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合法伐採木材等に関する情報:スウェーデン

スウェーデン

注 国別情報については、平成30年度、令和元年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

リスク低減に関する事例等についてはこちら

木材等の生産及び流通の状況

スウェーデンは国土の3分の2(約2,800万ha)が森林に覆われており、森林は重要な天然資源のひとつです。人工林面積は約1,300万haで、その8割は針葉樹です。

スウェーデン国内の近年の年間伐採量は約7,200万~7,500万m3で推移しています。スウェーデンの生産林の面積は世界の生産林の1%足らずですが、スウェーデンはグローバル市場で取引される製材、パルプ、紙の1割を生産しています。2017年の林産物の輸出量は製材1,315万m3、パルプ332万トン、紙・板紙999万トンとなっており、製材と紙では世界3位、パルプでは世界7位にあたります。また、スウェーデンの2016年の木材製品の輸出価額は149億USドルで、スウェーデンの全輸出価額の10.7%を占めています。

我が国の2017年の製材の輸入先国としては、カナダ、ロシア、フィンランドに次ぐ第4位となっており、輸入量は82万m3です。

このように、林業・林産業はスウェーデン経済にとって重要な位置を占めており、特に輸出産業としての性格を強く持っています。

スウェーデンの林産物の近年の輸入量は、年間1,000万~1,200万トンとなっており、主要な輸入先国はノルウェー(3割強)をはじめとしたEU加盟国です(6割弱)。割合は少ないものの、ロシアからも約5%輸入されており、主な品目は製材、パルプ・チップ等です。

合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

政府による合法性保証(証明)・確認システム

スウェーデンの森林法によれば、森林所有者は、伐採を行う予定の0.5ha以上の区域における伐採計画について6週間前にスウェーデン林野庁に報告する義務があり、「木材収穫通知」という形式で提出します。木材収穫通知は手紙・メールまたはスウェーデン林野庁ウェブサイトのオンラインフォームから提出できます。その後、スウェーデン林野庁が申請を受領すると、規則が守られているか、その地域で保護する必要があるものがあるか確認を行い、必要であれば申請者に連絡をとり指導、もしくは不許可とすることがあります。申請者は、通知から6週間以内にスウェーデン林野庁から連絡がなければ伐採を行うことができます。

また、山岳地の森林や特定の広葉樹(noble broad tree:ニレ、トネリコ、シデ、ブナ、カシ、サクラ、シナノキ、カエデ類)を伐採しようとする場合は、スウェーデン林野庁からの伐採許可が必要となります。

施業規制として、主伐後の3年以内の更新(人工または天然)が義務付けられており、十分な数・蓄積の稚樹がない場合は補植が求められます。また、一定の林齢までは主伐が禁止されています。さらに、届出された伐採面積の10%は希少動植物種の保護や老齢木を残置することなどの配慮を行うことが求められています。

売買を目的としてスウェーデンで収穫された木材(丸太、パルプ材、チップ等)は、品質や量を測定することを木材測定法(2014:1005)で規定されています。この法律は、木材の価格を決定し、その価格が適正かどうかを判断するための平等な機会を売り手と買い手に与えることを目的としています。木材の測定は独立機関(BIOMETRIA)によって実施されており、測定結果を保存し、木材の売り手・買い手に通知することが規定されています。

BIOMETRIAは公平な第三者機関として売り手・買い手の両方から所有されており、管轄官庁からの監査も受けます。スウェーデンのほとんどの供給木材はBIOMETRIAによって測定され、木材報告システム(VIOL)に登録されるため、国産材については木材の伐採地から加工工場までの経路を把握することができます。

スウェーデン国内で生産される木材のスウェーデン国内の輸送に関しては、あらゆる商品に関連する商業輸送の一般的なライセンスを除いて、特定の法的要件はありません。

EU域外からの輸入については、EU木材規則(EUTR)に従って、EU市場へ木材製品を輸入する事業者はデューデリジェンスを実施する必要があります。また、取引事業者は製品の納入元・納入先事業者を特定し記録を保存する必要があります。管轄官庁はスウェーデン林野庁です。EU木材規則に対応する国内法に、木材と木材製品の貿易に関する法律(2014:1009)があり、管轄官庁が必要に応じて検査・管理、禁止・差止命令の措置をとることができると定められています。なお、違反時には企業の収益に応じた罰金が科されます。また、スウェーデンで収穫された通常の商業用木材について、輸出許可は必要ありません。

