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合法伐採木材等に関する情報:インドネシア

インドネシア

(2022年4月1日:全面更新)

注 国別情報については、平成29年度と令和3年度に実施した調査の成果等を参考情報として掲載しています。

注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

木材等の生産及び流通の状況

(1)森林と木材生産

インドネシアは東南アジアで最大の森林面積を有し、国土面積の64%に当たる1億2,050万ヘクタールが国有林に指定され、生産林(6,880万ヘクタール)、保護林(2,960万ヘクタール)、保全林(2,210万ヘクタール)の3種に分類されます。生産林は、さらに恒久生産林、制限生産林及び転換生産林に区分されます。

インドネシアの丸太生産量は増加傾向を示し、2021年には5.5千万m3に達しました。過去には天然林コンセッションが丸太生産の中心的な役割を果たしてきましたが、近年は、産業造林が主要な供給源になっています。2021年には丸太生産量の8割以上が産業造林から生産されました。丸太生産の増加に伴い、木材製品の生産量も2015年の38.2百万m3から2021年には51.8百万m3と増加しました。生産量では木質チップが最も多く、次いでパルプ、合板と単板積層材(LVL)、製材、ベニアとなっています。

(2)木材製品の輸出入

木材製品の輸出は増加傾向を示し、2013年の60.6億米ドルから2021年には141.3億米ドルに達しました。2021年には木製パネルの輸出額が大幅に増加し、木材製品輸出総額の27.5%を占めました。次いでパルプ(25.6%)、紙(22.0%)、木製家具(14.6%)、木製建具・木工用品等(8.1%)の順でした。主な輸出先は、中国、米国、日本、韓国、インドです。2019年以降、中国と米国への輸出額が大きく増加しています。一方で、日本への輸出額は2018年から2020年にかけて減少し、米国が日本を抜き第2位の輸出先となりました。

国内の生産量や輸出量に比べるとかなり少ないものの、インドネシアは丸木換算で年間約5,000万m3(年間供給量の5%未満)の木材を輸入しています。量ベースでは、パルプ・紙の輸入が半分以上を占め、残りは丸太・製材・単板等となっています。パルプ・紙の輸入先は、北米が半分近くを占めます。2020年の丸太、製材、単板等輸入品については、金額ベースで中国(30.0%)、マレーシア(12.7%)、米国(11.1%)、ニュージーランド(8.4%)、タイ(5.8%)という順でした。

木材合法性証明システム(SVLK)

(1)木材合法性証明システム(SVLK)に関する法令

インドネシアはSVLK(Sistem Verifikasi Legalitas Kayu)(英語名:Indonesian Timber Legality Assurance System)と称される木材合法性証明システムを構築しました。インドネシアから輸出される木材製品には、合法性証明書(EU向けにはFLEGTライセンス、日本を含むその他の国に対してはV-Legalドキュメント)が発行されます。

2016年に制定された「環境林業大臣令P.30/2016」及び「PHPL局長令SK.14/2016」が木材合法性証明システム(SVLK)を規定する主要な法令でしたが、それ以降にも規則の改訂が行われ、2020年に制定された「環境林業大臣令P.21/2020」と「PHPL局長令SK.62/2020」によってプロセスの強化や実施の効率化が図られました。さらに、2020年11月2日に投資と雇用創出を促すことを目的とした「雇用創出法(法律2020年第11号)」が成立し、実施細則の整備と実施が関係省庁で進められています。その結果、2021年2月に林業に関する規則を包括する「政府令No.23/2021」が制定され、同年4月に「環境林業大臣令P.8/2021」が制定されました。この「環境林業大臣令P.8/2021」により、木材合法性証明システム(SVLK)は合法性だけでなく持続性の観点を重視すること、そして、木材製品だけでなく非木材林産物も対象とすることが示されました。

本稿執筆時点(2022年2月)において、木材合法性証明システム(SVLK)は「環境林業大臣令P.21/2020」と「PHPL局長令SK.62/2020」に基づいて運用されています。ただし、「環境林業大臣令P.8/2021」の制定により、さらなる改訂プロセスが進んでおり、詳細な実施規則とガイドラインの検討が行われています。

