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関東森林管理局

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    福島森林管理署長が語る

    1 福島県の国有林

    福島森林管理署管内図
    福島森林管理署管内図

      関東森林管理局は、福島県から静岡県の1都10県に広がる119万ヘクタールの国有林を管理経営しています。

      そのうち、福島県には41万ヘクタールと関東森林管理局管内の国有林の3分の1が所在しており、これは福島県の県土面積の29%、また、福島県の森林面積97万ヘクタールの42%を占めており、国有林が集中して所在していると言っても過言ではないでしょう。

      この広大な福島県の国有林を4つの森林管理署(福島、会津、磐城及び棚倉)と2つの支署(白河及び南会津)で管理経営しています。  

    2 管内国有林の特徴

    安達太良山
    安達太良山

      当署は、福島県の県庁所在地で県内第3位の人口29万人(平成28年3月1日現在。第1位はいわき市で35万人)を抱える福島市にあり、西の奥羽山脈と東の阿武隈高地に挟まれた「中通り」と呼ばれる地域のうち、郡山市及び田村郡小野町以北の5市(福島市、伊達市、二本松市、郡山市及び田村市)3町(桑折町、川俣町及び小野町)1村(大玉村)に所在する国有林5万9千ヘクタールの国有林を管轄しています。

     

    (1) 北西部

      管内の西部には奥羽山脈が連なり、日本百名山に数えられる吾妻山(あづまやま)(標高2035メートル)及び安達太良山(標高1700メートル)の2山があるほか、福島市と会津地方を結ぶメインルートである国道115号線、春の“雪の回廊”から秋の紅葉まで楽しめる山岳観光道路の磐梯吾妻スカイラインが国有林のまっただ中を通っています。

      また、「福島の奥座敷」と称される飯坂温泉、東北初の「源泉かけ流し宣言」を発表した高湯温泉、13種類の泉質を持つ土湯温泉、全国でも珍しい酸性泉の岳温泉など福島県を代表する温泉地が国有林の近くに位置しています。

      特に、岳温泉の源泉や土湯温泉の水道水源は国有林にあります。

      さらに、中通り北部の3市(福島市、伊達市及び二本松市)3町(国見町、桑折町及び川俣町)の住民の水瓶である摺上川(すりかみがわ)ダム(ダム湖名:茂庭っ湖(もにわっこ))の集水域のほとんどは国有林であり、管内北西部の3万6千ヘクタールに及ぶ国有林では、森林の有する公益的機能の高度発揮が強く求められています。

    高湯温泉玉子湯
    高湯温泉玉子湯

    (2) 南西部

      県内第2位の都市(平成28年3月1日現在の人口34万人)である郡山市の西部に9千ヘクタールの国有林が所在しています。

      この地域では、磐梯熱海温泉近くの竹ノ内地区において、平成27年2月に民有林158ヘクタール、国有林1008ヘクタールの合計1166ヘクタールの森林を対象に郡山市、郡山市森林組合、竹ノ内森林再生事業組合及び当署の4者で森林整備推進協定を締結し、共同施業団地を設定しました。

      今後、協定者が連携して、民有林と国有林の効率的かつ安定的な林業経営基盤づくりに必要な路網整備と森林整備を推進していくこととしており、平成28年度から民有林、国有林とも林業専用道等の作設に着手します。

      この地域の中央に位置する額取山(ひたいとりやま)(標高1009メートル。別名:安積山(あさかやま))は、郡山市を代表する山で古くから地元の人々に親しまれています。

      近年、地域振興や東日本大震災からの観光復興の一助にするため、展望に優れる大将旗山(たいしょうはたやま)(標高1056メートル)に続く標高千メートル前後の奥羽山脈の山並みを「安積(あさかの)アルプス」と呼んで縦走するイベントが開催され、当該コースは福島県観光キャンペーン2016のホームページにも紹介されています。 

    郡山市竹ノ内地区森林共同施業団地
    郡山市竹ノ内地区森林共同施業団地

    (3) 南東部

      田村市、田村郡小野町及び郡山市南東部に広がる国有林1万2千ヘクタールは阿武隈高地に属し、起伏が緩やかで積雪も少ない地域です。

      このため、人工林が8千ヘクタールを占め、当署全体では4割にすぎない人工林率は7割に達しています。

      一方で、本地域は地域住民の水源地となっている国有林が多いのも特徴で、これらのことから、特に水源かん養機能の発揮に重点をおいて、下層植生や植栽木の根系の発達を促進させる間伐や必要な保育を実施しています。

    人工林における列状間伐
    人工林における列状間伐
    初期成長優良品種の性能評価試験地
    初期成長優良品種の性能評価試験地

      これまで、茨城県日立市にある国立研究開発法人森林総合研究所林木育種センターでは、成長量や幹の通直性等が優れた木を精英樹として選抜してきました。

      近年、精英樹の中でも特に優れたものを交配した苗木の中から選ばれた第2世代以降の精英樹として「エリートツリー」の開発を進めています。

      このエリートツリーは初期成長の早さが特徴で、材質や通直性にも優れており、植栽本数や下刈り回数等造林初期投資の削減や、伐期の短縮が期待されています。

      そして、エリートツリーの中でも特に優れた成長等を示すものは、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法に基づき農林水産大臣が「特定母樹」として指定しています。

