山と島と人を守る治山工事
<トピックス>離島治山事業のドローン動画紹介
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三宅島三池地区の防災林造成事業地(R3.12.03撮影) |
治山事業は、森林の維持造成を通じて、山崩れ等の災害から国民の生活・財産を守るとともに、水源のかん養、生活環境の保全・形成を図ることで、安全で住みよい地域づくりに貢献しています。 関東森林管理局では管内の1都10県で治山事業を実施していますが、東京神奈川森林管理署の治山事業の特徴として、本土のほか、伊豆諸島の三宅島を中心に神津島、青ヶ島において、昭和30年代から事業を行ってきていることです。 |
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三宅島沖ヶ平地区防風垣施工状況(昭和51年施工当署保管の施行台帳より) |
1.三宅島
三宅島の国有林は、海岸部に位置し、一年を通じて潮風や自然災害である台風等の影響も受けます。
また、三宅島はたびたび噴火災害が発生しており、防災林であるクロマツ林は被害を受けました。
島民の皆さんの生活にも影響を及ぼし、平成12年の噴火では4年5ヵ月にわたって、全島民が島外での避難生活を余儀なくされました。
(参考:三宅島噴火の歴史https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/rovdm/Miyakejima_rovdm/miyakejima_hist.html気象庁より)
現在、住民の生活基盤を保全するため、森林の持つ防風・防潮機能を高める防災林造成事業を継続的に実施しております。
〇三池地区
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昭和55年撮影 三池浜は夏には海水浴場としてにぎわっており、住居や民宿などの宅地との間には、海岸防災林としてクロマツ林が広がっていました。 |
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平成23年撮影 平成12年噴火の火山ガスの影響で、クロマツ林が枯死した跡地に、平成23年よりクロマツの植栽を開始しました。また、植栽木を強風から保護するため防風柵も同時に施工しています。 |
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平成25年撮影 海岸側に丸太を使用した防風柵を施工し、背後にクロマツを植栽します。 |
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平成28年撮影 三池浜の全域にわたりクロマツの植栽が完了しました。 |
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令和3年撮影(遠景) クロマツ林は4m程度まで成長しており、今後、防風・防潮効果が最大限発揮できるよう密度調整を実施していきます。 |
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令和3年撮影(近景) |
〇東山地区(新鼻新山付近)
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平成2年撮影 昭和58年の新澪池付近と新鼻海岸付近の水蒸気爆発により火山灰が堆積し、全域のクロマツが枯損しました。 (奥の島は御蔵島です。) |
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平成11年撮影 地元の林地回復要請を受け、平成4年度からクロマツ林の再生事業にとりかかりました。 このころは塩ビパイプと網を材料とした防風柵を使用しています。 (奥の山が新鼻新山です。) |
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平成12年撮影 防風柵で区画をつくりながら、順次植栽を実施していきます。 中央上部の区画は事業開始時に植栽した箇所です。 |
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平成19年撮影 平成4年度からの防災林造成事業は平成19年に一旦完了しています。 |
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令和3年撮影(グーグルアース) 林相は回復しつつありますが、より健全な状態を維持していくくため、今後、過密状態にある植栽木の密度調整を実施していきます。 また、老朽化した防風柵を撤去し、必要箇所には木製のものに置き換えていきます。 |
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2.青ヶ島
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平成21年撮影 三宝港に近接する急斜面の施工箇所です。 斜面崩壊を防いでいます。 (島唯一の船舶が接岸できる港です。) |
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平成21年撮影 現場吹付法枠工の施工状況です。 ロープにぶら下がりながらの作業となります。 |
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平成21年撮影 本工事を実施するための仮設工の状況です。 単管で足場を組み、荷下ろし場などの作業ヤードを設置しました。 |
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3.神津島
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平成14年撮影 平成12年の神津島近海を震源とする群発地震により崩壊した箇所に現場吹付法枠工を施工しました。 |
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島での治山事業について、工事関係者からは「冬の西風が強く、作業が困難なときがある。」「作業員を確保することが難しく、本土から確保できても宿泊施設が足りない。」「資材調達は海運であり、調達には時間と費用がかかる。」といった声が聞かれ、本土の工事とは違った苦労があります。
こうした中、本土の発注者と島での工事中の受注者において時間的なロス、コストを減らすため、双方にメリットとなる遠隔地におけるWEB環境を活用した工事の段階確認を試みているところです。
新たな技術活用も一つの手段として、防災林造成を今後も推進していきます。
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スコリアと雄山(三宅島) | 新鼻新山と防風柵(三宅島) |
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サタドー岬から望む海岸線(三宅島) | 伊豆岬灯台(三宅島) |
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世界的にも珍しい隆起した大小二つの旧火口を持つ内輪山(青ヶ島) |
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天上山と多幸湾と三浦湾(神津島) |
本土の東京都、神奈川県においても治山事業を実行しています。
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令和3年撮影 コンクリート谷止工の施工状況です。 残存型枠と水叩きには丸太を使用しています。 |
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令和3年撮影 木製校倉式土留工の施行状況です。 地表には植生マットを施工しています。 周りの森林からの種子を受け止め、緑化する工法となっています。 |
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平成30年撮影 山腹工の施工状況です。 土留工、法枠工、水路工、植生マット伏工など工種を組み合わせ、崩壊地の拡大防止、復旧を図っています。 |
お問合せ先
東京神奈川森林管理署
担当者:総務グループ
ダイヤルイン:0463-32-2867