合法伐採木材等に関する情報:マレーシア(半島部)
マレーシア C 【 半島部 】
注 国別情報については、平成29年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。
注マレーシアの他の地域の情報についてはこちら。
【マレーシア全般】【サバ州】【サラワク州】
木材等の生産及び流通の状況
半島部の面積は約1,319万haで、森林面積は約577万haであり、半島部の面積の44%を占めています。行政区画は、10の州と2つの特別区で構成されています。半島部の木材輸出量は製材が最も多く、繊維板、パーティクルボード、モールディングがこれに次いでおり、加工品が主体となっています。丸太は、2016年で生産量445万m3に対し、輸入量1.4万m3、輸出量0.4万m3とわずかであり、ほぼ半島部内で使われています。加工品のうち、家具製品は、マレーシア国内の家具加工工場のライセンス取得数の99%(2016年で1,685工場)が半島部に集中しており、半島部で生産されるゴム材や欧米から輸入するナラ材(oak)等を原料としています。
半島部における木材流通は、丸太については、伐採され山土場に集められた後に、規模が大きな貯木場に集積し分類タグを付けた上で、マレーシア合法性保証システム(MYTLAS)により流通させるものは、森林検査ステーションにおいて、伐採前に行われた立木資源調査による伐採対象木の情報との突合、検量、丸太の情報の記録、ロイヤリティ納付及び移動許可書の発行、丸太への歳入済刻印の打刻と丸太所有者印の打刻が行われ、加工工場へ出荷されます。加工された木材製品は、工場から消費地または外国へ出荷され、一部はディーラーを介して流通しています。

(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)
図 半島部の木材流通のフロー
合法伐採木材に関連する法令及びその運用
合法性保証・確認システム
マレーシア木材合法性保証システム(MYTLAS: Malaysian Timber Legality Assurance System)
MYTLASは、EUとのFLEGT-VPA*に対応する合法性証明システムとして、半島部において開発されました。
* FLEGT:Forest Law, Enforcement, Governance and Trade(森林法、施行、ガバナンス及び貿易)
VPA:Voluntary Partnership Agreement:自主的二国間合意
MYTLASの運用は、マレーシア木材産業局(MTIB:Malaysian Timber Industry Board)と州森林局(State Forestry Department)、マレーシア税関が主に担っています。
MYTLASに基づく合法性の証明書類となるMYTLASライセンスの発行対象は、現状ではEU向けの輸出木材・木材製品に限定され、FLEGT-VPAの遵守を証明する書類として通用しています。
また、日本などEUを除く国へ輸出される木材・木材製品に対しては、MTIBが木材合法性証明書を発行しています。

出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)
図 MYTLASの標準間の関連と手続きの流れ
下表に、MYTLASの標準・基準、および関連法令を示します。半島部では、サバ州、サラワク州に比べゴム農園経営が盛んであり、ゴム丸太の移動や廃棄に関する標準があります。また、貿易・関税に関する基準6には、サラワク州について、サラワク州木材合法性確認システムがEUの要求をまだ満たしていないとするEUの立場を反映して、EU向け荷口へのサワラク州産材またはその製品の混入を防止するための標準を暫定措置として設けています。
表 MYTLASの基準・標準と主な証拠書類及び関係法令等
標準 | 合法性を証明するための主な証拠書類 【管轄省庁】 |
主な関連法令 | |
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基準1 伐採権 |
1.州当局による伐採区域の承認 |
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2.伐採ライセンスの発行 |
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3.小規模ゴム造林地からの丸太及び林地廃材の移動に係る所有者の同意の取得 |
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4.環境影響調査 (ゴム農園以外) 5.環境影響調査 (ゴム農園) |
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6.計画策定及び森林区分登録 |
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基準2 林内作業 |
1.伐採区域境界確定 |
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2.立木資源調査 |
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3.伐採事前影響評価 |
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4.立木へのタグ及び環印の表示 |
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5.木材生産管理 (1)産業用造林以外 |
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(2)産業用造林 |
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6.丸太輸送 |
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7.労働安全衛生 |
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基準3 徴税 |
ロイヤリティ及び手数料 |
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基準4 その他の権利 |
先住民(オランアスリ)の権利 |
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基準5 工場の操業 |
1.工場ライセンスの発行及び操業条件 |
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2.移動式製材又はチッパーのライセンス発行 |
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3.労働安全衛生 |
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基準6 貿易・関税 |
1.輸出のための企業登録 |
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2.輸出規制 |
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3.輸入規制 |
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4.サラワク州産木材 |
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5.輸入丸太の輸送 |
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(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)
合法木材に関連する法令
- 国家森林法(1984年)
- 州森林規定
- 森林マニュアル(2003年)
- 州森林法
- 国土法(1965年)
- 環境品質法(2001年)〔外部リンク〕
- 労働安全衛生法(2006年)〔外部リンク〕
- 労働者補償法(1952年)
- 労働者社会保障法(2006年)〔外部リンク〕
- 先住民族法(2006年)
- 木材産業法(1985年)
- マレーシア木材産業庁設置法(1973年)
- 木材産業登録規則(1991年)
- 木材税令(2008年)
- 関税法(2008年)
- 植物検疫法(1976年)
その他木材等の適正な流通の確保に関する情報
(1) 森林認証スキーム
半島部では、FSC(Forest Stewardship Council)とMTCS(Malaysian Timber Certification Scheme、PEFCと相互承認)の森林認証が行われています。森林認証の件数と面積は、FSCが2件、12万6,940ha、MTCSが6件、383万6,731haで、合計396万3,731haとなっています。MTCSによる認証のうち、5件、350万1,748haは、半島部の4つの州の森林局が管理する森林です。また、CoC認証事業体数は、FSCが160、MTCSが366で、合計496となっています。
(注:各認証のデータは、それぞれのウェブサイトまたは認証機関より2017年10~11月に取得。)
合法性の確認に活用できる書類の事例
C【半島部】
木材合法性証明書 | |||
適用項目 | 丸太及び木材製品 | ||
概要 | 半島部から日本などEUを除く国へ輸出される木材・木材製品に対しては、マレーシア木材産業局(MTIB)が木材合法性証明書を発行しています。 また、半島部では、マレーシア木材合法性保証システム(MYTLAS : Malaysian Timber Legality Assurance System)が開発され、MITBが実施主体となり、州森林局、労働安全衛生局、労働局、社会保障機構、マレーシア税関などが関与して運用されています。 MYTLASによる輸出木材の合法性証明は、輸出ライセンス及びゴムノキの合法性証明書によって行われ、EU向けに限って発行されています。 |
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事例 | 木材合法性証明書 (PDF : 0.40MB) |
(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)
委託・補助事業の成果
平成29(2017)年度
- 生産国情報収集事業報告書 (PDF : 33.3MB)
- マレーシア全般……p16-p50
- サバ州………………p54-p143
- サラワク州…………p144-p218
- 半島部………………p219-p319