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合法伐採木材等に関する情報:オーストラリア

オーストラリア

(2023年4月1日:追加情報更新)

注 国別情報については、次の調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら(PDF : 5,550KB)

注 リスク低減に関する事例等についてはこちら(PDF : 23,379KB)

1.木材等の生産及び流通の状況

オーストラリアでは国土面積7.69億haの17%にあたる1.34億haが森林です。このうち天然林は1.32億ha(全森林面積の98%)、商業プランテーション林は195万ha(全森林面積の1.5%)、非商業的な人工林やサンダルウッド(白檀)プランテーションなど様々な植林地を含む「その他の森林」は47万haです。

1)天然林

主にユーカリ属(1.01億ha)、アカシア属(1100万ha)、メラルーカ属などの森林が広く分布しています。

  • 公有地 4300万ha
    多目的利用公有天然林は1000万haで、そのうち商業的木材生産が可能な天然林は630万haです。
  • 私有地または民間へのリース地 8800万ha
    大部分は商業性が低い森林です。
  • 未確定地 100万ha

2)人工林(プランテーション)

公有プランテーションは21%、私有プランテーションは79%の面積を占めます。

  • 針葉樹プランテーション:104万ha

    植栽面積が広い樹種は外来種であるラジエータパイン(Pinus radiata、74%)やサザンパイン(P. caribaeaやP. elliottii、15%)で、主に製材用材として使われ、25-35年ローテーションで伐採・再植林されています。1960-80年代に拡大しました。

  • 広葉樹プランテーション:93万ha

    植生面積が広い樹種はユーカリ属のEucalyptus globulus(53%)やE. nitens(25%)で、主にパルプ用材として使われ、10-15年ローテーションで伐採・再植林されています。また植栽面積は広くないですが、建材用の広葉樹プランテーション(マホガニーやチークなど)も存在し、25-45年ローテーションで伐採・再植林されています。1990~2000年代に拡大しました。

3)国内木材生産

2018年度(2018年/7月~2019年6月)のオーストラリアにおける丸太生産量は3290 万 m3で、その内訳は以下の通りでした。

  • 天然木由来の丸太:420万 m3(13%)

    広葉樹丸太が96.5%(410万 m3)を占めていました。

  • 人工林由来の丸太:2870万 m3(87%)

    広葉樹丸太が41%(1170万 m3)、針葉樹丸太が59%(1700万 m3)を占めていました。

4)木材製品の輸入

2018年度のオーストラリアの木材・木材製品輸入額は30.8億豪ドルで、その上位は、製材品(5.38億豪ドル、97.3万 m3)、合板(4.71億豪ドル、52.3万 m3)、モールディング(4.61億豪ドル)などでした。

5)木材製品の輸出

2018年度のオーストラリアの木材・木材製品輸出額は23.9億豪ドルで、その上位は木質チップ(14.66億豪ドル、745万トン)、原木(6.42億豪ドル、418万 m3)、製材品9000万豪ドル(20.7万 m3)などした。木質チップの主な輸出先は中国(58%)と日本(37%)、原木の主な輸出先は中国(94%)でした。

2.木材・木材製品の生産・流通等に関する法令等とその運用状況(国産材)

1)連邦レベルの法規

オーストラリアの憲法に基づく連邦制において、森林を含めた土地の管理と林産業の監督は、州政府および準州政府が第一義的な責任を負っています。
生物多様性保全に関して、林業施業は一般的に1999年環境保全生物多様性保護法(Environment Protection and Biodiversity Conservation Act)の適用を受けます。

地域森林合意(Regional Forest Agreement)
オーストラリア連邦政府と4州政府(西オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州)は、10地域3920万haに対し、地域森林合意を締結しています。これらの地域は環境保全生物多様性保護法の適用外となっています。

(1) 木材の流通
2012年違法伐採禁止法(Illegal Logging Prohibition)に基づき、国内で生育した樹木の丸太を加工する事業者は、その丸太が違法に伐採されたものではでないことを確認するデュー・デリジェンス・システムを持ち、デュー・デリジェンスを実施することが求められています。丸太の加工とは、木材を木質チップ、製材品、パルプ、その他の木材製品に変えることを指します。原木がそのまま輸出される場合はこの対象ではありません。

(2) 木材の輸出
1982年輸出制限法(Export Control Act)に基づき、2トン以上の木質チップ、丸太、断面積225 cm2以上の製材品の輸出には輸出許可(export permit)が必要です。輸出許可の取得のためには各州からの木材の収穫や販売の許可証、販売に関連する文章(領収証や税金のインボイス等)が必要となります。 しかし以下の輸出に関してはその例外として、輸出許可の取得が免除されています。

  • 人工林(プランテーション)からの木材
  • 地域森林管理合意地域からの木材、広葉樹木質チップ

その他の木材製品についても輸出許可は必要とされません。
2020年に制定された新しい輸出制限法(Export Control Act)によれば、同法は2021年3月28日より1982年輸出制限法に代わって施行されます。公開されている2020年輸出制限(木材および木質チップ)規則(Export Control (Wood and Woodchips) Rules)のドラフトによれば、木材および木質チップの輸出事業者は木材輸出ライセンス(Wood export licence)を取得することが義務付けられていますが、これまでと同様、プランテーションからの木材、地域森林管理合意締結地域からの木材については免除されています。

天然のサンダルウッドの輸出については連邦の農業水資源省(Department of Agriculture, Water and the Environment)からの許可が必要です。その取得のためには、西オーストラリア州、クイーンズランド州でのサンダルウッドの採集、販売に必要な許可証(合法伐採木材に関連する法令等及びその運用参照)が必要です。

2)州レベルの法規

(1) 西オーストラリア州
<公有地天然林>
州有企業である林産物委員会(FPC)は伐採した木材に対して天然林木材納品書(Native Forest Log delivery note: D-note)を発行しています。記載された伐採林区番号を、林産物委員会によって公表されている年間伐採計画(林区番号や地図を含む)と照合させることによって合法性の確認に活用できます。
皆伐由来の木材の場合、水環境規制省(Department of Water and Environment Regulation)からの皆伐許可(Clearing Permit)、ないし生物多様性保全観光資源局からの商業的生産者ライセンス(Commercial Producer's Licence)が必要です。
林産物委員会(FPC)は公有地(Crown land)の天然林からのサンダルウッド(白檀)の採取、販売も行っていますが、生物多様性保全観光資源局からのサンダルウッドライセンス(Sandalwood Licence: S2 Puller's Licence)の取得も必要です。

