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合法伐採木材等に関する情報:カンボジア

カンボジア

(2021年4月1日 全面更新)

注 国別情報については、令和2年度調査の成果等を参考情報として掲載しています。

1.1 木材等の生産及び流通の状況

1.1.1 森林資源の概況

カンボジアの国土面積1,816万haのうち、森林被覆は2016年時点で、874万ha(約48%)を占めています(カンボジア森林被覆2016)。その内訳は常緑樹林286万ha、半常緑樹林107万ha、落葉樹林334万ha、マングローブ林・浸水林が53万ha、その他の再生森林や植林が94万ha(うち、ゴム植林51万ha)です。

1.1.2 木材生産と流通

カンボジアの主要な木材供給源は、社会的土地利用権(Economic Land Concession:ELC)の付与により、土地利用転換に伴って発生する木材で、木材供給量全体の5割から7割を占めています。その他、押収された違法伐採木材、輸入木材、ダム開発等に伴って発生する木材がカンボジアの木材供給源となっており、これらで木材供給全体の9割前後を占めています。カンボジアの木材生産量は減少傾向にあり、2019年の木材生産量は17,779m3でした。これは、主要な木材供給源であったELCが、2012年に新規の付与が停止され、さらに付与済みのELCの見直しと取り消しや縮小が進められていることが影響しています。

1.1.3 木材の輸出

カンボジアでは、天然林から搬出された原木や厚さもしくは幅が25cmを超える角材の輸出は禁止されています。カンボジアの主要な木材輸出先はベトナムと中国で、天然林の広葉樹や植林のアカシア、ユーカリなどが代表的な輸出木材の樹種です。日本の、カンボジアからの木材及び木材関連製品の輸入は、7.2億円(2019年)で、木材及び木材関連製品輸入総額の全体の1%以下です。なお、カンボジアからの木材及び木材関連製品輸入は、紙及び板紙並びに製紙用パルプ等が輸入総額の9割以上を占め、これは、2010年以降、増加傾向にあります。

カンボジアで生産される木材のうち、ワシントン条約の付属書2に掲載され保護対象となっている樹種は、ローズウッド(紫檀)と呼ばれる(Dalbergia属)、沈香(Aquilaria属)、黒檀(Diospyros ferrea)です。

1.2 合法伐採木材に関連する法令及びその運用

1.2.1 合法的な伐採から輸出までの手続き

カンボジアでの木材の伐採から流通、加工までの手続きは、森林法によって定められています。カンボジアの木材供給源は、経済的土地利用権(ELC)、社会的土地利用権(SLC)、開発(水力発電等)、コミュニティフォレスト、年次入札クーペ、森林コンセッション、植林(私有地と国有地)、輸入、押収された違法伐採木材があります。ただし、2020年時点において、年次入札クーペと森林コンセッションは、制度は存在していますが、活動実績はありません。

カンボジアの木材供給と流通の流れ

カンボジアの木材供給と流通の流れ

森林法では、植林地からの木材の伐採には、許可の取得は必要ないとしています。一方、植林地以外での伐採時には、使用機材の登録、伐採許可の取得、伐採後のLog Book Aと呼ばれる記録台帳への登録、ロイヤリティとプレミアムの支払いが必要です。伐採された木材がLog Book Aに登録され、ロイヤリティとプレミアムが支払われると、森林局によって、その木材が合法的な手続きで伐採されたことを示すハンマースタンプが4ヶ所に刻印されます。

合法的な手続きを踏まえて伐採された木材であることを示す4ヶ所のスタンプが刻印された丸太

合法的な手続きを踏まえて伐採された木材であることを示す4ヶ所のスタンプが刻印された丸太

木材の流通段階では、木材を利用するために輸送するライセンス許可の取得と各種輸送許可(未加工木材の輸送許可、加工済み木材の輸送許可、輸出木材の輸送許可)の取得が必要になります。植林地で伐採された木材は、国内市場向けの場合は、輸送許可は必要ありませんが、輸出する場合は輸送許可の取得が必要です。カンボジアでは原木の輸出が禁止されているため、輸出される木材は、全て製材所や木材加工場で、加工されます。なお、製材所や木材加工所は、農林水産省から木材加工の登録証の発行を受ける必要があります。

輸出の際には、森林局より輸出入ライセンスビザを発行してもらい、商業省で輸出入ライセンスを取得します。輸出入ライセンスの申請には、FOB価格の1%を手数料として支払います。発行された輸出入ライセンスに基づいて、カンボジア税関局から、輸出入許可証が発行されます。

1.2.2 法 令

伐採・流通・加工に係る原則は、森林法によって定められています。また、細則は政令や省令で規定されています。なお、伐採の合法性の判断する際には、植林木の伐採、経済的土地利用権(ELC)を付与されて行う伐採など、伐採の前提となる活動実施の権利が、合法的に得られたものかを理解する必要があります。このため、それぞれの伐採を行う活動に関する法令も把握することが重要です。

