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九州森林管理局

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    大森岳(おおもりだけ)生物群集保護林

    1.概要

    当保護林は、宮崎県綾町、小林市が接する市町村界に存在し、九州中央山地最南部の大森岳の山頂周辺一帯に位置している。大森岳は、綾北川と綾南川に挟まれる格好で北西から南東方向に伸びる山塊である。林相は、海抜650m以上の稜線にかけてはアカガシ、ウラジロガシ、イスノキ、スダジイなどの照葉樹が優先する中にツガやモミなどの常緑針葉樹が混成するコガクウツギ-モミ群集が成立し、海抜650mから450m付近にかけてはイスノキ、アカガシ、ウラジロガシ、タブノキなどが優先するイスノキ-ウラジロガシ群集が見られる。海抜450mから谷部水面近くにかけての部分にはイチイガシ、タブノキ、ルリミノキなどが優先するルリミノキ-イチイガシ群集が見られるが、 この地域の急崖地のような土壌の浅い部分には海抜上部のイスノキ-ウラジロガシ群集やコガクウツギ-モミ群集が成立している。ルリミノキ-イチイガシ群集の出現種数は、45~90種と種の多様性に富んでいる。この群集は、シイ林域とカシ林域との移行域にあってシイ林と比較して空中湿度が高くシイ林域やカシ林域の林分と比較して林内樹幹上の着生植物が大変豊かである。着生植物では、フウラン、ナゴラン、キバナセッコクなどのラン科植物で、その他ではガンセキラン、ホシケイラン、キエビネ、エビネ、ナツエビネ、カンラン、ナギランなどが分布している。

    本地域を含む周辺の国有林等を対象に、九州森林管理局、綾町、宮崎県、(財)日本自然保護協会、てるはの森の会の5者が「綾川流域照葉樹林帯保護・復元計画(綾の照葉樹林プロジェクト)」の協定を結び、照葉樹林の保護・復元を進めているところであり、その中で本地域は照葉樹林の保護を図るエリアとして位置付けられています。

    →綾の照葉樹林について

    2.目的

    大森岳周辺の森林は、日本の暖温帯の常緑広葉樹林であるヤブツバキクラスを大面積に残す地域で、降水量、気温との関係で空中及び土壌中の湿度が高く、その結果他の森林では見られないほどフウラン、ナゴランなどの樹幹上の多様な着生植物や林床植生が生育するなど、暖温帯モンスーンの照葉樹林として西日本の自然を代表する極めて重要な自然生態系を呈している。これらの学術的価値の高い照葉樹林群落の一体的な維持を図り、併せて、地域の森林施業、森林管理技術の発展、学術研究等に資する。

    3.所在地

    宮崎県 東諸県郡 綾町
    宮崎県 小林市 

    4.設定年月日

    平成18年3月23日

    5.面積

    373.44ha

    6.関係森林管理署等

    宮崎森林管理署

    7.現況

    標高:200~1,109m

    傾斜:急

    地質:中世層頁岩

    土壌型:BC

    林齢:60~170年生

    気候帯:太平洋岸気候区-九州山地型

    8.法指定等

    水源かん養保安林、保健保安林、九州中央山地国定公園(2特、3特)

    9.取り扱い方針

    原則として人手を加えず自然の推移に委ねる。
    なお、モニタリング、学術研究その他公益上必要な行為、非常災害のため応急措置として行う行為、軽微な施設の設置、その他法令等の規定に基づく行為はできるものとする。

    お問合せ先

    計画保全部計画課
    担当者:生態系保全係
    ダイヤルイン:096-328-3612