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北海道森林管理局

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    各地からの便り

    若手職員における東京大学北海道演習林現地見学会(第2回)

    【後志森林管理署】


    令和6年11月19日(火曜日)、20日(水曜日)の2日間、東京大学北海道演習林(富良野市)において現地見学会が開催され、北海道森林管理局及び各森林管理署から若手職員を中心に26名が参加しました。
    なお、7月に第1回見学会が開催された際には、東大演習林で実施されている森林管理手法である「林分施業法」について知見を深めたところであり、今回は実際の素材生産(伐採及び丸太の生産)現場の見学をさせていただきました。

    第1回見学会の様子はこちらからご覧ください。

    最初に、銘木伐倒の現場を見学しました。東大演習林では、毎年1月頃に旭川で開催される銘木市に出品する優良広葉樹等を11月頃に伐採・搬出しています。
    銘木販売の候補木は、マカバ(ウダイカンバ)やセンノキ(ハリギリ)であり、特に、マカバは目玉商品であり、立方当たり数百万円の値が付くこともあります。
    ただ、東大演習林では、優良広葉樹を画一的に伐採しているわけではなく、樹勢が衰退した老大木を見極めて伐採しています。
    そうすることで、資源を持続的に利用できるだけでなく、マカバであれば心材の赤味がより強まり、丸太の価値をより高めることにもつながります。
    この優良広葉樹の情報は、タブレットに入ったGIS等で位置情報を管理していますが、日々、林内踏査をこまめに積み重ね、足で得られた情報が元となっているそうで、演習林職員の地道な努力の賜物と言えます。
    伐倒後のミズナラ大径木の伐根
    伐倒後のミズナラ大径木の伐根

    林内で伐倒した銘木は、山から下りた場所に位置する銘木土場に集積されます。
    集積された丸太の長さや太さ、品質等は、「File Maker」というアプリに一元化され、現場でもタブレット端末があればすぐ確認することができます。
    さらに、丸太にはQRコードの付いたタグも貼り付けられ、読み込めば丸太の詳細な情報をすぐ確認できるようになっています。
    なお、土場にはアイヌ丸木舟製作用としてアイヌ文化の伝承と発展を目的に供給される、カツラの大径木もありました。
    土場に集積される旭川銘木市行きの丸太
    土場に集積される旭川銘木市行きの丸太

    丸太に貼り付けられるQRコード付きのタグ
    丸太に貼り付けられるQRコード付きのタグ

    春には桜が咲き誇ることが有名な樹木園(見本林と苗畑が併設)に移動し、苗木を生産する苗畑を見学しました。エゾマツ、トドマツ、アカエゾマツを中心に、年間約2万4千本の苗木を生産しているようです。
    特徴的な取組として、エゾマツの雪腐病(ゆきぐされびょう)対策に取り組んでおり、冬囲いの設置や殺菌剤の散布、火山礫の敷布などを行い、従来難しいとされてきたエゾマツ苗木の一定規模の生産を可能としています。
    また、試験的なコンテナ苗の生産や除草剤の試験等も行っています。
    雪囲いされる育苗中の苗木
    雪囲いされる育苗中の苗木

    再び現場に戻り演習林内を水源とする本沢に設置された量水堰(りょうすいせき)を見学しました。
    量水堰は、山地から流出する河川の流水量を精密に測定しています。
    将来的には、森林施業の有無により林内からの流出量の差を明らかにすることが期待されていますが、そのためには非常に長いスパンでのモニタリングが必要とのことです。
    水文観測に不可欠な量水堰
    水文観測に不可欠な量水堰

    最後に、東大演習林職員による素材生産事業を見学しました。
    国有林では、職員が玉切りして丸太を生産することは無くなってしまいましたが、東大演習林では玉切りから椪積作業までを職員自身で行っています。
    玉切りに当たっては、丸太の価値を高めるための適切な採材や格付の技術も必要であり、定期的に素材の格付講習会に職員が参加しているそうです。
    東大演習林における厳しい丸太の格付けは、丸太の買受業者からも非常に信頼されており、「買うときは現物を見ていない」と言わせるほどだそうです。
    当日は、国有林の若手職員も採材と格付の体験をさせていただき、普段見慣れない高品質材をいかに取り扱うか、一同、苦慮している様子でした。
    演習林職員によるエゾマツ大径木の玉切り
    演習林職員によるエゾマツ大径木の玉切り

    どんな採材が丸太の価値をより高めるか検討中
    どんな採材が丸太の価値をより高めるか検討中

    2回に分けて実施された見学会ですが、国有林の森林管理手法とは異なる面も多々あり、国有林職員一同、改めて森林づくりについて考える良い機会となりました。
    東大演習林の森林管理の考え方の根底にあるものは「林分施業法」であり、しっかり根差した森林づくりの考え方があるからこそ、演習林職員の方々も自信を持ってそれぞれの業務に従事していることが印象的でした。
    引き続き、職員同士の交流や情報交換等を通じてお互いに知見を高めあうことを確認し、見学会を終了しました。
    天然林施業が行われている林分は、エゾマツ大径木と広葉樹が混交し、適度に日の光が当たっていることが印象的でした
    情報交換等の様子

    天然林施業が行われている林分は、エゾマツ大径木と広葉樹が混交し、適度に日の光が当たっていることが印象的でした。



    (森林情報管理官 堀田)

    お問合せ先

    総務企画部 企画課
    ダイヤルイン:011-622-5228

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