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合法伐採木材等に関する情報:インドネシア

(2024年4月1日:全面更新)

注 国別情報については、令和5年度に実施した調査の成果等を参考情報として掲載しています。

注 合法性の確認に活用できる情報はこちら

1. ⽊材等の⽣産及び流通の状況

(1)森林と⽊材⽣産

インドネシアは東南アジアで最⼤の森林⾯積を有し、国⼟⾯積の64%に当たる1億2,050万ヘクタールが国有林に指定され、⽣産林(6,880万ヘクタール)、保護林(2,960万ヘクタール)、保全林(2,210万ヘクタール)の3種に分類されます。⽣産林は、さらに恒久⽣産林、制限⽣産林及び転換⽣産林に区分されます。

インドネシアの丸太生産量は増加傾向にあります。2023年の丸太生産量は5,973万7,000 m3であり、2019年の4,824万2,000m3から約24%も増加しています。木材の輸入量が少ないインドネシアでの丸太生産量の増加は、パルプとチップの需要の増加に牽引されているといえます。2019年から2023年の期間に大きく生産量を伸ばしている木材製品はパルプとチップであり、パルプは780万7,000m3から887万1,000m3に14%、チップは3,135万1,000m3から3,975万2,000m3に27%増加しています。一方で、インドネシアで代表的な木材製品である合板及び単板積層材並びに製材品の生産量はほぼ横ばいで推移しています。2023年の生産量は、合板及び単板積層材が421万1,000m3、製材品は230万2,000m3でした。

表 丸太及び主要林産輸入量

丸太及び主要林産輸入量

(2)⽊材製品の輸出⼊

インドネシアの木材・木材製品(HS44類)の2023年の輸出額は131億7,000万USDでした。主要輸出相手国は、中国(輸出額36億8,700万USD)、米国(同16億5,800万USD)、日本(同13億9,000万USD)であり、これら三か国で輸出額の50%を占めています。製品別輸出額は、紙とパルプ(81億3,400万USD)が最も大きく2023年の輸出額の約三分の一を占めています。2023年の紙とパルプの輸出額は、2019年の66億4,800万USDから22%増加しました。合板を含む木質パネルの2023年の輸出額は22億2,100万USDでした。

表 製品別主要林産物輸出額

製品別主要林産物輸出額

表 主要輸出相手国別林産物輸出額

主要輸出相手国別林産物輸出額

一方で、木材・木材製品(HS44類)の2023年の輸入額は5億5,230万USDで、輸入額は輸出額の四分の一程度と小さいのが特徴です。主要輸入相手国は中国(1億5,878万USD)で、輸入額の29%を占めています。中国からの輸入額は2018年から79%もの増加をみせています。

表 輸出相手国別木材及び木材製品(HS 44類)輸入額

輸出相手国別木材及び木材製品(HS 44類)輸入額

インドネシアは丸⽊換算で年間約5,000万m3(年間供給量の5%未満)の⽊材を輸⼊しています。量ベースでは、パルプ・紙の輸⼊が半分以上を占め、残りは丸太・製材・単板等となっています。パルプ・紙の輸⼊相手国は、北⽶が半分近くを占めます。

2. ⽊材合法性証明システム(SVLK)

(1)⽊材合法性証明システム(SVLK)に関する法令

インドネシアはSVLK(Sistem Verifikasi Legalitas Kayu)(英語名︓Indonesian Timber Legality Assurance System)と称される⽊材合法性証明システムを構築しました。インドネシアから輸出される⽊材製品には、合法性証明書(EU向けにはFLEGTライセンス、⽇本を含むその他の国に対しては V-Legalドキュメント)が発⾏されます。

インドネシアは、2021年2月に「林業施業法(2021年政府法令第23号)」を制定しました。この法律は、既存の林業に係る規則を包括したもので、SVLKを規定していた2016年制定の「環境林業⼤⾂令P.30/2016」及び「PHPL局⻑令SK.14/2016」の規定もこの法律に組み込まれました。

林業関連諸規則が林業施業法として統合されたことから、2021年4月には「森林の管理及び森林経営計画の作成並びに保全林及び生産林における森林利用に関する規則(2021年環境林業大臣規則第8号)」が制定されました。この規則では、SVLKに持続可能性の観点を導入するとともにSVLKの適応範囲を非木質林産物まで広げました。さらにこの規則は、次の事項に係る基準及びガイドラインを定めるよう規定していました。

  • パフォーマンス評価。
  • 合法性の検証。
  • 林産物の自己宣言の発行。
  • デューデリジェンス。
  • V-Legal文書の発行。
  • 輸出用の非木質林産物の合法性を証明する文書。
  • 独立評価認証機関(LPVI)に係る事項。
  • SVLKマークの発行並びに独立モニター、苦情の解決及び訴訟に係る事項。