<公有地プランテーション>
州有企業である森林産物委員会(FPC)からのプランテーション木材納品書(Plantation Log delivery note: D-note)が合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
私有天然林の伐採には、生物多様性保全観光資源局(DBCA)からの商業的生産者ライセンス(Commercial Producer's Licence)の取得が必要です。また皆伐の場合は皆伐許可または商業的生産者ライセンスが必要です。
私有地における天然サンダルウッドの収穫にはそれに加えて、生物多様性保全観光資源局(DBCA)からの私有サンダルウッドライセンス(Sandalwood License – Private Property: S1 Puller's Licence)が必要です。またその生きているサンダルウッドの販売には商業的生産者ライセンス(Commercial Producer’s Licence)が、販売地点への移動にはサンダルウッド輸送許可(Sandalwood Transport Authority Notice: STAN)が必要です。

<私有プランテーション>
私有プランテーションで栽培された外来樹種の伐採に許可は必要としません。しかし所有者からの木材伐採許可(Timber Harvest Authorisation)を取得することもでき、合法性の確認に活用できます。
私有プランテーションで栽培された生きているサンダルウッドの販売については商業的生産者ライセンス(Commercial Producer’s Licence)、販売地点への移動については生物多様性保全観光資源局(DBCA)からのサンダルウッド輸送許可(STAN)が必要です。

(2) 北部準州
牧地(Pastoral Land)とは公有地を放牧目的のためにリースした土地ですが、牧地内の天然林植生の皆伐を行う場合は牧地委員会(Pastoral Land Board: PLB)の承認が必要です。自由保有地(Freehold Land=私有地)内の天然林植生の皆伐を行う場合は、土地計画環境省(Department of Lands, Planning and the Environment)への申請が必要です。
開発地域が開発同意機関(Development Consent Authority: DCA)の所轄範囲内の場合は、開発同意機関からの同意も必要です。また鉱山開発に伴う伐採の場合、2001年採掘管理法(Mining Management Act)に基づく許可を取得する必要があります。

(3) 南オーストラリア州
<天然林>
天然林の伐採に関しては天然植生審議会(Native Vegetation Council)からの承認が必要です。持続可能性環境保護省(Minister for Sustainability, Environment and Conservation)からの承認も必要となる場合もあります。なお現在天然林の伐採は行われていません。

<プランテーション>
公有プランテーションは森林認証を受けており、州有企業ForestrySAによって管理されています。
認証を受けていない小規模私有プランテーションからの木材については、その所有者は商業木材プランテーションライセンス(Commercial Forest Plantation Licence)が必要ですが、伐採に関しては許認可を必要としません。

(4) クイーンズランド州
<公有天然林>
公有林における伐採には州政府からの販売許可(sale permit)が必要です。販売許可番号は輸送前に農水省からの納品書(docket)タックス・インボイス(tax invoice)にも記載されており、合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
州政府の規制植生管理地図(Regulated Vegetation Management Maps)でCategory Bエリアと分類されている残存植生(remnant vegetation)内の私有天然林の伐採については、操業開始前に天然資源鉱山省(DNRM)のサイトでオンライン申請しなければなりません。DNRMから電子メールで送られる申請確認書が合法性の確認に活用できます。
それ以外の私有天然林からの木材は、地方自治体からの伐採制限などがない限り土地所有者からの合意のみで伐採できます。この場合、土地所有者との合意書、タックス・インボイス、領収書などが合法性の確認に活用できます。

<公有地のプランテーション>
HQPlantations社によって管理されており、その積載納品書(load docket)やタックス・インボイスが合法性の確認に活用できます。

<私有プランテーション>
地方自治体からの伐採制限などが存在する場合もありますがが、それ以外は樹木の所有者との合意があれば伐採できます。
なお保護種(天然サンダルウッド等)の伐採に関しては、保護植物収穫ライセンス(protected plant harvesting licence)を取得する必要があります。

(5) ニューサウスウェールズ州
<公有天然林>
公有地天然林での伐採はニューサウスウェールズ林業公社(FCNSW)のみが許可されています。伐採には環境保護庁(EPA)から統合的林業操業許可(Integrated Forestry Operations Approval: IFOA)を取得することが義務づけられています。ニューサウスウェールズ森林公社からの納品書(delivery docket )を、公表されている伐採計画と照合することによって合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
土地所有者が伐採を行う場合、地方土地局(Local Land Services)に最長15年の私有天然林業計画(Private Native Forestry Plan: PNF Plan) を提出し、その承認を得ることが義務付けられており、承認済み私有天然林業計画(地方土地局から与えられた参照番号を持つ)を合法性の確認に活用することができます。
また私有天然林の一部は地方自治体(local council)からの開発同意(development consent)の取得も義務付けられています。
ただしニューサウスウェールズ州政府は現在、私有天然林業実施規定の見直しを進めており 、上記の規定の一部は変更される可能性があります。

<プランテーション>
面積が30 haを超える公有地、私有地双方のプランテーションは、2001年プランテーション規定(Plantations and Reafforestation (Code) Regulation)に基づいた一次産業部(Department of Primary Industries: DPI)の認可が必要です。伐採のためにも一次産業部からの操業計画の承認が必要で、合法性の確認に活用できます。
ただし2001年以前に、1995年木材プランテーション(伐採保証)法(Timber Plantations (Harvest Guarantee) Act)、1979年環境計画・アセスメント法(Environmental Planning and Assessment Act)、その他関連法規に基づいて造成されたプランテーションも存在します。

<その他のソースからの木材>
政府の開発事業、インフラプロジェクト、土地利用の改変に伴う皆伐からの木材など。これらの開発にも1979年環境計画・アセスメント法に基づく計画認可などを必要とするため、そこからの木材についても対応する開発許可番号(Development Application Number)を確認することが可能です。

