合法伐採木材等に関する情報:アメリカ合衆国
(2026年9月28日:全面更新)
| 目次 1. 共通 2. 主要関連法令(連邦法) 3. 合法伐採木材等に関する法令等及びその運用 4. 各州に関する情報 (1)オレゴン州 1)森林及び林業・木材産業の概要 2)関連法令及び運用等 3)持続可能性等に関する取組み (2)ワシントン州 1)森林及び林業・木材産業の概要 2)関連法令及び運用等 3)持続可能性等に関する取組み (3)ミシシッピ州 1)森林及び林業・木材産業の概要 2)関連法令及び運用等 3)持続可能性等に関する取組み (4)連邦林に関する取組 5. 民間の森林認証システム 6. 合法性の確認に活用できる書類の事例 (1)原材料情報(証明書)として活用できる書類(違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いことを証する情報) 1)共通 2)オレゴン州 3)ワシントン州 4)ミシシッピ州 5)連邦林 (2)その他関連情報として活用できる書類(原材料情報や合法性の確認の信頼性を高められる情報) 7. 関連する報告書 |
1. 共通
アメリカ合衆国(以下、「米国」という。)は世界有数の森林資源国である。USDA Forest Service の National Woodland Owners Survey Dashboard によると、アラスカ内陸部を除く米国の森林面積は約2億8,000万haであり、その所有構成は家族・個人37%、企業22%、連邦政府29%、州政府7%、地方政府2%、部族2%です。私有林を合算すると全体の約6割を占めています1。
2023年の主な林産物生産量は、産業用丸太3億4,600万m3、製材品7,800万m3、紙・板紙6,100万t、木材パルプ3,980万tでした2。さらに、米国の森林産業市場レビューでは、2023年のパルプウッド生産量は約1億3,400万m3とされています3。
米国は引き続き世界有数の木材生産国である一方、針葉樹製材品についてはカナダから一定量輸入しています。UNECE/FAO のレビューによると、2023年の米国の針葉樹製材消費量は8,780万m3であり、前年比2.4%減となっています。
2 https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/194c9bc4-554f-4a79-929c-a01fb5534ef2/content(PDF : 12,482KB)〔外部リンク〕
3 https://unece.org/sites/default/files/2023-11/2023-data-brief-pap-final-web_1.pdf(PDF : 386KB)〔外部リンク〕
2. 主要関連法令(連邦法)
- 1976年国有林管理法(the National Forest Management Act of 1976)
- 1976年連邦有地政策管理法(the Federal Land Policy and Management Act of 1976)
- 1990年森林資源保護不足緩和法(the Forest Resources Conservation and Shortage Relief Act of 1990)並びに1993年及び1997年の同法改正法
- 1897年有機管理法(the Organic Act of 1897)
- レイシー法(the Lacey Act)
- 熱帯林・サンゴ礁保全法(the Tropical Forest and Coral Reef Conservation Act)
- 絶滅危惧種法(the Endangered Species Act)
3. 合法伐採木材等に関する法令等及びその運用
米国では、連邦政府が米国全土又は複数の州を対象にした事項及び条約、貿易その他の外国との関係が生じる行為に係る事項を連邦法によって規定し、州は森林その他の資源や林産業を含む事業所の管理を州の個別事案として州法により規定しています。
- 輸入材の合法性確保(レイシー法/熱帯林・サンゴ礁保全法(旧熱帯林保全法))
レイシー法
レイシー法は、違法伐採を減らし、輸出市場における米国産木材の価値を高め、林産業を活性化させることを目的としており、2008年の改正では、木材を含む植物及びその製品が同法の適用対象となりました。このため、植物及びその製品の輸入申告には、従来の輸入申告項目の他に輸入物品の構成要素の説明、輸入物品に含まれる植物の学名(属及び種)、輸送手段、植物の採取国(Country of Harvest)などの項目が加えられました。
また、この改正により、林産物の輸入事業者には外国との取引を行う際のデューケア(注意義務。過失の存在の有無において使われる米国の法的概念)が求められています。過失によるレイシー法違反については、デューケアの実施の有無により罰則が大きく異なるので、罰則を決定するとき又は過失による重い罪を犯さないようにするためのデューケアの実施が重要視されています。デューケアの実施を証明するためには、輸入事業者には外国法を含む法令遵守及びサプライチェーン管理のための手順を備えた規則の確立とその実施が必要とされています。
さらには、「販売」の定義の範囲を拡大し、販売依頼行為もその中に含めています。販売依頼行為に含めるものとしては、物品の販売依頼の他に、ライセンスの提供、ガイド、装備提供その他のサービスの提供及び販売許可の提供があります。
