国見山(くにみやま)コウヤマキ等希少個体群保護林
1.概要
本保護林は、宮崎県の中央、西都市と西米良村の境界付近に位置する国見山の山頂北東側にあり、モミ、ツガ、ハイノキ、シキミ、ミヤマシキミ、アカガシ、ヒメシャラによって標徴区分される「コガクウツギ-モミ群集」が発達し、ツガ、コウヤマキ、アカガシ等が優占する暖温帯性針葉樹林となっている。山頂付近は雲霧林的であり、シノブ、セッコク等の着生植物も生育している。尾根、急傾斜地にはツガ、コウヤマキ、ヒメコマツ等針葉樹が、緩傾斜地にはアカガシ、ウラジロガシ等常緑広葉樹が生育する。また、九州では宮崎県だけに生育するコウヤマキ、ズイナ、ウワバミソウ等襲速紀要素の植物が生育し、コウヤマキは生育南限に近いとされる。
さらに、国見山周辺は、「国見山山系南東稜斜面のモミ・ツガ林」として特定植物群落にも指定されているほか、キバナノツキホトトギス等固有種も多く、ミツバツツジ類やコゴメカラマツなどこの山地で種分化したと考えられる種も多いとされ、極めて稀な植物群落として九州でも貴重な地域である。平成26年度調査時には、34科54種の維管束植物が確認されている。動物相では、ノウサギ、アカネズミ、タヌキ、イノシシ、ニホンジカ等のほか、ムササビ、ニホンカモシカの生息が確認されている。
2.目的
生育南限に近いコウヤマキのほか、ツガ、アカガシ等が生育する林分を保護するとともに、学術研究等に資する。
3.所在地
宮崎県 西都市
吹山国有林 17か、19る 林小班
4.設定年月日
平成24年3月23日、旧「国見山植物群落保護林」設定
平成30年4月1日 新保護林制度により、再編
5.面積
7.61 ha
6.関係森林管理署等
大分森林管理署
7.現況
標高:750m~1036m
傾斜:32°~47°
傾斜方位:北西~東
地質:凝結堆積物(砂岩)
土壌型:褐色森林土(BA・BC・BD(d)型)
林齢:211年(平成28年3月時点調査簿)
8.取り扱い方針
保護・管理及び利用に関する基本的な事項については、保護林設定管理要領(平成27年9月28日付け27林国経第49号)に定められた希少個体群保護林の取扱い方針に従う。また、平成26、30年度の保護林モニタリング調査結果を踏まえて取り扱うこととする。
本保護林は、平成26年度調査時から、平成30年度調査時にかけてシカ被害が継続しており、下層植生は植被率が極めて低く、貧弱で見通しが良く、森林の内部構造が破壊された段階のレベル3となっている。シカ被害は進行しつつあり、レベル4まで達する可能性がある。
平成26年度調査時には、ツガ、コウヤマキ等稚幼樹が確認されているが、平成30年度調査では後継個体の稚幼樹が確認されておらず、林冠のうっぺいとともにシカ害の影響が懸念される。
今後は、下層植生回復のため、シカの対数管理と植生保護柵の設置・拡充、後継樹育成のための天然更新の促進等必要な対策を講じていくこととする。
9.保護林位置図
お問合せ先
計画保全部計画課
担当者:生態系保全係
ダイヤルイン:096-328-3612