山と人を守る治山事業
治山事業について
森林を整備することにより、山崩れ等の災害から国民の皆さんの生命や財産を守り、また、 水源のかん養、自然環境の保全を図ることで、安全で住みよい地域づくりに貢献しています。
近年、頻発する集中豪雨や地震等により山地災害の発生リスクが高まっていることに加え、静岡森林管理署管内は中央構造線等の影響を受け、もろく急峻な地形・地質の山地が多いことから、自然災害による被害の復旧や災害の防止・軽減を図るための治山事業を実施し、地域の人々の生活と安全を守ります。
渓流が荒廃したり、渓岸が浸食されるなどして土砂の流出の恐れのある河川に対しては、土砂の安定と山脚の固定を図るため治山ダム工事等を施工しています。
荒廃した森林には本数調整伐等の森林整備を行い、森林の持つ多面的機能・保安林機能維持の増進に努めています。
民有林直轄治山事業(小山町での治山事業)
小山地区は、静岡県の北東部に位置し、神奈川県及び山梨県に隣接しているエリアです。
平成22年(2010年)9月の台風9号に伴う記録的な豪雨(最大時間雨量118ミリ連続雨量490ミリ)により、山腹崩壊や土砂流出、河川の氾濫など甚大な被害が発生し、激甚災害(局地激甚災害)にも指定される被害となりました。
流出した土砂は下流の酒匂川(さかわがわ)にも河床上昇など、静岡県及び神奈川県と広域的に大きな影響を及ぼし、また、平成23年度から平成24年度にかけても台風等による豪雨災害が発生し、崩壊地の拡大や土砂の流出が発生しました。
当該地区は、富士山が噴火した際に噴出・堆積した「スコリア」と呼ばれる特殊な土壌で厚く覆われ、降雨による浸食を受けやすいため、たびたび土砂流出被害が繰り返されています。
平成22年の台風災害以降、国有林及び民有林それぞれで復旧対策を進めてきましたが、民有林の復旧にあたり、事業規模が大きく、スコリア土壌の特性を踏まえた高度な技術と集中的な復旧対策が必要であることから、静岡県の要望を受け、平成27年度から「小山地区民有林直轄治山事業」に着手しています。
なお、脆弱なスコリア層の対策や令和元年10月の東日本台風の影響等を鑑み、令和2年度に全体計画を変更しました。」
国有林野内直轄治山事業(大日沢)
平成30年3月5日、低気圧通過に伴う豪雨により富士山各地でスラッシュ雪崩が発生し、大日沢支流で発生した土石流は、下流域に位置する道の駅・国道・県道・自衛隊東富士演習場へと流下し、自衛隊演習場内において2名が土石流に巻き込まれ死亡する被害が発生しました。流出土砂量は10万m3と想定されています。
上流部に位置する国有林内においても鋼製枠床固工が破損するなどの被害が発生したため、有識者による対策委員会を開催しながら、復旧工事に着手しています。令和4年度までに治山ダム10基を施工しました。
【復旧状況】
治山工事における木材利用
治山・林道工事において、地球温暖化の防止にも貢献する木材利用の取組を推進しています。
例えば、コンクリート型枠は間伐材を使った残存丸太や合板とするほか、丸太筋工や木製法枠工等、また、工事看板や現場事務所等の仮設物についても木材を積極的に利用しています。木製法枠工(小山地区)
木製(校倉)土留工(小山地区)
ICT技術を活用した治山事業の実施
近年、ICT技術は、社会基盤、ハード、ソフトともに飛躍的に発展しており、治山事業においても、これらICT技術を活用することで、効率的な事業実施が可能となります。ICT技術は、効率化を図る上で必要な技術であることから、静岡森林管理署の治山事業においても積極的に活用する必要があり、新技術の利用推進を図ります。