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近畿中国森林管理局

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    大杉谷国有林からの手紙(56通目)

    PDFはこちら→大杉谷国有林からの手紙(56通目)(PDF : 1,513KB)

    大杉谷の森林再生に向けて  2022年7月

      短い梅雨が終わり、早くも夏の暑さがやって来ました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。大杉谷国有林は標高が高いため、平地より気温が低いと感じることが多いですが、そんな大杉谷でも調査などを行っていると暑さがこたえることが増えてきました。
      さて、今回は、大杉谷国有林で実施しているニホンジカ被害対策について、特に苗木の植栽と防護柵の設置に着目してお伝えしていきます。

    (1)ニホンジカ被害対策の背景





      大杉谷国有林では、昭和30年代以降、ニホンジカ(以下「シカ」という)の個体数が増加し、再造林のために植栽されたスギやヒノキがシカによる食害を受けました。その結果、大杉谷国有林の一部で森林の裸地化が進み、土壌の流出が発生するなど、その被害は深刻な状況となっています。

    写真1 裸地化した森林の状況

    写真2 検討委員会の様子

     
      この対策として三重森林管理署では、平成24年度に「大杉谷国有林におけるニホンジカによる森林被害対策指針」を策定しました。そして、シカの捕獲による個体数管理、裸地化した森林への植栽、ボランティア参加による樹木保護、定期的な委員会の開催による検討などに取り組んできました。 裸地化した箇所への植栽については、大杉谷で採取された種子から育てた広葉樹などの苗木を植栽し、さらに、苗木をシカの食害から守るために防護柵の設置を行っています。

      今年度は、森林被害対策指針が策定されてから10年が経過し、苗木の植栽の取組も10年目を迎えています。では、これまでに植栽を行った場所の状況はどうなっているのでしょうか。 ここから、今年度現況把握を行った箇所について、写真を交えてご紹介していきます。

    (2)植栽した箇所の状況

    写真3 平成28年度植栽箇所①

     
      写真3は平成28年度に設置した防護柵の様子です。中央の防護柵を境に、写真左側が柵の内側、右側が柵の外側となっています。この写真を見ると、柵の内側で樹木がよく成長していることが分かります。
      柵の内側を見てみると、平成28年に植栽した苗木だけではなく、自然に飛んできた種子から成長した樹木も数多く存在していることがわかりました。このような自生の樹木は、柵の外側ではシカに食べられてしまいますが、防護柵の効果によりシカの食害から守られ、成長することが出来ていました。柵の内部を調査した際は前が見えないほど樹木が生い茂っていたため、歩くのも大変な状況でした。

     

      一方で、同じ年度に植栽を行った箇所でも、樹木がそれほど生い茂っていない箇所もありました。写真4はその植栽箇所の様子です。こちらは斜面が急なため、土が流れてしまわないように箱状の工作物を設置して土を留め、そこに苗木の植栽を行っています。植栽された苗木は、一部枯れてしまっているものもありましたが、植えた当時よりも大きく成長している様子が確認できました。しかし、斜面が急なためか、工作物を設置した箇所以外には、自生の樹木はほとんど生えていませんでした。

    写真4 平成28年度植栽箇所②

      このように、場所によって差はありますが、防護柵を設置した箇所で苗木が成長してきており、一定の効果が表れていることを確認できました。今後も引き続き植栽箇所の現状の把握と効果の検証を行い、大杉谷国有林の森林再生に向けて取り組んでいきたいと思います。

      最後にお知らせです。今年度も「大台ヶ原・大杉谷の森林再生応援団」として、ボランティアの皆さんにご協力いただき、大台ヶ原周辺でトウヒ、ウラジロモミなどの樹木を守るための活動を行います。開催は令和4年9月16日(金曜日)です。詳細はこちらのホームページに掲載しています。ご興味のある方は是非ご応募ください。


    2022年7月
            編集:三重森林管理署  尾鷲森林事務所  係員
            発行:三重森林管理署  尾鷲森林事務所  地域統括森林官

    お問合せ先

    三重森林管理署

    ダイヤルイン:050-3160-6110
    FAX番号:ー

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