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林野庁

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第1部 第3章 第2節 木材利用の動向(4)

(4)消費者等に対する木材利用の普及

(「木づかい運動」を展開)

林野庁は、平成17(2005)年度から、広く一般消費者を対象に木材利用の意義を広め、木材利用を拡大していくための国民運動として、「木づかい運動」を展開している。同運動では、パンフレット等による広報活動や、国産材を使用した製品等に添付し木材利用をPRする「木づかいサイクルマーク」の普及活動等を行っている(*134)(資料3-34)。「木づかいサイクルマーク」は、令和元(2019)年3月末現在、401の企業や団体で使用されている。

資料3-34 木づかいサイクルマーク

また、毎年10月の「木づかい推進月間」を中心として、シンポジウムの開催や広報誌等を活用した普及啓発活動を行っており、各都道府県においても地方公共団体や民間団体により様々なイベントが開催されている。

さらに、林野庁では、令和元(2019)年度には、環境にやさしい「木のストロー」制作のワークショップを様々なイベントに出展するなど、SDGsへの貢献や、人や社会・環境に配慮した消費行動「倫理的消費(エシカル消費)」の考え方を取り入れた普及啓発活動を実施している。

平成27(2015)年度から、新たな分野における木材利用の普及や消費者の木材利用への関心を高めることを目的として開始された「ウッドデザイン賞」は、木の良さや価値を再発見させる建築物、木製品、又は木材を利用して地域の活性化につなげている取組等について、特に優れたものを消費者目線で評価・表彰するもので、5回目となる令和元(2019)年度は、197点が同賞を受賞した。展示会等における受賞作品の展示、ウェブサイトでの情報発信やコンセプトブックの作成・配布等により同賞の周知が図られている。また、林業・木材産業関係者とデザインや異業種の事業者等の、同賞をきっかけとした新たな連携もみられており、木材利用の拡大につながることが期待されている。

また、平成30(2018)年度から、インバウンドの増加等を背景に、国内外への更なる木材利用のPRを図るため、日本が培ってきた「木の文化」を活かした「木のおもてなし」を創造・発信する取組を進めている(事例3-5)。地域材の利用促進だけでなく、観光やまちづくりにも活用できる、日本各地に存在する木の文化を再整理・再編集した「木の文化・木のおもてなしガイドブック」を制作した。

木材利用推進中央協議会では、木材利用の一層の推進を図る目的で、木造施設や内装を木質化した建築物等を対象に「木材利用優良施設コンクール」を毎年開催し、その整備主体等(施主、設計者、施工者)に農林水産大臣賞等を授与してきたが、平成30(2018)年度には新たに内閣総理大臣賞が、令和元(2019)年度には新たに国土交通大臣賞及び環境大臣賞が創設され、木造建築物等の建設がより一層奨励されることとなった。

事例3-5 「木の文化」を活かした「木のおもてなし」の取組の推進

インバウンドの増加等を背景に、国内外への更なる木材利用の普及を図るため、平成30(2018)年度から、日本が培ってきた「木の文化」とそれを活かした多様な「木のおもてなし」について、主に来日観光客等の視点から再評価し、新たな形の「木の文化」と「木のおもてなし」を創造・発信する取組を進めている。

平成30(2018)年度には、全国各地の木の文化の事例を収集し紹介した「木の文化・木のおもてなしガイドブック」を制作し、地域材の価値を高めるだけでなく、観光やまちづくりに関する事業やサービス等への活用を目指し、地方公共団体や旅行・観光事業者等にガイドブックの普及を行った。

また、令和元(2019)年度には、ガイドブックの趣旨に沿う形で、4地域(秋田県大館おおだて市、岐阜県飛騨ひだ市・中津川なかつがわ加子母かしも、京都府)にて、地域内の林業・木材産業関係者と観光・まちづくり関係者等が連携し、地域内に集積された「木の文化」を再整理・編集し、「木のおもてなし」を試行体験するモデル的なワークショップやツアー等を実施した。例えば大館市では、大館北秋田地域林業成長産業化協議会と一般社団法人秋田犬ツーリズムが連携し、天然秋田杉の森林やそれを活かした木造建築物の見学、伝統的工芸品の大館曲げわっぱの製作体験等を行う試行的なツアーを開催した。