2024年12月にレイシー法フェーズ7が発効しました。これにより、従来から対象とされていた丸太(HTS 4403)、製材(HTS 4407)、単板(HTS 4408)、合板(HTS 4412)、木製家具(HTS 9403)、木製楽器(HTS 9202)などに加えて、これまで申告義務の対象外であった植物及び木材製品が新たな対象になりました。新たに対象が拡大された例としては、木製フレーム(HTS 4414)、木製取手(HTS 4417)、木製刃物柄や工具柄(HTS 4417.00)、木製台座付き履物(HTS 6403.51 / 6405 系)、マッチの天然木軸(HTS 3605.00)、木製の雑貨類(HTS 4421)などが含まれます。また、木材代替素材として流通量が多い竹(HTS 1401.10)、ラタン(HTS 1401.20)、コルク製品(HTS 4503・4504)など植物性素材製品も対象に加わりました。
熱帯林・サンゴ礁保全法(旧熱帯林保全法)
熱帯林保全法は、違法伐採の削減を目的として、違法伐採対策が必要な熱帯林が分布する国と債務取引を行い、債務取引により生み出された資金を債務国の伐採活動の監視、違法伐採対策要員の訓練その他の熱帯林保護事業の支援に利用するための法律です。この法律は、米国への違法伐採木材の流入防止効果をもたらすものとして実施されており、2019年には熱帯林・サンゴ礁保全法と改題されました。
- 保護種に係る法令
米国では、絶滅の危険がある動植物を連邦法である絶滅危惧種法又は各州の州法により保護しています。
絶滅危惧種法は、絶滅の危機に瀕している種及び絶滅危惧種が依存している生態系を保護する手段及びプログラムを提供し、これらの種に該当する動植物の保護を目的とする連邦法です。この法律では、絶滅の危機に瀕している種及び絶滅危惧種に該当する種を決定してリストを作成し、このリストに掲載している種及びワシントン条約その他の米国が批准している国際条約が指定している保護種に係る次の行為を含む禁止行為を規定しています:
- 米国への輸入又は米国からの輸出
- 米国内又は米国領海内での採取又は捕獲
- 公海での採取又は捕獲
- (2)項及び(3)項に違反して捕獲した種の所有、販売、配達、運搬、輸送又は出荷
- 州間もしくは外国間の商取引又は商業活動における配達、受領、運搬、輸送又は出荷
- 州間もしくは外国間の商取引での販売又は販売依頼
4. 各州に関する情報
(1) オレゴン州
1)森林及び林業・木材産業の概要
オレゴン州は、豊富で多様な森林資源に支えられた米国屈指の木材生産地域です。森林面積は約12百万haあり、同州の約49%が森林に覆われています。また、森林は所有者別に連邦林が60%、州有林が4%、私有林が35%を占めています。州内の森林は地域により樹種構成が異なり、西部では高品質構造用材として評価の高いダグラスファー(ベイマツ)が優占し、東部では乾燥条件に適応したポンデローサパインが広がります。南西部には針葉樹と広葉樹が混在する混交林が見られ、これら地理的特徴が州内の木材供給形態と製品の多様化を支える基盤となっています。
オレゴン州の所有者別の森林面積の割合
| 連邦林 | 州有林 | 私有林 |
|---|---|---|
| 60% | 4% | 35% |
注:構成比は四捨五入により算出しているため、合計が100%と一致しない。
(出典:USFS (2025) Forest Inventory and Analysis One-Click Snapshot)
こうした資源条件に支えられ、オレゴン州は長年にわたり針葉樹製材品及び構造用合板の生産量で全米第1位を維持しています。2024年における同州の針葉樹材の生産量は約1,203万m3であり、これは米国全体の生産量の約14%を占めています。また州内では集成材や直交集成板(CLT)など高付加価値木質材の製造が行われており、米国内で稼働するエンジニアードウッド77工場のうち18工場がオレゴン州に所在します。さらに、州内で生産される木材・木材製品の約75%が州外へ販売されており、同州は米国西海岸の物流拠点(タコマ港、シアトル港等)に近接する地理的優位性を生かし、国内外の市場へ広く木材を供給しています。
一方、近年の森林火災は森林資源及び林産業の持続性に深刻な影響を与えています。特に2024年には約77万ha以上が焼損し、過去30年間で最も焼損面積の大きい森林火災となりました。2020年には主として森林火災により約44万haが焼損しています。こうした状況を踏まえ、オレゴン州では後述の「20カ年ランドスケープ・レジリエンス戦略」など、森林火災の拡大を抑制する対策を実施しています。州、連邦、部族政府、民間事業者が協働する体制の下、森林の防火管理を重視した長期的な森林整備が進められています。
2)関連法令及び運用等
オレゴン州の森林管理及び木材生産に係る主要法令には、オレゴン森林施業法(Oregon Forest Practices Act: OFPA)(以下、「森林施業法」という。)があります。同法は、森林の継続的な育成・伐採を確保しつつ、水源、土壌、生物多様性等の公益的機能の保全を図ることを目的としています。