(6) 首都特別地域
特別地域政府の公園保全サービス(Parks and Conservation Service)の管理する公有のプランテーションのみで木材生産が行われています。伐採の際は操業計画(Operational Plan)を作成し、環境保護機関(Environment Protection Authority)から承認される必要があります。配送される木材の納品書(delivery docket)記載の林区番号を操業計画と照合させることによって合法性の確認に活用できます。

(7) ビクトリア州
<公有天然林>
州有企業であるVicForestsによって管理されています。VicForestは5年間の間に伐採する林区を示す木材譲渡計画(Timber Release Plan: TRP)を公開しており、VicForestからの木材納品書(delivery docket)に記載されたTRP番号と照合させることによって合法性の確認に活用できます。
また森林生産ライセンス(forest produce licence)に基づく伐採も可能で、この場合は3年間の木材利用計画(Wood Utilisation Plan: WUP)が発行されます。生産された木材の州政府からの納品書(log docket)記載の林区番号(Coupe Address)を照合させることによって合法性の確認に活用できます。

<私有天然林>
伐採のためには2年間の木材伐採計画(Timber Harvesting Plan: THP)を準備し、地方政府の承認を得ることが必要です。

<私有プランテーション>
伐採には地方政府によって承認された木材伐採計画(THP)が必要です。木材の納品書(delivery docket)記載の林区番号を、THPと照合させることによって合法性の確認に活用できます。
アグロフォレストリーや5 ha以下の小規模プランテーションからの木材に対する許認可制度は存在しません。

(8) タスマニア州
公有地、私有地を問わず、林業施業の実施には森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)を策定し、森林実施機関(Forest Practices Authority: FPA)からの認証を得ることが必要です。

<恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ )の公有地>
公有地の一部にでは林産物の供給が可能な恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ)が設定され、タスマニア森林公社(Sustainable Timber Tasmania)によって管理されています。伐採のためには森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)を策定して、森林実施機関(FPA)の認証を受けることが必要で、合法性の確認に活用できます。

<恒久木材生産地域以外の公有地>
恒久木材生産地域以外の公有地で伐採を行う事業者は、森林実施機関(FPA)からの森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)の認証に加え、地方自治体からの開発許可が必要です。

<私有木材保護区(Private Timber Reserve: PTR)内の私有地>
私有林木材保護区(PTR)を設定したい土地所有者は、森林実施計画(FPP)を作成し、森林実施機関(FPA)に申請し、認証を受ける必要があります。

<私有木材保護区(PTR)外の私有林>
伐採のためには、森林実施機関(FPA)からの森林実施計画(FPP)の認証を受けるともに、関連する地方自治体からの開発許可も必要です。
100トン以下または1 ha以下の伐採の場合、認証された森林施業計画(FPP)は必要ありませんが、地方自治体の開発許可は必要な場合があります。

3.木材・木材製品の生産・流通等に関する法令等とその運用状況(輸入材)

1)違法伐採禁止法

オーストラリアの違法伐採対策は、2014年11月30日に施行された「2012年違法伐採禁止法 (Illegal Logging Prohibition Act 2012)」と、デュー・デリジェンスの細則、運営上の規則を定める「2012年違法伐採禁止規則 (Illegal Logging Prohibition Regulation 2012)」によって定められています。この法律は、以下の2つを定めています。
(ア)違法に伐採された木材や規制木材製品を故意にオーストラリアに輸入したり、違法に伐採された国内産の原木を加工したりすることを犯罪行為とする
(イ)規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、国産の原木を加工したりする前に、構造化されたリスク評価と低減プロセスを行うこと(デュー・デリジェンスの実施)
違法伐採禁止法では、「違法に伐採するとは、収穫場所において効力を有する法律に違反して木材を収穫することをいう」と定義されており、伐採時の合法性に焦点が置かれています。

2023年2月現在、オーストラリア政府は、違法伐採禁止規則の見直しを実施しています。輸入業者が商品が国境に到着する前にこの情報を当局に提供することを求め、国境での製品サンプリング検査を実施して違法伐採リスクの高い材の国内への流通を防止すること、規制対象事業者の輸入や加工の頻度の違いを考慮して義務の内容を調整することなどが検討されています。

(1)事業者に課せられた義務
違法伐採禁止法では、木材・木材製品輸入者と国産原木の加工業者それぞれに対し、「違法伐採木材の輸入(輸入者に対して)と加工(国産原木加工業者に対して)の禁止」と「規制木材製品 の輸入(輸入者に対して)と加工(国産原木加工業者に対して)に際しデュー・デリジェンス要件を遵守すること」の2点の義務が課せられています。オーストラリア政府は違法伐採禁止規則で定められたデュー・デリジェンス要件を、事業者にわかりやすい表現で政府ウェブサイトに掲載しています。

(2)規制木材製品
規制の対象となる輸入木材・木材製品は、違法伐採禁止規則別表1に関税HSコードによって定義されており、木材・木製品(44類)、パルプ(7類)、紙(48類)、家具(94類)が含まれています。規制木材製品を輸入する際にはデュー・デリジェンスの実施が必要です。国産原木の加工はすべてがデュー・デリジェンスの対象です。

(3)デュー・デリジェンス・システム
輸入者と加工業者は、規制木材製品の輸入と国産原木の加工に先立って、デュー・デリジェンス・システムを設けなければならないと違法伐採禁止規則に定められています。デュー・デリジェンス・システムには、次の4ステップが含まれている必要があります。

ステップ 違法伐採禁止規則で定められている事項
規制木材製品の輸入 国産原木の加工
ステップ1 情報収集 以下の情報を合理的に可能な限り収集する
輸入しようとしている製品の種類と商品名。
輸入する製品の数量(数量、重量または個数)。
製品が製造された国。
木材が伐採された国、地域、伐採ユニット
木材の樹種名(一般名称または学名)
仕入先の詳細(名前、住所、商号、事業者識別番号など)
製品購入の際にサプライヤーから提供された書類
木材が合法的に伐採されたことを証明する資料や書類
以下の情報を合理的に可能な限り収集する
伐採された樹木の一般名または学名を含む丸太の説明
原木を伐採した州または領土と森林収穫ユニット
加工している原木の量(量、重量、本数)
サプライヤーの詳細(名前、住所、取引名、ABN/ACNを含む)
原木を購入するためにサプライヤーから提供された書類
木材が合法的に伐採されたことを示す資料や書類
ステップ2 リスクの特定と評価 3つの方法が提供されている:
(ア)木材合法性枠組の使用(森林認証の活用)
(イ)国別ガイドラインの使用(相手国と協議し作成された文書)
(ウ)規定されたリスク要素の使用

(ウ)を使用する場合には、次の質問に回答する。
1. 木材が伐採された地域に違法伐採が多いか?
2. 原木の種類はこの地域で違法伐採されることが多いか?
3. 伐採地に武力紛争があるか、あるいは最近あったか?
4. 製品はどの程度複雑か?
5. 木材が違法伐採されたことを示す情報があるか?

