ホーム > 森林管理局の案内 > 森林管理署等の概要 > 下越森林管理署 > 下越森林管理署の概要 > Ⅱ 良好な自然環境等の保全
当署に関係する自然公園は、国立公園では「磐梯朝日」、県立自然公園では「胎内二王子(たいないにのうじ)」、「五頭(ごず)連峰」、「小佐渡」、「奥早出粟守門」、「阿賀野川ライン」が設定されていますが、自然公園のそれぞれの指定目的、地域区分などに応じて、適切に保護管理することとしています。
森林生態系の構成者である野生生物の多様性の保全には、その移動経路を確保し、生育・生息地の拡大と相互交流を促すことが必要とされていることから、原生的な天然林や貴重な野生生物の生育・生息地等を保全・管理するため、国有林では、保護林を中心にネットワークを形成する「緑の回廊」を設定し、ツキノワグマや猛禽類などの野生生物の移動経路を確保することで、より広範かつ効果的な森林生態系の保全を図ることとしています。
名称:緑の回廊 越後線
面積:3,476.44ha
目的:利根川源流部・燧ヶ岳周辺森林生態系保護地域と越後山脈森林生物遺伝資源保存林を結ぶ越後山脈沿いの天然生林の多い地域である。
(図3)緑の回廊のイメージ |
保護林とは、原生的な森林生態系からなる自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存、施業及び管理技術の発展等に資することを目的として、区域を定め、禁伐等の厳正な管理経営を行うことにより、保護を図っている国有林のことです。
保護林には7種類がありますが、当署にはこのうちの5種類が設定されています。
原生的な天然林を保存することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存、森林施業・管理技術の発展、学術研究等に資する森林です。
名称:飯豊山(いいでさん)周辺
面積:15,287.05ha(うち保存地区7,138.33ha、保全利用区域8,148.72ha)
目的:新潟・山形・福島の3県にまたがる飯豊連峰の中心部にあり、日本海側気候区の豪雪地帯における典型的な山地帯から高山帯までの原生的な天然林を保存することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存、森林施業・管理技術の発展及び学術研究に資する。
(写真1・2)飯豊連峰 |
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森林と一体となって自然生態系を構成する生物の遺伝資源を森林生態系内に保存し、将来の利用可能性に資する森林です。
名称:越後山脈
面積:2,008.53ha
目的:福島県境の本名御神楽(ほんなみかぐら)を中心とした山岳地帯で、日本海側気候区の植物が多く分布する温帯の多雪・豪雪地で、原生的な天然生林と雪崩の浸食による急峻な地形が特徴であり、遺伝、育種にかかる調査・研究のほか、今後の技術進歩と生物の新たな用途開発等に資する。
(写真3)越後山脈森林生物遺伝資源保存林(広谷川上流) |
主要林業樹種及び稀少樹種等に係る林木遺伝資源を森林生態系内に保存し、将来の利用可能性に資する森林です。
(表3) 林木遺伝資源保存林の一覧
名称 |
箇所 面積 |
目的 |
赤谷山天スギ |
赤谷山国有林 102林班 |
日本海側気候における天スギの遺伝資源の保存 |
目指岳コウヤマキ |
大倉山国有林 256林班 |
日本海側気候における北限のコウヤマキの遺伝資源の保存 |
大久蔵トチノキ |
赤柴山国有林 280林班 |
日本海側気候におけるトチノキの遺伝資源の保存 |
白山ケヤキ |
白山国有林 322林班 |
日本海側気候におけるケヤキの遺伝資源の保存 |
(写真4) 赤谷山天スギ遺伝資源保存林 |
我が国または地域の自然を代表するものとして保護を必要とする植物群落及び歴史的、学術的価値等を有する個体の維持を図り、併せて森林施業・管理技術の発展、学術研究等に資する森林です。
(表4)植物群落保護林の一覧
名称 |
箇所 面積 |
目的 |
猿ヶ城岩 オオフジシダ |
石川山国有林 53、57林班 |
オオフジシダをはじめとする希少な暖地性のシダの分布地(北限)の保護 |
赤谷天スギ |
赤谷山国有林 100林班 |
天スギ(赤谷スギ)の保護 |
加治川 ブナ・ユキツバキ |
滝谷山国有林 91林班 |
加治川流域におけるブナ・ユキツバキ群落の分布上限 |
(写真5)加治川ブナ・ユキツバキ |
(写真6)赤谷天スギ
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地域における象徴としての意義を有する等により、森林の現状の維持について地元市町村の強い要請のある森林を保護し、併せて地域の振興に資する森林です。
名称:菅名岳(すがなだけ)
箇所:三五郎山国有林 286~288林班
面積:214.46ha
目的:沢沿いにはカツラやトチノキ、サワグルミ、ケヤキなどの巨木が渓畔林を形成し、中腹にはブナ・ユキツバキ群落が分布する天然林で、菅名岳の山開き、自然探勝、自然観察会など市民に親しまれ、歩道なども整備されている。
(写真7)菅名岳郷土の森の美しいブナ林 |