近年、オレゴン州の私有林における水生生物の生息環境の保全、水質維持、土砂流出防止及び生態系保全といった観点からこれまでの規則を強化するため、林業関係団体と環境・漁業団体との協議を経て、2020年に私有林協定(Private Forest Accord:PFA)が形成され、2021年10月に合意内容が確定しました。この合意を受けて、2022年には上院法案等が成立し、森林施業法に基づく森林施業規則は包括的な改定が行われました。これら改正は、2024年1月1日に全面的に施行されました。これらを受けて、オレゴン州林業省(Oregon Department of Forestry:ODF)は、最新の法令・規則集(Forest Practice Administrative Rules and the Oregon Forest Practices Act(2024年1月版))を公表しています。
- 森林施業報告・電子申請システム(Forest activity Electronic Reporting and Notification System: FERNS)
私有林における施業申請は、森林施業報告・電子申請システム(Forest activity Electronic Reporting and Notification System: FERNS)〔外部リンク〕で管理・運用されています。FERNSは森林施業申請及び許可(Notification of Operation /Permit: NOAP)の処理を効率化し、申請内容の透明性と公的レビューの促進を目的としています。FERNSは申請処理の効率化に貢献しており、申請書類の処理を体系化し、ODF内部だけでなく関係機関や一般ユーザーによる確認・検証が可能です。また、情報共有と透明性の確保にも貢献しており、システムが一般公開され、申請内容を確認できる検索機能も提供され、申請ID番号や申請された森林施業情報の検索が可能なシステムになっています。

FERNSに登録された森林施業情報が地図上のポリゴンから確認できる

森林施業の個別情報

FERNSに登録された森林施業の概要
図 FERNSの操作画面(キャプチャー)
3)持続可能性等に関する取組み
同州では、森林管理に関し火災リスク軽減、水質・魚類生息地保全、小規模森林所有者支援、税制インセンティブ等の制度が併存しています。森林の所有形態や規模、重点資源(水質、生息地、経済的持続性等)に応じて制度の適用に濃淡を付け、州のミッションである「環境・経済・コミュニティの持続可能性の向上」と整合する形で運用されています。
- 20カ年ランドスケープ・レジリエンス戦略(20-Year Landscape Resiliency Strategy)
ODFは、森林・草地の健全性と山火事リスク低減を目的とし、20カ年ランドスケープ・レジリエンス戦略を策定しています(2022年策定、2042年までの20年間)。対象は州内の高危険度地域約525万haで、間伐、可燃物除去、計画的火入れ、外来種の除去、火災後の森林再生などを組み合わせ、ランドスケープでレジリエンスを高めることを目指しています。優先地域は、森林・草地の健全性、森林と市街地の接点などに基づき選定されます。
- 西オレゴン州有林生息地保全計画(Western Oregon State Forests Habitat Conservation Plan:HCP)
ODFは、州有林における絶滅危惧種法(Endangered Species Act: ESA)の遵守と、森林管理の長期的安定性を確保する必要から、カスケード山脈以西の州有林約26万haを対象とし、70年間にわたり生息地保全と木材生産の両立を図る枠組みとしてHCPの策定を進めています。ODFは、本計画を実施するために必要な許可(Incidental Take Permit:ITP)を取得するべく、米国海洋大気庁・国立海洋水産局及び米国魚類野生生物局に申請しており、この許可が取得できれば州有林での伐採、再造林、林道管理等の施業に本計画を適用可能になります。本計画の最終確定とITP取得については、2027年末までと予定されています。
- 小規模森林水域生息地投資プログラム(Small Forest land Investment in Stream Habitat:SFISH)
SFISHは、2024年に施行された小規模森林所有者向けの助成制度であり、魚類生息環境の改善と林道に起因する自然資源リスクの低減を目的としています。助成率は最大100%で、老朽化したカルバート(通水管)、廃道、通過障害の除去・改善など、魚類の遡上・移動に影響する構造物の改良が対象となります。SFISHはODFが管轄し、州魚類野生生物局と連携して運用されます。
- 森林保全税額控除制度(Forest Conservation Tax Credit)
森林保全税額控除制度は、SFISH同様2024年に施行された税制優遇制度であり、小規模森林所有者が渓流沿いの森林を渓畔管理区域(RMA)のうち森林保全区域で50年間伐採を行わないことを同意した場合に、当該区域の価値減少分を州所得税等から控除する仕組みです。この制度は、ODFとOregon Department of Revenue(ODR)が共同で運用し、森林保全措置によって生じる経済的損失の一部を補填することを目的としています。
- ポートランド国際空港新ターミナル建設にあたっての木材調達
ポートランド国際空港では2024年8月に新メインターミナルが供用開始となり、約3.6haの木造屋根を備えた世界最大級のマスティンバー空港ターミナルが完成しました。改修に用いた木材は約8,700m3で、主に屋根・天井格子・内装材に活用されています。