3つの方法が提供されている:
(ア)木材合法性枠組の使用(森林認証の活用)
(イ)州別ガイドライン(SSG)の使用(各州政府と協議し作成された文書)
(ウ)規定されたリスク要素の使用

(ウ)を使用する場合には、次の質問に回答する。
1. その丸太の伐採地域では、違法伐採が多く発生しているか?
2. この地域では原木の樹種で違法伐採が多発しているか?
3. 原木が違法に伐採されたことを示す他の情報はあるか?

ステップ3 リスク低減 サプライヤーからより多くの証拠や情報を求める
仕入先に代替品を依頼する
サプライヤーを訪問しサプライチェーンの詳細を確認
監査の実施
場合によっては、リスクの低い製品の調達やサプライヤーの変更を検討する必要がある
サプライヤーからより多くの証拠や情報を求める
仕入先に代替品を依頼する
サプライヤーを訪問しサプライチェーンの詳細を確認
監査の実施
場合によっては、リスクの低い製品の調達やサプライヤーの変更を検討する必要がある
ステップ4 記録 デュー・デリジェンスに関連する記録は製品の輸入日から5年間保管しなければならない デュー・デリジェンスに関連する記録は製品の輸入日から5年間保管しなければならない

(4)違法伐採禁止法の実施
違法伐採禁止法の管轄官庁は、農業・水資源・環境省(Department of Agriculture, Water and the Environment)の国際森林政策部(International Forest Policy Section)が担当しています。政府の運用方針は、Illegal Logging Compliance Plan(違法伐採遵守計画、2018年発行)に、違法伐採を管理するための具体的な戦略的アプローチと、遵守状況の監視方針が説明されています。オーストラリア政府が教育、アウトリーチ、アドバイスに力を入れていることが特徴的で、罰則を伴う監査も実施されています。

4.法令

1) 合法的な伐採権関連

(1)連邦

関連法規 内容
地域森林合意法
Regional Forest Agreements Act 2002
地域森林合意は天然林についての20年間の保全または持続的管理の計画
地域森林合意の下での連邦政府の義務を定める
環境保全生物多様性保護法
Environment Protection and Biodiversity Conservation Act 1999: EPBC Act
重要な植物・動物相、生態的群集、遺産を保護するための法的枠組み
地域森林合意締結地域は対象外
2012年違法伐採禁止法
Illegal Logging Prohibition Act 2012
2012年違法伐採禁止規則
Illegal Logging Prohibition Regulation 2012
違法に伐採された木材や規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、違法に伐採された国内産の原木を加工したりすることを犯罪行為とすること、規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、国産の原木を加工したりする前に、事業者がデュー・デリジェンスを実施することを定める。デュー・デリジェンスの細則は、違法伐採禁止規則に定められている

西オーストラリア州

関連法規 内容
林産物法
Forest Products Act 2000
州の南西部の特定地域における、公有地および木材保護区(timber reserve)の天然林およびプランテーションからの林産物の伐採、販売、更新または再植林に関する規則
保全及び土地管理法
Conservation and Land Management Act 1984: CALM Act
およびその改正
特定の公有地に生息する動植物の利用、保護、管理のための規定。その責任機関の設立の規定
西オーストラリア州保全委員会(Conservation Commission)が管理する州南西部の公有地の森林において森林管理計画(Forest Management Plan)2014-2023の策定を要求
環境保護法
Environmental Protection Act 1986: EP Act
森林管理計画の環境へのインパクト評価を規定し、負の影響を緩和するための計画の実施条件も設定
公有地・私有地の天然植生の皆伐に対する許可を規定
違法な環境被害に関する犯罪を規定。
環境保護規制(天然植生の皆伐)
Environmental Protection (Clearing of Native Vegetation) Regulations 2004
天然植生の皆伐を行う際の規制
生物多様性保護法
Biodiversity Conservation Act 2016
1929年サンダルウッド法(Sandalwood Act)、1950年野生動物保全法(Wildlife Conservation Act: WC Act)から置換
サンダルウッドライセンス(Sandalwood License)を規定
サンダルウッドやその代用品となる可能性のある香木の収穫許容量を規定
サンダルウッドの違法な採取に対する罰則を規定
商業的生産者ライセンス(Commercial Producer’s Licence)を規定

北部準州

関連法規 内容
計画法
Planning Act 1999
土地の使用や開発、プランテーションの造成に関する規定
自由保有地(Freehold Land)内の皆伐に関する規定
開発同意機関(Development Consent Authority)の設置を規定
2020年計画修正法案(Planning Amendment Bill)によって内容が修正された
牧地法
Pastoral Land Act 1992
牧地委員会(PLB)の設置を規定
牧地(Pastoral Land)内の天然植生の皆伐に対する規定
皆伐ガイドライン
Land Clearing Guidelines 2010
自由保有地(Freehold Land)の皆伐に関するガイドライン
北部準州牧地皆伐ガイドライン
Northern Territory pastoral land clearing guidelines 1992
牧地(Pastoral Land)内の天然植生の皆伐に対するガイドライン
林業プランテーション実施規定
Codes of Practice for Forestry Plantations
公有・私有プランテーションが対象
採掘管理法
Mining Management Act 2001
鉱山開発に伴う皆伐を規制
準州公園および野生動物保護法
Territory Parks and Wildlife Conservation Act 1976
国立公園や保護区の設立と管理に関する規定
国立公園や保護区外を含めた州内の天然植生の商業伐採に関する規定
環境保護法
Environment Protection Act 2019
1982年環境アセスメント法(Environment Assessment Act)から置換
開発に伴う環境影響の評価を規定