レクリエーションの森は、それぞれの森林の特徴や利用の目的に応じて、自然休養林、自然観察教育林、風景林、森林スポーツ林、野外スポーツ地域、風致探勝林の6種類に区分され、当署にはこのうちの5種類が設定されています。
名称:五頭(ごず)
面積:1,849.95ha(うち森林スポーツゾーン512.07ha、野外スポーツゾーン177.45ha、風景ゾーン1,160.43ha)
目的:五頭連峰の菱ヶ岳、五頭山、松平山に至る稜線を挟んだ両側に位置し、山腹から稜線付近はブナ、ミズナラ、シデ等の原生的な天然生林、中腹以下はナラ類やカエダ類等の広葉樹二次林が多く、優れた景観を呈しており、自然観察等のほか野外スポーツに利用され、地元はもとより県北部の象徴的な森林である。
(写真8)五頭連峰 |
(表5)自然観察教育林の一覧
名称 |
箇所 面積 |
目的 |
きのと |
大日裏国有林 1林班 |
100年生を超えるアカマツ天然生林が特色のある景観を形成しており、市民や青少年の自然観察等に利用されている。 |
実川 |
飯豊山国有林 241林班 |
ブナ、ミズナラ等の天然生林で、下層にはユキツバキを伴う。飯豊連峰の最高峰、大日岳へ至る登山口がある。 |
(写真9)きのと |
(写真10)実川 |
(表6)野外スポーツ地域の一覧
名称 |
箇所 面積 |
目的 |
胎内スポーツ林 |
胎内山国有林 25、38~40林班 |
胎内市東部に位置し、12月から3月末までは安定した積雪があり、起伏に富んだ地形はスキー場に適しており、隣接する民営スキー場との一体利用が可能である。 |
奥胎内スポーツ林 |
胎内山国有林 32林班 4.83ha |
胎内ダム上流部右岸に位置し、ブナ、ミズナラ等の天然生広葉樹林に囲まれた区域で、森林と渓谷美が楽しめる。 |
ニノックススキー場 |
大平国有林 61~65林班 |
新発田市東方の二王子岳山腹に位置し、高速道路が近いなど交通の便が良く、積雪量、雪質ともに恵まれ、起伏に富んだ地形はスキー場に適している。 |
(写真11)胎内スキー場 |
(写真12)ニノックススキー場 |
(表7)風景林の一覧
名称 |
箇所 |
目的 |
二王子参拝の森 |
田貝山国有林 70・71林班 7.77ha |
二王子神社の周囲に位置し、高齢級のスギ人工林や天然生広葉樹林が神社の背景として、優れた景観を生み出している。 |
三川渓谷 | 栗山国有林 202林班 21.47ha |
中ノ沢川中流に刻まれた渓谷と天然生林が県道沿いの右岸に広がり、優れた自然景観を生み出している。 |
(写真13)二王子参拝の森 |
(写真14)三川渓谷 |
(表8)風致探勝林の一覧
名称 |
箇所 |
目的 |
橡平(とちだいら)桜の森 | 橡平国有林 18林班 79.13ha |
ヤマザクラ、オクチョウジザクラ、カスミザクラなどの野生桜(昭和9年に国の天然記念物に指定)が自生し、春には美しい景観を呈し、「大峰山の桜」として多くの市民に親しまれている。 |
慈光寺 | 白山国有林 322林班 24.50ha |
一部は人工林もあるが、コナラ等の広葉樹二次林が主であるが、霊峰、白山の登山口である古刹、慈光寺の背後に当たり、自然探勝等に利用されている。 |
(写真15)橡平(とちだいら)桜の森 |
(写真16)慈光寺 |
(図5)レクリエーションの森の位置(地図を表示するページに移動します。)
歴史的木造建造物や伝統工芸などの「木の文化」を後世に継承していくためには、必要な木材や樹皮などの資材を供給する森林が不可欠です。「木の文化を支える森」は、こうした森林を守り育てる活動に共感し、参加したいという方々の声に応え、国民参加の森林づくりを進めるため、活動のフィールドとして国有林野を一定期間活用していただく制度です。
箇所:新穂山国有林 122林班
面積:4.90ha
目的:佐渡島の郷土伝統芸能である鬼太鼓(おんでこ)を未来に渡って継承するため、太鼓の材料であるケヤキ大径材などを供給することとし、平成19年に地元の「鬼太鼓の森づくり」協議会と協定を結んで設定された木の文化を支える森である。協議会がボランティア等に呼びかけ、毎年度、保育・保護活動を実施している。
(写真17)鬼太鼓の森
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森林づくり活動に参加したい、直接森林と触れあいたいという方々のために、ボランティア団体などと森林管理署長が協定を結び、森林づくり活動や森林と親しむ活動などのフィールドとして国有林を提供する制度です。
箇所:橡平国有林 18林班
面積:72.57ha
目的:大峰山の桜の景観を鑑賞できるように、「橡平(とちだいら)桜の森」に隣接する国有林に「ふれあいの森」を設定し、NPO「加治川さくらの里づくりの会」によって保護活動などが行われている。
箇所:大室山国有林 117林班
面積:8.94ha
目的:旧五頭スキー場の跡地を緑化するため、スキー場跡地に「ふれあいの森」を設定し、NPO「ブナ友の会」及びボランチティアによって緑化活動などが行われている。
渓畔林は森林環境の保全と生物多様性の維持に重要な森林ですが、平成27年度、阿賀町の御神楽岳に近い阿賀野川支流の広谷川の上流2kmを「畦畔保全プロジェクト林」に指定し、保全することとしました。
(写真18)渓畔林 |
下越森林管理署
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