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合法伐採木材等に関する情報:フィジー

フィジー

注 国別情報については、平成30年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

木材等の生産及び流通の状況

調査時点では、フィジーでは全国の森林資源量が把握されていませんが、フィジー統計局資料により1970年から2016年までの郷土樹種(統計資料にはNative speciesとあります)、外来樹種(統計資料にはExotic speciesとありますが多くはカリビアマツ(Pinus caribaea var. hondurensis)のことと思われます)、マホガニー(Swietenia macrophylla)の3種の丸太生産量が確認できました。郷土樹種の生産量は近年減少しているものの、1975年から生産されてきた外来樹種および1998年から生産されてきたマホガニーにより年間全丸太生産量は概ね40~60万m3となっています。

フィジーのGDPで最も大きく占めるものは観光産業ですが、輸出産品の輸出額(フィジー統計局資料)でみればミネラルウオーター、砂糖、被服、金、鮮魚、加工魚、ウッドチップ、木材、青果・野菜の順となっています。林産物は7位、8位とはなっていますが、日本がフィジーから輸入している物品(日本財務省貿易統計)の中では「針葉樹のチップ又は小片状の木材」が最も多くなっており、その他の物品は極少量です。なお、日本製紙連合会資料によれば「針葉樹木材チップ」の2017年の日本の輸入先としては、米国、オーストラリア、ニュージーランドに次いでフィジーは4番目の国となっており、紙パルプ原料の輸入先として日本にとって重要な位置を占めています。

国際熱帯木材機関(ITTO)資料からフィジーの2012年から2016年の木材等の生産量、消費量、貿易量をみると概ね次のことが言えます。

  1. 丸太、製材の国内生産の多くは国内で消費されています。
  2. ベニアは国内生産の全量が国内で消費されています。
  3. 丸太は少量が輸入もされ輸出もされています。
  4. 合板は国内産で補えない種類の合板が輸入され、国内生産の一部は輸出されています。

合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

フィジーでは、伐採を含み森林施業はマホガニーとそれ以外の樹種で取り扱いの所管が違っています。マホガニーの生産は、マホガニー産業委員会(Mahogany Industry Council)※1が発行している「フィジーマホガニー人工林収穫規程(Fiji Plantation Grown Mahogany Harvesting Code of Practice)」に基づいて行われているのが殆どであり※2、マホガニー以外は林業省から発行されている「フィジー森林収穫規程(Fiji Forest Harvesting Code of Practice)」に基づいています。

マホガニーの伐採

マホガニーの伐採は、「2011年マホガニー産業(ライセンス化及びブランド化)令(Mahogany Industry (Licensing and Branding) Decree 2011)」に基づきフィジー広葉樹会社(Fiji Hardwood Corp. Ltd.)※3が伐採業者を審査し、マホガニー産業委員会が伐採許可証を発行しています。現在13社が許可を得ています。

許可を受けた伐採業者は、山土場で丸太の計測後に下に示すラベルを木口に貼付することとなっています。コンセッションからトラックでの搬出時、製材所への搬入時には丸太はラベル固有の番号で管理されています。

マホガニー材の輸出時には、フィジー広葉樹会社とフィジー国歳入税関局(Fiji Revenue and Customs Authority)の連名で「純フィジー産マホガニー(Fiji Pure Mahogany)」として「合法性証明書(Certificate of Legality)」が発行されます。フィジーからのマホガニーの輸出先は、ドミニカ共和国、オーストラリア、ニュージーランド、米国などが主で、日本への輸出は今のところはありません。

木口に貼付されるラベル

図:木口に貼付されるラベル

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1  Mahogany Industry Councilは、Mahogany Industry Development Decree 2010に基づき設立されたマホガニー産業を育成する委員会である。
2  フィジー中央銀行の資料によれば、マホガニー生産量の95%はMahogany Industry Councilの下で行われており、残り5%は林業省の下で行われている。
3  Fiji Hardwood Corp. Ltd.は、Fiji Mahogany Act 2003に基づいて業務を行っており、政府下の公社が、マホガニー産業の発展のために1998年に民間会社に移行したものである。

マホガニー以外の伐採

マホガニー以外の伐採についての作業基準である林業省発行のフィジー森林収穫規程には、伐採計画、林道設計、土砂流出対策、伐採手法、搬出手法など様々な基準が設けられており、この基準に基づいて伐採計画を審査します。また、その審査と平行して伐採木を製材する製材所許可の有無を確認したうえで伐採許可の可否が判断されます。

共有地からの借地における人工林伐採の場合には、植林前に伝統的共有地信託委員会(Native Land Trust Board:NLTB)の指導によりMataqali※4との土地リース契約は済んでいるためNLTBとの協議はありませんが、天然林伐採においてはNLTBとの協議が必要です。

伐採許可に限らず植林許可を含め林業活動の最終的な許認可権は林業省が持っていますが、その前にNLTBの許可が必要であり、NLTBが申請書を受理するに当たっては、環境省による事前承認が必要となっています。林業省では、環境省、NLTBの2者が承認したことを示す書類を受理することが審査開始の条件となっています(下図参照)。

