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合法伐採木材等に関する情報:フィンランド共和国

フィンランド共和国

注 国別情報については、平成30年度、令和元年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

リスク低減に関する事例等についてはこちら

合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

木材等の生産及び流通の状況

フィンランドの国土面積は30万4,000平方キロメートル、森林面積は2,280万haです。森林資源量は23億5,600万haで、マツ、スプルース及びカバが主要樹種です。

林産物は、輸出額全体の2割を占めるフィンランドの代表的な輸出産品です。その中でも紙及び紙製品並びにパルプの輸出額は、フィンランドの輸出額全体の16%を占めています(2018年)。

2018年の輸出量は、丸太が180万8,000m3(主要相手国スウェーデン)、製材品は870万2,000m3(主要相手国エジプト、中国)、パルプは411万4,000t(主要相手国中国)、紙は634万6,000t(主要相手国ドイツ)、板紙は368万2,000t(主要相手国ドイツ)でした。

2018年の生産量は、丸太が7,816万7,000m3、製材品は1,184万m3、合板は123万m3、パルプは1,166万t、紙・板紙は1,054万4,000tでした。紙・パルプ製造業を除く木材加工業が消費する丸太の98%は、国産材で占められています。

2018年の輸入量は、丸太が802万m3(同、ロシア)、製材品は60万9,000m3(主要相手国ロシア)、切削板12万6,000m3(主要相手国ラトビア)、パルプ1,166万t(主要相手国ブラジル)で、合板、繊維板、紙及び板紙の輸入もありますが少量です。

合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

政府による合法性保証(証明)・確認システム

フィンランドにおける木材の合法性確保は、国産材にあっては森林法が適用される森林(主に商用林)での林業活動を管理するフィンランド林業センタ-(以下、「林業センター」という。)による森林施業管理及び伐採の承認、輸入木材にあってはEU木材規則(以下、「EUTR」という。)のフィンランドでの実施を目的に制定された木材及び木材製品の市場投入に関する法律(以下、「市場投入法」という。)に定めるデューデリジェンスシステムを主要なツールとして行われています。さらに、木材検量法が定める検量手続き(後述)は、木材の合法性を確保するための重要な役割を果たしています。

フィンランドの木材の合法性は、輸入材を含むフィンランド国内に存在する全ての木材原料の合法性を確保し、その原料から生産される林産物を合法製品とする方法で確保しています。

【国産材の合法性確保】

森林所有者には、森林法により森林計画の策定と10年に1回の森林計画の見直しが義務づけられています。森林計画の策定及び見直しには、林業センターの承認が必要です。
森林所有者または伐採を請け負った素材生産業者が伐採を行うときは、林業センターに森林利用宣言書を提出し、林業センターの承認を受けなければなりません。

森林所有者から森林利用宣言書を受け取った林業センターは、森林利用宣言書の内容を森林情報システムに登録済の情報その他の管理情報を参照しながら審査します。さらに林業センターは、森林利用宣言書提出件数の1%以上の申請について、伐採対象地または伐採地の現地確認を行っています。この現地確認は、リスク分析により保護林、重要な動植物生息地またはこれらのバッファーゾーンに隣接する伐採対象地を優先して選定し、状況に応じて伐採前または伐採後に行っています。

林業センターは、審査が完了すると、森林利用宣言書の右上の欄に受理番号を入れて森林所有者に書類を送付します。林業センターの受理番号が記載された森林利用宣言書は、行政機関が発行している合法的な伐採を証明する唯一の書類です。

加工工場では、受領した丸太及び伐根、枝その他の木材伐採時に発生する副産物の検量を資格者である検量士は、木材検量法の規定に基づき、荷口単位で検量を行い、木材検量法の運用を担当しているフィンランド天然資源研究所に「工場検量報告書」を提出します。国産材の場合、この報告書の記載内容は、森林所有者が林業センターに提出した森林利用宣言書の内容と整合していなければなりません。工場が丸太のサプライヤーに納品書として送付する「検量確認書」には法令が定める様式はありませんが、検量に係る記載内容は工場検量報告書の内容と一致していなければなりません。検量士が行った木材検量法に基づく検量の結果は、検量士が工場検量報告書をフィンランド天然資源研究所に提出する前に検量確認書としてサプライヤーに渡してはならない定めになっています。

木材生産にかかる行政手続きの概要

フィンランドでは、森林利用宣言書及び検量確認書が国産材の合法性を証明する書類として位置付けられています。

【輸入材の合法性確保】

市場投入法に基づき、EU市場外から木材を購入する事業者(EUTRが規定するOperator)は、デューデリジェンスシステムを備えるとともに、必ず取扱木材のサプライチェーンの情報を取得し、リスク評価を行い、リスクが存在するときはリスクを低減するとともに、取扱木材の情報を管理しなければなりません。

