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合法伐採木材等に関する情報:カナダ

(2026年9月28日:全面更新)

1. 共通

カナダは、連邦制をとっており、10州と3準州からなっています。カナダの憲法は、公有地ならびにその立木及び木材の管理・売却を州政府の権限であると定め、各州政府は独自に森林に関する政策と法令を策定しています。

カナダは世界有数の森林国であり、森林面積は約3.69億haで国土の約4割を占め、世界の森林面積の約9%を有しています。森林の多くは亜寒帯林で構成されており、木材生産に加えて、生物多様性の保全や水源涵養など多様な機能を担っています1。

カナダの森林の多くは公有林であり、約9割以上が州政府等の公的主体によって管理されています。森林所有の内訳は、州有地が約90%、連邦有地が約4%、私有地が約6%となっており、木材生産は主として州政府が管理する公有林を中心に行われています2。

カナダでは州・準州ごとに森林資源量や成長量等を基に、年間許容伐採量(Allowable Annual Cut: AAC)と呼ばれる伐採量の上限を設定しています。AACは持続可能な森林経営を確保するための指標であり、この範囲内で木材伐採が行われるよう管理されています3。

伐採された木材は、製材工場や木質パネル工場、パルプ・製紙工場などで加工され、製材品、パネル、紙製品などとして流通します。カナダの森林産業は輸出依存度が高く、木材・木材製品は重要な輸出品目となっています。2024年の木材・木材製品の輸出額は約372億カナダドル(以下、ドルと記載)で、主な輸出先は米国です4。

2. ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)

(1) 森林及び林業・木材産業の概要

  • 木材産業の概要

    ブリティッシュ・コロンビア(BC)州は、カナダで最大の木材生産を行っている州で、2023年における日本向けカナダ産木材製品の83%以上が同州から輸出されています5。また、同年の木材伐採量は3,890万m3でした5。

    BC州の総面積は9,500万haで、そのうち3分の2の約6,000万haが森林です。州政府はこのうち約2,200万haを林業用に割り当てています。林業が行われる2地域は、「沿岸部」と「内陸部」であり、約7割の木材が内陸部で生産されています。土地所有別に見ると、伐採は主に州有地にて行われています。伐採は主に5つの大手企業により行われていますが、先住民や地元のコミュニティなどの小規模事業体も数多く存在します。

    2020年のBC州の木材加工業の売り上げは144億ドルで、そのうち43億ドルが紙・パルプの販売でした。そのほかの製品には、チップ、屋根板、単板、合板等が含まれます5。

  • 木材製品の貿易状況

    BC州の木材製品の輸出額は、2023年に113億ドルでした。輸出額の内訳は、針葉樹材が45億ドル、パルプ材及び紙が36億ドル、丸太4億ドル等でした。最大の輸出先は、米国、次いで中国でした。
    同年の木材製品の輸入額は、32億ドルでした。その内訳は、OSB(配向性ストランドボード)、単板、合板、建材等が18億ドル、紙が12億ドル、針葉樹材が2億ドルでした5。

(2) 関連行政機関の概要

機関名・部局名 役割及び責任・所管
BC州森林省本部
(B.C.’s Ministry of Forests Head office)〔外部リンク〕
州の森林政策と行政全般を所管
BC州森林省地方事務所
(B.C.’s Ministry of Forests Regional office)
森林経営と伐採に関する計画や許可証の承認
コンプライアンスの管理と執行
BC州森林省郡事務所
(B.C.’s Ministry of Forests District office)
森林経営と伐採に関する計画や許可証の承認
コンプライアンスの管理と執行
BC州木材販売局(BC Timber Sales)〔外部リンク〕 入札の管理
木材のために割り当てられた土地の管理
BC州森林施業委員会
(Forest Practices Board)
BC州森林放牧地施業法(Forest Range and Practices Act)及びBC州山火事法(Wildfire Act)に基づき、政府・事業者の遵守状況を独立して監査する第三者機関
BC州森林所有権支所
(Forest Tenure Branch)
ツリーファームライセンス(Tree Farm License)の管理
BC州木材価格支所
(Timber Pricing Branch)
木材の価格設定方針と手続き
BC州私有管理林地協議会
(Private Managed Forest Land Council)
私有管理林地計画の管理
BC州公園局
(B.C. Parks)
BC州の公園・保護地域システムの管理

(3) 関連法令及び運用等

  • コンプライアンスと法執行

    BC州の林業を所管する森林省には、コンプライアンス・執行局があり、州の森林法、山火事法、土地法、水法、遺産保全法などの規制要件の事業者の順守状況を判断するための検査を行います。伐採権のコンプライアンスと執行については、コンプライアンス・執行局の天然資源担当官と自然保護官が担当します。コンプライアンス違反には、警告、違反切符、作業停止命令、差し押さえ、罰金を含む行政罰、法廷での起訴が適用されます。

  • 木材及び木材製品の輸送・加工の合法性を確認するための監督・管理措置システム

    BC州森林省の郡・地方、及び本部のスタッフは事業者が検収要件を満たしたかどうかを評価することに対して共同責任を負います。コンプライアンスの確認には、現地調査、検収結果やレポートの確認などが含まれます。BC州森林省は、積荷明細伝票により、輸送中の木材の動きを監視することができます。

3. アルバータ(AB)州

(1) 森林及び林業・木材産業の概要

アルバータ(AB)州はカナダ西部に位置し、ロッキー山脈を含む広大な森林資源を有しています。州全体の面積は約66万km2で、そのうち約60%に当たる約4,000万haが森林です。森林の大半は州有林であり、公共資源として州政府が管理しています。2022~2023年の木材伐採量は、針葉樹材が約1,510万m3、広葉樹材が約760万m³です。伐採量は年間伐採許容量(AAC)に基づき管理されており、森林資源の持続可能性を確保するため、科学的評価に基づいて伐採可能な最大量が設定されています。主要な林産業には、製材業、パルプ・製紙業、木質バイオマス加工、合板製造などがあり、州北部のハイレベル地域や中部のホワイトコート地域が主要な生産拠点となっています。

(2) 関連行政機関の概要

機関名・部局名 役割及び責任・所管
アルバータ州林業公園省
(Ministry of Forestry and Parks)〔外部リンク〕
州有林の管理、森林政策策定、伐採計画の承認、森林火災対策
林業公園省郡オフィス
(District offices)
北部地域の森林管理、地域でのライセンス発行業務等
アルバータ森林管理専門家協会
(Association of Alberta Forest Management Professionals, AAFMP)〔外部リンク〕
Regulated Forest Management Profession Actに基づき設立。森林管理専門職の資格認定・規制、倫理規定の策定と能力維持を行い、林業専門家の公共利益保護と技術的水準を保証。私有林の森林管理計画策定時の助言機関となる場合もある。
アルバータ州運輸省
(Alberta Transportation)〔外部リンク〕
木材の輸送(道路アクセス許可・オフサイト木材保管・輸送記録の管理)
アルバータ州地方自治体
(Municipal Governments)〔外部リンク〕
地域内の土地利用計画、開発許可、伐採活動の規制を担当。Municipal Government Act(MGA)に基づき、土地利用計画、地域構造計画、土地利用細則を定める。私有林の管理において、地方自治体は土地利用計画や開発許可の発行を通じて、伐採や再植林などの活動を規制
アルバータ林産物協会
(Alberta Forest Products Association, AFPA)〔外部リンク〕
州内の木材製品企業を代表する民間団体。持続可能な森林経営の推進、品質管理、業界広報。木材製品のグレードの格付け機関

(3) 関連法令及び運用等

AB州の森林法は2000年の制定後、2022年に改訂され、採伐方法、木材利用基準、伐採権制度に関する枠組みを定めています。また、州森林法を基本法とし、木材管理規定(Timber Management Regulation: TMR)や森林管理協定(Forest Management Agreement: FMA)、地域ガイドラインなどが整備されており、これらの法令により、伐採方法、木材の利用基準、持続可能な森林経営の実施、再植林計画、環境保護措置などが企業や事業者に義務付けられています。

  • 木材及び木材製品の貿易に関する法令

    ■ 輸入に関する法令
    AB州において、木材及び木材製品の輸入に関する法制度は、連邦法である野生動植物保護及び国際・州間取引規制法(Wild Animal and Plant Protection and Regulation of International and Interprovincial Trade Act: WAPPRIITA)と、木材管理規定(Timber Management Regulation: TMR)により規定されています。

    ■ 輸出に関する法令
    AB州における木材及び木材製品の輸出は、主としてカナダ連邦法である関税法及び上述したWAPPRIITAに基づき行われています。
    輸出事業者はまず、カナダ歳入庁(Canada Revenue Agency: CRA)からビジネス番号を取得し、輸出入アカウントを開設する必要があります。加えて、カナダ国境サービス庁が運用する電子申告ポータルを通じて輸出申告が義務付けられています。
    輸出対象となる製品には、ソフトウッド製材、集成材、木質ペレット、パルプ製品などが含まれますが、関税枠・輸出許可証の発行が必要となる場合があります。AB州内で伐採された木材のうち、連邦政府が定める未加工の丸太については、輸出規制の対象として定期的な見直しが行われています。

(4) 持続可能性等に関する取組み状況

AB州の森林法においては、伐採事業者がFMAの下で森林を管理するにあたり、持続可能性を担保するための規定を設けています。特に森林施業に関わる内容として、FMAホルダーは、対象区域で伐採後2年以内の再植林が義務付けられていることから、同契約に基づき必要な取り組みを実施しているとの情報があります。

また複数の伐採事業者は、自社の環境社会配慮に係る取り組みを自社HPで公開しています。特にAB州のみならずカナダ全般においての特徴として、先住民への配慮を求められています。これは、公的な土地(Crown Land)や天然資源の管理・開発を実施する際、州政府に対して、先住民と協議を行う義務があります。これはカナダ憲法の下で保護される先住民の条約権や慣習利用を尊重するという原則に基づいています。同州は州有林の比率が高く、かつその管理はFMAを基に伐採事業者が長期的な管理を行う権利を与えられて実施していることから、FMAのホルダーは社会的責任として先住民への配慮が義務付けられています。

4. 民間の森林認証システム

森林管理認証は、1990年代後半から2008年にかけてカナダ全土で導入されました。2013年以降、認証森林面積は1億5,300万ヘクタールから1億7,000万ヘクタールの範囲で比較的安定しています。2023年現在、約1億6,000万ヘクタールの森林が認証されています6。

カナダには、持続可能な森林管理協議会(FSC)、森林イニシアチブ(SFI)、そしてカナダ規格協会(CSA)の3つがあります。このうちSFIとCSAはPEFC森林認証制度相互承認プログラム(PEFC)と相互認証しています7。

5. 合法性の確認に活用できる書類の事例

(1) 原材料情報(証明書)として活用できる書類(違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いことを証する情報)

1)共通

森林認証制度に基づく木材に対する証明(例:商業送り状(Commercial Invoice))(PDF : 545KB)
概要
  • 木材輸出業者と第1種木材関連事業者との間で取り交される森林認証制度に基づく木材に対する証明
発行者 木材輸出業者
被発行者 第1種木材関連事業者
発行方法 発行者及び第1種木材関連事業者との間の取引において発行される。
樹種、伐採国の情報 樹種△、伐採国△
*記載内容は、輸出業者と第一種木材関連事業者との間の合意が前提であることから、記載されるケースがある。
その他
  • 取引される木材について森林認証の主張が付されている場合のみ。
  • PEFCについては、Sustainable Forest Initiative(SFI)を相互認証していることから、SFIの認証を受けている場合、PEFCの認証材として主張が付される。

2)ブリティッシュ・コロンビア州

BC州の州有林の伐採には、BC州森林法により規定された伐採権がベースになり、州政府と企業、コミュニティ、又は個人との合意で付与されます。伐採権にはライセンス等の形態があり、主要なライセンスには、木材ライセンス、ツリーファームライセンス、森林ライセンス、木材販売ライセンス、伐採のための林業ライセンスなどがあります。木材の伐採のために、BC州政府から、伐採権の保有者に対して伐採許可証(例:森林ライセンスに基づいて発行された伐採許可証)が発行されます。

伐採許可(Cutting Permit)(PDF : 192KB)
(例:森林ライセンス伐採許可、Cutting Permit for Forest Licence)
概要
  • Forest Act s.12に基づく伐採許可。Forest Licenceで付与された伐採権(AAC/伐採量枠)を、定められたエリアで実行可能にする伐採の直接許可に関する書類
  • 通常FSP(Forest Stewardship Plan)に整合して発給され、伐採区画・期間・条件(環境配慮、道路、保全等)が許可条件として付される。
発行者 Ministry of Forests
被発行者 Forest Licenseの権利保有者
発行方法 申請後必要に応じて先住民協議を実施し、通常45日以内に許可が通知される。
樹種、伐採国の情報 樹種:×、国:〇
木材売買ライセンス(Timber Sales License)(PDF : 1,327KB)
概要
  • Forest Act s.20, s.22及びBC Timber Sale Regulation(B.C. Reg.381/2008)に基づき、BC Timber Sales(BCTS)が州有林の木材(Crown timber)を市場に供給するために付与する伐採権の契約
  • 入札・競売等で落札した事業者がTSLの条項・条件の下で伐採し、伐採材は計測されstumpage等の課金対象となる。TSLの制度運用はBC Timber Sales Regulation等に基づく。
発行者 Ministry of Forests
被発行者 BCTSのTimber Saleを落札・承認された事業者
発行方法 落札後にMoFと落札者との間で契約が交わされる。
樹種、伐採国の情報 樹種:〇(入札スケジュールに伐採エリアに生育する樹種の割合に関する記載がある)、国:〇

3)アルバータ州

森林管理協定(Forest Management Agreement、FMA)(PDF : 1,182KB)
概要
  • Forest Act Part 3(ss.16-25)に基づき、州政府と大規模林産企業が締結する20年更新の長期伐採・森林管理協定。伐採量だけでなく、道路建設、再造林、生態系保全など包括的な森林管理義務を負う。対象区域は広く、企業は年間施業計画(Annual Operational Plan: AOP)を毎年提出する義務がある。
  • 総合森林管理計画・年次作業計画の提出、再植林・更新義務、環境モニタリング、伐採料(Stumpage)及び再植林負担金(Levy)を支払う
発行者 Alberta Ministry of Forestry and Parks
被発行者 協定締結企業
発行方法 州政府(Alberta Ministry of Forestry and Parks)と企業の二者間契約として締結
樹種・伐採国の情報 樹種:〇、国:〇
針葉樹木材割当(Coniferous Timber Quota, CTQ)(PDF : 1,852KB)
概要
  • Forest Act(Part 4, ss.26-42)及び木材管理規定に基づく。企業に針葉樹の年間伐採割当量(Allowable Annual Cut: AAC)を付与する制度
  • 割当量に基づき Harvest Plan や AOP を提出し、伐採と再造林を実施する。FMAより範囲は狭いが、安定供給を担う主要制度のひとつ
  • 作業計画提出、再植林・更新義務、Stumpage伐採料及び再植林負担金の支払い、報告義務
発行者 Alberta Ministry of Forestry and Parks
被発行者 割当取得企業(Quota holders)
発行方法 長期安定供給を目的とする割当。伐採前に Annual Operating Plan (AOP) の提出後に有効
樹種・伐採国の情報 樹種:〇、国:〇
広葉樹木材割当(Deciduous Timber Quota, DTA)(PDF : 1,893KB)
概要
  • 広葉樹(アスペン等)の伐採割当であり、Forest Actに準拠
  • 広葉樹を利用する企業向け割当制度である。パルプやボード材など広葉樹需要に応じた伐採許可が与えられ、伐採計画の提出・モニタリングが義務付けられる。CTO と並行運用される。
  • 作業計画提出、再植林・更新義務、伐採料(Stumpage)及び再植林負担金(Levy)の支払い義務がある。
発行者 Alberta Ministry of Forestry and Parks
被発行者 割当取得企業(Quota holders)
発行方法 年間伐採量に基づく割当。伐採計画書提出後に有効
樹種・伐採国の情報 樹種:〇、国:〇

4)ケベック州

QWEB認定会員企業の合法性証明書類
適用項目 広葉樹木材製品
概要 カナダのケベック木材製品輸出振興会(QWEB)では、団体認定方式による合法性証明を行うことを決定し、合法伐採木材の取引に係る行動規範を策定しました。行動規範の遵守と森林認証等による合法性の確認を要件として認定を受けた同会構成員企業によって、船積の都度に、合法性を証明する書類が発行される。
事例 QWEB認定会員企業の合法性証明書類(PDF : 420KB)
(資料提供:日本木材輸入協会)

(2) その他関連情報として活用できる書類(原材料情報や合法性の確認の信頼性を高められる情報)

これらの書類はクリーンウッド法に基づく原材料情報(証明書)には該当しませんが、樹種や伐採地が記載されていたり、製品名やサプライチェーンに関与した事業者を特定できることから、合法性確認に活用できる可能性があります。

No. 英名 和訳 発行者/申請者 被発行者
1 TM9 Forest Products Hauling Record 林産物運搬記録 伐採事業者 木材運搬業者(陸上)
2 Mill Certificate 製材所証明書 伐採事業者 取引事業者
3 Commercial Invoice(森林認証の主張なし) 商業送り状 輸出事業者 第1種木材関連事業者
4 Packing List 梱包リスト 輸出事業者 第1種木材関連事業者
5 Container Bundle Tally コンテナ梱包一覧 伐採事業者 第1種木材関連事業者
6 Insurance 保険証書 輸出事業者 第1種木材関連事業者
7 Bill of Lading/Sea Waybill 船荷証券 輸出事業者 第1種木材関連事業者
8 Phytosanitary Certificate 植物検疫証明書 輸出事業者 カナダ食品検査庁
(Canadian Food Inspection Agency)
9 Export Declaration 輸出申告書 輸出事業者 カナダ国境サービス庁
(Canada Border Services Agency)

6. 関連する報告書

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