このページの本文へ移動

林野庁

メニュー

第1部 第1章 第4節 国際的な取組の推進(4)

(4)我が国の国際協力

(我が国の取組)

令和元(2019)年の世界の森林分野の政府開発援助による拠出金13億6千万ドルのうち、我が国は3千3百万ドルを拠出しており、ドイツ、フランス、英国に次ぐ世界第4位となっている(*121)。

我が国は、JICAを通じて、専門家派遣、研修員受入れ及び機材供与を効果的に組み合わせた技術協力や、研修等を実施している(資料1-30)。令和3(2021)年度にはベトナムでの持続的な森林経営及びケニアでの気候変動レジリエンスに関し、新たに森林・林業分野の技術協力プロジェクトを開始した。

また、JICAを通じて開発資金の低利かつ長期の貸付け(円借款)を行う「有償資金協力」による造林や人材の育成等を目的とするプロジェクトの支援や、供与国に返済義務を課さない「無償資金協力」による森林管理のための機材整備等を行っている。


(*121)OECD Stat、拠出金額は約束額ベース。



(国際機関を通じた取組)

国際熱帯木材機関(ITTO(*122))は、熱帯林の持続可能な経営の促進と熱帯木材貿易の発展を目的として1986年に設立された国際機関であり、横浜市に本部を置いている。加盟国は、生産国と消費国の計73か国及びEUである。我が国は、ITTOへの資金拠出を通じて、生産国のプロジェクトを支援している(事例1-6)。

令和3(2021)年11~12月に開催された第57回国際熱帯木材理事会(ITTC57)では、ITTOの設置根拠となる「2006年の国際熱帯⽊材協定」の有効期間が延⻑されたほか、地球規模課題解決におけるITTOの重要性の高まりを踏まえた、新しい「戦略的行動計画」が策定された。また、新事務局⻑としてシャーム・サックル⽒(マレーシア出⾝)が選出された。我が国政府は、ベトナムにおける「持続可能な木材消費の促進」プロジェクトへの拠出を表明した。同プロジェクトについては、これまで同国の木材産業が輸出に依存してきたことから、我が国における木材利用拡大の経験を活用しつつ、同国内における木材利用の拡大を図ることを目的としている(*123)。

さらに、我が国はFAOの信託基金によるプロジェクトへの拠出により、開発途上国における山地の地域強靱(じん)化のための森林の保全・利活用方策の普及に向けた取組等を支援している。

事例1-6 国際熱帯木材機関(ITTO)への拠出によるインドネシアでの持続可能な森林経営プロジェクト

センパカ種は、インドネシア・北スラウェシ州における伝統的家屋の原料であり、地域のシンボルでもある。近年、需要が高まる一方、天然林からの供給の減少、地域住民の造林知識の不足等により、持続可能な利用が課題となっていた。

このため、林野庁は、平成28(2016)年から令和3(2021)年にかけて、ITTOへの資金拠出を通じてインドネシア政府が行う住民参加によるセンパカ種造林プロジェクトを支援した。

プロジェクトでは、地域住民を対象とした造林技術の改善、地方行政を対象とした年間許容伐採量の算出と管理計画の策定支援等が実施された。これにより地域住民による造林実施体制の整備や造林への理解醸成、地方行政による資源管理能力の向上につながった。

さらに、地域住民と地方行政の連携体制が確立されたことから、プロジェクト終了後も、センパカ種の保全と造林が推進されることが期待される。


(*122)「The International Tropical Timber Organization」の略。ITTOによる「違法伐採対策」については、第3章第1節(4)136-137ページ参照。

(*123)林野庁ホームページ「第57回国際熱帯木材理事会(令和3年11~12月、オンライン)の結果について」


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219