このページの本文へ移動

林野庁

メニュー

第1部 第5章 第1節 復興に向けた森林・林業・木材産業の取組(1)

目標15
目標11
目標2

平成23(2011)年3月11日に発生した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」では、広い範囲で強い揺れが観測されるとともに、東北地方から関東地方にかけての太平洋沿岸に大規模な津波被害が発生した。被害は未曾有みぞうの規模となり、国は、東京電力福島第一原子力発電所の事故による災害を含めて、「東日本大震災」と呼称することとした(*1)。この東日本大震災の発生から10年が経過し、その間、森林・林業・木材産業の分野においても復旧・復興に向けた様々な取組が行われてきた。以下では、東日本大震災の概要を説明した上で、森林等の被害と復旧状況、海岸防災林の復旧・再生、復興への木材の活用と森林・林業の貢献について、10年間の取組を振り返るとともに、被災10年後の東日本地域の現状を記述する。


(*1)平成23(2011)年4月1日閣議了解。


(1)東日本大震災の発生

平成23(2011)年3月11日午後2時46分に、三陸沖を震源として、国内観測史上最大規模となるマグニチュード9.0の「平成23(2011)年東北地方太平洋沖地震」が発生した。この地震により、宮城県北部で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強等、広い範囲で強い揺れが観測された。また、太平洋沿岸を中心に高い津波が観測され、特に東北地方の太平洋沿岸地域では大規模な津波被害が発生した。その後も規模の大きな余震が発生したほか、同3月12日には、長野県北部を震源とする最大震度6強の地震が発生するなど、余震域の外側でも地震活動の高まりがみられた。さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、広い地域に立入制限が課された。

東日本大震災による人的被害は、令和3(2021)年3月10日時点で死者15,899人、行方不明者2,526人に上り、大正12(1923)年に発生した「関東大震災」の死者・行方不明者10.5万人に次いで、多くの尊い生命が失われた。また、地震・津波による建物の全壊・半壊は40万戸を超え、このうち全壊は約12万戸に及んだ(*2)。このため、地震発生直後には、最大約47万人が公民館・学校等の避難所に避難して、以後、長期の避難生活を余儀なくされた(*3)。

また、東北地方では約440万世帯、関東地方では約405万世帯が停電するなど、電力、水道、ガス等のインフラに多大な支障が生じた。さらに、太平洋岸沿いの製油所が被災したことにより、ガソリンや灯油等の石油製品の供給不足が発生した。交通網では、高速道路が多くの路線で通行止めとなり、鉄道でも、JR東日本、私鉄等多くの路線で運転が休止した。

森林・林業・木材産業においても、東日本大震災により大きな被害が発生した。青森県から高知県までの15県において、林地荒廃、林野火災、治山・林道施設や合板工場・製材工場といった産業用施設の被害等が発生し、津波により太平洋沿岸部の海岸防災林に被害が発生した。また、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、環境中に大量の放射性物質が放散され、福島県を中心に広い範囲の森林が汚染され、林業・木材産業に影響を及ぼした(*4)。


(*2)警察庁緊急災害警備本部「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の警察活動と被害状況」(令和3(2021)年3月10日付け)

(*3)内閣府「避難所生活者・避難所の推移(東日本大震災、阪神・淡路大震災及び中越地震の比較)」(平成23(2011)年)

(*4)東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する事項は、第2節253-267ページを参照。



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader