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第1部 第 IV 章 第1節 木材需給の動向(2)

(2)我が国の木材需給の動向

(木材需要は回復傾向)

我が国の木材需要量(*32)の推移をみると、戦後の復興期と高度経済成長期の経済発展により増加を続け、昭和48(1973)年に過去最高の1億2,102万m3(丸太換算値。以下同じ。)を記録した。その後、昭和48(1973)年秋の第1次石油危機(オイルショック)、昭和54(1979)年の第2次石油危機等の影響により減少と増加を繰り返し、昭和62(1987)年以降は1億m3程度で推移した。

しかしながら、平成3(1991)年のバブル景気崩壊後の景気後退等により、平成8(1996)年以降は減少傾向となった。特に、平成21(2009)年にはリーマンショック(*33)の影響により、前年比19%減の6,480万m3と大幅に減少した。近年は回復傾向にあるが、平成20(2008)年の水準までは僅かに達していない。平成28(2016)年には、住宅需要の増加等から用材の需要量は106万m3増加し前年比1.5%増の7,194万m3となるとともに、燃料材は木質バイオマス発電施設等での利用により前年に比べて185万m3増加し前年比47%増の581万m3となった。このことから、平成28(2016)年の木材の総需要量は、前年比3.9%増の7,808万m3となった。内訳をみると製材用材が33.5%、合板用材が13.1%、パルプ・チップ用材が40.5%、その他用材が5%、燃料材が7.4%を占めている。また、平成28(2016)年の我が国の人口一人当たり木材需要量は0.62m3/人となっている(資料 IV -5)。


(*32)製材品や合板、パルプ・チップ等の用材に加え、しいたけ原木及び燃料材を含む総数。このうち、燃料材とは、木炭、薪、燃料用チップ、木質ペレットである。

(*33)2008年に起こった、米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発する金融市場の混乱のこと。



(製材用材の需要はほぼ横ばい)

平成28(2016)年における製材用材の需要量は前年比3.1%増の2,615万m3となっている。製材用材の需要量は、昭和48(1973)年に6,747万m3でピークを迎えた後は減少傾向で推移し、平成20(2008)年以降、ピーク時の4割程度でほぼ横ばいで推移している。我が国では、製材品の約8割は建築用に使われており、製材用材の需要量はとりわけ木造住宅着工戸数と密接な関係にある。

我が国の新設住宅着工戸数は、昭和48(1973)年に過去最高の191万戸を記録した後、長期的にみると減少傾向にあり、平成21(2009)年の新設住宅着工戸数は、昭和40(1965)年以来最低の79万戸であった。平成22(2010)年以降、我が国の新設住宅着工戸数は4年連続で増加した後、平成26(2014)年は前年比9%減の89万戸となったが、平成28(2016)年は前年比6%増の97万戸となっている。

木造住宅の新設住宅着工戸数についても、昭和48(1973)年に112万戸を記録した後、全体の新設住宅着工戸数と同様の推移を経て、平成28(2016)年は前年比8%増の55万戸となっている。また、新設住宅着工戸数に占める木造住宅の割合(木造率)は、平成21(2009)年に上昇して以降はほぼ横ばいで、平成28(2016)年は56%となっている。一戸建住宅における木造率は89%と高い水準にあるが、マンションやアパート等の共同住宅における木造率は18%と低い水準となっている(資料 IV -6)。

平成29(2017)年については、新設住宅着工戸数は前年比0.3%減の96万戸、このうち木造率は57%(一戸建住宅では89%、共同住宅では19%)となっている。また、同年の木造住宅の一戸当たり床面積は92.3m2となり、平成19(2001)年の101.8m2から約1割減少している。


(合板用材の需要はほぼ横ばい)

平成28(2016)年における合板用材の需要量は前年比3.4%増の1,025万m3となっている。合板用材の需要量は、製材用材と同様に木造住宅着工戸数の動向に影響され、昭和48(1973)年に1,715万m3でピークに達した後は増減を繰り返し、平成20(2008)年以降はほぼ横ばいで推移している。

