26年度技術者育成研修(近畿中国ブロック研修1回目)
近畿中国森林管理局では、森林総合監理士(通称フォレスター)の候補となる若手技術者を育成するため、岡山県新見市において演習・現地演習を中心とした「ブロック研修」を行っています。 |
ブロック研修1回目は、「中央研修」を終了した24名(県府職員21名、国職員2名、民間1名)を対象に4日間の日程で、中央研修で取得した知識・技術を再確認し、現地実習を通じて、広域的な視点で森づくり構想、資源循環利用構想を検討する演習を行います。
- 1日目:(ア)中央研修との関係、フォレスターの役割の再確認 (イ)【講義】森づくり構想
- 2日目:(ア)【現地実習】森づくりの構想実習 (イ)【演習説明・演習】資源循環利用構想策定演習
- 3日目:(ア)【現地実習】森林資源循環利用構想策定演習 (イ)【演習】資源循環利用構想演習
- 4日目:(ア)【演習】資源循環利用構想演習 (イ)フォレスターに求められるもの
平成26年8月25日~平成26年8月28日
1日目 (平成26年8月25日)
技術者育成研修(近畿中国ブロック研修1回目) がスタートしました。
この研修には、近畿中国管内(滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県,和歌山県,鳥取県,島根県,岡山県,広島県)から、24名の研修生が岡山県新見市に集合しました。
開講式
開講式では、地元新見市 小川産業部長から新見市の恵まれた森林を活かす様々な取り組みや、森林からの恩恵による特産品の紹介など歓迎のご挨拶がありました。
オリエンテーション
プロセスマネージャーの近藤氏から、研修参加者、スケジュール等の説明です。プロセスマネージャーは研修の進行や時間管理を担当します。
おなじみ紙芝居プレゼンテーションによる研修目標の解説を行い、今回の目的を全員で共有します。
気持ちをほぐしましょう。一息入れて「今日の気持ちは上向きかそうでないか、親指の向きで示してみましょう」
「今日の気持ちは上向きですかあ」
いよいよ、研修のスタートです。
中央研修との関係、フォレスターの役割の再確認
オリエンテーションに続き、中央研修で学んだフォレスターの役割について、再確認を行いました。
【講義】森づくり構想
森林総合研修所関西支所奥田森林生態研究グループ長による講義 |
真剣に講義を聴講する研修生 |
森づくりの構想を考える上で、個々の森林について科学的に評価し、将来的な目標林型を考え、そこに向けた森林施業が選択できる知識が必要となります。
奥田講師からは、目標林型と施業方法の選択の考え方、天然更新、間伐方法等について講義がありました。
ペチャクチャタイム |
講師への質疑 |
奥田氏の講義に一息入れて、講義の内容について班ごとでペチャクチャタイム。
ペチャクチャタイム(ディスカッション)の時間を取ることで、講義への理解が深まります。
現地実習の説明
明日の現地実習の説明で、初日が終わりです。1日、お疲れ様でした。
2日目(平成26年8月26日)
【現地実習】森づくりの構想実習
2日目は朝から現地実習です。プロセスマネージャー、近畿中国森林管理局藤原企画官から、現地実習の進め方等について説明後、新見市内の入開山国有林へ移動しました。
現地実習では、現地を見ながら将来の森づくりについて考えます。
実習開始前、近畿中国森林管理局積企画官から林況把握のための樹高、胸高直径の目視について説明後、研修生全員で樹高確認を行い、個々の目線を統一しました。
実習がスタートです。班に分かれて、まずは、現地の確認です。
現地のスギ林分の平均樹高、平均胸高直径、下層植生など林況の調査を行っていきます。
1班 |
2班 |
3班 |
4班 |
班毎に、調査した林況からこの森林に求められる機能(公益的機能、木材生産機能)を評価し、将来どのような森にしていけばいいのか目標林型について検討した後、とりまとめを行っていきます。
検討結果の発表です。
この森林の現在の評価、将来的な目標林型や当面の施業など、班毎に発表します。
研修会場にもどり、「森づくり構想」の振り返りです。
振り返りでは、振り返りシートに気づいたことなどメモし、意見交換を行うことで森づくりについて理解を深めます。
【机上演習】資源循環利用構想策定演習