      当署では、林木育種センター、福島県林業研究センター及び福島県農林種苗農業協同組合との4者で共同試験に関する確認書を交わし、特定母樹試験地の提供と植栽木の成長量等の調査を行っています。

      阿武隈高地の最高峰である大滝根山(標高1192メートル)、蝶の種類の豊富な山として知られる矢大臣山(標高964メートル)、ヤマツツジで有名な高柴山(標高884メートル)などは阿武隈高原中部県立自然公園に指定されていて、郡山市やいわき市等の都市部からも近いことからハイキングや自然観察のために多くの人々が訪れており、地元地方自治体、ボランティア団体等と協働で植生の保護活動登山道の整備、美化活動等に取り組んでいます。

    3 東日本大震災からの復旧・復興 

    (1) 被害の概要

      平成23年3月11日に発生した観測史上最大のマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震、それに伴う巨大津波及びその後の余震により、東北及び関東地方の森林は大きな被害を受けました。

      福島県でも848箇所、167億円に及ぶ林業等被害及び治山被害が発生し、県内の海岸防災林261ヘクタールのうち6割に当たる155ヘクタールが流出してしまいました。

      また、地震と津波で全交流電源を喪失し、炉心溶融(メルトダウン)を起こした東京電力福島第一原子力発電所から放出された大量の放射性物質により広範囲に影響を受けました。

      ちなみに、日本での平常時の空間線量率は0.025~0.15マイクロシーベルト/時ほどですが、福島市における最大値は24.24マイクロシーベルト/時を記録したと聞いています。 

    平成28年4月15日の福島森林管理署敷地の空間線量率
    平成28年4月15日の福島森林管理署敷地の空間線量率

    (2) 放射性物質対策

      福島市でも、この5年間に公共施設、住宅、道路、農地それぞれで除染が進み、今では、追加被ばく線量の上限とされる年間1ミリシーベルトを1時間あたりに換算した0.23マイクロシーベルト/時を下回るようになっています。

      森林についても、住宅や農地などの生活圏から20メートル以内とキノコ栽培のほだ場やキャンプ場等人が日常的に立ち入る場所での除染を進めているところです。

      また、森林所有者の経営意欲の減退や放射性物質への不安等から、本来必要な森林整備が行われないことで、森林の有する水源かん養や山地災害防止等の公益的機能の低下が懸念されています。

      このような現状を打破するため、間伐等の森林整備と放射性物質対策を一体的に実施し、森林の公益的機能を維持しながら放射性物質の影響を軽減し、森林再生を図る「ふくしま森林再生事業」を民有林と連携しながら実施しています。

    民有地との境界近くに設置した丸太柵
    民有地との境界近くに設置した丸太柵

    (3) 伐採木の搬出

      放射性物質に汚染された廃棄物のうち放射性物質の濃度が1キログラムあたり8千ベクレルを超えるもので環境大臣が指定したものは指定廃棄物として、国の責任のもと、適切な方法で処理することとなっており、稲わらや樹木の樹皮等も農林業系副産物として指定されています。

      福島県では、避難指示解除準備区域の一部が解除されるなど、今後、営林活動の拡大が見込まれることから、これに伴う指定廃棄物となる樹皮の発生防止を図る目的で、福島県民有林の伐採木の搬出に関する指針を平成26年12月に定めました。

      その内容は、

      ア 民有林での営林活動による搬出を伴う立木伐採作業を対象に、
      イ 伐採作業に着手する前に伐採予定地の空間線量率を測定し、
      ウ 0.50マイクロシーベルト/時以下

      であれば伐採・搬出を可とするというものです。福島県内の国有林でも、この指針を準用して間伐木の搬出の可否を判断しています。

    (4) 仮置場用地の提供

      福島県では、除染により取り除かれた汚染土壌等を、福島県双葉郡大熊町及び双葉町に整備される予定の中間貯蔵施設において保管するまでの間、仮置場や除染現場で一時的に保管しています。

      国有林では、地域の早期復旧と地域住民等の健康で安心安全な生活環境を確保するという観点から、仮置場として国有林を積極的に提供し、各市町村の除染事業の円滑な推進に協力しています。

      当署でも、川俣町花塚地区で1.4ヘクタール、二本松市成田地区で3.1ヘクタールの国有林を仮置場用地として当該市町に貸し付けています。 

    仮置場に搬入中の汚染土壌等(二本松市)
    仮置場に搬入中の汚染土壌等(二本松市)

    お問合せ先

    総務企画部 総務課
    担当者:広報
    ダイヤルイン:027-210-1158

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