2021年環境林業大臣規則第8号で制定を定めた基準及びガイドラインは、2022年12月に環境林業大臣が「合法性及び持続可能性の認証システム実施に係る基準及びガイドライン」として通達しました。この通達は、次表に示すように本文と附属資料で構成されています。

表 合法性及び持続可能性の認証システム実施に係る基準及びガイドラインの構成

文書名
本文 合法性及び持続可能性の認証システム実施に係る基準及びガイドライン
附属資料
1.1 生産林及び保全林における持続可能な森林経営(PHL)のパフォーマンス評価の基準及びガイドライン
生産林の森林利用事業許可(PBPH)における持続可能な森林経営(PHL)パフォーマンス評価基準
1.2 保全林における森林利用事業許可(PBPH)及び経営権に係る持続可能な森林経営(PHL)パフォーマンス評価基準
1.3 持続可能な森林経営(PHL)のパフォーマンス評価の実施に係るガイドライン
2.1 川上の流通段階における合法認証材(VLHH)の基準及びガイドライン
森林利用事業許可(PBPH)及び経営権に係る林産物の合法性(合法認証材(VLHH))の認証基準及び指標
2.2 非林業活動木材利用許可(PKKNK)所持者に係る木質林産物合法性認証(VLHHK)基準
2.3 社会林経営契約(地域林業(HKm)、共同体人工林(HTR)及び里山(HD))における合法認証材(VLHH)基準及び指標
2.4 私有林材に係る合法認証材(VLHH)基準
2.5 森林利用事業許可(PBPH)、経営権、社会林経営の承認及び非林業活動における木材利用承認の所持者に係る合法認証材(VLHH)のガイドライン
2.6 私有林林産物の合法性審査のためのガイドライン
3.1 川下の流通段階における基準及びガイドライン
木材加工事業許可(PBPHH)所持者に係る木質林産物の合法性認証基準
3.2 産業事業活動許可所持者に係る木質林産物の合法性認証基準
3.3 登録丸太集積場(TPT-KB)に係る木質林産物の合法性認証基準
3.4 輸出業者に係る木質林産物の合法性認証基準
3.5 輸入業者に係る木質林産物の合法性認証基準
3.6 木材加工事業許可(PBPHH)所持者、産業事業活動用事業許可(PB)所持者、登録丸太集積場(TPT-KB)、輸出業者(事業者識別番号(NIB)及び営業許可(SIUP)を有する商社)及び輸入業者に係る木質林産物の合法性認証のためのガイドライン
4 林産物自己宣言書の発行及びその確認を実施するためのガイドライン
5 林産物輸入ガイドライン
6 V-Legal又はFLEGTライセンスの書類発行に係るガイドライン
7.1 独立評価認証機関(LPVI)のガイドライン
独立した評価審査機関及び V-Legal又はFLEGTライセンス発行機関を決定するためのガイドライン
7.2 持続可能な森林経営(PHL)及び林産物の合法性を認証するための実績評価の実施における職員及び審査員の基準及び要件に係るガイドライン
7.3 V-Legal文書又はFLEGTライセンスの発行機関としての独立評価検証機関(LPVI)及びV-Legal文書又はFLEGTライセンスのユーザーとしての輸出業者の法令遵守違反又は不適合を処理するためのガイドライン
8 SVLK マークの使用に係るガイドライン
9 持続可能な森林経営(PHL)の実績評価及び合法認証材(VLHH)の審査並びに林産物の自己宣言の実施に係る独立したモニタリング、申立て、苦情及び訴訟の解決に係るガイドライン

令和5年度の調査事業で行った「合法性及び持続可能性の認証システム実施に係る基準及びガイドライン」の仮訳は、こちら(PDF: 6,646KB)からダウンロードできます。

「合法性及び持続可能性の認証システム実施に係る基準及びガイドライン」の原文を含むSVLKに係る諸規定の情報は、SILKのウェブサイトから取得できます。(https://silk.menlhk.go.id/index.php/download/regulation

※「合法性及び持続可能性の認証システム実施に係る基準及びガイドライン」の原文名は,
“Keputusan Menteri Lingkungan Hidup dan Kehutanan Nomor SK.9895/MenLHK-PHL/BPPHH/HPL.3/ 12/ 2022 Tentang Standar dan Pedoman Pelaksanaan Sistem Verifikasi Legalitas dan Kelestarian.”です。

