このページの本文へ移動

林野庁

メニュー

第1部 第1章 第4節 国際的な取組の推進(3)

(3)我が国の国際協力

(我が国の取組)

我が国は、JICAを通じて、専門家派遣、研修員受入れ及び機材供与を効果的に組み合わせた技術協力、研修等を実施している(資料1-37)。令和7(2025)年度にはバングラデシュでの沿岸域における気候変動対策に関し、新たに森林・林業分野の技術協力プロジェクトを開始した。

また、JICAを通じて開発資金の低利かつ長期の貸付け(円借款)を行う有償資金協力による造林、人材の育成等の活動支援や、供与国に返済義務を課さない無償資金協力による森林管理のための機材整備等を行っている。

さらに、林野庁は補助事業を通じて開発途上国における森林減少の抑止や持続可能な森林経営等の取組を支援するとともに、生態系を活用した防災・減災機能の強化に資する技術開発等を推進している。

(国際機関を通じた取組)

国際熱帯木材機関(ITTO)は、熱帯林の持続可能な経営の促進と熱帯木材貿易の発展を目的として1986年に設立された国際機関であり、横浜市に本部を置いている。加盟国は、生産国と消費国の計75か国及びEUである。2025年10月時点で、我が国は、ITTOへの資金拠出を通じて、計21件の生産国でのプロジェクト等を支援している。

2025年10月に開催された第61回国際熱帯木材理事会(ITTC61)では、ITTOの設置根拠となる「2006年の国際熱帯木材協定」の再交渉に向けて検討すべき、次期協定において対象とする物品やサービスの範囲などの要素について加盟国間で更なる分析を進めることなどが決定された。我が国は、ベトナムにおける持続可能なアカシア人工林経営への転換、トーゴにおける保護林の地域コミュニティの生活と両立した保全活動等への支援を表明した。これらのプロジェクト等を通じ、熱帯林の保全と脱炭素社会の実現、持続可能な木材サプライチェーンの構築等を推進することとしている(*105)。

さらに、我が国はFAOへの拠出を通じ、森林保全と農業を両立し森林減少・劣化の抑止に有効なアプローチを普及させるプロジェクトを支援している。2025年8月に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)では、林野庁、FAO、ITTOが協力し、同プロジェクト成果の活用事例の報告を含む、アフリカにおける分野横断的な連携を促進するセミナーを開催した。同年11月の第31回FAOアジア太平洋林業委員会(APFC31)では、「持続可能な農業食料システムの構築に貢献する健全な森林の育成」に係る活動の一つとして同プロジェクトが取り上げられ、各国の政策担当者が、最も効果的な森林減少・劣化抑止策を作成できるように支援するツールについて紹介された(事例1-10)。

事例1-10 FAOを通じた森林減少の抑止に向けたプロジェクトの推進

世界の森林面積が依然として減少する中、特にアフリカや南米では、農業に起因する森林減少・劣化が進行しており、気候変動対策や生物多様性保全、SDGsの達成に向けて、森林と農業の調和を図ることが重要となっている。このため、林野庁ではFAOと共に、2023年10月に、世界的な森林減少・劣化の抑止を目的とする新たなプロジェクトを開始した。

本プロジェクトでは、各国の政策担当者が自国の状況に応じて、最も効果的な森林減少・劣化の抑止策を作成できるように支援する「ソリューションズ・ツリー」の開発を行った。同ツールの開発に当たっては、各国で実施されている方策の分析及び費用対効果の検証を行っており、ツール上で森林減少・劣化の抑止実現のために必要な社会モデルを選択すると、それに応じた効果的な政策や実施手段が提示される。具体的には、「土地利用の管理体制強化」、「持続可能な生産モデルの構築」、「責任ある方法で生産された農産物の消費と貿易の拡大」といったモデルから優先すべき一つを選択すると、実現に必要な解決策や対策が列挙される。政策担当者が、これらに対し、自国の状況や優先順位を踏まえた検討を行い、具体的な森林減少・劣化の抑止策を設計することができる。

また、本プロジェクトでは、アジア・太平洋、アフリカ、南米の各地域で同ツールの普及のためのワークショップを開催しており、こうした取組を通じて、持続可能な森林経営と農業の両立に当たっての効果的な方策が展開され、世界の森林減少・劣化の抑止に貢献することが期待される。



(*105)林野庁ホームページ「第61回国際熱帯木材理事会の結果について」



(JCMを活用した森林分野プロジェクトの推進)

我が国では、グローバルサウス等のパートナー国において、政府や日本の企業が技術や資金の面で協力して対策を実行し、得られる温室効果ガス排出削減・吸収の効果を、両国の貢献度合いに応じて配分するJCMを展開している。林野庁では、日本の企業等がJCMを活用して森林分野のプロジェクトを実施するために必要となる、森林分野のガイドライン類の作成及びパートナー国との調整に取り組んでいる。

これまで、2018年にカンボジアと、2019年にラオスとの間で、REDD+を対象にしたガイドライン類が承認され、これらに基づき、日本の企業等が現地でREDD+プロジェクトを実施してきた。

林野庁は、2024年のCOP29におけるパリ協定第6条の詳細な運用ルールを反映し、かつ植林を活動対象に加えた森林分野ガイドラインの改訂に取り組んできており、2025年5月に農林水産省が策定した「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ」(ミドリ・インフィニティ)においても、森林分野におけるJCMの案件形成に向けてパートナー国との協議を推進することとしている。同年11月には、フィリピンとの間で、改訂された森林分野ガイドライン類が初めて承認された。2026年3月には、カンボジアとの間でも改訂された森林分野ガイドライン類が承認された。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219