合板は住宅の壁・床・屋根の下地材やフロア台板(*34)、コンクリート型枠(かたわく)(*35)など多様な用途に利用される。


(*34)フローリングの基材となる合板。

(*35)コンクリート等の液状の材料を固化する際に、所定の形状になるように誘導する部材。



(パルプ・チップ用材の需要はほぼ横ばい)

平成28(2016)年におけるパルプ・チップ用材の需要量は前年比0.5%減の3,162万m3となっている。パルプ・チップ用材の需要量は、平成7(1995)年に4,492万m3でピークを迎えた後、平成20(2008)年の3,786万m3まで緩やかに減少し、平成21(2009)年には景気悪化による紙需要の減少等により前年比23%減の2,901万m3まで減少した。平成22(2010)年には前年比12%増となったものの、その後ほぼ横ばいで推移しており、平成20(2008)年の水準までは回復していない。

パルプ・チップ用材を原料とする紙・板紙の生産量をみると、平成12(2000)年に3,183万トンで過去最高を記録して以降、3,100万トン前後で推移していたが、リーマンショックを機に、平成21(2009)年には前年比14%減の2,627万トンまで減少した。平成22(2010)年には景気の回復により前年比4%増の2,736万トンまで回復したが、その後は再び平成21(2009)年の水準でほぼ横ばいで推移しており、平成28(2016)年は、前年比0.2%増の2,627万トンとなっている(資料 IV -7)。平成28(2016)年の紙・板紙生産量の内訳をみると、新聞用紙、印刷用紙等の紙が1,471万トン(56%)、段ボール原紙等の板紙が1,157万トン(44%)となっている。

平成28(2016)年にパルプ生産に利用された木材チップ(*36)は2,876万m3で、このうち898万m3(31%)が国産チップ(輸入材の残材・廃材や輸入丸太から製造されるチップを含む。)、1,977万m3(69%)が輸入チップであった。樹種別にみると、針葉樹チップが1,033万m3(36%)、広葉樹チップが1,843万m3(64%)となっている。国産チップの割合は、針葉樹チップで比較的高くなっている一方、広葉樹チップで低くなっている(資料 IV -8)。


(*36)木材チップはパルプ(植物繊維)に加工されることで紙・板紙の原料となるが、広葉樹の繊維は細く短いため平滑さ等に優れ、印刷適性のあるコピー用紙等の原料として利用されるのに対し、針葉樹の繊維は太く長いため強度に優れ、紙袋や段ボール等の原料として利用される。また、広葉樹と針葉樹において違いがあるだけでなく、国産針葉樹チップと輸入針葉樹チップとでは樹種の違いからパルプの収率や繊維長等が異なる。これらの違いが、製紙業における原料選択や、木材チップ(紙・パルプ用)価格等に影響している。



(国産材供給量は増加傾向)

我が国における国産材供給量(*37)は、森林資源の充実や合板原料としてのスギ等の国産材利用の増加、木質バイオマス発電施設での利用の増加等を背景に、平成14(2002)年の1,692万m3を底として増加傾向にある。平成28(2016)年の国産材供給量は、前年比8.9%増の2,714万m3であった(資料 IV -9)。用材部門では、前年比2.6%増の2,236万m3となっており、その内訳を用途別にみると、製材用材は1,218万m3、合板用材は388万m3、パルプ・チップ用材は527万m3となっている。また、燃料用チップを含む燃料材は前年比59%増の446万m3となり、大幅な増加が続いている(*38)。

樹種別にみると、製材用材の約8割がスギ・ヒノキ、合板用材の約8割がスギ・カラマツ、木材チップ用材の約4割が広葉樹となっている(*39)。


(*37)製材品や合板、パルプ・チップ等の用材に加え、しいたけ原木及び燃料材を含む総数。いずれの品目についても丸太換算値。

(*38)林野庁「平成28年木材需給表」(平成29(2017)年9月)