港湾局は「Forest to Frame」を掲げ、木材の調達先を森林まで追跡できることと地域材の活用を重視し、使用材はすべて空港から半径約480km以内のオレゴン州・ワシントン州産としています。屋根構造のマスティンバーだけでも約7,800~8,300m3に達します。木材調達は、6年以上の協議を経て、使用材の約72%をFSC認証材等とされています。供給源には先住民部族林のほか、小規模家族林、大学演習林、NPO所有林等が含まれ、地域社会への経済還元も意図されています。さらに、山火事被災地のサルベージ材や都市部の倒木由来のオレゴンホワイトオークを内装材として再利用するなど、災害木・リサイクル材の活用も行っています。ターミナル内には「Where’s the Wood From?」の案内板が設置され、木材の産地と使用箇所を示すことで空港利用者への教育効果も狙っています。


ポートランド国際空港の様子
(2) ワシントン州
1)森林及び林業・木材産業の概要
ワシントン州は、米国北西部に位置し、東西を分けるカスケード山脈から西の温暖な海岸域と、内陸部の乾燥した森林地域の両方を含む多様な森林資源を有しています。その森林面積は約930万haで、うち約47%が作業林(Working Forest)として管理されており、再植林や間伐、下刈りを継続的に行うことで持続的利用が図られています。残りの53%は採取制限区域(Restricted Forest)として保護されています。森林所有者別の面積割合では、連邦林が44%、州有林が14%、私有林が42%となっています。
ワシントン州の所有者別の森林面積の割合
| 連邦林 | 州有林 | 私有林 |
|---|---|---|
| 44% | 14% | 42% |
注:構成比は四捨五入により算出しているため、合計が100%と一致しない。
(出典:USFS (2025) Forest Inventory and Analysis One-Click Snapshot)
2024年の針葉樹生産量は約944万m3であり、規模としては全米第2位を誇ります。木材産業は雇用総数が約102,300人、賃金総額56億ドル、税負担額301百万ドルと、州全体の製造業に占める比重は約11%あり、重要な産業セクターです。ワシントン州の木材生産は、私有林、州有林、部族林、連邦林等の複数の所有区分から供給されています。USFS(Pacific Northwest Research Station)の報告によると、2020年のワシントン州における伐採量の内訳は、私有林・部族林が73%、州有林が21%、連邦林が5%、その他の公有林が1%となっています。
2)関連法令及び運用等
ワシントン州では、州有林・私有林を問わず、伐採等の森林施業は州法(Forest Practices Act: FPA)及び施行規則(Forest Practices Rules: FPR)に基づく申請・審査を経て実施されます。また州有林の木材販売は、州法上の信託地管理の枠組みの下で、州機関である天然資源局(Department of Natural Resources: DNR)が入札・契約を通じて実施されます。
- 森林施業申請レビューシステム
州有林及び私有林における施業申請の管理は森林施業申請レビューシステム(Forest Practices Application Review System: FPARS)〔外部リンク〕において管理・運用されています。FPARSは同州の森林施業申請及び届け(Forest Practices Application and Notification: FPA/N)の処理を効率化し、申請内容の透明性と公的レビューの促進を目的としています。
FPARSは申請処理の効率化に貢献しており、申請書類の処理を体系化し、DNR内部だけでなく関係機関や一般ユーザーによる確認・検証が可能です。また、情報共有と透明性の確保にも貢献しており、システムが一般公開され、申請内容を確認できる検索機能も提供され、申請ID番号や申請された森林施業情報の検索が可能なシステムになっています。なお、同システムは2026年以降にfpOnlineとしてリニューアルが予定されています。現行のFPARSは、紙ベースのFPA/NをDNRに提出する必要がありますが、fpOnlineの稼働後はFPA/Nの電子的な記入、作成、地図の添付、署名、そして手数料の支払い等がオンライン上でも可能になるとされています。
FPARSを補完し地図上から施業地を検索できる森林施業申請地図ツール(Forest Practices Application Mapping Tool: FPAMT)〔外部リンク〕も公開されています。地図上の任意の場所にある施業地から施業ID、申請書PDF、面積、施業の有効期間等の申請情報を抽出することができます。

森林施業申請レビューシステム(FPARS)の検索画面

森林施業申請地図ツール(FPAMT)の検索画面
- 持続的伐採可能量(Sustainable Harvest Level)の算定と統制
DNRは、州有林において「持続的伐採可能量(Sustainable Harvest Level)」を設定し、長期的に森林資源が維持される水準で木材生産を行う管理を実施しています。この制度は、持続的収穫の概念に基づき、一定期間(通常10年間)伐採可能量を科学的に算定し、天然資源委員会の承認を得ることを義務付けています。算定にあたっては、森林資源量、成長量、生態系保全、社会的要請などを総合的に考慮し、短期的な収益最大化ではなく、将来世代への森林資源の継承を重視した管理が行われています。
