2011年11月
2011年11月26日(土曜日)
分身の術?
玉原高原近くにある「尼が禿山」(あまがはげやま)からの展望です。 名のとおり北面を除く三方が無立木の斜面
で、玉原高原から2時間弱で登ることができる好展望台と
なっています。 左手の白くなった山は上州武尊山、眼下
に見えるのは玉原湖です。
尼が禿山に続く尾根筋を歩いていると、天然のアスナロ
の林に多く出会います。実は、学生時代の研究テーマが
このアスナロ(ヒバ)だった私には非常に思い入れのある
樹なのです。今日は懐かしさを込めて、このアスナロを御
紹介させてください。

尾根筋に広がる天然のアスナロ林
アスナロは、日本に生育するあまた樹木の中で、いちばん耐陰性がある(暗い環境に耐える力が強い)と言われて
いる木です。また、非常に変わった繁殖方法をもつ木としても有名です。
伏条更新(ふくじょうこうしん)と呼ばれる繁殖法なのですが、親木の枝部分が積雪の重さで地面に接すると、その
接した部分から根を出して、新しい木として育っていくのです。下の写真を見てください。

左の写真は、雪の中から頭を出しているアスナロの稚樹です。雪の中で下の様子がわかりませんが、これをそっと
持ち上げていってみると、下へ延びずに横へ横へと延びていって、ほら、右の写真のように枝の途中から細い根っこ
が出ているのにたどり着きました。この枝(稚樹の幹?)はその先も続いていて、結局、親木に枝として繋がっている
のです。
耐陰性の強いアスナロの稚樹(枝?)は、親木のすぐ脇の日陰でも枯れてしまわずに、じっと耐えていくことができま
す。数十年後? 親木が倒れるか、それともお隣の木が倒れるかした時に、その明るくなった空間を利用して背を伸
ばしていくのです。たぶん上の写真のアスナロ林も、そうやって少しずつ自分たちの領地を広げていったのに違いあり
ません。
ということは…、あそこのアスナロの林はもしかすると全て一人の親から分かれた兄弟??いや、元は自分の枝な
ので、「分身」というのが正しいのでしょうか?。 「分身」=「自分」がいっぱい立っていると考えると、ちょっと怖いよう
な気もしてしまいます。 (内海 経営係長)
topへ戻る
2011年11月26日(土曜日)
水玉模様の…
ここは沼田市の北にある迦葉山(かしょうざん)からほど近い国有林です。迦葉山は天狗の霊山として有名なとこ
ろ。登山口の弥勒寺というお寺には、本堂いっぱいの特大天狗様(お面)がいて、初めて見るとビックリしますよ。 
その迦葉山から続く山道を歩いていると、何やら水玉模様の木が…。
「こんな木肌の樹があったかねぇ?」と同行者と眺めまわしたのですが、
よく分からない。
すでに木々の葉は全て落ちてしまい、冬芽や樹皮から判断するところ
「ホオノキ」なのですが…、
「こんな模様がでるものだったっけ?」
「いや…見たことないです。」
「迦葉山ですから…天狗 (様) のいたずらですかね?」
拡大してみたのが下の写真です。
「よく見るとクマの爪痕らしきものがいっぱいですよ。」
(中央の水玉の上端やその右手の横筋が爪痕です。)
どうやら原因はクマのようです。木の登り降りで樹皮を剥いでしまった後を
ホオノキがせっせと修復した結果、水玉模様の幹になってしまったのでは
ないか?と二人の意見はまとまりました。
「ただ、ブナなら分かるが、クマはホオノキ登って何するんだろう?」
(ブナの実はクマの大好物なので木に登って実をほおばります。)
「ホウノキは木が軟らかいので… 登り安いとか?」

「猿じゃないんだから、ただ登らんよなぁ?」
家に戻ってから調べてみました。
クマはホウノキの花を食べるのだそうです。ホウノキは
大きな葉(朴葉焼きなど有名です。)が特徴的ですが、
モクレンの仲間で、木に咲く花の中では最大クラスの
花(径15㎝ぐらい)を咲かせます。それを食べにやってく
るようです。
ホオノキどうやら苦労しています。
山で水玉模様のホウノキに出会うことがあったら、いた
わってあげなげればなりませんね。
(中澤署長)
topへ戻る
2011年11月23日(水曜日(祭))
暖冬?
好天の休日でした。
18日の白い谷川岳遠望を、もうちょっと近くで見たくなり谷川方面に向かいました。
…で、これが近景。 頂上です。

標識や岩には雪が固く凍り付いて、確かに冬の様相ですが…、

稜線部でも、まだ笹・灌木、露岩の頭が顔をのぞかせていて白さはいま一歩です。
おまけに今日の暖かいこと。歩いていると汗びっしょりになるし、下る頃には雪もグングン融けていました。
確かにまだ11月でした。寒気→ゆるみのくりかえしがしばらく続きそうですね。 (中澤署長)
topへ戻る
2011年11月18日(金曜日)
冬来る