南オーストラリア州

関連法規 内容
林業法
Forestry Act 1950
州保存林の設立、管理、保護
天然植生法
Native Vegetation Act 1991
天然植生の保護を規定。天然植生の皆伐に対する制限など
天然資源管理法
Natural Resources Management Act 2004
州の天然資源の持続的で統合的な管理のための規定。ライセンスや森林許可を通じたプランテーションの水利用の管理など
州の自然資源管理計画(State Natural Resource Management Plan)2012-2017、地域自然資源管理計画(Regional Natural Resource Management Plan)の策定を要求
南オーストラリア林業公社法
South Australian Forestry Corporation Act 2000
南オーストラリア林業公社を規定
南オーストラリアプランテーション林業ガイドライン
Guidelines for Plantation Forestry in South Australia 2009
公有・私有プランテーションが対象
環境保護法
Environment Protection Act 1993
生態学的に持続可能な開発の原則を推進
国立公園及び野生動物法
National Parks and Wildlife Act 1972
絶滅危惧の動植物の保護

クイーンズランド州

関連法規 内容
林業法
Forestry Act 1959
公有地における森林の管理、林業施業、保護を規定
木材の伐採、プランテーションライセンスによる排他的使用権の付与に関する規定
植生管理法
Vegetation Management Act 1999
私有地からの木材の伐採を規定
植生の皆伐を規制
クイーンズランド州有林地における天然林木材生産実施規定
Code of Practice for Native Forest timber Production on Queensland’s State Forest Estate 2020
公有天然林が対象
1959年森林法および関連法規で規定される要求に対応するための最低基準を定義
自由保有地における天然林実施規定
Code Applying to a Native Forest Practice on Freehold Land 2005
私有天然林が対象
1999年植生管理法で規定
天然林実施管理:自己評価可能植生皆伐規定
Managing a Native Forest Practice: A Self-assessable Vegetation Clearing Code 2014
私有天然林が対象
1999年植生管理法で規定
クイーンズランド木材プランテーション操業実施規定
Timber Plantation Operations Code of Practice for Queensland 2015
公有・私有プランテーションが対象
自然保全法
Nature Conservation Act 1992
総合的かつ包括的な自然保護戦略による州全体の自然保護
保護地に関する先住民の関与に関する規定
保護種の伐採に関する規定
自然保全(野生動物管理)規則
Nature Conservation (Wildlife Management) Regulation 2006およびその2014年改正規則
保護植物の開墾、成長、収穫、取引を規制

ニューサウスウェールズ州

関連法規 内容
林業改正法
Forestry Legislation Amendment Act 2018
公有・私有の天然林が対象
2012年森林法、2013年地域土地サービス法を改正
私有天然林の伐採に際して要求される私有天然林業不動産植生計画(Private Native Forestry Property Vegetation Plan: PNF PVP)は、私有天然林計画(Private Native Forestry Plan: PNF Plan)に変更
森林法
Forestry Act 2012
ニューサウスウェールズ林業公社(Forestry Corporation NSW: FCNSW)の目的と機能を規定
公有林における森林管理計画(Forest Management Plans)、生態的持続可能な森林管理計画(Ecologically Forest Management Plans)の策定を要求
森林合意に関する規定
公有林における20年以下の操業のために要求される統合的林業操業許可(Integrated Forestry Operations Approval: IFOA)を規定
地方土地サービス法
Local Land Services Act 2013およびその改正
2003年天然植生法(Native Vegetation Act)から置換
天然林の大規模な皆伐に対する規制
私有天然林での操業に関し、PNF Plan(2003年天然植生法におけるPNF PVP)の承認を得ることを要求
私有天然林業実施規定
Private Native Forestry Code of Practice
4つの地域ごとに出されている
Northern NSW 2013
Southern NSW 2008
River red gum forests 2008
Cypress and western hardwood forests 2008
私有天然林および、2012年森林法における国家木材地(Crown timber land)外の国有地(Crown tenure)における天然林が対象
PNF Plan(旧PNF PVP)を持っている私有天然林での操業者が伐採の際に求められる最低基準
環境を維持または改善するための規定を含む
プランテーションおよび再植林法
Plantation and Reafforestation Act 1999: PR Act
土地の再植林を促進
木材などのプランテーションの設立、管理、収穫のための統合的なスキームの規定
一次産業部(Department of Primary Industries: DPI)が公有地・私有地のプランテーションを管轄
以前の法律は木材プランテーション(伐採保証)法(Timber Plantations (Harvest Guarantee) Act 1995)で、これに基づいて認可されたプランテーションも存在する
30 ha以下のプランテーションは、免除農地林業(exempt farm forestry)として規制対象外
プランテーションおよび再植林規定
Plantations and Reafforestation (Code) Regulation 2001: Plantations Code
プランテーションおよび再植林法で規定
公有地・私有地のプランテーションが対象
生物多様性保全法
Biodiversity Conservation Act 2016
2003年天然植生法(Native Vegetation Act)、1995年絶滅危惧種保護法(Threatened Species Conservation Act)から置換
IFOAの発行条件となっている
プランテーション・再植林法(PR Act)の対象とならない30 ha以下のプランテーションであっても、本法には従うことが要求される
国立公園および野生動物法
National Parks and Wildlife Act 1974
絶滅危惧種を含む自然保護に関する規定
環境計画・アセスメント法
Environmental Planning and Assessment Act 1979: EP&A Act
自然・人工資源の管理、開発、保全に関する規定
私有天然林での操業に関し、地方自治体から開発同意(development consent)を取得することを要求することがある
環境運用保護法
Protection of the Environment Operations Act 1997
環境の質の保護、回復、向上のための規定
IFOAの発行条件となっている
環境保全・生物多様性保護法
Environment Protection and Biodiversity Conservation Act 1999
プランテーション・再植林法(PR Act)の対象とならない30 ha以下のプランテーションであっても、これには従うことが要求される
漁業管理法
Fisheries Management Act 1994
IFOAの発行条件の一つとなっている