- 州有林における生息地保全計画
DNRは、州有林での森林施業と希少種保全を両立させるため、連邦絶滅危惧種法に基づく生息域保全計画を策定・運用しています。州有林のHCPは、マダラフクロウやサケ類など保護対象種の生息地を長期的に維持・回復することを目的とし、施業制限区域の設定、河畔林帯の保全、成熟林・老齢林の配置計画などを組み込んだ「生態系ベースの森林管理」を特徴としています。このHCPにより、DNRは木材生産を継続しながら、法令遵守と生物多様性保全の両立を図っており、州有林管理の持続可能性を制度的に担保しています。
- 民間伐採業者・森林所有者による再造林と認証制度への対応
私有林においても森林施業法(Forest Practices Act: FPA)に基づき、伐採後の再造林が義務付けられています。原則として伐採後3年以内に更新を完了する必要があり、州内の森林所有者は年平均約5,200万本の苗木を植栽しています。さらに、多くの伐採業者や森林企業はSFIなどの森林認証制度を取得し、法令遵守に加えて自主的な環境配慮や社会的責任の強化を進めています。これらの取組みにより、民間主体による木材生産においても、長期的な森林資源の維持と市場からの信頼確保が図られています。
(3) ミシシッピ州
- 木材産業の概要
ミシシッピ州の林業(木材産業)は州経済の基幹部門の一つです。経済規模は年間2兆4,264億円に達し、州内雇用者数は68,000人以上に上ります。州の約63%にあたる約780万haが森林で、うち連邦林は約9%、州有林は約3%、そして約89%は私有地で占められています。
ミシシッピ州の所有者別の森林面積の割合
連邦林 州有林 私有林 9% 3% 89% 注:構成比は四捨五入により算出しているため、合計が100%と一致しない。
(出典:USFS (2025) Forest Inventory and Analysis One-Click Snapshot)豊富な森林資源に支えられた林産業は、州内総製造業GDPの約14.9%を占める最大級の製造業分野であり、農業・林業分野でも木材は家畜に次ぐ第2位の主要物品となっています。ミシシッピ州は100を超える製材所・合板工場・製紙工場等の木材加工施設が州内に点在します。製材用丸太、パルプ用材、合板用単板など用途別の原木生産量が豊富で、加工工場では電柱、敷板、製材品、合板、パレット、木質ペレットなど多様な製品が製造されています。高度な製材設備と持続可能な森林経営に取り組む伐採従事者により、州の林産業は安定した供給体制と高付加価値化を実現しています。
- 木材流通・貿易の特徴
ミシシッピ州は国内需要に加えて輸出市場にも木材製品を供給しています。2023年には州の林産物輸出額は合計約1,733億円に達しました。輸出品目には製材品、パルプ・紙製品、家具、木質燃料などが含まれ、特に「木材製品(木材そのものや一次加工品)」分野では日本が2023年の主要な輸出相手国であり、輸出額約110億円を占めたほか、メキシコやドミニカ共和国、カナダ、英国なども有力な輸出先です。紙・パルプ製品はメキシコや中国、家具はカナダ向けが多く、ミシシッピ州からの木材関連製品の輸出先は多岐にわたります。木質ペレットなどエネルギー用途の森林資源も欧州向けに出荷されており、例えば2023年には欧州の需要増によりミシシッピ州からオランダへの木質ペレット輸出量が前年より6倍以上に急増しました。総じて、州の木材産業は国内市場向けのみならず輸出市場向けに成立しており、特に主要輸出品であるサザンイエローパイン(Southern Yellow Pine)材を中心に海外市場と強く結びついています。
ミシシッピ州における木材及び木材製品に関係する森林・林業関係機関は次表の通りです。
表 ミシシッピ州における森林・林業関係機関
分類 機関名 概要 和名 英名 行政 ミシシッピ州林業委員会 Mississippi Forestry Commission (MFC)〔外部リンク〕 ミシシッピ州の森林行政を担う中核機関。森林管理、森林火災対策、病虫害対策、私有林の管理支援などを通じて、州内の森林資源の健全な維持と林業振興を担う。 ミシシッピ州環境品質局 Mississippi Department of Environmental Quality (MDEQ)〔外部リンク〕 州の環境行政機関。水質・大気・廃棄物管理などを所管し、森林活動が環境に与える影響について他機関と連携して管理を行う。 業界団体 ミシシッピ林業協会 Mississippi Forestry Association (MFA)〔外部リンク〕 森林所有者や林業関連事業者を会員とする業界団体。林業振興、情報共有、政策提言などを行う。 ミシシッピ伐採事業者協会 Mississippi Loggers Association(MLA)〔外部リンク〕 伐採事業者を中心とした団体。安全教育や技能向上、業界内の連携強化を目的としている。 ミシシッピ木材製造業者協会 Mississippi Lumber Manufacturers Association(MLMA)〔外部リンク〕 製材・木材加工業者の団体。業界情報の共有や市場動向の把握、会員支援を行う。 ミシシッピ製紙協議会 Mississippi Paper Council パルプ・製紙関連企業で構成される団体。業界の共通課題への対応や情報発信を担う。 研究・教育 ミシシッピ州立大学 Mississippi State University (MSU)〔外部リンク〕 州を代表する総合大学で、林学分野では教育・研究の中心的存在。森林経営、木材利用、野生生物管理など幅広い研究を行う。
