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合法伐採木材等に関する情報:オーストラリア

(2024年6月17日:全面更新)

注 国別情報については、令和2年、令和4年に実施した調査の成果等を参考情報として掲載しています。

注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら(PDF: 1,526KB)

注 リスク低減に関する事例等についてはこちら(PDF: 23,939KB)

1. 木材等の生産及び流通の状況

オーストラリアでは国土面積7.69億haの17%にあたる1.34億haが森林です。このうち天然林は1.32億ha(全森林面積の98%)、商業プランテーション林は182万ha(全森林面積の1.4%)、非商業的な人工林やサンダルウッド(白檀)プランテーションなど様々な植林地を含む「その他の森林」は24万haです。(資料:2023 State of Forests Report)

1)天然林

主にユーカリ属(1.01億ha)、アカシア属(1100万ha)、メラルーカ属などの森林が広く分布しています。

  • 公有地 4300万ha
    多目的利用公有天然林は1000万haで、そのうち商業的木材生産が可能な天然林は630万haです。
  • 私有地または民間へのリース地 8800万ha
    大部分は商業性が低い森林です。
  • 未確定地 100万ha

2)人工林(プランテーション)

公有プランテーションは21%、私有プランテーションは79%の面積を占めます。(資料:SOFR2023)

  • 針葉樹プランテーション:106万ha

    植栽面積が広い樹種は外来種であるラジエータパイン(Pinus radiata、74%)やサザンパイン(P. caribaeaやP. elliottii、15%)で、主に製材用材として使われ、25-35年ローテーションで伐採・再植林されています。1960-80年代に拡大しました。

  • 広葉樹プランテーション:74万ha

    植生面積が広い樹種はユーカリ属のEucalyptus globulus(53%)やE. nitens(25%)で、主にパルプ用材として使われ、10-15年ローテーションで伐採・再植林されています。また植栽面積は広くないですが、建材用の広葉樹プランテーション(マホガニーやチークなど)も存在し、25-45年ローテーションで伐採・再植林されています。1990~2000年代に拡大しました。

  • 不明あるいは針葉樹・広葉樹混交プランテーション:2万ha

3)国内木材生産

2018年度(2018年/7月~2019年6月)のオーストラリアにおける丸太生産量は3290万m3で、その内訳は以下の通りでした。

(資料:https://www.agriculture.gov.au/abares/products/insights/snapshot-of-australias-forest-industry#log-harvest

  • 天然木由来の丸太:420万m3(13%)

    広葉樹丸太が96.5%(410万m3)を占めていました。

  • 人工林由来の丸太:2870万m3(87%)

    広葉樹丸太が39%(1130万m3)、針葉樹丸太が61%(1740万m3)を占めていました。

4)木材製品の輸入

2022-23年度のオーストラリアの木材・木材製品輸入額は69億豪ドルで、紙・板紙(24億9,900万豪ドル)が最も多く、木質パネル(9億1,300万豪ドル)、製材(5億9,800万豪ドル)と続きます。

(資料:Australian forest and wood products statistics - DAFF (agriculture.gov.au))

5)木材製品の輸出

2018年度のオーストラリアの木材・木材製品輸出額は28億豪ドルで、最も多いのは木材チップ(12億6900万豪ドル)で、次いで紙・板紙(8億2500万豪ドル)、製材(7000万豪ドル)などとなっています。

(資料:Australian forest and wood products statistics - DAFF (agriculture.gov.au))

2.木材・木材製品の生産・流通等に関する法令等とその運用状況(国産材)

1)連邦レベルの法規

オーストラリアの憲法に基づく連邦制において、森林を含めた土地の管理と林産業の監督は、州政府および準州政府が第一義的な責任を負っています。
生物多様性保全に関して、林業施業は一般的に1999年環境保全生物多様性保護法(Environment Protection and Biodiversity Conservation Act)の適用を受けます。

地域森林合意(Regional Forest Agreements)
オーストラリア連邦政府と4州政府(西オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州)は、10地域3920万haに対し、地域森林合意を締結しています。これらの地域は環境保全生物多様性保護法の適用外となっています。

(1) 木材の流通
2012年違法伐採禁止法(Illegal Logging Prohibition)に基づき、オーストラリア国内で生育した樹木の丸太を加工する事業者は、その丸太が違法に伐採されたものではでないことを確認するデュー・デリジェンス・システムを持ち、原木が原木以外のものに加工される前にデュー・デリジェンスを実施することが求められています。オーストラリア国内で生育した原木がそのまま輸出される場合はこの対象ではありません。

(2) 木材の輸出
2020年輸出制限法(Export Control Act)2021年規則に基づき、2トン以上の木質チップ、丸太、断面積225cm2以上の製材品の輸出には木材輸出ライセンス(Wood Export License)が必要です。木材輸出ライセンスの取得のためにはが必要となります。

  • 輸出用の木材または木材チップが、オーストラリア政府および州の環境要件に従って伐採されたものであることの宣誓書を含む、記入済みの申請書。
  • 木材の伐採・販売を許可する州政府発行の関連書類(伐採ライセンス、皆伐ライセンス、販売許可証など)の写し(これは、木材が合法的に伐採されたことを証明するものとして必要です。)。
  • 海外購入に関する書類(例えば、領収書、注文確認書、購入意向書、タックスインボイスなど)のコピー。

しかし以下の輸出に関してはその例外として、木材輸出ライセンスの取得が免除されています。

  • 承認された規範(Code)がある州の人工林(プランテーション)からの木材
  • 地域森林管理合意地域からの木材、広葉樹木質チップ

輸出要件に関する情報は次のウェブサイトから入手できます。
https://www.agriculture.gov.au/agriculture-land/forestry/industries/export

天然のサンダルウッド(白檀)の伐採は厳しく規制されており、伐採の前には必ず関係州政府当局の許可を得なければならなりません(合法的に伐採された木材およびその操業に関する法規制を参照)。

2) 州レベルの法規

本項は農水林業省の州別ガイドライン(SSG)を参考にしています。
https://www.agriculture.gov.au/agriculture-land/forestry/policies/illegal-logging/processors/resources#state-specific-guidelines