伐採許可の流れ

図:伐採許可の流れ

林業省のこの伐採許可は、1992年森林令(Forest Decree 1992)に基づいて行われており、伐採許可証には次の5項目が記載されることとなっています。

  1. 許可証の発効日
  2. 許可の期限日
  3. 許可される施業の開始期限日
  4. 許可される面積
  5. 適正な伐採施業に関して許可森林官がつける条件

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4 フィジーでは国土の80数パーセントは伝統的な共有地となっており、Mataqaliとは共有地利用階層の一つである。末端階層は世帯で、その上がTokatokaと呼ばれる親兄弟の集まり、その上が一族の集まりであるMataqaliと呼ばれる。その上が部族の集まりでYabusa、その上は連合会のVanuaで国レベルは総連合会のMatanituと呼ばれる。共有地の売買は禁止されており、企業が植林するような場合には土地の賃貸契約を結ぶ必要があり、NLTBを介してMataqaliから土地をリースする。Mataqaliの構成員であっても人工林を収穫する時点での境界線でのトラブルを避けるために所属Mataqaliとの賃貸契約を結ぶこともある。

法令

伐採許可関連

  • 1992年森林令(Forest Decree 1992)
  • フィジーマツ令(Fiji Pine Decree 1990)
  • 2010年フィジーマホガニー産業開発令(Fiji Mahogany Industry Development Decree 2010)
  • 2003年フィジーマホガニー法(Fiji Mahogany Act 2003)
  • 2005年環境管理法(Environment Management Act 2005)
  • 2002年絶滅の危惧に瀕する種及び保護種に関する法律(Endangered and Protected Species Act 2002)
  • 2008年バイオセキュリティ宣言(Biosecurity Promulgation 2008)
  • 1998年ココナッツ産業開発局法(Coconut Industry Development Authority Act 1998)
  • フィジー国事法(Fijian Affaires Act (Cap 120))
  • 土地の保全及び改良に関する法律(Land Conservation and Improvement Act (Cap 141))
  • 伝統的共有地信託法(Native Land Trust Act(Cap 134))
  • 土地開発法(Land Development Act(Cap 142))
  • 土地売却法(Land Sales Act(Cap 137))
  • 国有地法(State Lands Act(Cap 132))
  • 測量士法(Surveyors Act(Cap 260))
  • 財産法(Property Act(Cap 130))
  • 1998年陸運局法(Land Transport Authority Act 1998)
  • 1996年労働安全衛生法(Health and Safety at Work Act 1996)
  • 工場法(Factories Act(Cap 99))
  • 1994年国家消防局法(National Fire Service Authority Act 1994)
  • フィジー森林収穫規程(Fiji Forest Harvesting Code of Practice)

製材関連

  • 1985年改訂法律第150号 第35節 森林(製材所)規則(Section 35-Forest (Sawmills) Regulations(Cap. 150 Rev. 1985))

マホガニー管理関連

  • 2010年マホガニー産業開発令(Mahogany Industry Development Decree 2010)
  • 2011年マホガニー産業(ライセンス化及びブランド化)令(Mahogany Industry (Licensing and Branding) Decree 2011)
  • 2003年フィジーマホガニー法(Fiji Mahogany Act 2003)

関係行政機関一覧

名 称 (略称) 主な業務
林業省
(Ministry of Forestry)
伐採許可証、製材許可証の発行。伐採手数料の徴収。伐採、製材、植物の管理のモニタリング。苗畑技術の改善と開発、林地の回復と境界確定、都市部の緑化。輸出・輸入木材の検査。
環境省
(Ministry of Environment)
自然環境の保護。森林伐採に関連する希少動植物種および自然環境への影響度合いの審査。
伝統的共有地信託委員会
(Native Land Trust Board (iTaukei Land Trust Board))
NLTB (TLTB) 伝統的共有地の所有権の保全、保護、管理および伝統的共有地に関連する経済取引の調整

その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

(1) 民間の森林認証スキーム

Forest Stewardship Council(FSC)による人工マツ林の森林管理(FM)認証が1件(面積85,383ha)、また、そのマツ材を扱うChain of Custody(CoC)認証が3件となっています。フィジーにはその他の認証システムはありません。

合法性の確認に活用できる書類の事例

伐採許可証(PDF:LICENCE TO EXERCISE A RIGHT)(PDF : 64KB)
発行対象 伐採
発行者 林業省
概要 5年間の伐採許可

(出典:平成30年度「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(欧州地域等)により収集)

マホガニー合法性証明証(PDF:CERTIFICATE OF LEGALITY)(PDF : 85KB)
発行対象 輸出マホガニー材
発行者 フィジー広葉樹会社/フィジー国歳入税関局
概要 Fiji Pure Mahoganyというブランドとして合法的に育てられ、伐採され、ロイヤリティ・手数料・税金等の支払いが行われ、輸送されたことを認める合法性証明書

(出典:2011年マホガニー産業(ライセンス化及びブランド化)令)

委託・補助事業の成果

(1)平成30年度
「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(欧州地域等)

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