首都特別地域

関連法規 内容
環境保護法
Environment Protection Act 1997
林業活動に対して環境管理計画(Environment Management Plan)の策定と承認を要求
自然保護法
Nature Conservation Act 2014
自然保護、保全、管理に関する規定
1980年自然保護法(Nature Conservation Act)から置換
森林実施規定
Forest Practice Code 2005
公有プランテーションの伐採に関する規定

ビクトリア州

関連法規 内容
森林法
Forests Act 1958
およびその改正
国有林の管理を規定
伐採に関する規定。木材生産実施規定に従うことなど。
州有林の12森林管理区(Forest Management Area)における森林管理計画(Forest Management Plan)の策定を要求
持続可能な森林(木材)法
Sustainable Forests (Timber) Act 2004
公有地における持続可能な森林管理と持続可能な木材生産を規定
公有地において伐採可能なエリアを規定
保全森林土地法
Conservation, Forests and Lands Act 1987
伐採の際は木材生産実施規定に従うことを規定
木材生産実施規定
Code of Practice for Timber Production 2014
公有・民有の天然林、私有林の全てを対象とする伐採の規定
2004年持続可能な森林(木材)法により、特に公有地での伐採に対して遵守が義務となっている。
2004年持続可能な森林(木材)法に基づいて州有企業VicForestsに対して与えられたライセンスの要件になっている
計画環境法
Planning and Environment Act 1987
プランテーションの造成と伐採を規制
保全森林土地法
Conservation, Forests and Lands Act 1987
土地管理システムのための制度、財政、執行の規定
伐採の際に2014年木材生産実施規定(Code of Practice for Timber Production)を遵守することを規定
動植物相保証法
Flora and Fauna Guarantee Act 1988
絶滅危惧の動植物種や生態学的群集の保全に関する規定
水法
Water Act 1989
森林地域を含む集水域の保護に関する規定
集水域と土地保護法
Catchment and Land Protection Act 1994
森林地域を含む集水域の統合的管理と保護に関する規定
消防庁法
Country Fire Authority Act 1958
戦略的な防火帯の設定と維持を要求
500ha以上のプランテーションは森林産業団(Forest Industry Brigade)を持つことを要求されることがある
アボリジニ遺産法
Aboriginal Heritage Act 2006
アボリジニ文化遺産アセスメント(Aboriginal cultural heritage assessment)とアボリジニ文化遺産管理計画(Aboriginal cultural heritage management plan)の策定を要求

タスマニア州

関連法規 内容
森林実施法
Forest Practices Act 1985
持続的森林管理のための森林実施機関(Forest Practices Authority: FPA)、森林実施規定(Forest Practices Code)、森林実施システム(Forest Practice System)を規定
私有地において、所有者が長期的な林業を行えるようにするための私有木材保護区の設立に関する規定
森林管理法
Forest Management Act 2013
公有地を林産物の供給に必要な恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ)とする宣言とその管理の規定
林業法(Forestry Act 1920)から置換
林業(森林産業再生)法
Forestry (Rebuilding the Forest Industry) Act 2014
将来潜在的生産林(Future Potential Production Forest)およびその恒久木材生産地域(PTPZ)への転換を規定Forestry (Rebuilding the Forest
特別な樹種について、その管理計画を義務付ける伐採規定Forestry (Rebuilding the Forest
2013年タスマニア森林合意法(Tasmanian Forests Agreement Act)から置換
森林実施規定
Forest Practices Code 2020
公有・私有の天然林・プランテーション林が対象
1985年森林実施法で規定。1987年に策定され、1993, 2000, 2015, 2020年に改訂
私有林法
Private Forests Act 1994
タスマニア私有林局を規定
土地利用計画承認法
Land Use Planning and Approvals Act 1993
地方自治体に土地利用計画の作成を要求
林業用地としてゾーニングされていない場所以外の伐採に関しては地方自治体からの許可を要求

2) 貿易と輸送関連

(1)連邦

関連法規 内容
2012年違法伐採禁止法
Illegal Logging Prohibition Act 2012
2012年違法伐採禁止規則
Illegal Logging Prohibition Regulation 2012
違法に伐採された木材や規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、違法に伐採された国内産の原木を加工したりすることを犯罪行為とすること、規制木材製品をオーストラリアに輸入したり、国産の原木を加工したりする前に、事業者がデュー・デリジェンスを実施することを定める。デュー・デリジェンスの細則は、違法伐採禁止規則に定められている
輸出制限法
Export Control Act 1982
2トン以上の木質チップ、丸太、断面積225 cm2以上の製材品は規定商品(prescribed goods)として輸出許可の取得を要求
輸出制限(未加工木材)規則
Export Control (Unprocessed Wood) Regulations1986
1982年連邦輸出制限法の下に規定
各州のプランテーション林業実施規定を参照
輸出制限(広葉樹木質チップ)規則
Export Control (Hardwood Wood Chips) Regulations 1996
1982年連邦輸出制限法の下に規定
輸出制限(地域森林管理合意)規則
Export Control (Regional Forest Agreements) Regulations 1997
地域森林合意締結エリアからの未加工材および広葉樹木質チップには輸出制限(未加工木材)規則、輸出制限(広葉樹木質チップ)規則は適用されず、輸出許可を必要としない

以下の法令は2021年3月28日から施行される。

輸出制限法
Export Control Act 2020
1982年輸出制限法(Export Control Act)から置換。
輸出制限(木材および木質チップ)規則
Export Control (Wood and Woodchips) Rules 2020
現在はドラフトが公開されているのみ
1986年輸出制限(未加工木材)規則(Export Control (Unprocessed Wood) Regulations)、1996年輸出制限(広葉樹木質チップ)規則(Export Control (Hardwood Wood Chips) Regulations)、1997年輸出制限(地域森林管理合意)規則(Export Control (Regional Forest Agreements) Regulations)から置換。
木材および木質チップの輸出事業者は木材輸出ライセンス(Wood export licence)を取得することが義務
ただし実施規定が承認された州からのプランテーションからの木材、地域森林管理合意締結地域からの木材については対象外