(1) 西オーストラリア州

西オーストラリア州は、2024年1月1日をもって原生林業(天然林業)から撤退しました。従って、2024年1月1日より前に伐採された木材と2024年1月1日以降に伐採された木材には異なる法律が適用されます。

ア. 2024年1月1日より前に伐採された木材

<公有地天然林>
州有企業である林産物委員会(FPC)は伐採した木材に対して林産物規制納品書(Forest Products(FP) Regulations delivery note)を発行しています。記載された伐採林区番号を、林産物委員会によって公表されている年間伐採計画(林区番号や地図を含む)と照合させることによって合法性の確認に活用できます。

イ. 2024年1月1日以降に伐採された木材

森林管理計画2024-2033では、公有地の天然林での大規模な商業目的の伐採は中止されています。公有地の天然林から伐採できる木材は、森林の健全性を向上させる管理活動(生態学的間伐など)、または承認された採掘事業やインフラのための伐採によるものだけとなります。
天然林皆伐由来の木材の場合、水環境規制省(Department of Water and Environment Regulation)からの皆伐許可(Clearing Permit)、ないし生物多様性保全観光資源省(Department of Biodiversity Conservation and Attractions)からの商業的生産のための公有地からの植物採取ライセンス(Flora Taking (commercial purposes) Crown Land Licence)が必要です。
林産物委員会(FPC)は公有地(Crown land)の天然林からのサンダルウッドの採取、販売も行っていますが、生物多様性保全観光資源省からの植物供給(サンダルウッド)ライセンス( Flora Supply (sandal wood) Licence)の取得も必要です。

<公有地プランテーション>
州有企業である森林産物委員会(FPC)からの林産物(FP)規制納品書(Forest Products (FP) Regulations delivery note)が合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
私有天然林の伐採は、1986年環境保護法に基づいて発行された伐採許可証、または2004年環境保護(天然植生の伐採)規則に概説された適用除外の1つに基づいて行われます。私有地から植物が合法的に採取され(環境保護法の規定に基づく場合を含む)、販売される場合には、私有地供給業者のライセンスが必要です。これには、天然林の木材を直接一般に販売する場合、または製材工場に販売する場合が含まれます。私有地における天然サンダルウッドの収穫にはそれに加えて、生物多様性保全観光資源省(DBCA)からの植物採取(サンダルウッド)ライセンス(Flora taking (sandalwood) licence)が必要です。また生きているサンダルウッドの販売には植物供給(サンダルウッド)ライセンス(Flora supplying (sandalwood) licence)が、販売地点への移動にはサンダルウッド追跡フォーム(Sandalwood Tracking Form/STF)が必要です。

<私有プランテーション>
私有プランテーションで栽培された外来樹種の伐採に許可は必要としません。しかし所有者からの木材伐採許可(Timber Harvest Authorisation)を取得することもでき、合法性の確認に活用できます。私有プランテーションで栽培された生きているサンダルウッドの販売については植物供給(サンダルウッド)ライセンス(Flora supplying (sandalwood) licence)、販売地点への移動については生物多様性保全観光資源省(DBCA)からのサンダルウッド追跡フォーム(Sandalwood Tracking Form/STF))が必要です。

(2) 北部準州

牧地(Pastoral Land)とは公有地を放牧目的のためにリースした土地ですが、牧地内の天然林植生の皆伐を行う場合は牧地委員会(Pastoral Land Board: PLB)の承認が必要です。自由保有地(Freehold Land=私有地)内の天然林植生の皆伐を行う場合は、インフラ・計画・ロジスティクス省(Department of Infrastructure, Planning and Logistics)への申請が必要です。開発地域が開発同意機関(Development Consent Authority: DCA)の所轄範囲内の場合は、開発同意機関からの同意も必要です。また鉱山開発に伴う伐採の場合、2001年採掘管理法(Mining Management Act)に基づく許可を取得する必要があります。

(3) 南オーストラリア州

<天然林>
天然植生は天然植生法で保護されており、天然林の伐採に関しては天然植生審議会(Native Vegetation Council)からの承認が必要です。地元審議会からの承認も必要となる場合もあります。なお南オーストラリア州では、現在天然林の伐採は行われていません。

<プランテーション>
公有プランテーションは森林認証を受けており、州有企業South Australian Forestry Corporationによって管理されています。私有地での商業林業は、森林所有権協定と商業林プランテーション・ライセンスによって管理されています。

(4) クイーンズランド州

<公有天然林>
公有林における伐採には州政府からの販売許可(sale permit)が必要です。販売許可番号は農水省からのタックス・インボイス(tax invoice)にも記載されており、販売許可証とともに合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
州政府の規制植生管理地図(Regulated Vegetation Management Maps)でCategory BエリアあるいはCategory Cエリアと分類されている残存植生(remnant vegetation)内の私有天然林の伐採については、「天然林施業を受け入れた開発の植生伐採規範の管理」(‘Managing a native forest practice accepted development vegetation clearing code’)を遵守しなければなりません。私有天然林のオーナーは、操業開始前に資源省(DoR)のサイトで伐採を通知し、登録確認を受けとらなければなりません。DoRから電子メールで送られる申請確認書が合法性の確認に活用できます。

<公有地のプランテーション>
州有地のプランテーションはHQPlantations社によって管理されており、その積載納品書(load docket)やタックス・インボイスが合法性の確認に活用できます。

<私有プランテーション>
地方自治体からの伐採制限などが存在する場合もありますがが、それ以外は樹木の所有者との合意があれば伐採できます。なお保護種(天然サンダルウッド等)の伐採に関しては、保護植物収穫ライセンス(protected plant harvesting licence)を取得する必要があります。

(5) ニューサウスウェールズ州

<公有天然林>
公有地天然林での伐採はニューサウスウェールズ林業公社(FCNSW)のみが許可されています。公有地天然林の伐採には統合的林業操業許可(Integrated Forestry Operations Approval: IFOA)を取得することが義務づけられています。ニューサウスウェールズ森林公社からの納品書(delivery docket )を、IFOAにより許可された施業計画と照合することによって合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
2022年5月に私有天然林規約(Private Forestry Codes)が更新されています。
土地所有者は、地方土地局(Local Land Services)に最長15年の私有天然林業計画(Private Native Forestry Plan: PNF Plan) を提出し、その承認を得ることが義務付けられており、承認済み私有天然林業計画(地方土地局から与えられた参照番号を持つ)を合法性の確認に活用することができます。PNF 計画の下での林業施業は、関連する私有天然林施業規範に従わなければなりません。
また私有天然林の一部は地方自治体(local council)からの開発同意(development consent)の取得も義務付けられています。

<プランテーション>
公有地、私有地双方のプランテーションは、植林・再植林法(PR法)および関連規則(植林法)に基づき規制されています伐採のためにも一次産業省からの操業計画の承認が必要で、合法性の確認に活用できます。

<その他のソースからの木材>
政府の開発事業、インフラプロジェクト、土地利用の改変に伴う皆伐からの木材など。許可のタイプは開発のタイプによります。これらの開発にも1979年環境計画・アセスメント法に基づく計画認可などを必要とするため、対応する開発番号を確認することが可能です。

(6) 首都特別地域

特別地域政府の公園保全サービス(Parks and Conservation Service)の管理する公有のプランテーションのみで木材生産が行われています。伐採前に環境管理計画(Environmental Management Plan)を作成し、環境保護機関(Environment Protection Authority)から承認される必要があります。配送される木材の納品書(delivery docket)記載の林区番号を操業計画と照合させることによって合法性の確認に活用できます。

(7) ビクトリア州

<公有天然林>
2023年5月23日、ビクトリア州政府は州有林での天然林伐採を2024年に終了すると発表しました。木材譲渡計画(TRP)に基づくビクトリア州東部の森林での伐採は2024年1月1日に終了し、木材利用計画(TUP)に基づくビクトリア州西部の森林での小規模コミュニティ林業は2024年2月5日までに終了しました。
州有地での天然林伐採を終了する前は、これらの活動は、州有企業であるVicForestsによって管理されていました。VicForestsは5年間の間に伐採する林区を示す木材譲渡計画(Timber Release Plan: TRP)を公開しており、VicForestsからの木材納品書(delivery docket)に記載されたTRP番号と照合させることによって合法性の確認に活用できます。
また森林生産ライセンス(forest produce licence)に基づく伐採も可能で、この場合は3年間の木材利用計画(Timber Utilisation Plan: TUP)が発行されます。生産された木材の州政府からの納品書(log docket)記載の林区番号(Coupe Address)を照合させることによって合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
伐採に先立ち、土地所有者は、「在来植生の除去、破壊、伐採に関するガイドライン2017」(Guidelines for the removal, destruction or logging of native vegetation 2017)に沿って、地方自治体から計画許可を得なければなりません。その後、「木材生産に関する実施規範2014」(Code of Practice for Timber Production 2014)に基づき、2年間の木材伐採計画(timber harvesting plan/THP)を作成し、地方自治体に提出し、承認を得る必要があります。

<私有プランテーション>
間伐作業を含む植林地の伐採は、木材伐採計画(Timber Harvesting Plan: THP)に沿ったものでなければなりません。THPの有効期限は、関連自治体への届出から24ヶ月間です。THPは、単一のクープ(区画)、複数のクープ、またはプランテーション全体の伐採作業に適用されます。木材の納品書(delivery docket)記載の林区番号を、THPと照合させることによって合法性の確認に活用できます。アグロフォレストリーや5ha以下の小規模プランテーションからの木材に対する許認可制度は存在しません。

(8) タスマニア州

公有地、私有地を問わず、林業施業の実施には森林施業規約(Forest Practices Code)に従って森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)を策定し、FPP遵守報告書を森林実施機関(Forest Practices Authority: FPA)に提出することが必要です。

<恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ )の公有地>
恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ)にある公有地は、タスマニア森林公社(Sustainable Timber Tasmania)によって管理されています。伐採のためには森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)を策定しなければならず、これは合法性の確認に活用できます。

<恒久木材生産地域以外の公有地>
恒久木材生産地域以外の公有地で伐採を行う事業者は、森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)を策定しなければならず、地方自治体からの土地使用許可(Land Use Permit)が必要な場合があります。

<私有木材保護区(Private Timber Reserve: PTR)内の私有地>
私有林木材保護区(PTR)を設定したい土地所有者は、その土地を長期的な森林管理に提供しなければなりません。伐採に先立って森林実施計画(FPP)を作成する必要があります。

<私有木材保護区(PTR)外の私有林>
伐採のためには、森林実施計画(FPP)を策定し土地所有者は、関連する地方自治体からの土地使用許可(Land Use Permit)も必要な場合があります。
荒廃の恐れがないという条件で、100トン以下または1ha以下の伐採の場合、森林施業計画(FPP)は必要ありませんが、地方自治体の許可が必要な場合があります。

3. 木材・木材製品の生産・流通等に関する法令等とその運用状況(輸入材)

1) 2012年の違法伐採禁止法

オーストラリアの違法伐採対策は、2014年11月30日に施行された「2012年違法伐採禁止法 (Illegal Logging Prohibition Act 2012)」と、デュー・デリジェンスの細則、運営上の規則を定める「2012年違法伐採禁止規則 (Illegal Logging Prohibition Regulation 2012)」によって定められています。この法律は、以下の2つを定めています。
(ア)違法に伐採された木材や規制木材製品を故意にオーストラリアに輸入したり、違法に伐採された国内産の原木を加工したりすることを犯罪行為とする
(イ)規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、国産の原木を加工したりする前に、輸入事業者ならびに加工事業者は構造化されたリスク評価と低減プロセスを行うこと(デュー・デリジェンスの実施)
違法伐採禁止法では、「違法に伐採するとは、収穫場所において効力を有する法律に違反して木材を収穫することをいう」と定義されており、伐採時の合法性に焦点が置かれています。

2023年2月現在、オーストラリア政府は、違法伐採禁止規則の見直しを実施しています。輸入業者が商品が国境に到着する前にこのデューデリジェンス情報を当局に提供することを求め、国境での製品サンプリング検査を実施し、デュー・デリジェンス義務を合理化するため規則が改正される予定です。

(1)事業者に課せられた義務

違法伐採禁止法では、木材・木材製品輸入者と国産原木の加工業者それぞれに対し、「違法伐採木材の輸入(輸入者に対して)と加工(国産原木加工業者に対して)の禁止」と「規制木材製品 の輸入(輸入者に対して)と加工(国産原木加工業者に対して)に際しデュー・デリジェンス要件を遵守すること」の2点の義務が課せられています。オーストラリア政府は違法伐採禁止規則で定められたデュー・デリジェンス要件を、事業者にわかりやすい表現で政府ウェブサイトに掲載しています。

(2)規制木材製品

規制の対象となる輸入木材・木材製品は、違法伐採禁止規則別表1に関税HSコードによって定義されており、木材・木製品(44類)、パルプ(7類)、紙(48類)、家具(94類)が含まれています。規制木材製品を輸入する際にはデュー・デリジェンスの実施が必要です。国産原木の加工はすべてがデュー・デリジェンスの対象です。

(3)デュー・デリジェンス・システム

輸入者と加工業者は、規制木材製品の輸入と国産原木の加工に先立って、デュー・デリジェンス・システムを設けなければならないと違法伐採禁止規則に定められています。デュー・デリジェンス・システムには、次の4ステップが含まれている必要があります。

ステップ 違法伐採禁止規則で定められている事項
規制木材製品の輸入 国産原木の加工
ステップ1
情報収集
以下の情報を合理的に可能な限り収集する
輸入しようとしている製品の種類と商品名。
輸入する製品の数量(数量、重量または個数)。
製品が製造された国。
木材が伐採された国、地域、伐採ユニット
木材の樹種名(一般名称または学名)
仕入先の詳細(名前、住所、商号、事業者識別番号など)
製品購入の際にサプライヤーから提供された書類
木材が合法的に伐採されたことを証明する資料や書類
製品がFSCまたはPEFC認証を受けている場合は、ライセンスのコピー
製品が国別ガイドラインに記された国からのものであれば、ガイドラインに記載された書類
*規則第10条(s10)には、この種の文書も記載されています。
以下の情報を合理的に可能な限り収集する
伐採された樹木の一般名または学名を含む丸太の説明
原木を伐採した州または領土と森林収穫ユニット
加工している原木の量(量、重量、本数)
サプライヤーの詳細(名前、住所、取引名、ABN/ACNを含む)
原木を購入するためにサプライヤーから提供された書類
木材が合法的に伐採されたことを示す資料や書類
当該地域がFSCあるいはPEFC認証を受けている場合は、ライセンスのコピー
適用される州別ガイドライン(SSG)に記載された関連書類
ステップ2
リスクの特定と評価
3つの方法が提供されている:
(ア)木材合法性枠組の使用(森林認証の活用)
(イ)国別ガイドラインの使用(相手国と協議し作成された文書)
(ウ)規定されたリスク要素の使用

(ウ)を使用する場合には、次の質問に回答する。
1. 木材が伐採された地域に違法伐採が多いか?
2. 原木の種類はこの地域で違法伐採されることが多いか?
3. 伐採地に武力紛争があるか、あるいは最近あったか?
4. 製品はどの程度複雑か?
5. 木材が違法伐採されたことを示す情報があるか?

3つの方法が提供されている:
(ア)木材合法性枠組の使用(森林認証の活用)
(イ)州別ガイドライン(SSG)の使用(各州政府と協議し作成された文書)
(ウ)規定されたリスク要素の使用

(ウ)を使用する場合には、次の質問に回答する。
1. その丸太の伐採地域では、違法伐採が多く発生しているか?
2. この地域では原木の樹種で違法伐採が多発しているか?
3. 原木が違法に伐採されたことを示す他の情報はあるか?

ステップ3
リスク低減
製品が低リスクを超える場合、輸入業者はリスクを軽減しなければならない。それには以下のようなものがある:
サプライヤーからより多くの証拠や情報を求める
仕入先に代替品を依頼する
サプライヤーを訪問しサプライチェーンの詳細を確認
監査の実施
場合によっては、リスクの低い製品の調達やサプライヤーの変更を検討する必要がある
木材が低リスクでない場合、加工業者はそのリ スクを軽減しなければならない。これには以下が含まれる:
サプライヤーからより多くの証拠や情報を求める
仕入先に代替品を依頼する
サプライヤーを訪問しサプライチェーンの詳細を確認
監査の実施
場合によっては、リスクの低い製品の調達やサプライヤーの変更を検討する必要がある
ステップ4
記録
デュー・デリジェンスに関連する記録は製品の輸入日から5年間保管しなければならない デュー・デリジェンスに関連する記録は製品の輸入日から5年間保管しなければならない
(4)違法伐採禁止法の実施

違法伐採禁止法の管轄官庁は、農水林業省(Department of Agriculture, Fisheries and Forestryが担当しています。政府の運用方針は、Illegal Logging Compliance Plan(違法伐採遵守計画、2018年発行)に、違法伐採を管理するための具体的な戦略的アプローチと、遵守状況の監視方針が説明されています。オーストラリア政府が教育、アウトリーチ、アドバイスに力を入れていることが特徴的で、罰則を伴う監査も実施されています。

4. 法令

1) 合法的な伐採権関連

(1) 連邦
関連法規 内容
地域森林合意法
Regional Forest Agreements Act 2002
地域森林合意は天然林についての20年間の保全または持続的管理の計画
地域森林合意の下での連邦政府の義務を定める
環境保全生物多様性保護法
Environment Protection and Biodiversity Conservation Act 1999: EPBC Act
重要な植物・動物相、生態的群集、遺産を保護するための法的枠組み
地域森林合意締結地域は対象外
2012年違法伐採禁止法
Illegal Logging Prohibition Act 2012

2012年違法伐採禁止規則
Illegal Logging Prohibition Regulation 2012
違法に伐採された木材や規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、違法に伐採された国内産の原木を加工したりすることを犯罪行為とすること、規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、国産の原木を加工したりする前に、事業者がデュー・デリジェンスを実施することを定める。デュー・デリジェンスの細則は、違法伐採禁止規則に定められている
(2) 西オーストラリア州
関連法規 内容
林産物法
Forest Products Act 2000
森林製品委員会(FPC)を設立し、林産物の生産、伐採、販売といった商業的機能の遂行、産業発展の支援、林業に関する大臣への助言など、FPCが担う機能の概要を示している。
保全及び土地管理法
Conservation and Land Management Act 1984: CALM Act

保全及び土地管理規定2002
特定の公有地に生息する動植物の利用、保護、管理のための規定。
環境保護法
Environmental Protection Act 1986: EP Act
公害および環境破壊の防止、管理、軽減、ならびに環境の保全、維持、保護、強化、管理について規定
公有地・私有地の天然植生の皆伐に対する許可を規定
違法な環境被害に関する犯罪を規定。
環境保護規制(天然植生の皆伐)
Environmental Protection (Clearing of Native Vegetation) Regulations 2004
天然植生の皆伐を行う際の規制
生物多様性保護法
Biodiversity Conservation Act 2016
西オーストラリア州における生物多様性と生物多様性構成要素の保全と保護、および生物多様性構成要素の生態学的に持続可能な利用を規定

サンダルウッドならびにサンダルウッドの代わりとなる香木の伐採を規制
(3) 北部準州
関連法規 内容
計画法
Planning Act 1999
土地の使用や開発、に関する規定開発許可局(Development Consent Authority)は計画法(Planning Act)に基づいて設立され、開発申請(牧草地以外の土地の天然植生の伐採申請も含む)を決定
牧地法
Pastoral Land Act 1992
牧地委員会(PLB)の設置と僕地使用を規定牧地委員会(PLB)は、牧地の牧地以外の使用ならびに牧地の天然植生の皆伐を管理
皆伐ガイドライン
Land Clearing Guidelines 2010
自由保有地(Freehold Land)の天然林植生の皆伐を含む天然色性の管理に関するガイドライン
北部準州牧地皆伐ガイドライン
Northern Territory pastoral land clearing guidelines 1992
牧地(Pastoral Land)内の天然植生の皆伐を含む天然植生の管理に関するガイドライン
北部準州持続可能な森林施業ガイドライン
Forestry Practices Guidelines for the Northern Territory
北部準州のプランテーション(植林事業)の管理ガイドラインを規定
採掘管理法
Mining Management Act 2001
鉱山開発に伴う皆伐を規制
準州公園および野生動物保護法
Territory Parks and Wildlife Conservation Act 1976
国立公園や保護区の設立と管理に関する規定
国立公園や保護区外を含めた州内の天然植生の商業伐採に関する規定
環境保護法
Environment Protection Act 2019
1982年環境アセスメント法(Environment Assessment Act)から置換
開発に伴う環境影響の評価を規定
(4) 南オーストラリア州
関連法規 内容
林業法
Forestry Act 1950

林業規制
Forestry Regulations 2013
州保存林の設立、管理、保護
天然植生法
Native Vegetation Act 1991

天然植生規則
Native Vegetation Regulations 2017
天然植生の保護を規定。天然植生の皆伐に対する制限など。
南オーストラリア景観法
Landscape South Australia Act 2019
州の天然資源を保護するため、州の景観の持続可能な統合管理を促進。この法律により、2004年天然資源管理法を廃止。
森林所有権法
Forest Property Act 2000
森林所有地への商業投資を奨励
地方自治(森林保全)法
Local Government (Forestry Reserves) Act 1944
市町村および地方議会による森林の造成と管理について規定
計画・開発・インフラ法
Planning, Development and Infrastructure
Act 2016
土地や建物の使用、開発、管理に関連する事項を規定し、州内の開発を規制する計画制度を設ける
ネイティブ・タイトル(南オーストラリア)法
Native Title (Southern Australia) Act 1944
先住民の所有権を決定する仕組みを提供。先住民の権利の決定は、アボリジニとトレス海峡諸島民の土地と水に対する伝統的な権利と利益を認めるものである。
遺産地域法1993
Heritage Places Act 1993
非アボリジニ遺産として意義のある場所や物の特定、記録、保全を規定
アボリジニ遺産法1988
Aboriginal Heritage Act 1988
アボリジニの遺産の保護と保全を規定
南オーストラリア林業公社法
South Australian Forestry Corporation Act 2000
南オーストラリア林業公社を設立し、公有プランテーションの管理を規定
南オーストラリアプランテーション林業ガイドライン
Guidelines for Plantation Forestry in South Australia 2009
公有・私有プランテーションが対象
環境保護法
Environment Protection Act 1993
生態学的に持続可能な開発の原則を推進
国立公園及び野生動物法
National Parks and Wildlife Act 1972
絶滅危惧の動植物の保護
(5) クイーンズランド州
関連法規 内容
林業法
Forestry Act 1959
公有地における森林の管理、林業施業、保護を規定
木材の伐採、州有木材資源の販売許可に関する規定
植生管理法
Vegetation Management Act 1999
私有地からの木材の伐採を規定
天然植生の皆伐を規制
クイーンズランド州有林地における天然林木材生産実施規定
Code of Practice for Native Forest timber Production on Queensland’s State Forest Estate 2020
公有天然林が対象
1959年森林法および関連法規で規定される要求に対応するための最低基準を定義
天然林実施管理:自己評価可能植生皆伐規程
Managing a Native Forest Practice: A Self-assessable Vegetation Clearing Code 2014
私有天然林の選抜的伐採が対象
1999年植生管理法で規定
クイーンズランド木材プランテーション操業実施規定
Timber Plantation Operations Code of Practice for Queensland 2015
商業プランテーションに関連する規制義務のガイダンスを提供する自主基準
森林伐採実施規範
Forest Harvesting Code of Practice 2007
森林伐採活動の安全衛生基準を定める
自然保全法
Nature Conservation Act 1992

自然保全(野生生物管理)規制
Nature Conservation (Wildlife Management) Regulation 2006
総合的かつ包括的な自然保護戦略による州全体の自然保護
保護地に関する先住民の関与に関する規定保護植物の伐採、栽培、収穫、取引を規制
環境保護法
Environmental Protection Act 1994
環境価値を害から守ることを規定
土地法
Land Act 1994
自由保有地(freehold land)の土地の管理・運営と、自由保有地の創設について規定
土地所有権法
Land Title Act 1994
自由保有地および自由保有地の権利の登記について規定
クイーンズランド遺産法
Queensland Heritage Act 1992
非先住民文化遺産の保護を規定
アボリジニ文化遺産法
Aboriginal Cultural Heritage Act 2003;
トレス海峡諸島民文化遺産法
Torrest Strait Islander Cultural Heritage Act 2003
アボリジニおよびトレス海峡諸島民の文化遺産の保護と保全を規定
ネイティブ・タイトル(クイーンズランド)法
Native Title (Queensland) Act 1993
先住民の権利の承認と保護を規定
(6) ニューサウスウェールズ州
関連法規 内容
森林法
Forestry Act 2012
州有林における林業管理のための主要な法律

