伝統文化の継承への貢献
京都・奈良等の世界文化遺産に隣接する国有林において、地元自治体や一般市民、民間企業等とともに景観に配慮した森林づくりを進めます。また、社寺等の歴史的木造建造物の修復用資材を供給するための「古事の森」や「檜皮採取林」の設定等により、日本の伝統と文化の継承に貢献します。
世界文化遺産貢献の森林等における取組
世界文化遺産に登録されている社寺の重要な背景を構成しているなどの管内の国有林約4,800haを森林の重要性や森林と文化財の関わり等を普及する象徴的・総合的な拠点として「世界文化遺産貢献の森林」に設定しています。
嵐山国有林の桜と渡月橋(京都市)
このほか、山口森林管理事務所では、世界遺産の緩衝地帯に設定された大葉山国有林について、地元自治体である萩市と施業方法について意見交換会を行うなど、連携して景観保全の検討に取り組んでいます。
大板山たたら製鉄遺跡と大葉山国有林 萩市との意見交換会の様子
(山口県萩市) (山口県萩市 大板山たたら館)
社寺等歴史的木造建造物の修復用資材の供給
古事の森を通じた森林文化のPR
神社仏閣等の歴史的木造建造物の修復に必要な大径・長大な木材を生産するための森づくりを行う「古事の森」を4箇所(5.14ha)設定しています。
(1) 京都古事の森(鞍馬山国有林 1.99ha 京都府京都市)
(2) 春日奥山古事の森(地獄谷国有林 0.48ha 奈良県奈良市)
(3) 斑鳩の里法隆寺古事の森(野山国有林1.16ha 奈良県斑鳩町)
(4) 高野山古事の森(高野山国有林 1.51ha 和歌山県高野町)
奈良森林管理事務所では、春日奥山古事の森育成協議会と連携してシンポジウムを行うなど「春日奥山古事の森」の普及・啓発に取り組んでいます。
興福寺中金堂復元現場見学の様子
関連情報 「木の文化を支える森」
檜皮採取林における取組
檜皮(ひわだ、ヒノキの樹皮)は社寺の屋根材として利用されています。しかし近年は、檜皮の採取が可能となるヒノキの大径木が減少するとともに、檜皮を採取する原皮師(もとかわし)が少なくなっており、檜皮の確保が難しくなりつつあります。このため管内の樹齢80年以上のヒノキ林のうち約300haを「檜皮採取林」に設定し、檜皮の採取と原皮師の養成の場として提供しています。
檜皮の採取(京都市)
採取した檜皮