年間の平均成長量を推計すると、年間で約4,800万m3程度と見込むことができる。主伐による丸太の供給量は、近年増加傾向にあるものの、平成27(2015)年度でも1,679万m3である。これは、主伐期にある人工林の成長量と比較すると4割以下の水準となっており、資源の循環利用をさらに進めていくことが可能な状況となっている(資料 I -2)。また、森林全体の総成長量(約7,000万m3)(*4)と木材の供給量(2,714万m3)(*5)には更なる乖(かい)離があり、その程度は欧州の林業国と比較しても非常に大きくなっている(*6)など、一層の森林資源の活用を図ることが可能な状況である。


(*4)「森林・林業基本計画」(平成28(2016)年5月)

(*5)林野庁「平成28年木材需給表」(平成29(2017)年9月)

(*6)詳しくは18ページ(資料 I -6)を参照。



(人工林資源の循環利用)

国際社会全体の普遍的な目標として、2015年に国際連合において「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されている。この中では、開発途上国だけではなく、先進国にも共通の目標として、持続可能な森林の経営が位置付けられており、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させることが掲げられている。

我が国ではこれまで、育成段階にある人工林について間伐等の保育作業を適切に実施することが大きな課題であったが、資源構成の推移を踏まえれば、今後は、主伐と主伐後の再造林により人工林資源の循環利用を計画的に実施していく段階に入っている(*7)。

人工林が本格的な利用期を迎えた今、「伐る、使う、植える、育てる」といった森林資源の循環利用を確立させながら、多様で健全な森林の整備及び保全の推進、効率的かつ安定的な林業経営に向けた施策を推進していく必要がある。

将来、バランスのとれた齢級構成を実現するために不可欠な若齢級の森林は少なくなっている。

平成26(2014)年度を始期とする全国森林計画では、2028年度までの15年間に84万6千haの人工造林を行う計画としている。まさに今が、木材需要に応じた主伐と再造林による循環を確立することで、次世代にも充実した森林資源を継承し、林業の成長産業化を実現するとともに森林の公益的機能を持続的に発揮させていくためのターニングポイントであるといえる(資料 I -3)。


(*7)平成27(2015)年度の人工造林面積は、約2.5万ha。林野庁「森林・林業統計要覧2017」(平成29(2017)年9月)




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