土地所有権関連
伐採・加工・流通関連
  • 森林法(2002年改訂)(英文 PDF:363KB)
  • 漁業法(2006年制定、2017年改訂)(英文 PDF:305KB)
  • 保護区法(2008年制定)(英文 PDF:2.6MB)
  • コンセッション法(2007年制定)(英文 PDF:147KB)
  • カンボジア森林伐採実務規範(1999)
  • 政令89号 収穫が禁止されている木材と非木材林産物
  • 政令02号 木材伐採に用いる丸鋸利用の管理(2006)
  • 政令26号 国有地植林の利用権付与に関する規則(2008)(英文 PDF:1.7MB)
  • 政令146号 経済的土地利用権(2005)(英文 PDF:235KB)
  • 政令19号 社会的土地利用権(2003)
  • 政令79号 コミュニティフォレスト管理(2003)(英文 PDF:64KB)
  • 省令コミュニティフォレストガイドライン(2006)
  • 政令5号 森林コンセッション管理(2001)(英文 PDF:142KB)
  • 政令316号 コンセッション下に無い生産林内の林産品および副産物の年間権利を取得するための法的手続き(2005)
輸出関連
  • 関税法(2007)(英文 PDF:4.9MB)
  • 政令131号 輸出入が許可される林産物及び副産物の仕様(英文 PDF:35KB)
  • 省令209号 禁止品目及び規制品目リスト
  • 省令208号 禁止品目及び禁制品リストの施工に関する政令209を改正する省令
  • 政令17号 禁止品目及び規制品目リストの強化
  • 省令1013号 企業に課せられるサービス料の決定

1.2.3 関係行政機関一覧

名称 略称 主な業務
農林水産省(Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries) MAFF カンボジアの農林水産業に関する政策を担う機関。木材の伐採割当や輸出入割当の発行を行う。
森林局(Forestry Administration) FA 森林法によって、カンボジアの恒久林を、持続可能な方法で管理・管轄する機関。木材の伐採許可や輸送ライセンス、輸送許可、輸出入ライセンスビザの発行を行う。
環境省(Ministry of Environment) MOE 環境保護、生物多様性の保全、天然資源の適切かつ持続可能な利用を主導・管理する機関。カンボジアの国土の約4割を占める保護区を管轄する。
自然保全保護総局(General Department of Administration for Nature Conservation and Protection) GDANCP 環境省の下で、保護区の自然保全と生物多様性の保全、持続可能な天然資源の利用の管理・調整を行う機関。
商業省(Ministry of Commerce) MOE カンボジアの商業及び貿易の規制と促進を管轄する機関。カンボジア企業に対して、営業許可証、輸出入ライセンス、原産地証明等を発行する。
カンボジア税関総局(General Department of Customs and Excise of Cambodia) GDCE 経済財務省の下で、輸出入品に係る関税及び輸送量の課税や徴収、管理、税関における不正行為の抑制及び防止、国際貿易の促進を担う機関。

1.3 その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

1.3.1 森林認証スキーム

カンボジアでは、国家独自の森林認証システム等は導入されていません。ただし、国家森林プログラム(2010-2029)では、持続可能な森林管理の一環として森林認証の取得促進を掲げ、少なくとも輸出用加工木材の50%について森林認証を取得することを目標としています。

2021年1月時点で、FSC(Forest Stewardship Council)の森林管理(FM)認証は1件(認証面積7,896ha)です。また、CoC(Chain of Custody)認証を取得している団体は23団体となっています。なお、PEFCについては、2020年12月時点において、FM認証、CoC認証の取得実績はありません。

1.4 合法性の確認に活用できる書類の事例

ELC 企業に対する伐採許可(PDF:109KB)
発行対象 ELCにおいて伐採を行う企業
発行者 農林水産省森林局
概要 ELC の計画に基づいたブロック単位(1 ブロックはおよそ 1,000ha)での伐採許可です。ELC での伐採を行う企業名、計画名、伐採許可面積等が記載されています
ライセンス許可(PDF:299KB)
発行対象 伐採事業者
発行者 森林局
概要 木材を利用するための輸送のライセンス許可です。伐採後、Log Book A に登録された木材に対し、伐採事業者がロイヤリティとプレミアムを支払うことで発行されます。
未加工木材の輸送許可(PC-1)(PDF:360KB)
発行対象 伐採事業者
発行者 森林局森林管理署
概要 ライセンス許可を取得した事業者が、伐採現場から、製材所や木材加工場まで木材を輸送するための、原木の輸送許可です。
木材加工登録証(PDF:142KB)
発行対象 木材加工事業者
発行者 農林水産省
概要 木材加工事業者が、毎年農林水産省に対して申請を行うことで、発行されます。
加工済み木材の輸送許可(PC-2)(PDF:599KB)
発行対象 伐採事業者
発行者 森林局森林管理署
概要 製材所や木材加工場で加工された木材を、二次加工のための木材加工工場や国内マーケットに輸送するための、輸送許可です。
輸出入木材の輸送許可(PC-IMEX)(PDF:681KB)
発行対象 木材の輸出入業者
発行者 森林局
概要 製材所や木材加工場で加工された木材を輸出する際や、輸入した木材を輸送する際の輸送許可です。
輸出入ライセンス(PDF:169KB)
発行対象 木材の輸出入業者
発行者 商業省
概要 製材所や木材加工場で加工された木材を、輸出するために輸送する際の輸送許可です。

(出典) 令和2年度「クリーンウッド」普及促進事業のうち違法伐採関連情報の提供(3)掲載済み情報更新のための生産国における現地情報調査報告書

1.5 委託・補助事業の成果

(1)令和2年度

「クリーンウッド」普及推進事業のうち違法伐採関連情報の提供(3)掲載済み情報更新のための生産国における現地情報調査

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