3) 関係行政機関一覧

(1)連邦

主要な所管官庁および機関 役割
農業水環境省
Department of Agriculture, Water and the Environment
2012年違法伐採禁止法を所管
木質チップ、丸太、断面積225 cm2以上の製材品に対する輸出許可を発行
林業および木材製品委員会
Forestry and Forest Products Committee (FFPC)
オーストラリア連邦政府、州政府、ニュージーランド政府の公務員によって構成される
林業関係閣僚会議、森林と林業に関する農業高級事務レベル委員会に対して助言を与える
3つの作業部会を持つ
  • オーストラリアモントリオールプロセス実施グループ
  • 国家森林インベントリー運営委員会
  • 森林火災管理グループ

(2)西オーストラリア州

主要な所管官庁および機関 役割
林業省
Minister for Forestry
公社である林産物委員会(Forest Products Commission)を管轄
生物多様性保全観光資源局
Department of Biodiversity, Conservation and Attractions : DBCA
2017年に公園野生生物局(Department of Parks and Wildlife)、植物公園庁、動物園局などが統合されて設立
公園野生生物サービス
Parks and Wildlife Service
2017年の省庁再編に伴い、公園野生生物局から名称が変更され、生物多様性保全観光資源局(DBCA)の一部門になった。
公有天然林を管理
野生動物ライセンス部(Wildlife Licensing Section)がライセンスを発行
商業的生産者ライセンス(Commercial Producer's Licence)を発行
サンダルウッドについてサンダルウッドライセンス(Sandalwood License)、サンダルウッド輸送許可(Sandalwood Transport Authority Notice: STAN)を発行
水環境規制省
Department of Water and Environment Regulation
2017年に環境規制省(Department of Environment Regulation)、水省(Department of Water)、環境保護機関(Office of the Environmental Protection Authority)が統合されて設立
1986年環境保護法による皆伐規定を管理。皆伐許可を発行
保全委員会
Conservation Commission
州南西部の公有地の森林を管理
保全公園委員会
Conservation and Park Commission
保全委員会の管理する土地に対する森林管理計画の実施状況を独立監査
林産物委員会
Forest Products Commission: FPC
2000年に設立された州有企業
公有地の天然林、プランテーションからの木材生産を行っている。
2014-2023年森林管理計画(Forest Management Plan)に従って林業・木材産業の持続的管理と発展に関するサービスを提供している
天然林木材納品書(Native Forest Log delivery note)、プランテーション木材納品書(Plantation Log delivery note)を発行

(3)北部準州

主要な所管官庁および機関 役割
環境公園水安全保障局
Department of Environment, Parks and Water Security
開発同意機関(Development Consent Authority: DCA)を持つ
土地計画環境省
Department of Lands, Planning and the Environment
自由保有地(Freehold Land)の皆伐の許可を発行
牧地委員会
Pastoral Land Board: PLB
牧地(Pastoral Land)内の皆伐の許可を発行

(4)南オーストラリア州

主要な所管官庁および機関 役割
一次産業及び地域省
Department of Primary Industries and Regions (PIRSA)
2011年度に一次産業及び資源省(Department of Primary Industries and Resources: PIRSA)から名称変更
天然植生審議会
Native Vegetation Council
天然林の伐採を承認する
持続可能性環境保護省
Minister for Sustainability, Environment and Conservation
天然林の伐採を承認する事がある
南オーストラリア林業公社
South Australian Forestry Corporation: ForestrySA
2001年設立の州有企業
州有プランテーションを運営

(5)クイーンズランド州

主要な所管官庁および機関 役割
農水省
Department of Agriculture and Fisheries
1959年林業法に基づき州有地の天然林を管轄 林産部(Forest Products division)が実施規定の遵守状況を監査 2015年に農水林省(Department of Agriculture, Fisheries and Forestry)から名称変更された
環境遺産保護省
Department of Environment and Heritage Protection (DEHP)
2012年に設立。当時解体された環境資源管理省(Department of Environment and Resource Management)の多くの所轄を引き継いだ。
1992年自然保護法に基づき、保護種の収穫と利用を管轄
天然資源鉱山省
Department of Natural Resources and Mines: DNRM
1999年植生管理法に基づき、私有地における天然林での操業を管轄

(6)ニューサウスウェールズ州

主要な所管官庁および機関 役割
環境保護庁
Environment Protection Authority: EPA
天然林を管轄
公有天然林での操業に対して統合的林業操業許可(Integrated Forestry Operations Approval: IFOA)を発行
環境遺産局(Office of Environment and Heritage)が公有・私有の天然林施業における法遵守状況のモニタリングと法執行を行う
森林合意(Forest Agreement)も管轄
地域土地局
Local Land Services
私有天然林所有者に対して支援と助言を行う
私有天然林業計画(Private Native Forestry: PNF Plan)を承認
一次産業部
Department of Primary Industries: DPI
地域ニューサウスウェールズ省(Department of Regional NSW: DRNSW)の部局
2015~2019年は産業省(Department of industry)、2019年は計画産業環境省(Department of Planning, Industry and Environment)の一部、2020年に同省から地域ニューサウスウェールズ省に移管
公有地・私有地のプランテーションを管理
プランテーションアセスメント部(Plantation Assessment Unit)が1999年プランテーションと再植林法、2001年プランテーションおよび再植林規定の遵守状況モニタリング
計画産業環境省
Department of Planning, Industry and Environment
生物多様性保護法の執行
ニューサウスウェールズ林業公社
Forestry Corporation NSW: FCNSW
ニューサウスウェールズ州有企業 州内の公有地(天然林、プランテーション)で伐採する権利を持つ唯一の事業者
管理指針(Forestry Corporation of NSW Forest Management Policy)を持つ

(7)首都特別地域

主要な所管官庁および機関 役割
環境保護機関
Environment Protection Authority
1997年環境保護法に基づいて設立
1997年環境保護法に基づき、環境管理計画(Environment Management Plan)を承認
公園保全サービス
Parks and Conservation Service
公有プランテーションを管理