(2)木材合法性証明システム(SVLK)のメカニズム

インドネシアの木材生産・流通・加工・取引に関する事業者は、国家認定機関(KAN)から認定を受けた民間の独立審査認定機関(LP-VI)の審査を受け、持続的森林管理証明書(S-PHPL)又は木材合法証明書(S-LK)を取得する必要があります。認証を受けた事業者は、SVLKマークを木材製品と取引書類に記載することができます。なお、2021年に制定された「環境林業大臣令P.8/2021」により、S-PHPLはS-PHLに、S-LKはS-Legalitasと名称が変更となりました。しかし、2022年2月時点では新名称への移行期間中となっており、S-PHPLとS-LKという名称が引き続き使われています。

図 インドネシア木材合法性証明システム(SVLK)のメカニズム

出典:平成28年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業

(3)合法性証明書(V-Legalドキュメント)

インドネシアの木材製品輸出業者は、国家認定委員会(KAN)が承認した独立審査認定機関(LP-VI)が発行するSVLK認証を取得し登録する必要があります。木材製品の輸出に当たっては、独立審査認定機関(LP-VI)の中から環境林業省によって認定された木材合法性審査機関(LVLK)が、輸出物の合法性を納品書単位で審査・確認し、合法性証明書を発行します。EUに対してはFLEGTライセンス、その他の国(日本を含む。)にはV-Legalドキュメントが輸出木材製品の納品書(インボイス)ごとに発行されます。

図 合法性証明書(V-Legalドキュメント)発行と伝達の流れ

出典:平成 28年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業

(4)持続的森林管理証明書(S-PHL/旧称S-PHPL)と木材合法性証明書(S-Legalitas/旧称S-LK)

2022年2月時点において、持続的森林管理証明書(S-PHL/旧称S-PHPL)と木材合法性証明書(S-Legalitas/旧称S-LK)は、「PHPL局長令SK62/2020」に従って発行されます。同局長令は、証明書の様式を定めておらず、審査機関によって証明書は異なります。ただし同局長令によって、以下の項目が証明書に記載されます。

  • 認証取得者の名前
  • 認証取得者の所在地
  • 事業許可ライセンス番号
  • 審査機関の名称とロゴ
  • 国家認定委員会(KAN)のロゴ
  • 発行日
  • 有効期間
  • 認証番号
  • 事業者タイプ

木材合法性証明システム(SVLK)の実施状況

(1)SVLK認証取得事業者

SVLK認証を取得した事業者と審査機関は、木材合法性情報システム(Sistem Informasi Legalitas Kayu:SILK)(http://silk.menlhk.go.id)にてリスト化され掲載されます。2022年10月時点で、5,600以上の森林関連事業者がSVLK認証を取得し、そのうち、木材合法性証明書(S-Legalitas/旧称S-LK)を取得している事業者は、2,916社(輸出事業者1,866社、販売業者/小売業者256社、非輸出業者794社)となっています。

(2)V-Legalドキュメント(FLEGTライセンスを含む。)の発行数と輸出量・金額

これまでに150万件以上のV-Legalドキュメント(FLEGTライセンスを含む。)が発行されました。2013年には木材合法性証明システム(SVLK)により合法性が証明された木材製品の輸出額は60.6億米ドルでしたが、2021年には約2.2倍の135.7憶米ドルに達しました。製品タイプで見ると、木材家具等(HSコード9403)、非塗工紙・板紙を含む紙類(HSコード4802)、合板等(HSコードが4412)が主要な輸出製品となっています。

(3)SVLKに関する2国間合意

インドネシア政府はEUとFLEGT-VPAと称される自主的二国間貿易協定を結び、2016年11月以降、EUに対してFLEGTライセンスで合法性が担保された木材のみの輸出を行っています。英国は、EUからの離脱後も、英国・インドネシア二国間のFLEGT-VPAに基づき、インドネシアからの木材輸入に関するFLEGTライセンスを合法的に伐採された木材および木材製品の証拠として受け入れています。また、オーストラリア政府は、2018年にインドネシア政府と共同で、インドネシアから木材を輸入する際の合法性確認に関する国別ガイドライン(Country Specific Guideline for Indonesia)を作成しました。合法性を確認する方法として、サプライヤーが木材合法性証明書(S-LK)を保持しているかどうかを確認すること、そして輸入の際にV-Legalドキュメントが備わっているかどうか確認することを挙げています。

