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林野庁

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第1部 第1章 第4節 国際的な取組の推進(4)

(4)我が国の国際協力

(我が国の取組)

我が国は、JICAを通じて、専門家派遣、研修員受入れ及び機材供与を効果的に組み合わせた技術協力や、研修等を実施している(資料1-36)。令和4(2022)年度にはネパールでの気候変動適応策やパプアニューギニアでの森林伐採のモニタリングシステム改善に関し、新たに森林・林業分野の技術協力プロジェクトを開始した。

また、JICAを通じて開発資金の低利かつ長期の貸付け(円借款)を行う有償資金協力による造林、人材の育成等の活動支援や、供与国に返済義務を課さない無償資金協力による森林管理のための機材整備等を行っている。


(国際機関を通じた取組)

国際熱帯木材機関(ITTO(*94))は、熱帯林の持続可能な経営の促進と熱帯木材貿易の発展を目的として1986年に設立された国際機関であり、横浜市に本部を置いている。加盟国は、生産国と消費国の計74か国及びEUである。我が国は、ITTOへの資金拠出を通じて、生産国のプロジェクトを支援している。

令和4(2022)年11月に開催された第58回国際熱帯木材理事会(ITTC58)では、ITTOの設置根拠となる「2006年の国際熱帯⽊材協定」の2027年以降の再延長等の必要性が議論された。我が国は、2021年からのベトナムにおける「持続可能な木材消費の促進」プロジェクトに続き、タイ及びインドネシアにおけるプロジェクトの展開を表明した。これらのプロジェクトは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた経済の再生と脱炭素社会の実現に貢献するため、我が国における木材利用拡大の経験を活用しつつ、東南アジアにおける木材利用の拡大を図ることを目的としている(*95)。

さらに、我が国はFAOの信託基金によるプロジェクトへの拠出により、開発途上国における山地流域の強靱化のための森林の保全・利活用方策の普及に向けた取組等を支援している(事例1-5)。

事例1-5 国際連合食糧農業機関(FAO)を通じた国際的山地流域強靭(じん)化の取組

気候変動の影響により、集中豪雨や異常気象等に起因する災害等が世界的に増加する中、農林水産省からFAO本部への資金拠出及び職員派遣により「国際的山地流域強靭(じん)化プロジェクト」が2020年に開始された。

フィリピンとペルーをパイロット国とし、山地流域の災害リスクの評価や森林整備・保全等によるリスク管理のための課題の調査分析、教材開発や研修等の開催等を支援するとともに、その結果を世界的に普及させるための取組を行っている。

現在、地方自治体レベルでの災害リスクの評価が完了し、現地で研修や流域管理計画の策定が行われている。今後は、森林を活用した防災・減災ガイドラインの策定や、防災・減災と同時に生計向上に資するアグロフォレストリーの能力向上を支援し、国際会議や成果物の公表を通じて世界的に普及していくことを検討している。


(*94)ITTOによる「違法伐採対策」については、第3章第1節(4)123-124ページ参照。

(*95)林野庁ホームページ「第58回国際熱帯木材理事会の結果について」



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219