(8)ビクトリア州

主要な所管官庁および機関 役割
環境土地水計画省
Department of Environment, Land, Water and Planning: DELWP
2014年に環境一次産業省(Department of Environment and Primary Industries: DEPI)から改名された。なお環境一次産業省は2013年に一次産業省(Department of Primary Industry)と持続可能性環境省(Department of Sustainability and Environment)が合併して創設された。
州有林における持続可能な商業伐採と販売を管轄
公有地の中で伐採可能地域をゾーニング
木材生産実施規定(Code of Practice for Timber Production)の実施状況をモニタリング、監査
VicForests ビクトリア州有企業
公有地における林業施業を実施
生態的な持続可能森林管理政策(Ecologically Sustainable Forest Management Policy)を策定している

(9)タスマニア州

主要な所管官庁および機関 役割
タスマニア私有林局
Private Forests Tasmania: RFT
州発展省(Department of State Growth)の部局
私有林木材保護区(Private Timber Reserve: PTR)を設定したい土地所有者からの森林実施計画(Forest Practices Plan: FPP)に対し、評価を行う
森林実施機関
Forest Practices Authority: FPA
1985年森林実施法に基づき設立された独立法定組織
森林実施官(Forest Practice Officer)を擁し、森林実施システム(Forest Practice System)、森林実施計画(Forest Practice Plan)の実施状況をモニタリング
私有木材保護区(Private Timber Reserve)の設置を承認
Sustainable Timber Tasmania タスマニア州有企業
公有地の恒久木材生産地域(Permanent Timber Production Zone: PTPZ)800千haを管理
1994年にForestry Tasmaniaとして設立され、2017年に規模縮小・改名

5.民間の森林認証システム

現在オーストラリアで商業伐採が行われている森林の大部分はESCまたはEFCのメンバーであるResponsible Woodの認証林となっています。このため国内で生産されている木材の大部分は認証材となっています。

1)FSC

2020年現在、9事業者の122万haの森林が認証を受けています。その大部分は人工林です。また250事業者がCoC認証を取得しています。

2)Responsible Wood(PEFC)

2021年現在、29事業者の1140万haの森林が認証を受けています。その大部分は天然林(おもに各州の州有企業が管理する公有林)ですが、180万haは人工林です。また249事業者がCoC認証を取得しています。

なお9事業者の104万haの森林はFSCとResponsible Wood両者の認証を受けています。

6.違法伐採リスク低減の先進事例

1)民間輸入事業者の違法伐採禁止法に対する取組

業界団体はデュー・デリジェンスツールの開発や、会員企業の問い合わせへの対応など積極的に民間輸入事業者の対応を支援しています。オーストラリアの木材輸入事業者の業界団体であるATIF(Australian Timber Importers Federation Inc)と、オーストラリア家具協会 (Australasian Furnishing Association: AFA)は、輸入事業者向けのデュー・デリジェンス・マニュアル(Legality Compliance ToolkitとTimber Due Diligence Toolkit)を策定し、デュー・デリジェンスを実施する事業者への、実例や具体的な指標を含む多くのアドバイスを提供しています。

民間輸入事業者は次のように対応しています。

デュー・デリジェンスのステップ 民間輸入業者の対応
デュー・デリジェンス・システム 輸入者が使用しているデュー・デリジェンス・システムは、独自に開発したシステム、業界団体のツールキットで提供されたテンプレート化されたアプローチ、民間コンサルタントが提供するサービスの利用
業界団体の会員企業は団体が開発したデュー・デリジェンスツールを業種や輸入元、取り扱い製品を考慮して独自化したシステムを構築
ステップ1 情報収集 情報収集は、サプライヤーに依存することになるため、サプライヤーがオーストラリアの法律を理解し、必要情報を提供してもらう必要がある
認証材の場合でも、証書と製品がきちんと紐づけられた形で書類が準備される必要があり、それをサプライヤーが理解する必要がある
サプライヤーが必要情報を適切に準備できるよう、質問紙等テンプレートを準備している
サプライヤーを訪問し、法律の理解やコミュニケーションを促進している
サプライヤーとの信頼関係がないと、必要な情報収集が困難になることあり
サプライヤーの情報の機密性が情報収集を困難にすることあり
樹種名を把握することが困難
ステップ2 リスクの特定と評価 業界団体は会員にリスク評価を伐採国のCPI(腐敗認識指数)から始めることを推奨している
認証スキームを通じて木材の一貫した管理体制を証明できるFSCやPEFCを利用することで、輸入者は合法的に木材が調達されたことをさらに確実にすることができる
紙などの非常に複雑なサプライチェーンを持つ製品を扱う輸入者にとっては、認証スキームを利用することで比較的簡単にリスク評価ができる
サプライチェーン情報を提供するようサプライヤーに強制する力がないかもしれない小規模事業者にとって森林認証材は特に重要になる
森林認証材であっても、他の情報を照会し評価する必要がある。
製品のリスクを低減するのではなく、リスクを洗い出すことが重要。現在のサプライチェーンを維持すべき理由を正当化するための情報だけでは不十分で、正しい情報をリスク評価で考慮することが重要
ステップ3 リスク低減 サプライヤーを訪問し、追加情報を収集することは有効な手段
直接的な製品サプライヤーと上流のサプライチェーンを訪問
伐採地までサプライチェーンをたどることができないこともある
サプライヤーの変更、製品の変更(例:認証材に変更)は頻繁に行われている
低減措置を講じても「リスクは低い」という合理的な結論を出すことが困難なため、今後はその業者を利用しないと結論した事例あり
ステップ4 記録 業界団体が提供するデュー・デリジェンスツールでは、監査で提出できる記録のためのテンプレートが準備されている
政府が提供するテンプレートを使用している企業も多い

7.合法性の確認に活用できる書類の事例

8.委託・補助事業の成果

(1) 令和元年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち海外情報収集事業報告書下巻(令和3年3月)(PDF : 16,700KB)
(該当ページはp173~p342)

(2) 令和3年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国リスク情報活用に向けた調査(令和5年3月)(PDF : 2,048KB)
(該当ページはp49~p72)

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