- 伐採に関する許認可制度及び書類の概要
ミシシッピ州では私有林における商業的な森林伐採を行う際、州政府による包括的な事前許可制度(いわゆる伐採申請や許可証等)は設けられていません。土地所有者は登録林業士(Registered Forester)などの専門家に依頼して森林管理計画を立て、伐採事業者と契約を結んだ上で伐採を行うのが一般的です。MFCは私有林の売買そのものには関与しませんが、森林管理の助言や技術支援を提供しています。
- コンプライアンスと法執行
ミシシッピ州では、違法伐採や環境違反に対する法的な取り締まりと、事業者の任意の遵守を前提とした水質保全の枠組みが併存しています。
水質保全については、州林業委員会(MFC)が森林施業向けの最適管理手法(Best Management Practices: BMP)を策定し、その普及と遵守状況の監視を担っています。BMPは法的強制力を持たないガイドラインであり、遵守は事業者の任意とされていますが、森林施業でBMPを実施すれば連邦水質浄化法の要求を満たすものと認められています。森林資源の窃盗や無断伐採に対しては厳しい法執行が行われます。ミシシッピ州法では他人の土地から許可なく木材を伐採・搬出する行為を犯罪と定めており、被害額が250ドル以上の場合は重罪として起訴され得ます。州農業・商務省(Mississippi Department of Agriculture and Commerce: MDAC)に設置された農業・家畜盗難局には専任の捜査官が配置され、家畜や農産品とともに木材盗難の取締りも主要任務となっています。こうした法令の整備と執行により、ミシシッピ州では森林の伐採段階におけるコンプライアンスが維持され、資源の違法な流出防止と環境保全が図られています。
- 木材の流通段階における法令等
■ 木材及び木材製品の輸送
伐採後の木材を市場や加工施設まで運搬する段階では、主にトラック輸送に関する規制が適用されます。米国では一般的に高速道路上の車両総重量は約36トンまでと連邦法で定められていますが、ミシシッピ州では一定の条件下で10%の重量超過を認める収穫許可と呼ばれる輸送許可を設けています。
- 最適管理手法(BMP)の普及
ミシシッピ州では、森林施業による伐採・搬出・林道造成等に伴う土砂流出や水質への影響を抑えるため、最適管理手法(BMP)を州の枠組みとして整備し普及しています。MFCは林業向けBMPの手引きを整備し、州内の現場指導・教育を通じ、森林の生産性と水環境の両立を図る取組みを実施しています。
- 計画的火入れによる森林の健全化
ミシシッピ州では、可燃物(下層植生等)の管理、森林の健全性向上、生態系維持等を目的に、計画的火入れ(Prescribed fire)を森林管理手段として位置づけています。MFCは、計画的火入れが「より健全で生産的な森林」につながる管理手法であると説明しています。法令面ではMississippi Prescribed Burning Actにより、一定条件下での実施や責任の考え方を規定しています。
- フォレスト・ステュワードシップ・プログラム(私有林の総合管理支援)
私有林所有者が森林を長期的・多面的に管理できるよう、MFCはForest Stewardship Programを実施しています。USFSが資金提供し、MFCが運営する制度で、州・連邦・民間の専門家が技術支援を行っています。森林資源だけでなく、野生生物・水・土壌等を統合的に考えつつ、木材生産支援を中心とした管理計画づくりや実践を後押しします。所有者の自主的管理を底上げすることで、持続可能な資源利用の土台を形成する取組みです。
- 森林所有者等への保全支援・資金助成
米国農務省自然資源保全局はミシシッピ州で環境品質インセンティブプログラムを運用しています。同プログラムは農業者に加えて非産業私有林の管理者にも、保全実践のための資金支援と技術支援を提供しています。サイト整備、侵食対策、植栽・間伐、森林管理計画等の保全プラクティス導入を後押しし、土地生産性と自然資源保全の両立を狙っています。任意参加型の支援制度として、持続可能な森林経営の実装を促進しています。
- SFI州実施委員会による教育・普及
ミシシッピ州では、SFIの州実施委員会が、土地所有者・伐採業者・製材等を含む関係者の協力を前提に、持続可能な森林経営の教育・普及を進めています。SFIは第三者認証の枠組みを提供し、州内では研修やアウトリーチを通じて実践を支えています。SFI本体は独立非営利として基準の維持・改善を担い、州側の委員会活動が地域実装を補完する構造です。
(4) 連邦林に関する取組
米国では、各州の州有林及び私有林に加え、連邦林でも木材生産が行われています。連邦林における立木の販売は、USFS(米国農務省山林局)及び BLM(米国内務省土地管理局)の2機関がそれぞれ独立して、入札により実施しています。両機関は販売目的が異なっており、USFSが森林管理の一環として立木販売するのに対し、BLMは米国の連邦資産売却の一環として立木販売を行います。両機関による立木販売に関する合法性の確認に活用できる書類の事例は、次項(6.合法性の確認に活用できる書類の事例)で記載します。
5. 民間の森林認証システム
