森林官通信(箕面森林事務所) 第11号 台風で倒れた木をヘリコプターで運搬
地域と国有林をつなぐ、森林官の日々の仕事をお伝えします。
春の訪れ- キブシ -
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平成29年10月に発生した台風21号による森林被害については第1号でお知らせしましたが、翌年の平成30年9月の記録的な豪雨となった台風21号は箕面国有林と高槻市内にある国有林にさらに大きな被害をもたらしました。
被害面積は約30haにも及んでいます。
箕面大滝の近くにある、山の斜面では約1,000本もの木が風でなぎ倒されました。
倒木が川に掛かり、斜面は道路に面しているため今後の豪雨や台風による二次災害が懸念されます。
また、道路に面しているため倒木の状況が一面に見えて景観的にもよくないことから早急の処理が必要でした。
倒木の処理方法として、当初は、林業機械が通行する森林作業道を作設してから倒木を運び出す方法が検討されましたが、斜面が急で岩盤が多く、地質がもろいため断念せざるをえませんでした。
そこで、ヘリコプターで搬出する方法をとることになりました。ヘリコプターであれば急斜面でも上空に倒木を吊り上げることができ、短期間で運搬することができます。
地肌がむき出しになるぐらいに木が倒れました。
木がなぎ倒されて川に掛かっています。
搬出作業は2月の閑散期に実施しました。
事前に数百本のワイヤーを倒木に巻き付ける作業を行います。
ヘリコプターで吊り上げやすいように倒木の下処理を行います。
ヘリコプターによる搬出作業当日
作業前に関係者全員が集まり安全作業を確認しつつ、入念に打ち合わせします。
出発の準備をするヘリコプター
ヘリコプターが現場に到着しました。
倒木を吊り上げて運び出します。
木はたいへん重いため、一度に2本程度しか吊り上げることができませんが、近くの土場まで何百回と往復することで一日で数百本の倒木を運び出すことができます。
ヘリコプターで土場に木が運ばれてきました。
運ばれた木を一カ所にまとめます。
大量の倒木が集められました。
倒木は玉切りをして木材市場などに運ばれ、合板やチップとして活用される予定です。
倒木を運び出した後の山の斜面です。
倒木撤去前の川
倒木撤去後の川
倒木撤去前の状況
倒木撤去後の状況
悪天候により安全のため一時中断することもありましたが、搬出作業は4日間で終了し倒木を撤去することができました。
搬出作業にあたり、多くの関係行政機関にご協力をいただきました。御礼申し上げます。
倒木が撤去された斜面については、今後、地域住民で構成される協議会と連携しながら、地域に適した森林への再生に向けて検討を進めていきたいと思います。
今年こそは台風が訪れないことを祈ってやみません。
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京都大阪森林管理事務所
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