(2) ⽊材合法性証明システム(SVLK)のメカニズム

インドネシアの⽊材⽣産・流通・加⼯・取引に関する事業者は、国家認定機関(KAN)から認定を受けた⺠間の独⽴審査認定機関(LPVI)の審査を受け、持続的森林管理証明書(S-PHPL)⼜は⽊材合法証明書(S-LK)を取得する必要があります。認証を受けた事業者は、SVLKマークを⽊材製品と取引書類に記載することができます。なお、2021年に制定された「森林の管理及び森林経営計画の作成並びに保全林及び生産林における森林利用に関する規則(2021年環境林業大臣規則第8号)」により、S-PHPLはS-PHLに、S-LKはS-Legalitasに名称を変更しました。

図 インドネシア⽊材合法性証明システム(SVLK)のメカニズム

インドネシア⽊材合法性証明システム(SVLK)のメカニズム

出典︓平成28年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利⽤推進事業のうち⽣産国情報収集事業

(3) 合法性証明書(V-Legalドキュメント)

インドネシアの⽊材製品輸出業者は、国家認定委員会(KAN)が承認した独⽴審査認定機関(LPVI)が発⾏するSVLK認証を取得しなければなりません。⽊材製品の輸出については、環境林業省が独⽴審査認定機関(LPVI)の中から認定した⽊材合法性審査機関(LVLK)が、輸出物品の合法性を輸出用インボイスの単位の荷口で審査します。合法性証明書は輸出用インボイスごとに発行し、EU向けの荷口にはFLEGTライセンス、EU以外の国の荷口にはV-Legalドキュメントが発⾏されます。

図 合法性証明書(V-Legalドキュメント)発⾏と伝達の流れ

合法性証明書(V-Legalドキュメント)発⾏と伝達の流れ

出典︓平成 28年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利⽤推進事業のうち⽣産国情報収集事業

(4) 持続的森林管理証明書(S-PHL/旧称S-PHPL)と⽊材合法性証明書(S-Legalitas/旧称S-LK)

2022年2⽉時点において、持続的森林管理証明書(S-PHL/旧称S-PHPL)と⽊材合法性証明書(S- Legalitas/旧称S-LK)は、「PHPL局⻑令SK62/2020」に従って発⾏されます。同局⻑令は、証明書の様式を定めておらず、審査機関によって証明書は異なります。ただし同局⻑令により、次の項⽬が証明書に記載されます。

  • 認証取得者の名前
  • 認証取得者の所在地
  • 事業許可ライセンス番号
  • 審査機関の名称とロゴ
  • 国家認定委員会(KAN)のロゴ
  • 発⾏⽇
  • 有効期間
  • 認証番号
  • 事業者タイプ

3. ⽊材合法性証明システム(SVLK)の実施状況

(1)SVLK認証取得事業者

SVLK認証を取得した事業者と審査機関のリストは、⽊材合法性情報システム(Sistem Informasi Legalitas Kayu︓SILK)のウェブサイト(http://silk.menlhk.go.id)に掲載しています。2022年10⽉時点で、5,600件以上の森林関連事業者がSVLK認証を取得し、そのうち、⽊材合法性証明書(S-Legalitas/旧称S-LK)を取得している事業者は、2,916社(輸出事業者1,866社、販売業者/⼩売業者256 社、⾮輸出業者794社)となっています。

(2)V-Legalドキュメント(FLEGTライセンスを含む。)の発⾏数と輸出量・⾦額

インドネシア環境林業省がウェブサイト上で公表している主要品目別のV-legal文書の発行件数並びに輸出量及び輸出額は、次表のとおりです。

2023年のV-legal文書の発行件数は20万121件でした。発行件数が多いのは、家具に係るHS 9408の「その他の家具及びその部分品」及びHS 9401の「腰掛け及びその部分品」であり、これら二品目で発行件数の55%(10万9,734件)を占めています。

2023年のV-legal文書の発行件数は、前年の22万2,476件に対して約1割減少しています。V-legal文書の発行件数の減少は、主に発行件数が多い家具関係物品(HS 9408及びHS 9401)への発行件数が1万7,340件減したことに起因しています。

表 物品別V-legal文書発行件数並びに輸出量及び輸出額

物品別V-legal文書発行件数並びに輸出量及び輸出額

V-Legal文書発行件数その他のV-Legalに係る情報は、SILKのウェブサイトhttp://silk.menlhk.go.id)で確認できます。

(3)SVLKに関する2国間合意

インドネシア政府は、EUとFLEGT-VPAと称される⾃主的⼆国間貿易協定を結び、2016年11⽉以降、EUに対してFLEGTライセンスで合法性が担保された⽊材に限り輸出を⾏っています。英国は、EUからの離脱後も、英国・インドネシア⼆国間のFLEGT-VPAに基づき、インドネシアからの⽊材輸⼊に関するFLEGTライセンスを合法的に伐採された⽊材および⽊材製品の証拠として受け⼊れています。また、オーストラリア政府は、2018年にインドネシア政府と共同で、インドネシアから⽊材を輸⼊する際の合法性確認に関する国別ガイドライン(Country Specific Guideline for Indonesia)を作成しました。合法性を確認する⽅法として、サプライヤーが⽊材合法性証明書(S-LK)を保持しているかどうかを確認すること、そして輸⼊の際にV-Legalドキュメントが備わっているかどうか確認することを挙げています。SVLK実施に関するモニタリングと不遵守事例

インドネシア政府とEUはFLEGT-VPAに基づき、定期的に⽊材合法性証明システム(SVLK)の実施についてモニタリングと評価を⾏っています。2021年11⽉に作成された第3回モニタリング報告書(The third Periodic Evaluation︓PE3)によると、2019年から2020年初頭にかけて、18加⼯事業者がコンプライアンス違反のためにSVLK認証の停⽌を受け、そのうち10事業者が認証の取消処分を受けました。また、パプア州にて違法伐採に関連して6件の有罪判決があったと報告されています。

⽊材合法性証明システム(SVLK)実施に関する透明性を⾼めるために、インドネシア環境林業省はSILK上にプラットフォームを設置し、不遵守事例について公開しています(http://silk.menlhk.go.id/index.php/info/NonCompliances)。注⽬すべき点として、掲載される不遵守事例には政府機関の報告だけでなく、市⺠社会グループによって形成される独⽴モニター(Independent Monitors: IM)からの報告も含まれています。2019年には6事例、2020年は1事例、2021年は4事例が報告されました。

4. その他⽊材等の適正な流通の確保に関する情報

(1)⺠間の森林認証スキーム

インドネシアにおける森林認証は、FSC及びPEFCの他、インドネシアの環境保護団体であるLEI(インドネシアエコラベル協会:Lembaga Ekolabel Indonesia)が行っています。

PEFCの認証は、インドネシアの認証機関であるIFCCによるものであり、IFCCはPEFCと2014年に相互承認を行って現在に至っています。LEIは、IFCCがPEFCと相互承認をする前のインドネシアでFSCだけが森林認証を行っていた時期から、小規模森林所有の経営改善支援と独自の認証スキームによる森林認証を行ってきた団体です。

FSC(2024年3月現在)及びPEFC(2023年12月現在)によるインドネシアの森林認証面積及びCoC認証の件数は、次の表のとおりです。

表 森林認証面積とCoC認証件数

森林認証面積
(ha)
CoC認証件数
(件)
FSC3,241,191483
PEFC4,611,81452

資料:FSC(https://connect.fsc.org/impact/facts-figures

PEFC,”PEFC Global Statistics Data: December 2023

なお、LEIによる認証については、2022年1月現在、森林認証は233万5,027ha、CoCについては、家具と工芸品3,653m3/年、紙・パルプ5,307,760t/年との報告がなされています。

5. 合法性の確認に活用できる書類の事例

V-Legalドキュメントの例(PDF: 476KB)
発行対象 木材製品輸出事業者
発行者 木材合法性審査機関(LVLK)
持続的森林管理証明書(S PHPL)の例(PDF: 273KB)
発行対象 森林利用ビジネス・ライセンス取得者(PBPH)
発行者 独立評価審査機関(LP-VI)
森林管理 木材合法性証明書(S-Lk)の例(PDF: 363KB)
発行対象 森林利用ビジネス・ライセンス新規取得者(PBPH)、地域住民による森林管理(HKm、HTR、HD、HTHR)
発行者 独立評価審査機関(LPVI)
加工事業 木材合法性証明書(S-LK)の例(PDF: 359KB)
発行対象 木材加工・流通事業者
発行者 独立評価審査機関(LPVI)

6. 関連する事業の報告書

1.平成29年度「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業 報告書(PDF: 17,463KB)

2.令和3年度「クリーンウッド」普及促進事業のうち違法伐採関連情報の提供 報告書(PDF: 6,398KB)

3-1.令和5年度「クリーンウッド」実施支援事業のうち違法伐採関連情報等の提供(生産国における情報調査)報告書(PDF: 7,692KB)

3-2.令和5年度「クリーンウッド」実施支援事業のうち違法伐採関連情報等の提供(生産国における情報調査)(別冊資料)(PDF: 6,646KB)
インドネシア共和国環境林業省 環境林業大臣通達「Standar dan Pedoman Pelaksanaan Sistem Verifikasi Legalitas dan Kelestarian.」(合法性及び持続可能性の認証システム実施に係る基準及びガイドライン)の仮訳

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