白髪岳(しらがだけ)生物群集保護林
1.概要
白髪岳生物群集保護林は、九州の南端に位置し、国見山(標高1,229m)、白髪岳(標高1,417m)、猪ノ子伏を結ぶ稜線部一帯は国有林となっている。林相は、標高1000m以上の箇所にあり、急傾斜地となっている。標高1,300m前後を境にモミ、ツガ、ハリギリ等を含め他種類の立木で構成された針広混交林であり、四季折々の景色を楽しむことができる。
上部は我が国の南限に近いと言われるブナ林が広がる。白髪岳山頂周辺ではノリウツギの低木林となっているほか、その他広葉樹を含む天然生林で、草本類、昆虫類にも貴重なものが多いとされる。上部付近は自然環境保全地域特別地区が指定されている。
林内
2.目的
本保護林は、モミ、ツガ広葉樹林の高齢天然林の保持を図り、併せて森林施業、管理技術の発展、学術研究等に資することを目的とする。
3.所在地
熊本県 球磨郡 あさぎり町
4.設定年月日
平成5年3月31日設定後、
平成30年4月1日変更
5.面積
379.16ha
6.関係森林管理署等
熊本南部森林管理署
7.現況
標高:1000mより上部
傾斜:急
地質:中硬砂岩
土壌型:BD・ BD(d)
林齢:115~155年生以上
8.法指定等
鳥獣保護区(特・普)、水源かん養保安林、自然環境保全地域特別地区
9.取り扱い方針
保護・管理及び利用に関する基本的な事項については、保護林設定管理要領(PDF : 328KB)(平成27年9月28日付け27林国経第49号)に定められた生物群集保護林の取扱い方針に従う。また、平成22、27、30年度の保護林モニタリング調査結果を踏まえて取り扱うこととする。
これまで、平成22、27、30年度にモニタリング調査が行われており、従前からシカ食害が甚大な地域とされている。既に植生保護柵も尾根沿いに複数設置されている。
平成27、30年度の最近の調査によれば、保護対象種の高木層の種構成に大きな変化はなく、後継個体としてモミ、ブナ、コハウチワカエデ等の稚幼樹が確認されたものの、下層植生の貧弱化、土壌の乾燥化、イワヒメワラビ等忌避植物の増加など種多様性の衰退も進行していた。特に、直近の平成30年度のシカ被害レベルは、5プロット中4プロットがレベル4、他はレベル3となって、ほぼ最高レベルに達し、森林が破壊された段階または、内部構造が破壊された段階である。低木層、下層植生の被害が顕著であり、将来の森林更新への影響が懸念される。緊急に後継樹育成が必要であり、高木構成樹種等の実生発芽を促進するための管理作業などについても対策を講じる段階にあると示された。
このため、引き続き保護林周辺のシカ捕獲(個体数管理)を行い、生息密度低下を図るとともに、下層植生等森林の植生構造の回復、土壌流亡対策について早急に検討し対策を講じる必要がある。従前の植生保護柵の補修、拡充、スズタケの回復等も併せて検討を進め、効果的な対策となるよう、実行可能な対策から実施していくこととする。
モニタリング間隔は、5年(シカ被害を考慮し、巡視等を通じて状況を確認しつつ、場合によって3年以下とすることも検討する。)
10.備考(保護林設定経過)
旧白髮岳風致 237.10ha 平成元年3月31日 えびの森林管理センター
旧白髪岳風致 95.20ha 平成元年3月31日 西諸事務所
(熊本南部森林管理署の 46.86haは追加)
平成5年3月31日設定
保護林再編後、平成30年4月1日再編
11.保護林位置図
お問合せ先
計画保全部計画課
担当者:生態系保全係
ダイヤルイン:096-328-3612