第1部 第4章 第2節 木材産業の動向(5)
(5)木材チップ製造業
(木材チップ生産量の動向)
木材チップは、木材を切削し、又は破砕した小片であり、原木や工場残材(*108)等を原料とする切削チップと、住宅等の解体材、梱包資材やパレットの廃材を原料とする破砕チップがある。製紙用(*109)には主に切削チップが、チップボイラー等の燃料及び木質ボードの原料には主に破砕チップが用いられる。
木材チップ工場における木材チップの生産量(*110)は、平成22(2010)年以降は増加傾向にあったが、平成26(2014)年に減少してからはほぼ横ばいで推移し、平成29(2017)年には前年比2%増の595万トンであった。原料別の生産量は、素材(原木)は前年比0.5%減の256万トン(生産量全体の43%)、工場残材は前年比11%増の219万トン(同37%)、林地残材は前年比46%増の13万トン(同2%)と大幅に増加しており、解体材・廃材は前年比9%減の109万トン(同18%)となっている(資料4-30)。
原料のうち、木材チップ用素材の入荷量(*111)は、平成29(2017)年には前年比3%減の466万m3であり、そのほとんどが国産材となっている。国産材のうち、針葉樹は265万m3(57%)、広葉樹は201万m3(43%)となっている。国産材の木材チップ用素材は、近年では針葉樹が増加し、広葉樹を上回っている(資料4-31)。
一方、木材チップの輸入量(*112)は、平成29(2017)年には1,217万トンであり、木材チップの消費量(*113)に占める輸入木材チップの割合は67%であった(*114)。木材チップの主な輸入先国(及び輸入量)は、ベトナム(273万トン)、オーストラリア(263万トン)、チリ(198万トン)等となっている(*115)。
(*108)製材業や合板製造業等において製品を製造した後に発生する端材等をいう。
(*109)紙は木材を、板紙は木材のほか古紙等を主原料として生産される。
(*110)農林水産省「木材統計」。重量は絶乾重量で、燃料用チップを除く。
(*111)農林水産省「木材統計」。燃料用チップを除く。
(*112)燃料用チップを除く。
(*113)木材チップ生産量595万トンと木材チップ輸入量1,217万トンの合計。
(*114)158ページ(及び資料4-9)における輸入木材チップの割合(69%)は、パルプ生産に利用された木材チップに占める割合であることから、ここでの割合とは一致しない。
(*115)財務省「貿易統計」
(木材チップ工場は減少、大規模化の傾向)
我が国の木材チップ工場数は、平成29(2017)年時点で、前年より29工場減の1,364工場となっている。このうち、製材工場又は合単板工場との兼営が1,004工場、木材チップ専門工場が360工場となっている。平成28(2016)年末における木材チップ工場の従業員総数は、前年比4%減の2,698人となっている(*116)。
一方、平成28(2016)年の販売金額規模別の木材チップ工場数をみると、5年前の平成23(2011)年と比べて、5,000万円未満の工場が約6割減の448工場であるのに対して、5,000万円以上の工場はほぼ倍増して945工場となっており、大規模化の傾向がみられる(*117)。
(*116)農林水産省「木材統計」
(*117)農林水産省「木材流通構造調査」
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