統合的林業操業許可(Integrated Forestry Operations Approval: IFOA)の付与を規定

ニューサウスウェールズ林業公社(Forestry Corporation NSW: FCNSW)の目的と機能を規定
地方土地サービス法
Local Land Services Act 2013およびその改正
私有地・官有地にある天然植生管理規制を規定

私有天然林での操業に関し、PNF Planによる規制を規定
私有天然林業実施規定
Private Native Forestry Code of Practice
4つの地域ごとに出されている
Northern NSW 2013
Southern NSW 2008
River red gum forests 2008
Cypress and western hardwood forests 2008
私有天然林の持続可能な管理を確保
PNF Planを持っている私有天然林での操業者が伐採の際に求められる最低基準
環境を維持または改善するための規定を含む
プランテーションおよび再植林法
Plantations and Reafforestation Act 1999: PR Act

プランテーションおよび再植林(規約)規制
2001(プランテーション規約)
lantation and Reafforestation (Code) Regulation 2001 (Plantations Code)
公有地・民有地におけるプランテーションの設立、管理、木材などの収穫のための統合的なスキームの規定
生物多様性保全法
Biodiversity Conservation Act 2016
2003年天然植生法(Native Vegetation Act)、1995年絶滅危惧種保護法(Threatened Species Conservation Act)から置換

動植物、生態系、およびその生息地の保護を規定
IFOAは、本法に基づくライセンスの必要性に取って代わる。
国立公園および野生動物法
National Parks and Wildlife Act 1974
絶滅危惧種を含む自然保護に関する規定
環境計画・アセスメント法
Environmental Planning and Assessment Act 1979: EP&A Act
自然・人工資源の管理、開発、保全に関する規定
私有天然林での操業に関し、地方自治体から開発同意(development consent)を取得することを要求することがある
環境運用保護法
Protection of the Environment Operations Act 1997
環境の質の保護、回復、向上のための規定
IFOAは、本法に基づくライセンスの必要性に取って代わる
漁業管理法
Fisheries Management Act 1994
漁業資源の管理を規定

IFOAは、本法に基づくライセンスの必要性に取って代わる
(7) 首都特別地域
関連法規 内容
環境保護法
Environment Protection Act 1997
林業活動に対して環境管理計画(Environment Management Plan)の策定と承認を要求
自然保護法
Nature Conservation Act 2014
自然保護、保全、管理に関する規定
1980年自然保護法(Nature Conservation Act)から置換
森林実施規定
Forest Practice Code 2005
公有プランテーションの伐採に関する規定
(8) ビクトリア州
関連法規 内容
森林法
Forests Act 1958
およびその改正
州有林を維持・改善するための森林管理計画(FMP)の策定を含む州有林の管理と、放牧や林産物の持ち出しを含む許可職業について規定

森林法はまた、州有林、1975年国立公園法(Vic)(NP法)に基づき管理される公園、および保護された公有地内での防火管理活動に関して、一定の義務を定めている
持続可能な森林(木材)法
Sustainable Forests (Timber) Act 2004
公有地における持続可能な森林管理と持続可能な木材生産を規定
公有地において伐採可能なエリアを規定

同法はまた、VicForests社に「木材生産に関する実施規範2014」(Code of Practice for Timber Production 2014)の遵守を義務付けている。
木材生産実施規定
Code of Practice for Timber Production 2014
公有・民有の天然林、私有林の全てを対象とする伐採の規定
2004年持続可能な森林(木材)法に基づいて州有企業VicForestsに対して与えられたライセンスの要件になっている
計画環境法
Planning and Environment Act 1987
ビクトリア州計画規定(VPP)の要件を規定したもので、すべての地方自治体の計画制度の雛形を形成

計画制度は、私有林やプランテーションを含む土地の利用、開発、保護に関する要件を定めている

VPPは、私有天然林とプランテーションの規制を支えるものであり、全ての木材生産活動(一部の例外を除く)は同規範に従わなければならないと規定
保全森林土地法
Conservation, Forests and Lands Act 1987
土地管理システムのための制度、財政、執行の規定

同法は、「木材生産に関する実施規範2014」(Code of Practice for Timber Production 2014)のような実施規範を作成する権限を主務大臣に与えている。
動植物相保証法
Flora and Fauna Guarantee Act 1988
動植物の保護、管理、統制(control)、および潜在的に脅威となりうるプロセスの管理を規定

絶滅のおそれのある動植物種やその他の保全措置に関する行動声明策定に関する規定
水法
Water Act 1989
森林地域を含む集水域の保護に関する規定
集水域と土地保護法
Catchment and Land Protection Act 1994
森林地域を含む集水域の統合的管理と保護に関する規定
消防庁法
Country Fire Authority Act 1958
戦略的な防火帯の設定と維持を要求
500ha以上のプランテーションは森林産業団(Forest Industry Brigade)を持つことを要求されることがある
アボリジニ遺産法
Aboriginal Heritage Act 2006
アボリジニの文化遺産に危害を加える可能性のある活動に関して、アボリジニ文化遺産管理計画(Aboriginal Cultural Heritage Management Plans)、文化遺産許可(Cultural Heritage Permits)を用いた評価と管理を規定し、アボリジニの文化遺産に違法に危害を加えた場合の罰則を設ける
(9) タスマニア州
関連法規 内容
森林実施法
Forest Practices Act 1985

森林施業規制
Practices Regulations 2017
持続的森林管理のための森林実施機関(Forest Practices Authority: FPA)、森林実施規定(Forest Practices Code)、森林実施システム(Forest Practice System)を規定
私有地において、所有者が長期的な林業を行えるようにするための私有木材保護区の設立に関する規定
森林管理法
Forest Management Act 2013
公有地を林産物の供給に必要な恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ)とする宣言とその管理の規定
林業(森林産業再生)法
Forestry (Rebuilding the Forest Industry) Act 2014
林業の活性化、将来の潜在的生産林の管理を行う

将来潜在的生産林(Future Potential Production Forest)およびその恒久木材生産地域(PTPZ)への転換を規定Forestry (Rebuilding the Forest
特別な樹種について、その管理計画を義務付ける伐採規定Forestry (Rebuilding the Forest
森林実施規定
Forest Practices Code 2020
林業施業に関連する価値を保護し、リスクを管理するための措置を規定。森林施業計画(FPP)は、本規定に従って作成されなければならない。
私有林法
Private Forests Act 1994
タスマニア私有林局を規定
土地利用計画承認法
Land Use Planning and Approvals Act 1993
地方自治体に土地利用計画の作成を要求
林業用地としてゾーニングされていない場所以外の伐採に関しては地方自治体からの許可を要求
州有地法
Crown lands Act 1976
州有地の管理、売却、処分に関する規定
国立公園および保全地管理法
National Parks and Reserves Management Act 2002
国立公園及び他の保全地の管理を規定

2) 貿易と輸送関連

(1) 連邦
関連法規 内容
2012年違法伐採禁止法
Illegal Logging Prohibition Act 2012
2012年違法伐採禁止規則
Illegal Logging Prohibition Regulation 2012
違法に伐採された木材や規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、違法に伐採された国内産の原木を加工したりすることを犯罪行為とすること、規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、国産の原木を加工したりする前に、事業者がデュー・デリジェンスを実施することを定める。デュー・デリジェンスの細則は、違法伐採禁止規則に定められている
輸出制限法
Export Control Act 2020
2トン以上の木質チップ、丸太、断面積225cm2以上の製材品は規定商品(prescribed goods)として輸出許可の取得を要求

1982年輸出制限法(Export Control Act of 1982)に代わるもの
輸出制限(木材および木材チップ)規則
Export Control (Wood and Woodchips Rules 2021
木材および木材チップの輸出業者は、木材輸出ライセンスを取得する必要がある。

ただし、実施規則が承認された州のプランテーションからの木材、および地域森林管理協定がある地域からの木材は対象外。

3) 関係行政機関一覧

(1)連邦
主要な所管官庁および機関 役割
農水林業省
Department of Agriculture, Fisheries and Forestry
2012年違法伐採禁止法を所管
木質チップ、丸太、断面積225cm2以上の製材品に対する輸出許可を発行
(2)西オーストラリア州
主要な所管官庁および機関 役割
林業省
Minister for Forestry
公社である林産物委員会(Forest Products Commission)を管轄
生物多様性保全観光資源局
Department of Biodiversity, Conservation and Attractions : DBCA
2017年に公園野生生物局(Department of Parks and Wildlife)、植物公園庁、動物園局などが統合されて設立

DBCAの野生生物ライセンス課は、野生のサンダルウッドを採取し供給するためのライセンスを発行
水環境規制省
Department of Water and Environment Regulation
2017年に環境規制省(Department of Environment Regulation)、水省(Department of Water)、環境保護機関(Office of the Environmental Protection Authority)が統合されて設立
1986年環境保護法による皆伐規定を管理。天然植生の皆伐許可を管理
保全公園委員会
Conservation and Park Commission
保全委員会の管理する土地に対する森林管理計画の実施状況を独立監査

州南西部の公有地にある森林を管理
林産物委員会
Forest Products Commission: FPC
2000年に設立された州有企業
2014-2023年森林管理計画(Forest Management Plan)に従って州の針葉樹プランテーションを管理し、健全な状態の森林をサポート
(3)北部準州
主要な所管官庁および機関 役割
環境公園水安全保障局
Department of Environment, Parks and Water Security
植生を含む北部準州の天然資源を管理、北部準州公園野生生物保護法を実施
インフラ計画・ロジスティクス省
Department of Infrastructure, Planning and Logistics
開発許可局(Development Consent Authority)は、インフラ計画・ロジスティクス省の下で運営されている。開発許可局は、計画法(Planning Act)に基づく整地(皆伐)申請を審査
牧地委員会
Pastoral Land Board: PLB
牧地(Pastoral Land)内の皆伐の許可を発行
牧地法(Pastoral Land Act)の下で整地(皆伐)申請を評価
(4)南オーストラリア州
主要な所管官庁および機関 役割
一次産業及び地域省
Department of Primary Industries and Regions (PIRSA)
林業を含む一次産業を管轄する省
環境・水資源省
Department for Environment and Water
天然植生の管理を管轄する省

天然植生協議会(Native Vegetation Council)と連携
天然植生審議会
Native Vegetation Council
天然植生の皆伐申請を評価する

審議会は原燃植生の皆伐申請を評価
南オーストラリア林業公社
South Australian Forestry Corporation: ForestrySA
2001年設立の州有企業
州有プランテーションを運営
(5)クイーンズランド州
主要な所管官庁および機関 役割
農水省
Department of Agriculture and Fisheries
1959年林業法に基づき州有地の天然林を管轄 林産部(Forest Products division)が実施規定の遵守状況を監査 2015年に農水林省(Department of Agriculture, Fisheries and Forestry)から名称変更された
環境・科学・イノベーション省
Department of Environment, Science and Innovation
保護種の収穫と利用を管轄
クイーンズランド公園・野生生物サービス・パートナーシップ
Queensland Parks and Wildlife Service & Partnerships
環境・科学省内部にある機関、公有林の非商業的管理を担当
資源省
DoR
Department of Natural Resources and Mines: DNRM
1999年植生管理法に基づき、私有地における天然林での操業を管轄

私有地の林業に関連する法律を管轄
(6)ニューサウスウェールズ州
主要な所管官庁および機関 役割
環境保護庁
Environment Protection Authority: EPA
天然林を管轄
公有天然林での操業に対して発行される統合的林業操業許可(Integrated Forestry Operations Approval: IFOA)をモニタリング・実施
地域土地局
Local Land Services
私有天然林所有者に対して承認と助言を行う
私有天然林業計画(Private Native Forestry: PNF Plan)を承認
一次産業省
Department of Primary Industries: DPI
公有地・私有地にあるプランテーションの規制を管轄

林業政策と森林科学を管理
計画産業環境省
Department of Planning, Industry and Environment
公共保護区を管理し、環境計画政策を担当
ニューサウスウェールズ林業公社
Forestry Corporation NSW: FCNSW
ニューサウスウェールズ州有企業

IFOAに従って公有地での森林施業を管理
国立公園・野生生物サービス
National Parks and Wildlife Service
国立公園を管理し、野生生物を保護
(7)首都特別地域
主要な所管官庁および機関 役割
環境保護機関
Environment Protection Authority
1997年環境保護法に基づいて設立
1997年環境保護法に基づき、環境管理計画(Environment Management Plan)を承認
公園保全サービス
Parks and Conservation Service
公有プランテーションを管理
(8)ビクトリア州
主要な所管官庁および機関 役割
エネルギー・環境・気候行動省
Department of Energy, Environment and Climate Action
Forests and Reservesは、ビクトリア州の公有地を管理

木材生産実施規定(Code of Practice for Timber Production)の実施状況をモニタリング、監査
VicForests 過去に伐採されたクープでの再生活動のモニタリングと計画を担当。エネルギー・環境・気候行動省の森林管理目標を達成するためのアドバイスを提供。
(9)タスマニア州
主要な所管官庁および機関 役割
タスマニア私有林局
Private Forests Tasmania: PFT
私有林木材保護区(Private Timber Reserve: PTR)を設定したい土地所有者からの森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)に対し、評価を行う
森林実施機関
Forest Practices Authority: FPA
1985年森林実施法に基づき設立された独立法定組織
森林実施官(Forest Practice Officer)を擁し、森林実施システム(Forest Practice System)を運営し、森林実施計画(Forest Practice Plan)の実施遵守状況をモニタリング
Sustainable Timber Tasmania(STT) タスマニア州有企業
公有地の恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ)800千haを管理

5. 民間の森林認証システム

現在オーストラリアで商業伐採が行われている森林の大部分はESCまたはEFCのメンバーであるResponsible Woodの認証林となっています。このため国内で生産されている木材の大部分は認証材となっています。

1)FSC

2020年現在、9事業者の122万haの森林が認証を受けています。その大部分は人工林です。また250事業者がCoC認証を取得しています。

2)Responsible Wood(PEFC)

2021年現在、29事業者の1140万haの森林が認証を受けています。その大部分は天然林(おもに各州の州有企業が管理する公有林)ですが、180万haは人工林です。また249事業者がCoC認証を取得しています。

なお9事業者の104万haの森林はFSCとResponsible Wood両者の認証を受けています。

6. 違法伐採リスク低減の先進事例

1) 農水林業省による輸入事業者のためのデューデリジェンス・ツールキット

農水林業省では、デューデリジェンスを実施する企業を支援するためのガイダンス資料を公表しています。輸入事業者のためのデューデリジェンス・ツールキットには、完了すべき5つの主要手順が概説されています。
https://www.agriculture.gov.au/agriculture-land/forestry/policies/illegal-logging/importers/resources#department-guidance-material

2) 民間輸入事業者の違法伐採禁止法に対する取組

業界団体はデュー・デリジェンスツールの開発や、会員企業の問い合わせへの対応など積極的に民間輸入事業者の対応を支援しています。オーストラリア家具協会 (Australasian Furniture Association: AFA)は、輸入事業者向けのデュー・デリジェンス・マニュアル(Legality Compliance ToolkitとTimber Due Diligence Toolkit)を策定し、デュー・デリジェンスを実施する事業者への、実例や具体的な指標を含むアドバイスを提供しています。

民間輸入事業者は次のように対応しています。

デュー・デリジェンスのステップ 民間輸入業者の対応
デュー・デリジェンス・システム 輸入者が使用しているデュー・デリジェンス・システムは、独自に開発したシステム、業界団体のツールキットで提供されたテンプレート化されたアプローチ、民間コンサルタントが提供するサービスの利用
業界団体の会員企業は団体が開発したデュー・デリジェンスツールを業種や輸入元、取り扱い製品を考慮して独自化したシステムを構築
ステップ1
情報収集
情報収集は、サプライヤーに依存することになるため、サプライヤーがオーストラリアの法律を理解し、必要情報を提供してもらう必要がある
認証材の場合でも、証書と製品がきちんと紐づけられた形で書類が準備される必要があり、それをサプライヤーが理解する必要がある
サプライヤーが必要情報を適切に準備できるよう、質問紙等テンプレートを準備している
サプライヤーを訪問し、法律の理解やコミュニケーションを促進している
サプライヤーとの信頼関係がないと、必要な情報収集が困難になることあり
サプライヤーの情報の機密性が情報収集を困難にすることあり
樹種名を把握することが困難
ステップ2
リスクの特定と評価
業界団体は会員にリスク評価を伐採国のCPI(腐敗認識指数)から始めることを推奨している
認証スキームを通じて木材の一貫した管理体制を証明できるFSCやPEFCを利用することで、輸入者は合法的に木材が調達されたことをさらに確実にすることができる
紙などの非常に複雑なサプライチェーンを持つ製品を扱う輸入者にとっては、認証スキームを利用することで比較的簡単にリスク評価ができる
サプライチェーン情報を提供するようサプライヤーに強制する力がないかもしれない小規模事業者にとって森林認証材は特に重要になる
森林認証材であっても、他の情報を照会し評価する必要がある。
製品のリスクを低減するのではなく、リスクを洗い出すことが重要。現在のサプライチェーンを維持すべき理由を正当化するための情報だけでは不十分で、正しい情報をリスク評価で考慮することが重要
ステップ3
リスク低減
サプライヤーを訪問し、追加情報を収集することは有効な手段
直接的な製品サプライヤーと上流のサプライチェーンを訪問
伐採地までサプライチェーンをたどることができないこともある
サプライヤーの変更、製品の変更(例:認証材に変更)は頻繁に行われている
低減措置を講じても「リスクは低い」という合理的な結論を出すことが困難なため、今後はその業者を利用しないと結論した事例あり
ステップ4
記録
デュー・デリジェンスツールでは、監査で提出できる記録のためのテンプレートが準備されている

7. 合法性の確認に活用できる書類の事例

8. 委託・補助事業の成果

(1) 令和元年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち海外情報収集事業報告書下巻(令和3年3月)(PDF: 17,613KB)(該当ページはp173~p342)

(2) 令和3年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国リスク情報活用に向けた調査(令和5年3月)(PDF: 2,096KB)(該当ページはp49~p72)

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