(*134)パンフレット(平成29(2017)年にリニューアル)の内容など、「木づかい運動」に関する情報は、林野庁ホームページ「木づかい運動 ~木の香りで心も体もリラックス~」を参照。



(「木育もくいく」の取組の広がり)

木育もくいく(*135)」の取組は全国で広がっており、木のおもちゃに触れる体験や木工ワークショップ等を通じた木育もくいく活動や、それらを支える指導者の養成のほか、関係者間の情報共有やネットワーク構築等を促すイベントの開催など、様々な活動が行政、木材関連団体、NPO、企業等の幅広い連携により実施されている。

林野庁においても、子供から大人までを対象に、木材や木製品との触れ合いを通じて木材への親しみや木の文化への理解を深めて、木材の良さや利用の意義を学んでもらうという観点から、木育もくいくの推進に資する各種活動への支援を行っている。これらの支援により、木材に関する授業と森林での間伐体験や木工体験を組み合わせた小中学生向けの「木育もくいくプログラム」が開発され、平成30(2018)年度までに、延べ308校で実施されている。また、地域における木育もくいく推進のための活動である木育もくいく円卓会議が毎年各地で開催され、木育もくいくの普及や地域での具体的な取組の促進につながっている。このほか、例年1回開催されている「木育もくいくサミット」は令和2(2020)年2月に第7回目を、「木育もくいく森育楽会もりいくがっかい」は令和元(2019)年11月に第5回目を迎え、木育もくいくの最新の取組に関する意見交換等が行われており、関係者間の情報共有やネットワーク構築につながっている(事例3-6)。また、実践的な木育もくいく活動の一つとして、木工体験等のきっかけの提供により、木材利用の意義に対する理解を促す取組等も行われている。例えば、日本木材青壮年団体連合会等は、児童・生徒を対象とする木工工作のコンクールを行っており、令和元(2019)年度には約2万7,700点の応募があった。

事例3-6 木育もくいく関係者間の情報共有やネットワークづくりの推進

令和2(2020)年2月、第7回目となる「木育サミットin新木場(注)」が東京都江東区の木材会館で開かれ、全国の行政、森林・林業・木材産業関係者、保育関係者等約400名が参加した。

木育サミットは、木育の活動を多くの方に知っていただく場として、平成25(2013)年度から開催されており、今回は木材の消費地としての役割が期待される東京において、木育の取組が環境や社会にどう貢献するのかを考えるための様々な取組事例が紹介された。

基調シンポジウムでは、令和3(2021)年に「檜原ひのはら森のおもちゃ美術館」がオープンする東京都檜原村ひのはらむらのトイビレッジ構想の実現に向け、森での体験、おもちゃづくり及び美術館での木とのふれあいという「林業×木工業×観光業」を三位一体とする取組を紹介した。

また、分科会の一つでは「SDGsに企業の木育がどのように貢献できるのか」と題して、日本マクドナルド株式会社からは、国際認証マークにより証明された持続可能な食材や紙製品の利用等による環境対策について、株式会社GRiP’Sからは、携帯電話販売店舗への木育広場の導入が、顧客及び従業員に及ぼす好影響に加え、地域の活性化にもつながる可能性等について事例紹介があった。

このような機会を契機として、関係者間の情報共有やネットワーク形成のほか、地域や企業・団体の垣根を越えた連携につながることが期待される。


注:認定NPO法人 芸術と遊び創造協会/東京おもちゃ美術館 主催



(*135)「木育」については、多様な主体が様々な目的を持ち、活動を行っている。木育に関する情報は「木育ラボ」ホームページ、「木育.jp」ホームページを参照。



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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