米国では、FSC(Forest Stewardship Council)並びにSFI(Sustainable Forestry Initiative)及びATFS(American Tree Farm System)による森林認証が行われています。この内、SFIは2005年12月に、ATFSは2008年8月にPEFCの承認を受けています。PEFCの統計(2024年3月時点)によれば、米国のPEFC認証林面積は3,297万886haであり、その内訳はATFSによる認証が496万4,560ha、SFIによる認証が2,800万6,326haであります4。また、PEFCのCoC認証取得件数は、2024年3月時点で241件あります4。 FSCにおいては、2026年3月1日時点において、約1,495万ha、CoC認証取得件数は1,967件が登録されています5。
- オレゴン州
州内の私有林のうち約203万ha(私有林の約46%)において民間の森林認証制度(FSC・SFI・ATFS)が取得されており、森林面積ベースではSFIが約80%、ATFSが約10~20%、FSCが3~4%程度を占めています。
これとは別に、州は木材の供給源を分類する国際規格ASTM D7612に基づき、州法である森林施業法の適用を受ける州内の森林について「責任ある供給源(Responsible Source)」の認証を取得しています。 - ワシントン州
同州の森林のうち、連邦林を除いた面積の約74%が民間の森林認証制度(FSC・SFI・ATFS)を取得しており、SFI認証が約3.3百万haと最も多く、ATFSが約16.5万ha、FSCが約17万ha、SFIとFSCのデュアル認証が約7.1万haとされています。
DNRによって管理される州有林は、管理下にある林地全域について2022年にSFIの森林管理認証を取得しており、このうち約71,200 haはFSCの認証も取得しています6。 - ミシシッピ州
ATFSは州内2,904件が登録され、総面積は約51.8万haあります。一方、工場や大規模商業林を対象とするSFIも林業企業や製材会社を中心に導入が進んでいます。FSCの取得率等は確認できていませんが、FSC認証の取得企業/者の検索サイトFSC Searchにおいては、2025年12月時点で60事業体が登録されています。
5 https://connect.fsc.org/monitoring-and-evaluation/monitoring-fscs-reach〔外部リンク〕
6 https://dnr.wa.gov/product-sales-and-leasing/timber-sales/forest-certification〔外部リンク〕
6. 合法性の確認に活用できる書類の事例
(1) 原材料情報(証明書)として活用できる書類(違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いことを証する情報)
| 森林認証制度に基づく木材に対する証明(例:商業送り状(Commercial Invoice))(PDF : 545KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | 木材輸出業者 |
| 被発行者 | 第1種木材関連事業者 |
| 発行方法 | 発行者及び第1種木材関連事業者との間の取引において発行される。 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種△、伐採国△ *記載内容は、輸出業者と第一種木材関連事業者との間の合意が前提であることから、記載されるケースがある。 |
| その他 |
|
| 木材売買契約(Timber Sale Contract)(PDF : 1,980KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | ODF |
| 被発行者 | 契約者 |
| 発行方法 | ODFと契約者双方の署名をもって契約が成立・発効 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種〇、伐採国〇 |
| 森林施業申請(Notification of Operation / Permit to Use Fire or Power-Driven Machinery, NOAP)(PDF : 101KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | 伐採及び造林をする者 |
| 被発行者 | 申請された森林を管轄するODF地域事務所 |
| 発行方法 | 施業開始の15日以上前に原則電子方式でODFに通知 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種△(様式上入力項目がなく、任意記載)、伐採国〇 (樹種は、様式上の「Operation Name」「Units / Activities / Operators」等の項目で記載事例有) |
https://apps.odf.oregon.gov/Divisions/management/asset_management/prospectus.asp〔外部リンク〕