いよいよ国境稜線が白くなりました! 右端が谷川岳の耳二つ(頂上)です。署内の皆の話では、「もう雪は消えな
いかな?」というところだそうです。いよいよ冬季態勢です。 (中澤署長)

新雪の谷川岳一の倉沢の出合です。尖った岩山に薄く雪がかぶってちょっと砂糖菓子を思わせますが、これから約
半年、厳しい気象と深い雪に埋もれる無人境となります。 (志田 水上首席森林官)
境界巡視で谷川岳近くのスキー場を通りかかりました。まだ雪はスキー場までは降りてきていません。ウインタース
ポーツを楽しみに待っておられる皆様。もうしばらくの間お待ちください。 (水上森林事務所 西村係員)
topへ戻る
2011年11月18日(金曜日)
H.23年度 准フォレスター研修・林業専用道技術者研修 終了しました!
国有林では今年から全国規模で准フォレスター研修・林業専用道技術者研修に取り組んでいます。ここ利根沼田
署は関東地区の研修実施署となっており、今年10回にわたる研修を実施し、本日が最終日となりました。
※「フォレスター」とは、各地域の森林において、森林・林業に関するコーディネートや技術指導を担い、長期的視点に立った森林(もり)づくりを
計画・指導する技術者のことです。
森林管理署で常設の研修が行われるなんて初めてのことでしたので、整備や準備に春先からドタバタする日が続
きましたが、延べ289名の方々に受講していただくことができました。スタッフ一同、まずはホッとしたところです。改め
て受講の皆様に御礼申し上げます。
でもホッとしていられるのもつかのま…、またすぐに来年度の計画づくりがスタートします。今年の経験を生かして、
より実戦的で有益な研修となるよう頭をひねって考えていきたいと思います。来年度もよろしくお願いいたします。
なお、当署HPのトップページ「利根沼田署からのお知らせ」に准フォレスター研修等の結果報告を掲載しています。
そちらもぜひ御覧ください。
(高田 森林技術普及専門官)

国有林を研修素材として施業等のシュミレーションを行いました。皆さん熱心な検討ありがとうございました。
topへ戻る
2011年11月16日(水曜日)
木々もおシャレに? 違います…
最近、山あいの国道などを走っていると木々にテープがグルグル。こんな景色を眺めることがありませんか?
防寒対策? 防虫対策? まさか、木にもオシャレを…?とはさすがに思われないでしょうが…。
これは「防クマ対策」として行っています。ここ沼田市の東部、赤城山北麓の国
有林では、数年来クマによるスギ・ヒノキの剥皮被害の増大に悩まされていま
す。右の写真が被害の様子。根元からベリベリと樹皮を剥がされてしまいます。
どうやら樹液等をなめるのが目的ではないか?との専門家のお話ですが、親か
ら仔へと受け継がれるのか被害は増大傾向です。
樹にとって樹皮のすぐ内側は、根と樹体上部を結ぶ輸送路のあるところなの
で、これをむき出しにされてしまうことは致命的です。グルリと皮をむかれてしま
った木は枯れてしまうので、20年30年の苦労が水の泡となりかねません。
そこでやむなく対策として採っているのがこのテープ巻き。「物理的に皮をむき
にくくする」効果と「クマは人工物をいやがる」性質を利用して「クマよけ」としてい
るのです。テープは数年で自然に分解する素材を使っているので、林地のゴミに
なったり、木に食い込んだりする心配はないのですが、その代わり、数年でまた
巻いてやらなければなりません。
クマさん、なんとか間伐時期の間伐予定木だけむくぐらいでガマンしてもらうわけにはいかないでしょうかね…?
(山田 南郷森林官)
topへ戻る
2011年11月09日(水曜日)
足ごこち…

紅葉も盛りを過ぎて、里山はたくさんの落ち葉に覆われるようになりまし
た。山道脇の斜面などはご覧のとおりビッシリの落ち葉です。ここは猿ヶ京
温泉にほど近い吾妻耶山(あずまやさん)の中腹。「この週末に中学校の
生徒さんのハイキングを実施するので歩道を整備したい」との依頼を受け
て、現地立ち会いです。
予定コースを辿りながら危険箇所へのロープ張り、ルート表示などを打ち
合わせましたが、秋山シーズンも終わって人通りもなくなったせいか、辿る
山道にもずっと落ち葉がギッシリ。いや、カサコソと落ち葉を踏みしめて歩く
山道の感触はとても柔らかく心地良いです。
都市域からハイクにみえられる生徒さん方、普段味わえない落ち葉の絨
毯(じゅうたん)歩きが楽しめるのでは…と思ったのですが、聞けば参加者
200人超! さすが都市部の学校は規模が大きい…。後ろのほうの生徒さ
んたちは、きっとただの地面を歩くことになりそうですね。
晩秋の里山、ひっそりと落ち葉を踏む音を楽しむ里山歩きも良いものです
よ。 (星野業務課長)
今はフカフカの山道ですが…?
topへ戻る
+先月の記事へ+
|