合法伐採木材等に関する情報:メキシコ
目次 1.木材等の生産及び流通の状況 2.合法伐採木材に関連する法令及びその運用 3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報 (1)森林認証スキーム 4.関連する報告書 |
注 国別情報については、平成29年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。
1.木材等の生産及び流通の状況
メキシコの国土面積(1億9400万ha)の71.2%に相当する1億3800万haが植生に覆われ、その内、温帯・冷温帯林は3400万ha(24.6%)、熱帯林は3160万ha(22.9%)分布しています。 天然林が全森林面積の95%を占め、木材生産量の95%を担っていると推定されています。 政府の統計情報によると、2004年から2015年にかけてメキシコの年間木材生産量は560百万~690百万m3と推定され、その内訳は、松類を主とする針葉樹(80.2%)、オークを主とする広葉樹(13.3%)、熱帯樹(6.0%)などとなっています。 木材生産のためのコンセッション制度は実施されておらず、木材は、地域社会共同体(「エヒード」と呼ばれる農民グループや、先住民族グループを含む地域コミュニティ)が管理・運営する森林(全森林面積の70%)や個人・企業が所有する森林(同26%)から生産されています。 メキシコは、ブラジル、ペルーに次ぎ中南米で第3位の森林面積を有しますが、2015年の木材自給率は32%(紙製品を含むと44%)と推定され、木材の輸入国となっています。 ほとんどの木材生産は国内市場向けとなっていますが、板材や柱材のほか、ワシントン条約による規制対象であり経済的価値の高いマホガニーやセドロから高級家具が生産され輸出されています。 輸出額を見ると、9割が米国に向けて輸出されています。
2.合法伐採木材に関連する法令及びその運用
木材の合法性の確保には、下記の法令が関連します。
- メキシコ合衆国憲法(Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos)(1917年制定、2017年改正)(PDF : 1.87MB)
森林を含む自然資源の所有権、利用と保全に関わる基礎的な法的枠組みを示します。 - 農業法(Ley Agraria)(1992年制定、2017年改正) (PDF : 0.49MB)
土地と資源管理(エヒードとコミュニティの土地所有権を含む)について規定します。 - 森林基本法(Ley General de Desarrollo Forestal Sustentable)(2003年制定、2017年改正) (PDF : 0.68MB)
森林資源と生態系サービスの保全、回復と持続的利用の促進を目的とし、森林管理や伐採について規定します。 - 環境保全基本法(Ley General del Equilibrio Ecológico y la Protección al Ambiente)(1998年制定、2018年改正)(PDF : 0.89MB)
土壌、水、森林を含む自然資源の保全、回復、持続的利用について規定します。 - 野生動物基本法(Ley General de Vida Silvestre)(2000年制定、2016年改正) (PDF : 0.57MB)
種の保全とリスクの見地から木材・非木材林産物の持続的利用と保全を規定します。 - メキシコ連邦労働法(Ley Federal de Trabajo)(1970年制定、2015年改正)(PDF : 1.73MB)
労働者の権利について規定します。 - 税関法(Ley Aduanera)(1995年制定、2013年改正) (PDF : 1.16MB)
税関の役割と輸出手続について定めます。
森林管理や伐採のために必要な文書と手続きは、森林基本法、環境基本法および関連規則により規定されています。 伐採には、以下の1から3の文書を作成し、環境・天然資源省(Secretaría de Medio Ambiente y Recursos Naturales:SEMARNAT)へ提出して承認を受ける必要があります。 伐採許可の有効期限は毎年12月31日までです。
1. 森林管理プログラム
2. 伐採予定木インベントリー(Relación de marqueo)(PDF : 0.31MB)
3. 年間報告書(Informe annual)(PDF : 0.08MB)
また、丸太や板、柱などの木材を輸送するために必要な書類として、森林基本法により以下の1から3が定められています。1と2は、SEMARNATから発行されます。
1. 丸太輸送許可証(Remisión forestal)(PDF : 0.13MB)
2. 木材積み替え許可証(Reembarque forestal)(PDF : 0.92MB)
3. 税関申告書と支払いに関する文書(輸入材の場合)
なお、森林管理プログラムの内容とその実施(注1)や、木材の輸送と保管に関する手順や基準(注2)については、関連規則により規定されています。
注1:関連規則「NOM-152-SEMARNAT-2006」(PDF : 0.60MB)
注2:関連規則「NOM-005-RECNAT」(PDF : 0.11MB)
木材を輸出するためには、法により以下の書類の提出が義務付けられています。
- 税関申告書
- 通関委任状
- 通関業務指示書
- パッケージリスト
- 輸送書類
- インボイス
- 原産国証明書
- 検疫証明書
- CITES輸出許可証(CITES樹種の場合のみ)
3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報
(1)森林認証スキーム
メキシコ国内では、2つの独自の森林認証とFSCの森林認証が利用されています。 メキシコ独自の森林認証には、森林伐採が森林管理プログラムに従って合法的に行われているか審査、認証するÁuditoría Técnica Preventiva (ATP)と、社会的・環境的・経済的に持続可能な森林管理が行われているか審査、認証するNMX-AA-143-SCFI-2015(NMX)があります。 2016年12月時点で、ATPによる認証が164件、総面積280,266.28ha、NMXによる認証が137件、総面積874,184.69haとなっています。 また、FSC認証が増加傾向にあり、2017年12月におけるFSC-FM認証数は78件で総面積が808,233 ha、FSC-CoC認証取得団体数は144団体です。 環境・天然資源省の外局である国家森林評議会(Comisión Nacional Forestal: CONAFOR)は、国連開発計画とともに、NMXまたはFSC認証を受けた森林事業者のリストを含む「森林認証材カタログ」(Catálogo de Productors Forestales Certificaos) (PDF : 2.12MB)を2017年に出版しました。