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林野庁

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第1部 特集 第5節 森林資源の循環利用に向けた「森の国・木の街」づくり(2)

(2)多様な主体で支える森林資源の循環利用

(森林資源の循環利用の確立に向けて)

TNFD提言等による情報開示や、建築物ライフサイクルカーボン評価の制度化の検討、SHK制度の見直しなど、環境への配慮を求める社会的な情勢を背景に、企業による木材利用、森林(もり)づくりへの参画が広がりをみせている。また、森林由来J-クレジットの販売収益の活用を通じた森林整備や、化石資源由来プラスチックの代替としての木質系新素材等の新たな木材利用など、森林・林業・木材産業以外の他分野から森林資源の循環利用への参画も期待される。

このような動きを継続的なものとし、更に大きな流れとしていくためにも、木材利用と再造林をつなぐ取組も含めて、木材利用の拡大や再造林の推進を一層図っていくことが必要であり、幅広い関係者が相互に連携して取り組んでいくことが求められる。さらに、森林資源の循環利用の確立に向けては、木材利用や再造林に加えて、森林・林業・木材産業等の各分野にわたる幅広い取組が必要である。


(多様な森林整備の推進)

森林資源の循環利用に向け、資源の維持造成を行っていく上では、林業適地の人工林において主伐・再造林を実施した後も、保育や間伐などの森林整備を着実に進めていく必要がある。また、林業を継続するための条件が厳しい人工林においては、帯状又は群状の伐採を行い、侵入広葉樹を活用しながら針広混交林化等を進めていくことも必要である。これらの推進に当たっては、令和6(2024)年に林野庁が作成した「森林の生物多様性を高めるための林業経営の指針」等も踏まえ、多様な伐期の設定や伐採面積の縮小・分散、尾根筋の保護樹帯(*54)の設置、渓畔林の保全のほか、木材生産と生物多様性保全の両立を目指す「保持林業」(*55)など、生物多様性保全にも配慮した森林施業を進めていくことが重要である。

このほか、我が国には、人工林以外に、原生的な天然林や里山林といったタイプの森林が存在し、それぞれが異なる生物相を形成しており、生物多様性保全の観点からは、面的な広がりにおいてこれら多様な森林がバランスよく配置されていることが重要である。引き続き、原生的な天然林等は保護・管理を行うとともに、里山林の継続的な利活用等を推進していくことが必要である。


(*54)隣接する林地の保全、雪崩や落石等の防止、寒風害等の各種被害の防止、風致の維持、渓流周辺や尾根筋等の森林における生物多様性の保全等のため、伐採時に一定の幅で帯状に残す林分。

(*55)「保持林業」については、「令和6年度森林及び林業の動向」特集第3節(2)28-30ページを参照。



(林業・木材産業の健全な発展)

林業は、木材生産により収入を得ながら森林整備を行うことによって、森林資源の循環利用に大きな役割を果たしている。森林資源の循環利用の確立に向け、木材生産や再造林を始めとする森林整備が継続的に行われるためには、林業経営が成り立つことが必要であり、森林の集積・集約化や新技術も活用した林業の省力化・生産性向上、林業従事者の育成・確保等に努め、望ましい林業構造を確立し、林業の持続的かつ健全な発展を図っていく必要がある(*56)。

また、林業生産活動によって供給される木材(原木)を建築物等において利用可能とするためには、原木を加工して様々な木材製品を製造する木材産業が不可欠であり、森林資源の循環利用になくてはならない存在である。川上から川下までの相互利益の拡大に向けて、国産材製品の加工・流通の効率化、地域の実情に応じた合理的な木材サプライチェーンの構築等に努め、国産材製品の安定的な供給体制を構築していく必要がある(*57)。その際、令和8(2026)年3月に林野庁が作成した「持続可能性に配慮した木材供給・利用に係るガイダンス」も踏まえ、森林・林業・木材産業等の関係者が、持続可能な木材の供給・利用に向け、それぞれの役割を果たしながら相互に連携して取り組んでいくことが重要である。


(*56)林業の省力化・生産性向上や林業従事者の育成・確保については、第2章第1節(3)-(4)109-128ページを参照。

(*57)国産材製品の加工・流通の効率化については、第3章第3節(2)180-186ページを参照。



(国民理解の醸成)

森林資源の循環利用の確立に向けた各般の施策を推進していくためには、関係者が一体となって努力していくだけでなく、幅広い国民各界各層の理解を得ていく必要がある。

特に、国民の多くは木材製品の消費者として、森林資源の循環利用に関わる。内閣府が令和5(2023)年に実施した「森林と生活に関する世論調査」によると、様々な建築物や製品に木材を利用していくべきと考えている国民は約9割に上り、木材利用に関する理解は進みつつある一方で、森林破壊につながる印象があるなどの理由から木材を利用すべきでないと考えている国民がいることも事実である。このため、木材を利用することが、森林資源の循環利用のサイクルを通じて、森林の有する多面的機能の持続的な発揮につながることなど、その公益的な意義について積極的に発信していくことが必要である。また、子供の頃から木材を利用する意義を学び、日常生活において木材を意識して使う機会を増やしていくことが重要であることから、引き続き「木づかい運動」や「木育(もくいく)」(*58)等に取り組んでいく。同時に、森林資源や木材利用の持続性の確保のため、消費者が適正に取引されている木材を選択できることが重要であることから、国や地方公共団体、森林・林業・木材産業等の関係者が一体となって、そのための環境を整えていくことが求められる。

今後も、森林や木材に対する社会の期待に応えられるよう、幅広い多様な主体の理解・参画も得ながら、森林・林業・木材産業の好循環を生み出し、森林資源の循環利用を確立していく(資料 特-38)。

資料 特-38 森林資源の循環利用の推進

(*58)「木づかい運動」や「木育」など消費者等に対する木材利用の普及については、第3章第2節(4)173-176ページを参照。


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