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関東森林管理局

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    茂庭地区野生動物調査の結果について

    福島県福島市の茂庭地区におけるツキノワグマによる林業被害と、野生動物調査の結果の概要についてお知らせします。

    1.野生動物調査の背景-ツキノワグマによる林業被害-

    近年、福島県内では、北部の地域で、ツキノワグマによる造林木の剥皮被害が目立つようになってきました。被害木は、傷や腐朽により、一般建築材としての利用が難しくなり、更には枯死することもあります。
    福島森林管理署では、平成30年度に、県内の野生鳥獣による林業被害としては初めて、ツキノワグマによる被害を、平成29年度分として、福島市内の茂庭地区の国有林19.11haの被害を計上しました。
    対策として、造林地の一部で、クマ被害防止テープ巻きを実施しています。
    また、この度、今後の対策を進める上で、ツキノワグマの生息状況やニホンジカの侵入の状況を含めた、野生動物全般の動向を把握するため、茂庭地区において、平成30年7月から令和元年5月にかけて、センサーカメラによる野生動物調査を実施しました。

    ツキノワグマによる剥皮被害木

    クマ被害防止テープ

    剥皮被害木

    クマ被害防止テープ

    2.調査の概要

    (1)センサーカメラの設置期間
    平成307月12日~令和元年5月10日。

    (2)センサーカメラ設置箇所
    福島県福島市内の摺上川ダム上流の柳沢の源流部である、山形県との県境付近の中の沢峠周辺3ヶ所。

    平成30年度茂庭地区野生動物調査センサーカメラ設置箇所

    (3)カメラの稼働状況
    雪への埋没のため撮影できない期間がある箇所もありましたが、通年に近い調査を実施しました。3台のカメラの稼働日の合計は、677日で、延べ頭数370の写真を撮影することができました。

    (4)撮影動物
    表のとおり、11種の動物の写真が撮影されました。

    動物名
    撮影延頭数
    イノシシ 98
    ニホンカモシカ 89
    ニホンノウサギ 59
    ツキノワグマ 47
    タヌキ 28
    ニホンザル 16
    キツネ 12
    ホンドテン 11
    ニホンジカ 5
    アナグマ 3
    ハクビシン 2

    370

     

    3.各動物の生息状況

    (1)ツキノワグマ

    ツキノワグマは、47件撮影されました。7月の設置から11月6日まで写り、冬眠期間を経て再び撮影されたのは5月7日でした。調査地の中の沢峠付近は、11月下旬から5月初旬まで積雪があり、単純に積雪期間を冬眠期間とすると、冬眠期間以外の3台のカメラの稼働日が454日で、一台のカメラ(撮影範囲は概ね、水平角60度、距離15m程度)への出現率は0.1回/日あり、かなり高い頻度であると言えると考えられます。
    また、クマは、人との接触を避けるため夜行性が強いとも言われますが、実際には、黎明薄暮(朝夕)によく活動し、本調査地域のような人の活動が稀な地域では夜よりは昼に多く活動するようであり、本調査では、夜の時間帯の活動は、全撮影47件のうちの4件のみと少なく、夕方の時間帯が突出し、また、昼の時間帯の活動も多いことが確認されました。


     
    ④クマ3中の沢峠_1.0
    ツキノワグマの出没時間帯と頻度

    ツキノワグマの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)




    (2)ニホンジカ

    各地で林業被害が問題となっているニホンジカについては、8~10月に計5件(全てオス)が確認されたのみでした。
    移動個体で定着している状況にはないと思われますが、引き続き、モニタリングが重要と考えられます。

     
    ②ニホンジカ4中の沢峠_1.0
    ニホンジカの出没時間帯と頻度
         ニホンジカの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)



    (3)イノシシ

    本地域で撮影された延頭数としては、最も多く撮影された動物種となりました。撮影されたのは、ほとんどが明るい時間帯です。2~3頭の子供を連れた姿が特に8月に多く確認されました。1117日を最後に冬期は撮影されなくなり、積雪の少ない、標高の低い地域に移動したものと考えられます。


      ④イノシシ(子連れ)2中の_1.0
    イノシシの出没時間と頻度
    イノシシの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)



    4)ニホンカモシカ

    積雪期を含めて、通年で確認されました。昼行性とも言われますが、本地域では、昼間・夜間共に多く確認されています。


     
    ②カモシカ1-6ブナ林_1.0
    ニホンカモシカの出没時間帯と頻度
    ニホンカモシカの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)



    (5)ニホンノウサギ

    夜行性で、撮影されたのも全て18時~6時の時間帯でした。積雪期を含め、通年で確認されました。亜種区分としては、夏期は褐色、冬期は冬毛の白色となるトウホクノウサギです。


    ②ニホンノウサギ1柳沢林_1.0
    ニホンノウサギの出没時間と頻度
    ニホンオウサギの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)




    (6)タヌキ

    夜行性と言われることもありますが、人の活動が稀な本地域では、特に午後の時間帯の昼夜共に多く撮影されました。
    1118日を最後に316日まで撮影されなくなり、冬期は穴ごもりに入っていたものと思われます。

      ②タヌキ1中の沢峠_1.0

     タヌキの出没時間と頻度
    タヌキの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)



    (7)ニホンザル

    昼行性で、撮影されたのは7時~19時の明るい時間帯のみです。1213日を最後に撮影されなくなり、冬期は里地に移動したものと思われます。

     
      ②サル1ブナ林_1.0
    ニホンザルの出没時間と頻度
    ニホンザルの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)




    (8)キツネ

    冬眠せず、通年で活動しますが、本地域では、12月~3月の積雪期のみ確認されました。撮影された時間帯は、大半が冬期日没後の17時~21時であり、夜間や早朝にも確認されました。


     ②キツネ3柳沢林道終点_1.0
    キツネの出没時間と頻度
    キツネの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)



    (9)ホンドテン

    夏期は褐色、冬期は黄色で頭部白色になるキテンが、特に積雪期に多く撮影されました。夜行性言われており、撮影された時間帯の多くが夜間でした。

     

     ②ホンドテン1柳沢林道終_1.0
    ホンドテンの出没時間と頻度
    ホンドテンの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)





    (10)アナグマ

    夜行性と言われるアナグマは、夏期の21時~3時の夜間に確認されました。



     ②アナグマ1中の沢峠_1.0-2
    アナグマの出没時間と頻度
    アナグマの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による)



    (11)ハクビシン

    主に夜間に行動すると言われているハクビシンは、夏期の深夜に確認されました。
     ②ハクビシン1中の沢峠_1.0

    ハクビシンの出没時間と頻度
    ハクビシンの出没時間帯(センサーカメラによる撮影による) 

    お問合せ先

    福島森林管理署

    担当者:地域林政調整官 大熊
    ダイヤルイン:024-535-0121
    FAX番号:024-535-6514