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合法伐採木材等に関する情報:ロシア

ロシア

注 国別情報については、令和元年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

木材等の生産及び流通の状況

ロシア連邦は、ユーラシア大陸北部を東西に広がり、全世界の約2割の森林が集中する森林大国です。国土面積は、17,098,246 km2で、9つの連邦管区に区分され、85 の連邦構成主体(地方・州等)で構成されています。この国土のうち、森林保全・保護・利用にあてられるロシア連邦独自のカテゴリーが森林フォンドで、すべてが国有林です。森林フォンドは、ロシア連邦天然資源・環境省の監督下にあり、国土の66%にあたる11,262,886 km2を占めています。この21%にあたる、2億4,000万haが積極的な長期利用、すなわち伐採コンセッションとして利用されています。

森林フォンドの面積の連邦管区別割合をみると、日本に最も近い極東連邦管区に、全体の約50%が集中しています。また極東同様に、日本や中国、韓国の市場とも関わりの深いシベリア連邦管区には26%が集中しており、この2つの連邦管区だけで、全体の76%が集中しています。

森林フォンドにおける木材生産に関して、ロシア連邦森林局が公表している年間許容伐採量(2017)は、7億480万m3であるが、年間実質伐採量は、2018年に2億3,860万m3と、34%の利用率となっています。

主要製品は、製材の4,270万m3が最も多く、これに続くチップやパーティクルボードでも一桁水準を落としたレベルで推移しています。しかしながら、合板のように旧ソビエト連邦時代と比較して飛躍的に生産を伸ばしている製品もあります。

ロシア連邦森林局(2019)による発表では、近年の原木輸出は1,900~2,000万m3の範囲で安定的に推移しています。他方、製材輸出は年々増加傾向にあるとされており、2018年で3,166万m3と他の製品中最も多いです。これに合板、チップ、ペレットが続いています。

2017年におけるロシア連邦からの木材輸出先を、金額ベースでみると、中国が48億ドルと他を圧倒しており、これに日本、フィンランド、エジプト、ウズベキスタンが続いています。また、2012~2017年までの増加率をみた場合には、ラトビアやリトアニアなどのバルト三国が高い数値を示しています。

合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

森林伐採から輸出までの流れ(図中下)と関連する書類(図中上)

図. 森林伐採から輸出までの流れ(図中下)と関連する書類(図中上)

森林伐採に関連する法律は、連邦法第200号の森林法典(2006)により大枠が定められています。これに、政府により全権が委任された各機関により出される公文書に基づいた法的・規範的アクトと呼ばれる連邦法、大統領令、連邦政府令、地方・州法によって詳細な規定が加わります。同森林法典では、森林管理に関与する政府機関の再編に加え、伐採許可から伐採申請への転換、伐採業者による責任の拡大など大規模な変更が加えられています。

この森林法典に従い、伐採を行う者は、地方・州の森林局により公示されるオークションを通じて10~49年までの利用期限をもつコンセッションを取得し契約を締結するか、あるいは単発的な立木売買契約を締結しなければなりません。加えて、特定の地域で整備が必要となった病虫害木、老齢木を対象とした衛生伐、保育伐に対しては、地方・州の森林局との間で国家契約を締結しなければなりません。

森林管理計画

コンセッションを取得したものは、10年間期限で森林開発計画を策定しなければなりません。同計画には、伐採施業に際した樹種、容量、場所等の計画のみならず、森林保全・保護・再生活動、林地でのインフラ整備、森林火災の消火活動、生物資源の保護等についての記載もあり、添付書類として各計画に対応した地図がコンセッション保有者により作成され、地方・州の森林局へと提出されます。同計画に基づき、利用者は年に一回、伐採申請書を作成し、地方・州の森林局へと提出しなければなりません。伐採施業の実施後には月に一回、森林利用報告を同局へと提出することが義務づけられています。

伐採事業者認可

ロシア連邦森林局は、国内の違法な木材伐採・流通、国外への輸出の問題を踏まえ、国内で統一的なデータベースを構築し、これを管理することを目的として、2013年連邦法第415号「森林法典および行政処分法の一部改正について」により、木材および木材取引登録の国家統一自動情報システム(以下、EGAIS)の取組を開始しました。同システムは、2016年1月から運用が開始され、2017年からは、ロシア連邦関税局との協働も開始し、システムの改善を繰り返しながらコンセッション契約から輸出までの流れを管理しています。

公開されているEGAISの情報サイト(取引タブ)

図. 公開されているEGAISの情報サイト(取引タブ)
出典:https://lesegais.ru/open-area/deal〔外部リンク〕

同システムには、森林伐採および木材流通に関係し、すべての業者の登録が義務付けられています。伐採業者であれば、コンセッション契約、立木売買契約、国家契約等の契約書類、森林開発計画、伐採申請書、森林利用報告等の当局への提出書類の登録が必要であり、木材流通業者であれば、木材取引の情報、高級樹種に関してはラベリングに関する情報を登録しなければなりません。

公開されている取引情報のオープンデータでは、取引の申請番号、販売者名称、個別納税者番号、購入者名称(輸出先業者を含む)、個別納税者番号、取引日時、容量が確認できます。

