紫尾山(しびさん)ブナ等遺伝資源希少個体群保護林
1.概要
当保護林は、出水市とさつま町界にある紫尾山(1,067m)の山頂の一角で付近には上宮神社があり、頂上より900m付近までの北側に位置している。
林相は、針広混交林の天然林で、アカガシ、ウラジロガシ、アカシデ、ブナ、モミ等がある。紫尾山山頂まで、国道504号線の堀切峠より車道が整備され保護林の中を横断しており、登山や散策で訪れる人もある。本保護林は、シラキ-ブナ群集の日本における分布南限の一つであり、生育本数の少ないブナの南限域の生育環境として、地球温暖化の影響等を見る上でも貴重である。
紫尾山ブナ等遺伝資源希少個体群保護林 全景
ブナの巨木
遠景
2.目的
保存対象種のブナ、モミ、アカガシのほか、アカシデ、ウラジロガシ等個体群の持続性を向上させることを目的とする。
3.所在地
鹿児島県 出水市
鹿児島県 薩摩郡 さつま町
4.設定年月日
平成3年3月31日:旧保護林名称「紫尾山林木遺伝資源保存」
保護林制度改正により、平成30年4月1日再編
5.面積
32.11 ha
6.関係森林管理署等
北薩森林管理署
7.現況
標高:800m
傾斜:中
地質:中硬砂岩
土壌:BD(d)
林齢:180年生以上
8.法指定等
保安林(保健)、川内川流域県立自然公園(普通)
9.取り扱い方針
保護・管理及び利用に関する基本的な事項については、保護林設定管理要領(PDF : 328KB)(平成27年9月28日付け27林国経第49号)に定められた希少個体群保護林の取扱い方針に従う。
これに加え、本保護林については、これまでの保護林モニタリング調査結果を踏まえて取り扱うこととする。
平成20、24、29年度の調査によれば、毎木調査では現状維持、保護林の要件は満たしているが、シカ被害レベルは3で、以前よりシカ被害が甚大な地域である。しかし、プロット内の新たなシカ被害はなく、シカ生息密度は低下し、被害は収束に向かいつつあると見られる(平成29年度調査時点)。現況から、シカ食害により下層植生は貧弱で、忌避植物が目立ち森林の内部構造に大きな影響が確認されるため、今後、森林内部構造や下層植生の種多様性の回復、持続性確保、希少な地域個体群のブナを含めた保護対象種の実生による天然更新促進などのため、植生保護柵の設置、周辺のシカ個体群動向を把握し、必要に応じたシカ個体数の管理等被害の未然防止に努めるなど保護対策に努める。
モニタリング調査実施間隔 5年
10.保護林設定の経緯
平成3年3月31日:旧保護林名称「紫尾山林木遺伝資源保存」
平成16年9月16日付け16九指第41号により川内・出水を合併
保護林制度改正により、平成30年4月1日再編
11.保護林位置図
紫尾山ブナ等遺伝資源希少個体群保護林位置図
お問合せ先
計画保全部計画課
担当者:生態系保全係
ダイヤルイン:096-328-3612