| 木材製品の売買証書及び契約(Bill of Sale and Contract for Forest Products)(PDF : 1,315KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | Department of Natural Resources |
| 被発行者 | 入札の落札者 |
| 発行方法 | 一般入札の落札後に締結。標準的な契約確認期間として10日間が適用される。 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種〇、伐採国〇 |
| 森林施業申請(PDF : 1,729KB)/届け出及びその決定通知(PDF : 1,144KB)(FPA/N及びNotice of Decision) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | Department of Natural Resources |
| 被発行者 | 林業事業体、土地所有者 |
| 発行方法 | FPA/N及び施業地の地図を添付したものをDNRに書面で提出。DNRは受理後30日以内に申請について承認、条件付き承認、不承認の決定を行う。なお2026年4月からfpOnlineの利用開始により、オンラインベースで申請から手数料の支払いまで実施できるようになる予定 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種×、伐採国〇 |
| 林産物販売契約書(Forest Products Sale Contract)(PDF : 2,323KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | 公有林の所有主体(School District、Municipality, County等) |
| 被発行者 | 入札の落札者 |
| 発行方法 | 一般入札の落札後に締結される。州法で発行期限に係る規定はないが、およそ10~30日以内である。 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種〇、伐採国〇 |
| 森林所有者と伐採事業者の間で交わされる契約書(Timber Cutting Agreement)サンプル(PDF : 2,308KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | 森林所有者 |
| 被発行者 | 伐採事業者 |
| 発行方法 | 森林所有者と伐採事業者間の合意に基づく |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種〇、伐採国〇 |
| 米国農務省森林局 木材売買契約書(PDF : 1,250KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | USFS |
| 被発行者 | 契約者 |
| 発行方法 | USFSと契約者双方の署名をもって契約が成立・発効 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種〇、伐採国〇 |
| 内務省土地管理局 木材売買契約書(PDF : 1,000KB) | |
|---|---|
| 概要 |
|
| 発行者 | 土地管理局(Bureau of Land Management) |
| 被発行者 | 契約者 |
| 発行方法 | BLMと契約者双方の署名をもって契約が成立・発効 |
| 樹種、伐採国の情報 | 樹種〇(契約書本体ではなく別添B)、伐採国〇 |
(2) その他関連情報として活用できる書類(原材料情報や合法性の確認の信頼性を高められる情報)
これらの書類はクリーンウッド法に基づく原材料情報(証明書)には該当しませんが、樹種や伐採地が記載されていたり、製品名やサプライチェーンに関与した事業者を特定できることから、合法性確認に活用できる可能性があります。
| No. | 英名 | 和訳 | 発行者/申請者 | 被発行者 |
| 1 | Yard Ticket | 集積場チケット | 森林所有者、木材加工業者 | 木材加工業者 |
| 2 | Commercial Invoice (森林認証の主張が付されていない場合) |
商業送り状 | 木材輸出事業者 | 第1種木材関連事業者 |
| 3 | Packing list | 梱包リスト | 木材輸出事業者 | 第1種木材関連事業者 |
| 4 | Insurance | 保険証書 | 保険会社 | 木材輸出事業者 |
| 5 | Bill of Lading(B/L)/Sea Waybill | 船荷証券 | 運送業者又は代理店 | 木材輸出事業者 |
| 6 | Electronic export Information (EEI) | 電子輸出情報 | (申請)輸出事業者 (発行)U.S. Customs and Border Protection(税関) |
輸出事業者 |
| 7 | Phytosanitary Certificate | 植物検疫証明書 | (申請)輸出事業者 (発行)U.S. Department of Agriculture |
輸出事業者 |
| 8 | EXPORT/RE-EXPORT OF PLANTS (CITES) | 植物輸出/再輸出(CITES) | (申請)輸出事業者 (発行)U.S. Department of the Interior |
輸出事業者 |





