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林野庁

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第1部 特集1 第2節 国産材に係る輸入材からの転換と安定供給に向けた取組

令和3(2021)年の木材不足・価格高騰により、減少する輸入材の代替として国産材の需要が高まった。国内の製材工場等は稼働率を上げて対応してきたものの、乾燥施設等の処理能力や労働力等がボトルネックとなり短期的な需要の増加に十分に対応することができず、中小工務店を中心とした木造住宅供給事業者等からは、木材の入手が難しいという声も聞かれた。また、木材需要等が増加する中で、木質バイオマス発電所が十分に燃料材を集められないという声も聞かれた(*19)。

林野庁は、木材不足・価格高騰への緊急の対応として、川上から川下までの関係者による需給情報の共有を促進するため、令和3(2021)年4月に国産材の安定供給体制の構築に向けた中央需給情報連絡協議会を開催した。同年9月、令和4(2022)年1月にも開催し、全国的な需給情報の共有を行うとともに、政府の関連支援策や不足する輸入材製品から国産材製品への転換事例の周知等を行った。また、地方レベルにおいて需給情報を共有するため、全国7か所で3回ずつ地区別需給情報連絡協議会を開催した。

また、木材需給、木材価格に関する統計データや林野庁施策等を毎月定期的に広報するため、令和3(2021)年10月から林産物に関するマンスリーレポート「モクレポ」を林野庁ホームページで公表している。

各森林管理局においては、原木需要の増加に対応するため、国有林材の供給に当たり、地域の需給動向を踏まえつつ立木販売物件の前倒し販売等を実施した。

さらに、林野庁では、国産材の供給力を強化するため、令和3(2021)年度補正予算において、乾燥施設整備による木材製品の供給力強化や原木の安定的な供給に向けた間伐・路網整備の更なる推進等に必要な措置を講じた。

輸入材の供給リスクが顕在化したことも踏まえ、川上から川下までの連携強化や製材工場等の供給力の向上等、より一層の国産材の安定供給・安定需要の確保に取り組むことを通じて、海外市場の影響を受けにくい木材需給構造を構築することが重要となっている。

なお、ロシアによるウクライナ侵略を巡る情勢から、今後、ロシアからの木材輸入に支障が生じる可能性がある。令和4(2022)年3月に、ロシアは、我が国を含む「非友好国」に対して、同年末までチップ、丸太、単板の輸出を禁止することを発表した(*20)。また、今後、船舶の確保や、経済制裁に伴ってロシアへの送金が困難になるおそれもある。このように木材の需給や流通の先行きは不透明であるが、ロシア産の製材・構造用集成材は、我が国の製材用材消費量の5.7%、ロシア産の単板は我が国の合板用材消費量の2.3%を占めていることから(*21)、国内で影響を受ける事業者等の状況を注視するとともに、対応策についても検討が必要な状況となっている。


(*19)令和3(2021)年11月28日付け毎日新聞地方版26ページ

(*20)2022年3月9日 ロシア政令第313号

(*21)林野庁「令和2(2020)年木材需給表」、財務省「令和2年分貿易統計」より試算。消費量は丸太換算材積。


挿絵1

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