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林野庁

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第1部 第 IV 章 第2節 木材産業の動向(7)

(7)木材流通業

木材流通業者は、素材生産業者等から原木を集荷し、樹種や径級、長さ等によって仕分けた上で、個々の木材加工業者が必要とする規格や量に取りまとめて供給し、また、木材加工業者から木材製品を集荷し、個々の実需者のニーズに応じて供給する(*136)。


(*136)以下のデータは、農林水産省「平成28年木材流通構造調査」による。



(木材市売市場の動向)

木材市売市場には、原木市売市場(*137)と製品市売市場がある。木材市売市場は、生産者等から集荷した商品(原木又は製品)を保管し、買方を集めてセリ等にかけ、最高値を提示した買方に対して販売を行う(*138)。 販売後は商品の保管、買方への引渡し、代金決済等の一連の業務を行い、主として出荷者からの手数料により運営している。木材市売市場等(*139)の数は平成28(2016)年には413事業所となっている。

原木市売市場は、主に原木の産地に近いところに立地し、素材生産業者等(出荷者)によって運び込まれた原木を、樹種、長さ、径級、品質、直材・曲がり材等ごとに仕分けをし、土場に椪積して、セリ等により販売する。原木の仕分けに当たっては、自動選木機(*140)を使用する市場が増えている。平成28(2016)年における原木取扱量は1,068万m3で(*141)、その内訳は、国産材が1,056万m3(99%)、輸入材が12万m3(1%)となっている。

原木市売市場における国産材の主な入荷先は、素材生産業者(61%)、国・公共機関(17%)等となっているほか、自ら素材生産したもの(13%)の割合も上昇傾向である。国産材の主な販売先は製材工場(77%)、木材販売業者(15%)となっている。

また、原木市売市場は、国産材原木の流通において、素材生産業者の出荷先のうち43%、製材工場の入荷先のうち44%(うち7%は伐採現場等から直接入荷(*142))を占めている。

一方、製品市売市場は、主に木材製品の消費地に近いところに立地し、製材工場や木材販売業者(*143)(出荷者)によって運び込まれた製品や市場自らが集荷した製品を、出荷者ごと等に陳列してセリ等により販売する(事例 IV -6)。平成28(2016)年における製材品取扱量(*144)は207万m3で、その内訳は、国産材製品が182万m3(88%)、輸入材製品が26万m3(12%)となっている。

事例 IV -6 木材市売市場を中心とした認証材の需要拡大に向けた取組

株式会社仙台木材市場(せんだいもくざいいちば)(宮城県仙台市)は、消費地近くに立地し、製品や建材を中心に取り扱う木材市売市場である。同社は平成29(2017)年6月、宮城県内及び岩手県住田町(すみたちょう)・岩泉町(いわいずみちょう)の関係者とともに「三陸連携・FSC認証材流通拡大検討会議」を立ち上げ、森林認証を受けた森林から産出される木材及び木材製品(認証材)を安定的に「使い」「供給する」仕組みの構築に取り組んでいる。

同社はこれまでもプレカット加工等を積極的に手がけるなど、取り扱う国産材の付加価値の向上を図ってきたが、新たな取組により、需要者による認証材の選択的購入を可能とすることで、川上(森林認証取得事業体等)に付加価値を還元することを目指している。

具体的な取組としては、展示コーナーの常設や展示会への出品等による認証材の普及PRに加え、展示会に合わせた森林認証セミナー及び勉強会の開催のほか、市場関連企業によるCoC認証(認証材の分別管理体制に係る認証)取得に向けてマニュアル作成支援を含めた働きかけを行っている。

宮城県では、南三陸森林管理協議会(平成27(2015)年10月)、登米(とめ)市(平成28(2016)年12月)による森林認証の取得、木材加工・流通事業体によるCoC認証の取得や公共建築物への認証材の使用など、これまでも認証材の普及に向けた取組が行われてきたが、消費地に近接する木材市売市場が中心となって川下の意見も取り込むことで、マーケットインの発想を活かした認証材の需要拡大が期待される。


注:森林認証について詳しくは、第 II 章(75-77ページ)を参照。


消費地に近接する市場の様子
消費地に近接する市場の様子
市場内のFSC認証材展示コーナー
市場内のFSC認証材展示コーナー

(*137)森林組合が運営する場合は「共販所」という。

(*138)このほか、相対取引(売方と買方の直接交渉により価格を決める売買方法)により販売を行う場合もある。また、市場自らが商品を集荷し、販売を行う場合もある。

(*139)「木材センター」(二つ以上の売手(センター問屋)を同一の場所に集め、買手(木材販売業者等)を対象として相対取引により木材の売買を行わせる卸売機構)を含む。

(*140)原木の径級、曲がり等により自動で仕分けをする機械。

(*141)統計上は入荷量。「木材センター」の入荷量を含まない。

(*142)製材工場が、原木市売市場との間で事前に取り決めた素材の数量、造材方法等に基づき、市場の土場を経由せず、伐採現場や中間土場から直接入荷する場合。市場を経由する輸送や競り等に係るコストの削減が図られる。

(*143)製材工場等から製品を集荷し、それらをまとめて製品市売市場に出荷する木材販売業者(木材問屋)のことを、特に「市売問屋」という。

(*144)統計上は入荷量。「木材センター」の入荷量を含まない。



(木材販売業者の動向)

木材販売業者は、自ら木材(原木又は製品)を仕入れた上で、これを必要とする者(木材市売市場、木材加工業者、消費者・実需者)に対して販売を行う。木材販売業者には木材問屋や材木店・建材店があり、その数は平成28(2016)年には7,487事業所となっている。このうち木材問屋は、素材生産業者等から原木を仕入れ、製材工場等に販売し、また、製材工場等から製品を仕入れ、材木店・建材店等に販売する。材木店・建材店は、製品市売市場や木材問屋を通じて仕入れた製品を、工務店等の建築業者等に販売するほか、これらの実需者に対して木材製品に係る様々な情報等を直接提供する立場にある。

平成28(2016)年における木材販売業者の原木取扱量(*145)は1,452万m3で、その内訳は、国産材が921万m3(63%)、輸入材が531万m3(37%)となっている。主な入荷先は、国産材の場合は商社(23%)、素材生産業者(18%)、原木市売市場(11%)等のほか、自ら素材生産したもの(11%)となっている。輸入材の場合は商社(56%)、木材販売業者(14%)、製材工場(14%)となっている。また、木材販売業者は、国産材原木の流通において、素材生産業者の出荷先のうち約1割、合板製造業の入荷先のうち約2割を占めており、輸入材原木の流通においては、製材業の入荷先のうち約6割を占めている。

木材販売業者の製材品取扱量(*146)は1,663万m3で、その内訳は、国産材製品が770万m3(46%)、輸入材製品が893万m3(54%)となっている(*147)。主な出荷先は、国産材製品、輸入材製品いずれの場合も建築業者(それぞれ43%、37%)となっている。また、木材販売業者は、木材製品の流通において、製材業の出荷先のうち、国産材製品では約2割、輸入材製品では約3割を占めている。


(*145)統計上は入荷量。

(*146)統計上は出荷量。

(*147)原木取扱量(入荷量)及び製材品取扱量(出荷量)のいずれも、木材販売業者間の取引も含めて集計された延べ数量である。




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