このように、オープンにされている情報を基に、輸入側から取得できる情報もありますが、ロシア連邦内での法人番号、個別納税者番号がなければ、基本的に同システムへのユーザー登録はできません。この状態では、特定の企業により登録されたコンセッション契約、森林開発計画、伐採申請書、森林利用報告、個別の取引書類等の情報を取得するはできませんが、同システムに登録しているサプライヤーの協力があれば、電子署名された各情報、取引書類を取得することができます。

法令

合法的な伐採権関連

  • 森林法典No.200-FZ(2006)
  • 森林法典および行政処分法の一部改正についてNo.415-FZ(2013)
  • ロシア連邦民法典 N-14-FZ(2019年改定)、第34章 賃貸借
  • 伐採が禁止される木材および灌木の種類(樹種)リストの承認について(ロシア連邦森林局令)N513(2011)
  • 森林開発分野における優先投資プロジェクトについて(ロシア連邦政府令)N190(2018年改定)
  • ロシア連邦刑法典 N-63-FZ(2019年改定)、第260条 違法な木材伐採

納税と使用料支払関連

  • 森林法典No.200-FZ(2006)、第11章 森林利用料金
  • ユーラシア経済連合 関税法典(2018)
  • 関税率について(連邦法)(2019年改定)
  • 丸太関税法(ロシア連邦政府令)No.1520(2017)
  • 国有の森林資源の容量毎単価および森林区域毎単価について(ロシア連邦政府令)N310(2019年改定)

伐採施業関連

  • 森林法典No.200-FZ(2006)、第88条 森林開発計画、第26条 伐採申請書、第87条 林業規則、第16条 森林伐採、第17条 森林の皆伐および択伐、第29条 木材調達

貿易と輸送関連

  • 森林法典No.200-FZ(2006)、第2.1章 木材の登録およびラベリング、第2.2章 木材輸送および取引の登録、第2.3章 木材および取引登録の国家統一木材および木材取引登録自動情報システム(EGAIS)
  • 木材運搬のための添付書類について(ロシア連邦政府令)No.571(2014)
  • ロシア連邦民法典 N-14-FZ(2019年改定)、第785条 貨物輸送契約

関係行政機関一覧

名 称 主な業務
ロシア連邦政府 政府令により、森林分野における細則、優先投資プロジェクト、丸太関税法などを規定する
ロシア連邦天然資源・環境省 ロシア連邦において、森林フォンドに関連した業務全般を行う
ロシア連邦森林局 森林伐採に関連した森林計画・利用・保全業務を担当する
各地方・州政府の下に再編された85の出先機関を拠点として、現場レベルでの情報を集約する
遠隔モニタリング(衛星、航空機)による森林火災や違法伐採への対策を行う
統一的なデータベース(EGAIS)による木材生産・流通の管理を行う
ロシア連邦自然利用監督局 自然保護区等の保全・管理を行う
CITES樹種への輸出許可を発行する
ロシア連邦内務省 各地方・州政府機関と協力の下で、「黒い伐採=盗伐」の摘発を目的とした単発的なオペレーションを実施する
ロシア連邦獣医・植物検疫局 輸出される木材・木材製品に対して植物検疫証明書を発行する
ロシア連邦鉄道交通局 輸送される貨物としての木材を、重量等により規制する
ロシア連邦関税局 丸太輸出関税および特定樹種の輸出ライセンス・割当により木材を管理する

その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

民間の森林認証スキーム

ロシア連邦におけるFSC認証は、主としてFSCロシアの所在地であるモスクワを中心として、認証材への需要が高い欧州諸国に市場をもつロシア西部の林産企業の間で広まりました。その後、2007年以降にはシベリア連邦管区のイルクーツク州における認証取得が増加しています。

ロシア連邦全土におけるFSC認証の取得者は、FM/CoC認証が188件、面積にして4,835万ha、CoC認証が677件であり、日本市場とも関連するシベリア地域では、FM/CoC認証が37件、面積にして1,158万ha、CoC認証が62件となっています(2019年10月31日時点)。

他方、PEFC認証の普及は、2010頃の北西連邦管区のレニングラード州の企業による認証取得から開始されました。その後、既にFSC認証を取得しているロシア西部およびシベリア地域の企業によるPEFC認証の取得が相次ぎ、FSC認証とPEFC認証の双方を同時に保有する企業が増加しました。

現在のロシア連邦におけるPEFC認証は、FM認証が54件、面積にして3,120万ha、CoC認証が47件となっています(2019年9月1日時点)。

合法性の確認に活用できる書類の事例

植物検疫証明書(PDF : 233KB)
発行対象 ロシア連邦から輸出される木材
発行者 ロシア連邦獣医・植物検疫監督局
CITESの輸出許可証(PDF : 170KB)
発行対象 CITESの付属書に登録された樹種
発行者 ロシア連邦自然利用監督局
ダリエクスポートレスによる証明書(PDF : 76KB)
発行対象 ダリエクスポートレスの会員企業(極東)
発行者 ダリエクスポートレス

注  ロシア連邦法上は、森林局による違法木材・木材製品の伐採および流通管理システムであるEGAISに登録され、電子署名のあるデータのみが、法的に合法性を担保された書類です。日本側と直接取引のあるロシア側の最終サプライヤーを通して、これらの情報を取得し、デューデリジェンスを開始することが必要です。

委託・補助事業の成果

(1) 令和元年度
「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国の現地情報収集事業(大洋州地域等)

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