民間による合法性確保の取組み

EU域外から木材を輸入する企業は大手企業が多く、コンプライアンスを非常に重視し、十分なDDSを構築している傾向にあります。DDSの基本方針を自社の行動規範や調達基準に取り入れることで運用のベースとしている事例が多いようです。

サプライヤーからの情報収集は自社で独自にシステムを構築し、サプライヤー自らシステムに情報を入力することで効率的に実施している例があります。また、リスク評価は、サプライヤーの過去の実績や、各国政府が公開している情報、NGOが公開している情報等を参考にして実施されています。

主なリスク低減手法としては、書類・現地監査、信頼できるサプライヤーの選定または誓約の締結、森林認証の活用等が実施されています。

例えば、ある企業では全サプライヤーに対し定期的に書類監査・評価を行い、必要に応じて現地監査が行われます。サプライヤーは契約時に調達基準の遵守、および自らもデューデリジェンスを実施することについて誓約することが求められます。また、森林認証の取得率を高めることで全体的な信頼性の担保としています。

主要関連法令

伐採規制関連

  • 1979年第429号 林業法(Forestry Act 1979:429)
  • 1993年第1096号 林業規則(Forestry Regulation 1993:1096)
  • 2013年第3号 スウェーデン林野庁規則(Regulation SKSFS 2013:3)
  • 2011年第7号 スウェーデン林野庁規則(Regulation SKSFS 2011:7)
  • スウェーデン環境規定(Swedish Environmental Code)
  • 2007年第845号 種の保護に関する規則(Regulation on protection of species 2007:845)

木材輸送関連

  • 2014年第1005号 木材測定法(Timber measurement Act 2014:1005)
  • 2014年第1006号 スウェーデン林野庁規則(Regulation of the Swedish Forest Agency 2014:1006)
  • 2014年第1009号 木材及び木材製品貿易法(Law on Trade with Timber and Wood products 2014:1009)
  • 1996年12月9日付 貿易規制による野生動植物種の保護に関する欧州理事会規則No.338/97(Council Regulation (EC) No 338/97 of 9 December 1996 on the protection of species of wild fauna and flora by regulating trade therein)

EUTR関連

  • 木材・木材製品を市場に出荷する事業者の義務を定める2010年10月20日付欧州議会及び欧州理事会規則(EU)No.995/2010【注:通称「EU木材規則」】(Regulation (EU) No 995/2010 of the European Parliament and of the Council of 20 October 2010 laying down the obligations of operators who place timber and timber products on the market)
  • EU木材規則に定めるモニタリング機関の認定及び認定取消の手続規則に関する2012年2月23日付欧州委員会委任規則(EU)No.363/2012(Commission Delegated Regulation (EU) No 363/2012 of 23 February 2012 on the procedural rules for the recognition and withdrawal of recognition of monitoring organisations as provided for in Regulation (EU) No 995/2010 of the European Parliament and of the Council laying down the obligations of operators who place timber and timber products on the market)
  • EU木材規則に定めるデューデリジェンスシステム及びモニタリング機関の検査の頻度と性質についての詳細規則に関する2012年7月6日付欧州委員会実施規則(EU)No.607/2012(Commission Implementing Regulation (EU) No 607/2012 of 6 July 2012 on the detailed rules concerning the due diligence system and the frequency and nature of the checks on monitoring organisations as provided for in Regulation (EU) No 995/2010 of the European Parliament and of the Council laying down the obligations of operators who place timber and timber products on the market)

関係行政機関一覧

名 称 主な業務
林野庁
(Swedish Forest Agency)
木材収穫通知の受理・検査。伐採、製材、植物の管理のモニタリング。輸入木材の検査。林業部門全体の生産能力の強化。森林調査。
環境保護庁
(Swedish Environmental Protection Agency)
自然環境の保護。種の保護に関する規制。

その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

民間の森林認証スキーム

Forest Stewardship Concil(FSC)による森林管理(FM)認証が、スウェーデン国内の森林のうち1,337万ha(2019年3月時点)、Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes(PEFC)によるFM認証が1,592万ha(2018年12月時点)をカバーしています。重複面積は1,120万haあるとされているため、重複を除いたFSC認証とPEFC認証の認証面積の合計は1,809万haとなります。これは、スウェーデンの森林面積の約64%、生産的森林の約82%にあたります。

Chain of Custody(CoC)認証について、FSC認証で369件(2019年3月時点)、PEFC認証で195件(2018年12月時点)が認証されています。

委託・補助事業の成果

(1) 平成30年度
「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(欧州地域等)

(2) 令和元年度
「クリーンウッド」利用推進事業のうち追加的措置の先進事例収集事業

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