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第2章 林業と山村(中山間地域)

1. 林業の動向

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(1)林業生産の動向

➢ 2018年の林業産出額は、前年比3%増の5,020億円で、2000年以来、18年ぶりに5,000億円台を回復
 木材生産の占める割合は2002年以降は5割程度で推移


(2)林業経営の動向

➢ 「2015年農林業センサス」によると、林家83万戸のうち保有山林面積が10ha未満の林家が88%を占め、小規模・零細な所有構造

➢ 林業経営体による素材生産量及び労働生産性は上昇傾向

➢ 森林組合は、1組合当たりの総事業費取扱高が増加する一方で、総事業費が平均の4分の1に満たない小規模な組合が2割存在
 林業従事者も含めた山元への一層の利益還元に向けて、森林組合の経営基盤の強化が必要


(3)林業労働力の動向

➢ 林業従事者数は減少傾向であり、林業労働力の確保・育成や所得の向上、労働安全の確保等が課題

➢ 「緑の雇用」事業等による新規就業者の確保・育成、林業経営体の収益性の改善や高度技能者の育成等による林業労働者のキャリア形成を通じた所得向上の取組を推進

➢ また、労働安全の確保に向け、林業経営体に対して現場巡回指導や労働安全衛生改善対策セミナーを実施

➢ 林業への就業を目指す若手技術者の教育・研修機関を整備する動きが全国で活発化


(4)林業経営の効率化に向けた取組

施業の集約化等

➢ 効率的な作業システムにより生産性向上を図るためには、複数の所有者の森林を取りまとめ、路網整備や間伐等の森林施業を一体的に実施する「施業の集約化」が必要

➢ 提案型集約化施業を担う「森林施業プランナー」の育成、森林経営計画制度の運用等を通じて、施業の集約化を推進

➢ 所有者が不明な森林、境界が不明確な森林の存在が施業集約化の課題

➢ 所有者や境界の情報等を一元的に取りまとめ、その一部を林業事業体に公表する林地台帳制度が、2019年4月から本格運用開始

➢ 2019年4月からスタートした森林経営管理制度では、所有者が不明な森林等に関する特例を措置

林地台帳を活用した森林施業の集約化のイメージ

効率的な作業システムの普及

➢ 森林資源が充実した区域等において、林道、林業専用道、森林作業道をバランスよく組み合わせた路網整備の推進が必要

➢ 高性能林業機械を活用した効率的な作業システムを普及


造林の低コスト化・省力化に向けた取組

➢ 造林コストの縮減のため、「伐採と造林の一貫作業システム」の導入等を推進

➢ 成長等に優れた優良品種(エリートツリー)の開発が行われるとともに、下刈りの省力化と組み合わせた実証的取組も実施

➢ 早生樹は、伐期が短く投資の回収が早まるなど再造林樹種としての可能性
 早生樹の施業技術の開発や利用に向けた実証的取組が増加

➢ 「造林」の課題解決をテーマとした林業人材と異分野人材による課題解決型事業開発プログラムを実施

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事例 林業人材と異分野人材のオープンイノベーションに期待

受賞した事業の概要一覧

➢ 重労働、高コストといった造林の課題解決を目的として、2019年度、林野庁は、林業現場を知る林業人材と独自の技術やノウハウを持つ異分野人材の協業により、課題解決につながるビジネスを創出する課題解決型事業共創プログラム「Sustainable Forest Action」を実施。