(*39)農林水産省「木材統計」



(木材輸入の9割近くが木材製品での輸入)

我が国の木材輸入量(*40)は、平成8(1996)年の9,045万m3をピークに減少傾向で推移しており、平成28(2016)年は、前年から合板等の輸入量が減少した一方で、丸太、製材品、燃料材等の輸入量が増加し、前年比1.4%増の5,094万m3となった。

用材の輸入形態は丸太から製品へとシフトしており、平成28(2016)年は、丸太の輸入量は木材輸入量全体の約1割にすぎず、約9割が製品での輸入となっている。平成28(2016)年に製品で輸入された木材は4,457万m3であり、このうち、パルプ・チップは2,635万m3(木材輸入量全体の52%)、製材品は997万m3(同20%)、合板等は538万m3(同11%)、その他は287万m3(同6%)となっている。このほか、燃料材135万m3(同3%)が輸入されている(*41)。


(*40)製材品や合板、パルプ・チップ等の用材に加え、燃料材を含む総数。

(*41)林野庁「平成28年木材需給表」(平成29(2017)年9月)



(木材輸入は全ての品目で減少傾向)

我が国の輸入品目別の木材輸入量について、平成18(2006)年と平成28(2016)年を比較すると、丸太については、総輸入量は1,058万m3から365万m3へと大幅に減少している。特に、ロシアからの輸入量は、同国の丸太輸出税の大幅引上げにより、497万m3から16万m3へと急減している。

製材については、総輸入量は、1,346万m3から997万m3へと減少している。国別では、カナダからの輸入が512万m3から304万m3へと約4割減少している。

合板等については、総輸入量は854万m3から538万m3へと減少している。国別では、マレーシア及びインドネシアからの輸入が、違法伐採対策等による伐採量の制限や資源の制約等によって、それぞれ433万m3から178万m3へ、261万m3から156万m3へと大幅に減少する一方、中国からの輸入が増加した。

パルプ・チップについては、総輸入量は3,227万m3から2,636万m3へと減少している。国別では、オーストラリア及び南アフリカからの輸入が、それぞれ884万m3から406万m3へ、468万m3から265万m3へと大幅に減少する一方、ベトナムからの輸入が、アカシア等の早生樹の植林地が拡大したことにより、122万m3から465万m3へと大幅に増加している(資料 IV -10)。

なお、我が国における平成28(2016)年の木材(用材)供給の地域別及び品目別の割合は資料 IV -11のとおりである。


(木材自給率は6年連続で上昇)

我が国の木材自給率は、昭和30年代以降、国産材供給の減少と木材輸入の増加により低下を続け、平成7(1995)年以降は20%前後で推移し、平成14(2002)年には過去最低の18.8%(用材部門では18.2%)となった。その後、人工林資源の充実や、技術革新による合板原料としての国産材利用の増加等を背景に、国産材の供給量が増加傾向で推移したのに対して、木材の輸入量は大きく減少したことから、木材自給率は上昇傾向で推移している。平成28(2016)年は、新設住宅着工戸数の増加等から総需要量が増加する中で、円高方向への推移等による調達コストの低下等もあり輸入量が増加するとともに、国産材供給量も増加した結果、木材自給率は前年より1.6ポイント上昇して34.8%(用材部門では31.1%)となり、6年連続で上昇した(資料 IV -9)。木材自給率を用途別にみると、製材用材は46.6%、合板用材は37.8%、パルプ・チップ用材は16.7%、燃料材は76.8%となっている(資料 IV -12)。

平成28(2016)年5月に変更された「森林・林業基本計画」では、2025年の木材の総需要量を7,900万m3と見通した上で、木材供給量及び利用量について4,000万m3を目指すこととしており(*42)、この目標に向け、木材供給量及び利用量は順調に推移している。2025年には、木材の総需要量に占める供給量の割合は5割程度になることを見込んでいる。

資料IV-12 平成28(2016)年の木材需給の構成

(*42)「森林・林業基本計画」については、第 II 章(40-43ページ)を参照。




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