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林野庁

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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(3)

(3)木材価格の動向

(国産材素材価格はほぼ横ばい)

国産材の素材(丸太)価格(*37)の推移を、国内企業物価指数(*38)(総平均、2015年基準)と比較してみると、素材価格は昭和55(1980)年までは物価全体と同様に上昇した。その後、国内企業物価指数は緩やかに低下した後、この20年ほどは物価全体が横ばいで推移する中、国産材の素材価格は下落傾向が続き、近年はほぼ横ばいないしやや高まりをみせて推移している(資料3-12)。

平成23(2011)年から平成24(2012)年にかけては、円高による輸入材の価格競争力の高まりにより国産材需要が低下し、特にヒノキの素材価格が下落した。平成25(2013)年から平成26(2014)年にかけては、好調な住宅向けの需要により国産材の製材用素材価格は上昇したものの、平成27(2015)年には住宅需要の伸び悩み等に伴い、スギ及びヒノキの素材価格が下落した。平成29(2017)年以降は堅調な建築需要等によりスギ及びヒノキの素材価格は上昇傾向にある。

令和元(2019)年は、年明け以降穏やかな天候が続き、夏までは出材が順調であったため、素材価格は前年より低位で推移していたが、夏以降は大雨や台風被害により山からの出材が減少したため上昇し、スギは13,500円/m3(前年比100円/m3安)、ヒノキは18,100円/m3(前年比300円/m3安)、カラマツは12,400円/m3(前年比600円/m3高)となった(資料3-12)。

輸入丸太の価格は、為替レートや生産国の動向等により、大きく変動する。米材べいざい(*39)丸太の価格は、原油価格の上昇や円安の影響により、平成17(2005)年頃から上昇していたが、その後、リーマンショック及び為替変動等の影響を受けて下落と上昇を繰り返した。平成30(2018)年は産地需要等の高まりにより価格が高騰したが、令和元(2019)年は、べいマツ(*40)丸太の価格は、産地である米国やカナダの安定した天候を背景に伐採が順調に進み、日本向け輸出価格は下落基調で推移したため、25,600円/m3(前年比14,600円/m3安)と下落した(*41)。また、べいツガ(*42)丸太は26,900円/m3(前年比100円/m3安)となった。北洋材丸太の価格は、原油価格の上昇及びロシアによる丸太輸出税の引上げにより、平成19(2007)年に急激に上昇した。令和元(2019)年の北洋エゾマツ(*43)丸太の価格は、26,400円/m3(前年比100円/m3高)となった。


(*37)製材工場着の価格。

(*38)企業物価指数は、日本銀行が作成している物価指数で、企業間で取引される財を対象として、商品(財)の価格を継続的に調査し、現時点の価格を、基準時点の価格を100として、指数化したもの。国内企業物価指数は国内で生産した国内需要家向けの財を対象とした物価指数で、国内市場における財の価格や需要の動向を把握できるほか、名目金額から価格要因を除去して実質値を算出する際のデフレーターとしての機能も有している。

(*39)米国及びカナダから輸入される木材で、主要樹種は米マツである。

(*40)ダグラス・ファー(マツ科トガサワラ属)の通称。

(*41)令和元(2019)年の米マツ丸太の価格については、4月から一部の調査対象が変更となった。

(*42)ヘムロック(マツ科ツガ属)の通称。

(*43)ロシアから輸入されるエゾマツ(トウヒ属)の通称。



(国産材の製材品価格はほぼ横ばい)

令和元(2019)年の国産材の製材品価格(*44)は、スギ正角しょうかく(*45)(乾燥材)は66,700円/m3(前年比200円/m3高)、ヒノキ正角しょうかく(乾燥材)で85,900円/m3(300円/m3高)となった。

また、輸入材の製材品価格について、構造用材としてスギ正角しょうかく(乾燥材)と競合関係にあるホワイトウッド集成管柱くだばしら(*46)の価格でみると、円安の影響等により平成19(2007)年に急上昇したが、その後の円高の進行等により、平成20(2008)年から平成21(2009)年にかけて下落した。平成26(2014)年には、円安の影響等により78,600円/m3(前年比6,000円/m3高)となり、その後はほぼ横ばいで推移し、令和元(2019)年は75,600円/m3(前年同)となった。

針葉樹合板の価格は、為替変動等により平成20(2008)年から平成21(2009)年にかけて下落したが、その後は上昇傾向に転じた。平成29(2017)年以降はほぼ横ばいで推移し、令和元(2019)年の針葉樹合板の価格は1,290円/枚(前年同)であった(資料3-13)。


(*44)木材市売市場、木材センター及び木材問屋における店頭渡し価格。

(*45)横断面が正方形である製材。

(*46)輸入したホワイトウッド(ヨーロッパトウヒ)のラミナを国内の集成材工場で接着・加工した集成管柱。管柱とは、2階以上の建物で、桁等で中断されて、土台から軒桁まで通っていない柱。



(国産木材チップ価格はやや上昇)

国産の木材チップ(紙・パルプ用)の価格は、平成19(2007)年から平成21(2009)年にかけて、製材工場からのチップ原料の供給減少等により顕著な上昇傾向にあったが、平成22(2010)年以降は、チップ生産量の増加等により下落した。その後、平成26(2014)年以降は上昇傾向にあり、令和元(2019)年の国産針葉樹チップの価格は14,500円/トン(前年比500円/トン高)、国産広葉樹チップの価格は19,000円/トン(前年比300円/トン高)であった。国産の木材チップ(紙・パルプ用)の価格が上昇傾向にある要因として、木質バイオマス発電施設等が各地で稼動し、木材チップ全体の需要が増加していることが考えられる。

また、輸入された木材チップの価格は、中国での紙需要の増加を背景に上昇してきたが、リーマンショックを機に、平成21(2009)年から平成22(2010)年にかけて下落した。平成25(2013)年以降は円安の影響等もあって上昇傾向にあり、令和元(2019)年の輸入針葉樹チップの価格は22,700円/トン(前年比300円/トン高)、輸入広葉樹チップの価格は21,200円/トン(前年比1,300円/トン高)であった(資料3-14)。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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