➢ 69名14チームが、約2か月間にわたり、様々な事業構想の検討や試作品の制作等を行い、12月7日の最終審査会で成果を発表


先端技術の活用による林業経営の効率化の推進

ドローン画像解析により単木ごとの資源情報を把握

➢ ICTやAI等の先端技術を活用した林業の低コスト・省力化など、「林業イノベーション」の実現に向けた取組が必要

➢ ICTを活用し、森林資源情報の把握、木材の生産・流通の各段階における作業の効率化、安全性の向上を図る取組等を推進

➢ 航空レーザ計測による森林資源情報や地形データの活用、路網設計支援ソフトの活用等による作業の省力化など、各地で実践的取組が進展

➢ 安全性の向上や省力化等を目指し、林業作業の自動化等に向けた機械開発を推進

2. 特用林産物の動向

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(1)きのこ類の動向

➢ 特用林産物は林業産出額の約5割を占め、地域経済の活性化や雇用の確保に貢献

➢ 特用林産物の生産額の8割以上がきのこ類で、その生産量については近年はほぼ横ばい

➢ きのこ生産者数は減少傾向

➢ きのこ類の消費拡大・安定供給等に向けた取組を支援


(2)漆、木炭、竹、薪等の特用林産物の動向

➢ 国産漆の生産量は、国宝・重要文化財建造物の保存修理に原則として国産漆を使用する方針となったことを背景に、近年増加傾向で推移

➢ 木炭の生産量は長期的に減少傾向で推移

➢ 竹材(竹紙等の原料)の生産量は2010年を底に増加傾向に転じ、2018年は114万束(3.4万トン)

➢ 薪の生産量は近年は5万m3(丸太換算)前後で推移


3. 山村(中山間地域)の動向

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(1)山村の現状

➢ 山村は、住民が林業を営む場であり、森林の多面的機能の発揮に重要な役割
 林業は、雇用の確保等を通じて山村の振興に貢献しており、山村の活性化のためにも林業の成長産業化が必要

➢ 「山村振興法」に基づく振興山村は国土面積の約5割、林野面積の約6割を占めるが、過疎化・高齢化が進行

➢ 過疎地域等では、空き家の増加や耕作放棄地の増大等の問題が発生

➢ 一方、山村の豊富な森林・水資源、景観、文化等に対しては、都市住民や外国人旅行客から多くの関心

➢ 農地として再生利用が困難な農地(荒廃農地)に、センダン等の早生樹を植えることで、森林として活用する取組も

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事例 荒廃農地にセンダンを植える取組

荒廃農地に植林されたセンダン(熊本県)

➢ これまでセンダンの植栽に関する研究を進めてきた熊本県では、安定したセンダン材の供給に向けて、荒廃農地にセンダンを植える取組を支援

➢ 佐賀県では、2019年10月、佐賀県杵藤きとう農林事務所が中心となり太良町たらちょうの荒廃農地にセンダン苗木70本を試験的に植林
 このような取組が中山間地域の課題解決及び林業振興につながることを期待


(2)山村の活性化

森の中で横になり深い呼吸を感じる森林浴の様子

➢ 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2019年12月閣議決定)において、地方創生の基本目標達成のための施策の一つとして、林業の成長産業化が位置付けられ、森林資源の循環利用を図りつつ、成長産業化を実現することが必要

➢ 里山林の保全管理を進めるためには、地域住民等が森林資源を活用しながら持続的に里山林と関わる仕組みが必要
 地域住民等による里山林の保全管理や森林資源利用等の取組を支援

➢ 都市との交流を促進するため、国有林の「レクリエーションの森」等の森林空間を観光資源として活用する取組や、環境教育、体験活動等の場として総合的に利用する取組を推進

➢ 教育、健康、観光・レジャーの場として、森林空間を利用しようとする新たな動きや、枝条等の未利用資源活用による「香ビジネス」創出の可能性が拡大

➢ こうした流れを受け、多様な分野で森林空間を活用して、山村地域における新たな雇用と収入機会を生み出す「森林サービス産業」や、森林の未利用資源を利用し植物精油としての活用を図る「香ビジネス」の創出・推進に向けた課題解決方策を検討する「森林サービス産業」検討委員会を設置

➢ 「森林サービス産業」に関心のある様々なセクターの者が集い、意見交換や情報共有を図る「Forest Style ネットワーク」を2019年11月に立ち上げ



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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