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林野庁

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第3章 林業と山村(中山間地域)


1. 林業の動向

(1)林業生産の動向

➢ 2017年の林業産出額は、前年比3%増の4,859億円で、2002年以降で最も高い水準
 木材生産の占める割合は2002年以降は5割程度で推移

➢ 国産材素材生産量は、近年は増加傾向で推移し、2017年には2,141万m3
 樹種別ではスギ57%、ヒノキ13%、カラマツ11%、広葉樹10%


(2)林業経営の動向

➢ 「2015年農林業センサス」によると、林家83万戸のうち保有山林面積が10ha未満の林家が88%を占め、小規模・零細な所有構造

➢ 林家による施業は現在は保育作業が中心

➢ 2017年度税制改正により、一定の要件を満たす山林の相続税を納税猶予の対象とするなどの拡充を実施


(3)林業経営の効率化に向けた取組

施業の集約化等

➢ 効率的な作業システムにより生産性向上を図るためには、複数の所有者の森林を取りまとめ、路網整備や森林施業を一体的に実施する「施業の集約化」が必要

➢ 提案型集約化施業を担う「森林施業プランナー」の育成、森林経営計画制度の現場の状況に応じた運用等を通じて、施業の集約化を推進

➢ 2019年4月からの本格運用に向け、所有者や境界の情報等を一元的に取りまとめた林地台帳の整備を実施

➢ 地籍調査の成果との連携や森林GIS等の活用を図りつつ、境界の明確化に向けた取組を実施

➢ ICTを活用した資源情報の整備、集約化に必要な調査や合意形成等を推進

低コストで効率的な作業システムの普及

➢ 森林資源が充実した区域等において、林道、林業専用道、森林作業道をバランスよく組み合わせた路網整備を推進

➢ 高性能林業機械を活用した効率的な作業システムを普及するとともに、安全性や省力化等を目指した林業機械を開発

➢ 造林コストの縮減のため、「伐採と造林の一貫作業システム」の導入等を推進

➢ 出材する丸太の質・量の把握及び製材工場等との瞬時の情報共有や、人工知能(AI)を用いた丸太の検知など、ICTを活用した生産管理手法の開発等の取組が進展


(4)林業労働力の動向

➢ 林業従事者は減少傾向も、「緑の雇用」事業により人材確保・育成を推進

➢ 就業前の若手林業技術者の教育・研修機関を整備する動きが全国で活発化

➢ 安全な労働環境の整備に向けた対策を推進


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事例 高校生を対象に林業労働安全を学ぶ出前授業を実施

➢ 愛知県立田口高等学校林業科と岐阜県立岐阜農林高等学校森林科学科において、林野庁職員による林業労働災害や林業機械操作のシミュレーターを用いた出前授業を実施

➢ チェーンソー形コントローラーでは林業労働災害を、ハーベスタの操作シミュレーターではパソコン上で伐採・玉切り等をバーチャルリアリティで疑似体験することが可能

➢ これら2つのシミュレーターは、林業大学校や森林組合等の安全教育での活用が徐々に広がってきている


2. 特用林産物の動向

(1)きのこ類の動向

➢ 特用林産物は林業産出額の約5割を占め、地域経済の活性化や雇用の確保に貢献

➢ 特用林産物の生産額の9割近くがきのこ類で、その生産量については近年はほぼ横ばい

➢ きのこ生産者戸数は減少傾向

➢ きのこ類の消費拡大・安定供給等に向けた取組を支援

(2)その他の特用林産物の動向

➢ 木炭の生産量は長期的に減少傾向で推移

➢ 竹材(竹紙等の原料)の生産量は2011年以降増加傾向
2018年10月、林野庁は、竹の利活用についての現状、利用拡大に向けたアプローチ等について取りまとめた報告書「竹の利活用推進に向けて」を公表

➢ 国産漆の生産量は、国宝・重要文化財建造物の保存修理に原則として国産漆を使用する方針となったことを背景に、近年増加傾向で推移

➢ 薪の生産量は近年は5万m3(丸太換算)前後で推移

イメージキャラクター

事例 地理的表示(GI)による国産木炭のブランド化に向けた取組(岩手県)

GI登録した木炭製品

➢ 2018年8月、地域ならではの特徴的な産品を知的財産として保護する地理的表示(GI)保護制度に、「岩手木炭」が木炭として初の登録

➢ 登録生産者団体は(一社)岩手県木炭協会で、「岩手木炭」、「岩手切炭」、「IWATE CHARCOAL」の3名称で登録

➢ 県産原木の使用や独自に開発した窯の統一使用による作業の基準化など、木炭の品質向上と安定化を図る取組を実施

➢ 国産木炭のブランド化による普及促進に期待

3. 山村(中山間地域)の動向

(1)山村の現状

➢ その多くが中山間地域に位置する山村は、住民が林業を営む場であり、森林の多面的機能の発揮に重要な役割
林業は、雇用の確保等を通じて山村の振興に貢献しており、山村の活性化のためにも林業の成長産業化が必要

➢ 「山村振興法」に基づく振興山村は国土面積の約5割、林野面積の約6割を占めるが、過疎化・高齢化が進行し、里山林等の荒廃もみられる

➢ 一方、山村の豊富な森林・水資源、景観、文化等に対しては、都市住民から多くの関心

(2)山村の活性化

➢ 「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2018 改訂版)」等において、地方創生の基本目標達成のための施策の一つとして、林業の成長産業化が位置付けられ、森林資源の循環利用を図りつつ、成長産業化を実現することが必要

➢ 里山林等の保全管理を進めるためには、地域住民が森林資源を活用しながら持続的に里山林等と関わる仕組みが必要
地域住民による里山林の保全管理や森林資源利用等の取組を支援

➢ 都市との交流を促進するため、国有林の「レクリエーションの森」等の森林空間を観光資源として活用する「農泊」の取組や、環境教育、体験活動等の場として総合的に利用する取組を推進

➢ 最近では、森林空間を積極的に活用したメンタルヘルス対策や健康づくりの場としての、新たな森林空間利用のニーズが高まっている

➢ こうした流れを受け、多様な分野と連携し、国民の価値観やライフスタイルの変革の動きに合わせた森林空間の利活用を通じて新たな森と人との関わりを創り出す「森林サービス産業」のキックオフ・フォーラムを2019年2月に開催

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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