ノウサギN型誘引捕獲罠の紹介
取組の内容
ノウサギによる森林被害が全国的に増加傾向にあり、新見市の鳥獣被害防止計画においてもノウサギは対象鳥獣に指定されています。当センターが管理運営するコウヨウザンの試験地においても、コウヨウザン苗の9割がノウサギの食害を受けたところであり、今後は、防護対策だけでなく、捕獲等による新たな対策を検討することが急務となっています。
このような現状に鑑み、ノウサギ専用罠「ノウサギN型誘引捕獲罠」を試験的に設置し、効果的な捕獲方法について調査を行いました。
場所:岡山県新見市 赤滝国有林526に1林班(コウヨウザン試験地)
内容:新見市、猟友会と連携し、新見市の有害鳥獣駆除の一環として実施
ノウサギN型誘引捕獲罠を2箇所、当該罠の近傍に定点カメラを2箇所ずつ設置
運用:罠設置後は見回りを行い、誘引餌の交換、定点カメラのデータ回収を実施
期間:令和4年10月17日~令和4年12月19日(令和4年度実績)
罠の仕組み
使用しない森林作業道上に、N字型に整形したアニマルネットを設置し、ノウサギが好む餌(誘引餌)を散布して誘引します。ノウサギが狭いところを好んで通る習性を利用して、誘引したノウサギを括り罠へ誘導して捕獲する、という仕組みです。
誘引餌はコウヨウザン、カラスザンショウの葉を使用しました。11月下旬からは、落葉によりカラスザンショウの葉の採集が困難となったため、市販のウサギ用飼料を試行しました。

罠の設置箇所及び経緯

ノウサギ捕獲に至らなかった原因の考察
○試験地の隣接エリア(国有林)において、令和1年~令和3年にかけて皆伐が行われたことから、この環境の変化を忌避して、ノウサギが生息場所を変えた可能性があります。
○試験地に植栽されているコウヨウザンは、令和4年度で8年生となり、平均樹高は3mを超えています。枝下高が高くなったことで、ノウサギが葉を食べることが困難となり、ノウサギが生息場所を変えた可能性があります。
上記の根拠
定点カメラにおいて、ノウサギが撮影されたのはわずか2日でした。それぞれの日も近い(10月11日、12日)ことから、同一個体であった可能性もあります。
また、罠撤収後、猟友会と連携して罠見回りを行いましたが、同行したハンターから「ノウサギの足跡等の痕跡が少なく、現時点で、ここはノウサギがあまり生息していない可能性がある。」との助言も頂きました。
○罠設置の開始時期が10月中旬であったことから、誘引餌として使用したカラスザンショウの葉は、落葉前の硬く古い状態となっており、ノウサギの誘引効果が低かった可能性があります。
今後に向けて
○前述した皆伐跡地で令和5年度新植を行う予定であり、環境が変化しノウサギの再来の可能性があることから、令和5年度も、引き続き赤滝国有林において罠の設置を検討します。それに加え、誘引餌としてより誘引効果が高い若葉の採集を行う目的から、罠の設置時期を6~7月に変更し、時期の相違による捕獲の可能性について検証します。
○現在、赤滝国有林以外の複数の国有林においても、定点カメラ設置によるノウサギ生息のモニタリング調査を実施していることから、それらの結果を踏まえ新規の罠設置及び設置箇所の変更についても検討します。
お問合せ先
林野庁 近畿中国森林管理局 森林技術・支援センター
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