午後からは、資源循環利用構想演習がスタートします。まずは、近畿中国森林管理局 藤原企画官が演習概要について説明を行いました。
この演習では、間伐適期の人工林1,000ha程度のまとまりをもった団地を対象として、市町村森林整備計画を念頭に、今後10年間における間伐の年次計画と林業専用道の整備について、大局的に検討を行います。
小原外部講師による講義 |
森林技術・支援センター細川所長による講義 |
班毎の検討に入る前に、小原講師から路網の作設におけるコントロールポイント等についての講義と、細川講師から木材市場の動向等についての講義がありました。
10年間の間伐実施計画や効率的な木材の搬出などを念頭におきながら、地域の森林整備を効果的に進めていくために必要な新設林業専用道の配置について、おおまかな検討を行います。
翌日の現地演習箇所の図面上に、机上で検討した新設林業専用道を配置した路網配置図(案)を完成させ、既設林道からの取り付け位置や地形など確認しておきたいポイントについて検討が終われば、2日目は終了です。
3日目(平成26年8月27日)
【現地演習】資源循環利用構想策定演習
3日目の午前中は、現地演習です。2日目の午後に机上検討を行った場所の現地確認を行います。
最初に藤原企画官が現地踏査のスケジュール・目的・注意事項の説明を行った後、全員で遠望ポイントへ移動します。
前日の演習で作成した踏査ルート |
遠望箇所の図面 |
机上演習で作成した図面には、林業専用道の線形や、現地踏査で確認したいポイント(地形、水系など)が記載されています。
対象地を遠望し、林況や地形など図面だけでは読み取れない現地の状況を確認します。
いざ、踏査に出発!
現地踏査を踏まえ、林用専用道の起点・ルート、間伐の進め方、木材の集積場所等について検討を行います。
現地条件に応じて、図面に修正を加えていきます。
小原講師から踏査した箇所の留意事項の説明を行い、午前中の現地演習は終了です。
【演習】資源循環利用構想演習
午後からは、最終日のプレゼンテーションに向けた資料の作成を行います。プレゼンの前提条件について藤原企画官から説明の後、作業開始です。
最終日のプレゼンでは、地元市長を仮想し、仮想した市長に対し地域の森林・林業の発展のためのビジョンをプレゼンし、理解と協力を求めるという設定で行われます。
KJ法を用いて、この地域の森林・林業をいかに発展させるか様々な視点から意見を出し合い、班で共有しながら検討を行い、戦略、構想をとりまとめます。
林業専用道の整備計画図面、間伐の年次計画、森林経営ビジョンの策定など、班内で作業を分担しながらプレゼン資料の作成を行います。
限られた時間のなかで、市長に分かりやすく説得力のある資料作りに研修生の皆さんは真剣です。
翌日の発表に向けた図面の仕上げ作業。
終了時間ぎりぎりまで資料作りを行い、3日目は終了です。
4日目(平成26年8月28日)
【演習】資源循環利用構想演習
いよいよ、研修最終日です。
1班→4班→2班→3班の順に発表を行います。
1班 |
4班 |
2班 |
3班 |
研修生は、フォレスターになりきって、仮想新見市長に対し森林経営ビジョンの提案を行います。
聞き手側は、市長や市の職員になったつもりで質問し、発表者側は、フォレスターとして回答します。
他の班の発表を聞くことで、別の視点に気づき、新しい発見につながります。
地元新見市からは農林課安達主査が会場にお越し下さり、新見市長へのプレゼンを聞いていただきました。
安達主査からは講評と、市が単独で取り組んでいる補助制度などについて、情報提供いただきました。
プレゼンに続いて、林業専用道の計画について、順番に発表が行われました。
森林技術・支援センター 細川講師 |
近畿中国森林管理局 藤原講師 |
小原外部講師 |
各班の発表が終わると、講師陣から講評や林業専用道等の補足と説明があり、演習は終了です。
フォレスターに求められるもの
研修最後の講義です。「自分が目標とするフォレスター像」について、全員が発表を行いました。
研修の最後は、林野庁 川嶋森林・林業技術者育成対策官から研修全般の講評と、研修生の皆さんへ、今後の活躍への期待を込めたメッセージで締めくくりました。
これで、4日間の研修は終了です。研修生の皆さんお疲れ様でした。
お問合せ先
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