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北海道森林管理局

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    各地からの便り

    若手職員における東京大学北海道演習林の現地見学会(第1回)

    【北海道森林管理局】


    令和6年7月2日(火曜日)~3日(水曜日)の2日間、東京大学北海道演習林において現地見学会が開催され、北海道森林管理局、各森林管理署の若手職員を中心に29名が参加しました。
    この見学会は、東京大学北海道演習林で実施されている「林分施業法」の見学を通して天然林を主体とした林分の管理経営に関する知見を深めるとともに、東京大学演習林職員との技術的な知見の交換を含めた交流を図ることを目的に開催されました。
    演習林では、樹種や天然更新の有無などに応じて森林のタイプ分け(林種区分)が行われています。林種区分されている森林以外にも保存林として基本的には施業を行わない森林もあります。保存林は山火事跡地や施業地の比較対照地として定期的な調査も行われています。
    保存林内で倒木更新したエゾマツの様子
    保存林内で倒木更新したエゾマツの様子

    優良木については単木管理が行われています。優良木には、銘木市で販売する目的で管理する「銘木販売候補木」やウイスキー樽の原料となる「ミズナラ優良木」など4つのカテゴリーに分けられます。
    優良木の管理はタブレットのGIS(地理情報システム)上で行われており、図面上に優良木の位置が個体情報とともに保存されています。
    実際にタブレットの操作を体験させていただきましたが、非常に操作しやすく、高度な情報管理と業務量の削減が同時に達成されているように感じました。
    銘木販売候補木は、樹種に応じて枯れ具合や樹勢等から伐採適期を担当者が判断し、職員全員での会議にかけたうえで伐採するかどうかが決定されます。
    銘木販売候補木(セン)
    銘木販売候補木(ハリギリ)

    また、択伐施業を行う際には、伐採木の選木が行われます。選木は主に、林況(更新の有無、密度)と丸太としての商品価値(腐れの有無、胸高直径、現在と将来どちらの方の価値が高いか)の二つの視点から行われていました。私たちも選木を体験しましたが、普段人工林を観察するときとは異なる考え方と視点が必要な部分もあり、長い経験のある職員でも選木に苦戦している様子でした。
    選木作業の様子
    選木作業の様子

    台風等の被害によって樹冠が大きく開いてしまい、ササが侵入するなどして今後の天然更新が見込めないような場所は疎性林として区分され、更新補助作業が行われます。
    更新補助作業として、地がき、低密度植栽(トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツの混植)、下刈り、間伐が行われます。植栽する樹種については、混交林を目標林形としているため複数の樹種を混合して植えているそうです。
    また、林分の改良のために小面積皆伐・樹冠下地がきが実施されていました。国有林においても同様の実証事業を行っているため、今後成果の共有などもできればと思います。

    また、林内に張り巡らされた全長約940kmの林道が印象的でした。現在でも、トラックやダンプによる修繕や草刈りなど適確な維持管理が行われており、綿密な単木管理や択伐施業を可能にしている重要な要素の一つであるように感じました。
    また、林種区分を判断するための森林の調査や測量などにはLiDARを装備したドローンやGNSS受信機などの最新の機器も活用されています。空中写真を活用することで今までは頻繁な踏査が難しかった場所の林況ができるようになり、今まで見つけられていなかった優良木を発見できたこともあったそうです。

    調査用のドローン
    調査用のドローン

    林分施業法の数十年先をみた森林づくりと単木管理等により商品価値を最大限までに高める施業は、環境保全と経済の側面で持続的である必要がある林業にとって模範的な両輪の輪の組み合わせの一つであるように感じました。今回の見学会の中で学んだ森林づくりに対する考え方やそれを実現する森林を見る目を国有林の管理の中でも活かしていきたいと思います。
    (計画課企画係 松田)

    お問合せ先

    総務企画部 企画課
    ダイヤルイン:011-622-5228

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