(4)SVLK実施に関するモニタリングと不遵守事例

インドネシア政府とEUはFLEGT-VPAに基づき、定期的に木材合法性証明システム(SVLK)の実施についてモニタリングと評価を行っています。2021年11月に作成された第3回モニタリング報告書(The third Periodic Evaluation:PE3)によると、2019年から2020年初頭にかけて、18加工事業者がコンプライアンス違反のためにSVLK認証の停止を受け、そのうち10事業者が認証の取消処分を受けました。また、パプア州にて違法伐採に関連して6件の有罪判決があったと報告されています。

木材合法性証明システム(SVLK)実施に関する透明性を高めるために、インドネシア環境林業省はSILK上にプラットフォームを設置し、不遵守事例について公開しています(http://silk.menlhk.go.id/index.php/info/NonCompliances)。注目すべき点として、掲載される不遵守事例には政府機関の報告だけでなく、市民社会グループによって形成される独立モニター(Independent Monitors: IM)からの報告も含まれています。2019年には6事例、2020年は1事例、2021年は4事例が報告されました。

その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

(1)民間の森林認証スキーム

インドネシアで活用される森林認証としては、FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)(https://id.fsc.org/id-id)、IFCC(Indonesian Forest Certification Cooperation:インドネシア森林認証協力機構)(https://ifcc-ksk.org/)及びLEI(Lembaga Ekolabel Indonesia:インドネシア・エコラベル協会)(https://lei.or.id/)があり、 それぞれが持続的森林管理とCoCの認証を行っています。FSCは世界的な認証機関ですが、IFCCとLEIはインドネシア国内で設立された認証機関です。IFCCはPEFC(Programme for The Endorsement of Forest Certification)と相互認証を行っており、LEIは認証の対象を小規模事業体としている特徴があります。それぞれの認証状況は次の表のとおりです。

表 FSC認証状況(2022年1月)

認証タイプ 認証件数(面積)
持続的森林管理認証 41件(計3,208,901 ha)
生態系サービス認証 1件(計185 ha)
CoC認証 353件
プロジェクト認証 1件

表 IFCC/PEFC認証の状況(2022年1月

認証タイプ 認証件数(面積)
持続的森林管理認証 75件(計4,016,322.06ha)
CoC認証 41件

表 LEIの認証状況(2022年1月)

認証タイプ 認証
植林地における持続可能な森林管理認証(PHTL) 2,247,838 ha
コミュニティによる持続的な森林管理認証PHBML) 87,189.01 ha
CoC認証(家具と工芸品) 3,653 m3/年
CoC認証(パルプと紙) 5,307,760トン/年

合法性の確認に活用できる書類の事例

V-Legalドキュメントの例(PDF : 472KB)
発行対象 木材製品輸出事業者
発行者 木材合法性審査機関(LVLK)
持続的森林管理証明書(S PHPL)の例(PDF : 269KB)
発行対象 森林利用ビジネス・ライセンス取得者(PBPH)
発行者 独立評価審査機関(LP-VI)
森林管理_木材合法性証明書(S-Lk)の例(PDF : 359KB)
発行対象 森林利用ビジネス・ライセンス新規取得者(PBPH)、地域住民による森林管理(HKm、HTR、HD、HTHR)
発行者 独立評価審査機関(LP-VI)
加工事業_木材合法性証明書(S-LK)の例(PDF : 355KB)
発行対象 木材加工・流通事業者
発行者 独立評価審査機関(LP-VI)

関連する事業の報告書

(1)平成29年度「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業 報告書(PDF : 17.5MB)

(2)令和3年度「クリーンウッド」普及促進事業のうち違法伐採関連情報の提供 報告書(PDF : 6.4MB)

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