デューデリジェンスを含む事業者の法令遵守の確認は、EUTRが規定する管轄官庁(Competent Authority)である食料局が行っています。食料局は、食料局が行うリスク分析によりリスクをはらんでいると判断した物品を輸入した事業者を対象にこの確認検査を行います。食料局は、確認検査の年間実施件数を、EUTR対象林産物取扱事業者及びFLEGTライセンス取得事業者の内、少なくとも1%(約200件)と設定しています。食料局は、確認検査として、デューデリジェンスの認識、デューデリジェンス文書の設置及びデューデリジェンスの実施状況の電話による聞き取りのほか、必要に応じて事業者の事業所で現地検査を行います。

民間による合法性確保の取組み

フィンランドの林産企業では、大手を中心にISO 9001(品質マネジメントシステム)及びISO 14001(環境マネジメントシステム)、OHSAS 18001(労働安全衛生マネジメントシステム)並びにFSC及びPEFCの森林認証の取得がなされ、これらのシステムを取り入れた行動規範をベースとした企業運営を行っています。行動規範には、法令遵守、校正取引、人権及び労働権の尊重、ハラスメント及び差別の禁止、環境保護、労働安全衛生、意思決定、取引先管理、贈収賄禁止並びに利益相反の回避が盛り込まれているほか、国連の持続開発目標(SDGs)の達成を組み込んでいるものもあります。

フィンランドの大手林産物企業では、行動規範に基づいて一般的な取引契約の条件を設定している資材調達基準を定めるとともに、国内外のサプライチェーン管理のためのサプライヤー行動規範を設定しています。サプライヤー行動規範は、主にサプライヤーの選定、サプライヤーによるサプライチェーンの管理及び資材調達時のデューデリジェンスの実施、環境影響の最小化、腐敗及び贈収賄の排除、利益相反の回避並びにサブサプライヤーの管理及びサブサプライヤーへのサプライヤー行動規範の適用または適用要請を含んでいます。大手林産物企業では、企業活動の標準化及び厳格なサプライヤーチェーン管理を通じて、取扱林産物の合法性を確保しています。

主要関連法令

  • 森林法 (Metsälaki)
  • 自然保護法 (Luonnonsuojelulain muuttamisesta)
  • 木材及び木材製品の市場投入に関する法律 (Valtioneuvoston asetus Geodeettisesta laitoksesta annetun valtioneuvoston asetuksen muuttamisesta)
  • 木材検量法 (Laki puttavaran mittauksesta)

法令資料は、フィンランド法務省法務資料公開システム(https://www.finlex.fi/fi/〔外部リンク〕)で検索・閲覧できます。

関係行政機関一覧

名 称 主な業務
農林省
(Maa- ja metsätalousministeriö)
林業行政の主務官庁で林業関係法令を策定しています。利害関係者と連携し、持続的な森林開発を原則とした多様な森林利用及びその便益の促進を目的とする国家森林計画を策定するとともに同計画の遂行を監視し、必要に応じて計画の改正を行う役割を負っています。
林業センター
(Metsäkeskus)
森林法の遵守を監督する責務を負う農林省傘下の国家機関です。地元共同体との協力関係を築き、利害関係者と連携して地域森林計画の策定と実施状況の監督を行っています。
食料局
(Ruokaviraso)
木材及び木材製品の市場投入に関する法律が定めるEUTRが規定する管轄官庁(The Competent Authority)としてEUTR遵守の監督を実施している行政機関で、EUTR対象輸入木材に係る法令遵守の確認のほか、森林法に違反している事業者または個人への施業禁止命令その他の法令違反対応措置も担当しています。

その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

民間の森林認証スキーム

フィンランドではFSC(Forest Stewardship Council)及びPEFC(Programme for the Endorsement for Forest Certification)の森林管理認証の積極的な取得がなされ、FSC及びPEFCの両スキームの重複分を除いたフィンランドの森林認証面積は、森林面積の約8割(約1,812万ha)に達しています。私有林所有者を組織化しPEFCの森林管理認証をグループ認証で取得する活動を行っている団体により、1,300万ha以上の森林で森林管理認証がなされています。

フィンランドの林産企業には認証材の使用が広汎にみられ、大手林産物企業では輸入材を含む林産物原料に占める森林認証材の割合が8割を超えています。これらの企業では、森林認証材以外の原料をFSCのコントロールドウッド材またはPEFCのコントロールドソース材で賄っています。

合法性の確認に活用できる書類の事例

森林利用宣言書(PDF : 487KB) 仮訳(PDF : 155KB)
発行対象 伐採
発行者 林業センター
概要 伐採許可書
注:林業センターへの提出用電子ファイルのため、直接ダウンロードできません。
(出典:フィンランド林業センター)

委託・補助事業の成果

(1) 平成30年度
「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(欧州地域等)

(2) 令和元年度
「クリーンウッド」利用推進事業のうち追加的措置の先進事例収集事業

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